報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「代替修学旅行終了後」

2022-03-11 20:23:54 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月25日18:15.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 私達を乗せたタクシーは、無事にマンションの前に着いた。

 高橋:「チケットでオナシャス」
 運転手:「はい、ありがとうございます」

 高橋に料金を払ってもらっている間、私とリサはトランクを開けてもらって、そこから荷物を下ろした。

 リサ:「お腹空いた」
 愛原:「今から夕食作るのも大変だろうから、何か出前でも取るか」
 高橋:「あ、いや、大丈夫っスよ!」

 最後に、チケットの控えと領収証を持って助手席から降りて来た高橋が言った。

 高橋:「もうカレーとか作り置きしてるんで!」
 愛原:「あ、そうなのか」
 リサ:「おー!カレー!」

 帰宅して、荷物を片付ける。

 愛原:「汚れ物は洗濯籠に入れておけよ」
 リサ:「はーい。使用済みの下着は、先生のベッドの上に……」
 愛原:「置かんでいい!」
 高橋:「夕食、用意するんで、少し待ってください」
 愛原:「ああ、悪いな」

 高橋は無洗米を炊飯器に入れて、『おいそぎ』ボタンを押した。
 カレーは作り置きしたものを冷凍庫に入れていたらしい。
 そういえば夜出発の時、高橋がカレーを作っていたのを思い出した。
 この時の為だったのか。
 私は自分の部屋に入ると、荷物の片付け。
 斉藤社長へのお土産は、明日持って行くことになる。
 それからPCを立ち上げて、書類をまとめる準備。
 報告書は1から作るのではなく、既にホテルでその日の分はまとめていた。
 あとはそれを上手く報告書にまとめるだけだ。

[同日19:00.天候:晴 愛原のマンション]

 高橋:「先生、夕飯できましたよ」
 愛原:「了解」

 私は高橋に呼ばれ、自室を出た。
 さっきから香ばしいカレーの匂いがしていた。
 メインはこれだが、他にも冷凍保存されていたハンバーグや唐揚げ、冷蔵保存されていた野菜が出ている。

 リサ:「いただきまーす」

 リサは制服からは着替えていなかった。
 この後風呂に入るので、それまでこのままだという。
 まあ、服装に関して言えば、私や高橋も似たようなものだが。

 高橋:「先生、チューハイありますんで」
 愛原:「いや、ちょっとこれから報告書まとめるから、今日は酒はいいや」
 高橋:「そうっスか」

〔「こんばんは。7時になりました。NHKニュースの時間です。まずは、ロシアによるウクライナ侵攻に関するニュースです。BSAA欧州本部は、『ウクライナ政府が隠し持っているBOWを殲滅する』として、ロシア軍との共同軍事作戦を行うと発表しました」〕

 愛原:「ん!?」

〔BSAA欧州本部報道官:「ウクライナ政府は核兵器を放棄しました。しかし、その代わりに新型生物兵器、BOWを導入したのです。これはバイオテロと戦う我々BSAAに対する挑戦です。従いまして、我々BSAAはロシア政府と協力し、ウクライナ国内に散在するBOWの掃討作戦に打って出ることにしたのです」〕

 愛原:「え……?どういうこと?」

 いやいや、ルーマニアで起きたバイオハザード事件では、逆にBSAA欧州本部が勝手に人型BOWを兵士に使ってたことが問題になったけど???

 高橋:「と、遠く離れた日本は平和でいいっスね」
 愛原:「そういう問題か」

 軍事力に使うから問題なのであって、日本の場合はせいぜい政府エージェントに使う程度だから問題無いのかな?

〔「尚、こうしたBSAAの軍事作戦に対し、民間レベルでのバイオテロ対策活動を行っている軍事会社“ブルーアンブレラ”は強い批判を行っています」〕

 愛原:「俺達、“青いアンブレラ”に付いた方がいいのかな?」
 高橋:「でも、日本じゃ非合法ですよ?」

 BSAAは国連組織だから日本国内では合法だが、“青いアンブレラ”は、あくまで民間軍事会社。
 民間企業が兵力を持って、日本国内で活動することは違法とされている。
 せいぜい、霧生市のような大規模バイオハザードが起きた際、BSAAの後方支援としての活動なら何とか許されるレベルである。

 リサ:「わたし……存在自体アウト?」
 高橋:「いや~、いい所に気づいたな」
 愛原:「デイライトさんの指示に従っていれば大丈夫だ。だいたい、表向きは人間だけど身体能力は人外の人達なら外国にもいるぞ」
 高橋:「そ、そうっスよね」

 今のところ、BSAA極東支部日本地区本部は我々に友好的である。
 自衛隊や在日米軍とも、協調関係を築いている。

 夕食後、私は自分の部屋に戻り、報告書作りを始めた。
 ただ単に文章を載せるだけでなく、写真もふんだんに載せて見やすいように作る。
 何しろ、これはクライアントへの提出物だからな。
 さすがに、リサ達のブルマ写真は載せられない……。
 報告書を作り終えた時、時間は22時近くになっていた。

[同日22:00.天候:晴 愛原のマンション]

 高橋:「あ、先生。お疲れさまです」

 部屋から出てリビングに行くと、ソファに高橋が座ってテレビを観ていた。

 愛原:「おう。報告書作り終わったぞ」
 高橋:「さすがですね」
 愛原:「あとはこれを明日、斉藤社長の所に持って行くだけだ。……リサは?」
 高橋:「風呂入ってます。先生、次に入りますか?」
 愛原:「そうだな」
 高橋:「やっぱスキー場でのBOWの話が一番濃いっスか?」
 愛原:「そう……だな。リサが撮影したあの動画、どうしよう?」
 高橋:「梅田何とかに操られた獲物達の全裸立ちション&野グソ動画っスか?超絶お宝映像ですね。エロ動画専門投稿サイトでも削除されそうな勢いですよね。俺に任せてくれれば、独自の販路で一攫千金……」
 愛原:「また刑務所に入るつもりか、オマエは!」

 あの動画は善場主任にも押収されたのだが、リサはちゃっかりコピーして別の媒体に保存していた。
 日本版リサ・トレヴァーはなかなかどうして狡賢い個体が多かったが、唯一の生き残りであるうちのリサは更に人一倍のようである。

 高橋:「あの獲物達、結局どうなったんスか?」
 愛原:「そりゃあ、病院に運ばれたさ。まあ、正気を取り戻したら取り戻したで、心のリハビリが必要らしいが……」
 高橋:「あ、操られた時の記憶あるんスね」
 愛原:「あるんだよ。あとは低体温症とか凍傷とかな」
 高橋:「なるほど。……何か、全裸アブノーマルプレイさせないだけ、こっちのリサはマシなような気がしてきました」
 リサ:「エヘヘ……。そう?」
 高橋:「おわっと!?」

 いつの間にかリサがソファの後ろにいた。

 リサ:「そんなに老廃物が嫌なら、そこだけ残せばいいのに、バカな女だよね」
 愛原:「BOWの癖の1つに、獲物を見つけてもすぐに食べず、色々と遊んでからやっと食べるというのもあるからな」
 リサ:「お腹が空いてるんだから、さっさと殺して食べればいいのにね。わたしはそんな無駄なことしないよ」
 愛原:「そうだよなぁ……。って、さくっとでも人を食ってはイカンぞ!」
 リサ:「はーい」

 リサは普通にパジャマを着ていた。

 リサ:「あ、ところで先生」
 愛原:「何だ?」
 リサ:「わたしのブルマ写真、好きに使っていいからね」
 愛原:「心配するな。流出させたりはせんよ」
 リサ:「それと、もう1つ発見」
 愛原:「何だ?」
 リサ:「中等部用のブルマと高等部用のブルマって形が違う」
 愛原:「そうなのか?」

 洗濯籠からリサはブルマーを2つ持って来た。
 色合いはどちらも同じ。
 しかし、中等部用はローカットで、高等部用はハイカットのデザインになっていた。

 リサ:「今はどっちも同じ短パンなのにね」
 愛原:「うーむ……」

 いずれにせよ、中高一貫校なのだから、デザインが統一されるのは保護者の立場からすれば良いことだ。
 それにしても……。

 リサ:「明日は先生が買ってくれた臙脂色のブルマ穿いてあげるね」

 私の為にという理由は表向きで、実は案外気に入っているのではないかと思う。
コメント (1)
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“私立探偵 愛原学” 「代替修学旅行の終わり」

2022-03-11 14:16:21 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月25日17:10.天候:晴 東京都台東区上野 JR上野駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、上野です。山手線、京浜東北線、常磐線、地下鉄銀座線、地下鉄日比谷線と京成線はお乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。上野の次は、終点東京です〕

 列車は日暮里駅から地下トンネルに潜り込んだ。
 修学旅行生達は荷棚から荷物を下ろしたり、降りる準備をしている。
 中には寝ている同級生を起こしたり、この期に及んでイタズラを企てる者も。

 愛原:「皆さん、そろそろ降りる準備をしてください」

 私は車内の生徒達に降りる準備をするよう、声掛けして回った。

 絵恋:「あーあ……。リサさんとの楽しい旅行も、これで終わりかぁ……」

 私の後ろの席に座っていた絵恋さんが言う。

 リサ:「楽しい時間はあっという間。今日はちょっと邪魔されたけど」
 絵恋:「上野凛さんって、凄い能力持ってるのね」
 リサ:「同じBOWでも、わたしとは少し違う。それは分かっていたけど、まさか姿を消せるとは……」
 愛原:「厳密には姿を消せるわけじゃないみたいだよ。厳密にはね」

 特異菌感染者の特技の1つ、姿隠し。
 でも、本当に姿を消しているわけではない。
 人間やBOWの錯覚を利用しているだけ……のはずなのだが、凛さんにあっては、本当に姿を消しているかのようだ。

 リサ:「入学してきたら、『先輩からの洗礼』を受けさせてやろう」
 絵恋:「お手伝いします!」
 愛原:「“花子”先輩から、『イジメ、ダメ!ゼッタイ!』という指導を受けたはずだが?」
 リサ:「い、イジメじゃないです。『洗礼』『歓迎』『イジリ』です」
 愛原:「はい、加害者の言い分!」
 絵恋:「『イジメは無かったです』」
 愛原:「頭の悪い学校と教育委員会の言い訳」
 絵恋:「『イジメは少しあったかもしれないが、それが自殺の原因とは限らない今日この頃です』」
 愛原:「狡賢い教育委員が1人でも紛れ込んでいる教育委員会の言い分」
 高橋:「取りあえず、ムカついたらボコしとけ」
 リサ:「うん、わかったっ!」
 愛原:「高橋君くん、後でちょっとお話ししようか~?」

 列車は地下深いホームに到着した。
 日本でも珍しい地下にある新幹線ホームである。

 愛原:「停車時間は1分です!慌てず且つ速やかに降りてください!忘れ物と落とし物に注意してください。もしも忘れ物や落とし物をした場合、東京駅まで取りに行くことになります。東京駅日本橋口、東京車掌区の隣まで取りに行くハメになりますからね!気をつけてください!」

 JR東日本東京駅の遺失物センターの場所は、本当に分かりにくい。
 JR東海のそれは八重洲中央口改札を出た所にあるので分かりやすいが、JR東日本の場合は口でも説明できないような場所にある。
 強いて言うなら、JR東日本日本橋口改札の裏手。
 東京車掌区の入口の手前を右。
 この説明で辿り着ければ、あなたは東京駅の全てを攻略できるだろう。
 良いか?日本橋口というと、JR東海ばかりが目立つが、ポツンと1つだけあるJR東日本の改札口が目印だ。
 え?JR東海とJR東日本の区別が付かない?
 最寄りの鉄ヲタへご一報を!
 ウザい説明をされますw

〔ドアが開きます〕
〔「ご乗車ありがとうございました。上野、上野です。車内にお忘れ物、落とし物の無いよう、お降りください。……」〕

 ドアが開くと、地下ホームに構内放送が響き渡った。
 ぞろぞろと一斉に生徒達が降りて行く。

 愛原:「降りましたら、エスカレーターでコンコースに上がってください!」

 私も誘導員として活動する。
 こういう時、鉄ヲタの知識が役に立つ。
 上野駅の新幹線コンコースには、団体が集合できる広いスペースがあり、そこに集まって解散となる。
 但し、団体乗車券の都合上、改札口を出るまでは団体行動である。
 改札口を出てから、本当の解散である。

 絵恋:「あーあ……。大宮駅で降りれば楽なのに、メンドくさい……」
 リサ:「サイトー、実家に帰るの?」
 絵恋:「ええ」
 リサ:「また新幹線?」
 絵恋:「御冗談を。パールが電車のキップを買ってくれているから、それで帰るの。何か、特急に乗るとか言ってたけど……」
 愛原:「“スワローあかぎ”1号か。今日は平日だもんな」

 確かに17時を過ぎたこともあり、駅構内はちらほら夕方のラッシュの始まりかけを見ることができる。
 コロナ禍ということもあり、まだ17時台始めは電車は空いている。
 作者も17時上がりの日勤の時、帰りの京浜東北線は東京駅から着席できるとのこと。
 そして、コンコース上の広場に集合して帰りの点呼を取る。
 さすがに今度はリサが違和感を感じることは無かったし、名簿の数と実際の数が合わないなんてこともなかった。

 リサ:「先生は学校に行くの?」
 愛原:「いや、俺も帰るよ」

 引率の教員達は教員達で、学校に戻って色々とやることがあるらしいが、私はあくまでもPTA会長代理なので。
 会長本人なら、学校でもやることはあるのだろうが、そこまでは委託されていない。

 愛原:「明日、お家にお邪魔させて頂くよ」

 私が絵恋さんに言うと、絵恋さんは……。

 絵恋:「リサさんも来ますか!?」
 愛原:「あくまでも、キミのお父さんに報告書を持って行くだけなので、リサは連れて来ても意味がない」
 絵恋:「!」

 すると絵恋さん、はらはらと涙を流す。

 リサ:「先生……」

 リサ、ジト目で私を見る。

 愛原:「……のだが、リサのたっての希望なので、リサも連れていこう」
 リサ:「おー!さすが先生!」
 高橋:「てめぇら、先生に御礼言わんかい!」
 絵恋:「アンタもう何キャラよ!」

 その後、私は電話で斉藤社長に無事到着の報告をする。
 絵恋さんは迎えに来ていたメイドのパールと共に、在来線乗り場へ。

 パール:「愛原先生、こちら旦那様からです」

 と、何故かタクシーチケットを何枚か渡される。
 これで明日は報告に来いということか。
 東京と埼玉、両地域で営業しているタクシー会社のチケットである。
 私は既に1枚頂いているタクチケを手に、上野駅のタクシー乗り場に向かった。
 正面玄関口に優良タクシー乗り場があるので、そこから乗ることにする。
 黒塗りセダンタイプだったので、トランクに荷物を乗せ、高橋には助手席に乗ってもらった。

 愛原:「墨田区菊川1丁目までお願いします」
 運転手:「はい、かしこまりました」

 車が走り出す。
 もう夕方の時間ということもあり、車の数も多くなっていた。

 リサ:「あー、疲れた」
 愛原:「リサでも疲れること、あるの?」
 リサ:「あるよ、そりゃ」
 高橋:「明日は大雪だな」
 リサ:「何でよ?」
 高橋:「善場の姉ちゃんに、報告はいいんスか?」
 愛原:「善場主任は、明日明後日は休みだろう」

 今日は金曜日である。
 明日、斉藤社長へ報告に行くのに社長の自宅まで行くのは、土曜日だからである。

 愛原:「それに、別に善場主任から何か業務委託を受けたわけじゃないから」
 高橋:「それもそうっスね。あくまでも、今回のクライアントは斉藤社長ですよね」
 愛原:「そういうことだ」

 すっかり暗くなった東京の道を、私達のタクシーは家に向かって走って行った。
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