報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「愛原学探偵事務所の別の日」

2022-03-20 22:28:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月28日15:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を営んでいる。

 リサ:「ただいま」

 この時間、学校に行っていたリサが帰って来た。

 愛原:「お帰り。どうだった?」
 リサ:「首尾はここに」

 リサはニヤけた顔で、手帳を私に差し出した。
 そこには、斉藤絵恋さんが冬休み、北海道で過ごした内容が詳細に書かれていた。

 愛原:「凄い!よくここまで詳細に聞き出せたねぇ!?」
 リサ:「わたし、探偵の素質ある?それより、報酬を……」

 リサは目を閉じて、唇を指さした。

 愛原:「しょ、しょうがないな。あくまでも、報酬だぞ?」

 私はリサの唇に軽くキスをしてやった。

 リサ:「ヴェェェェェェイ!」
 愛原:「バイオ村のアンジーか!」
 リサ:「先生こそ、『女子高生とキスできて功徳~~~~~~!!』じゃない?」
 愛原:「そうだな。それにしても、ホントよくここまで聞き出せたよ。よく絵恋さん、ここまで覚えてたな?」
 リサ:「忘れていた部分もあったから、思い出してもらった」
 愛原:「……まさか、拷問とかしなかっただろうな?」
 リサ:「大丈夫。ちょっとキスして、老廃物を吸い取ってあげただけ」
 愛原:「血液は?」
 リサ:「ほんのちょっと……」
 愛原:「そんなことしたら、余計に忘れそうな気がするけどな」
 リサ:「聞いた感じ、白井と会っていた様子は無かったよ。ただ、サイトーのお父さんが時々どこかへ出かけてたみたいだけど……」
 愛原:「なるほど。やっぱり善場主任の言う通り、斉藤社長は未だに怪しいのかね」
 リサ:「どうするの?」
 愛原:「もちろんこれは、後で善場主任に提出するさ。ちゃんとオマエは上手くできたって言っといてあげるからな」
 リサ:「おー!」
 愛原:「金一封くらい出るかもよ」
 リサ:「おおー!」

 私は早速、善場主任に連絡した。

 善場:「ありがとうございます。それでは、すぐに取りに伺いますので」

 とのことだ。

 愛原:「善場主任、こっちに来るって」
 リサ:「ヴェへへへ……」

 第1形態に変化しながら、心ここに在らずといった感じのリサ。

 愛原:「おーい、リサ。戻って来い。あと、笑い方がまんまBOWだからやめろ」

 それから1時間くらい経って、善場主任がやってきた。

 善場:「お疲れ様です、愛原所長」
 愛原:「お疲れ様です。これが、リサが調査した内容です」
 善場:「ありがとうございます」
 愛原:「リサのヤツ、ちゃんと仕事しましたよ」
 善場:「そのようですね。それじゃリサ、これは報酬です」
 リサ:「クオカード……」
 善場:「制度上、現金はあげられないの。分かってね」
 リサ:「分かった」

 とはいえ、想定外の物をもらって腑に落ちない感じのリサ。
 クオカードの額面は、けして安いものではなかったが。
 まあ、本当に高校生のお小遣い程度か。

 愛原:「先に少し確認しましたが、どうも絵恋さんよりは斉藤社長自身が何だか怪しいようです」
 善場:「そりゃ、自分で不利な発言はしないでしょうね」
 愛原:「えっ?」
 善場:「しばらく私達は、北海道の調査に行ってきます」
 愛原:「あの、斉藤社長から今後仕事の依頼が来た場合は……?」
 善場:「それはお引き受けになっても構いません。但し、私共の事についての情報提供については断ってください」
 愛原:「はい。それはもう……」

[同日18:00.天候:晴 同地区内 愛原のマンション]

 事務所を閉めて、マンションに戻る。

 高橋:「あ、先生。お帰りなさいっス」
 愛原:「ああ、ただいま」
 リサ:「ただいまぁ」
 高橋:「オマエはもう少し早く帰ってこい」
 愛原:「いいんだ。今日に関しては、善場主任が来てたからな」
 高橋:「善場の姉ちゃんが?何の用で?」
 愛原:「まあ、色々な。それより、今日の晩飯は?」
 高橋:「あ、はい。今日はトンカツです」
 愛原:「豚肉が安かったか?」
 高橋:「そうっスね。本当は挽き肉でも買って、ハンバーグにでもしようかと思ったんですが、昨日、ハンバーガー食っちまったんで」
 愛原:「それもそうだ。リサも頑張ったから、今日の夕飯は肉だぞ」
 リサ:「おおー!」

 私は自分の部屋に入り、スーツから私服へと着替えた。
 リサも自分の部屋に戻っていった。

 高橋:「それで先生、何か分かったこととかあるんスか?」
 愛原:「どうも、この期に及んで、また斉藤社長が怪しくなってきたっぽい」
 高橋:「マジっスか。リサから勝手にサンプル採取しただけじゃ、済まなかったんスね」
 愛原:「ややもすれば、実は白井と繋がってたんじゃないかって話になってきた」
 高橋:「そうなんですか。何かヤバいっスね。そうなると今後、社長からの仕事は……」
 愛原:「いや、それは受けていいらしい。まあ、いきなり断るようになったりすると、却って怪しまれるからだろうな」
 高橋:「それもそうっスね」

 リサも着替えて来た。
 白いTシャツに、黒い短パンである。

 リサ:「おー、トンカツ」
 愛原:「早速食べよう」

 私は早速、箸をつけた。

 リサ:「先生。春休みはどこか行かないの?」
 愛原:「そうだな……。もしかしたら、斉藤社長からまた依頼があるかもな?」
 高橋:「ああ。『娘のお守りよろしく』ってヤツですか」
 愛原:「特に、年度末は社長も忙しい。何だか、依頼がありそうな気がしてしょうがないんだ」
 高橋:「有り得ますね。どこに行きますか?」
 愛原:「さーてなぁ……」

 私はいくつか候補を思い浮かべたが、こればかりは依頼が無いとな……。
 そうだ。
 いっそのこと、斉藤社長に営業を掛けてみるというのはどうだろう?
 うん、そうだな。
 そうしてみようか。

 愛原:「明日、斉藤社長に本当に依頼は無いかどうか聞いてみるよ。依頼があるなら、希望を聞かないとな」
 高橋:「またあのレズガキのお守りですか」
 愛原:「そう言うな。旅行に行くだけで報酬がもらえる、美味しい仕事だぞ?」
 高橋:「まあ、そうなんスけどねぇ……」
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“私立探偵 愛原学” 「善場からの連絡」

2022-03-20 14:12:23 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[同日14:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 栗原絵恋:「それでは、そろそろ失礼します」
 愛原:「ああ。掃除、ありがとう」

 昼食を食べて少し話をした後、蓮華さんはジャージの入ったバッグと麻袋に包んだ刀を手に、事務所を出て行った。

 高橋:「御礼参り……」
 愛原:「北海道のヤクザさんじゃないんだからやめなさい」
 リサ:「あのセンパイにもブルマ買って穿かす?」
 愛原:「体育用じゃなく、女子陸上部のユニフォーム用があると言ったな?あれは?」
 リサ:「ちょっと待って。確か、学校の部活紹介に……」

 リサは事務所のPCを使って、ネットにアクセスした。
 それで東京中央学園上野高校の公式サイトにアクセスする。
 その中には部活動を紹介する所があり、その中に女子陸上部があった。

 リサ:「これ」
 愛原:「あー、なるほど……」

 確か、青山学院大学の女子陸上部のユニフォームも緑じゃなかったか?
 あれよりもう少し明るい緑のユニフォームで、確かに下はブルマーだった。
 しかし、スポーツ用品メーカーのロゴマークが入っていることから、体育用のブルマーと違い、学販ではないことが分かる。

 愛原:「……いや、だから、剣道部員がそんなの穿かないって」
 リサ:「先生の希望だって言えば穿いてくれるんじゃないかなぁ……?わたしから言ったら、首斬られそうだけど」
 愛原:「ま、ムリは禁物だな」

 と、そこへ電話が鳴った。

 高橋:「はい、愛原学探偵事務所です。……おー、姉ちゃん。……先生だな?」
 愛原:「善場主任か?」

 私は電話に出た。

 愛原:「はい、お電話替わりました、愛原です」
 善場:「愛原所長、お疲れさまです。白井の件で分かったことがありましたので、御連絡させて頂きました」
 愛原:「ありがとうございます。それで、何が分かりましたか?」
 善場:「白井は羽田空港に着陸する飛行機に偽名で乗り、羽田空港から車でどこかへ向かう途中だったようです。飛行機は新千歳空港からの便です」
 愛原:「すると、白井は北海道に潜んでいたというわけですか」
 善場:「そういうことになります。車はまた別の男……恐らく、ゾンビ化した者がレンタカーを借りていたようですね。それで、どこかへ向かう最中だったと思われます」
 愛原:「白井は北海道で何をしていたのでしょう?」
 善場:「それは、これから調べるところです。ところで……」
 愛原:「はい」
 善場:「そこにいる高橋助手に聞いて頂きたいのですが、白井の車と正面衝突した時、本当にハンドルを握っていたのか、です」
 愛原:「は?」
 善場:「また分かりましたら、御連絡致します。あと明日、事務所にお伺いしますので、よろしくお願い致します」
 愛原:「は、はい」

 私は電話を切った。

 高橋:「姉ちゃん、何ですって?」
 愛原:「白井の車と正面衝突した時、オマエは本当にハンドルを握っていたのかどうかだそうだ」
 高橋:「も、もちろん握ってましたよ?パールがどうしても、あの道を行けってうるさくて……」
 愛原:「パールが命令したのか?」
 高橋:「あ、ちゃ、ちゃんと警察にも言ってますからね。何でパールがあんなこと言ったのか知らないっスけど!」

 なあ、もしかして、この事故……。
 事故じゃなくて、事件なんじゃないか?

[同日15:00.天候:晴 同地区内 愛原のマンション]

 高橋は夕食の買い出しに行った。
 リサにも手伝わせたので、マンションには私1人で帰った。
 すると、また私のスマホに着信が入った。
 またもや、善場主任から。

 愛原:「もしもし?」
 善場:「善場です。明日リサ、学校ですよね?」
 愛原:「そうですが……」
 善場:「リサにお願いして欲しいことがあります」
 愛原:「何でしょう?」
 善場:「斉藤絵恋さんのことです。絵恋さんは冬休み、家族で北海道に行かれたそうですね?」
 愛原:「そうです。確か、ニセコだか倶知安だか、そこですよ」
 善場:「そこではどのように過ごしていたのか、具体的に聞き出して欲しいのです」
 愛原:「えっ!?」
 善場:「その後の調べで、白井は小樽から電車で新千歳空港に向かっています。その小樽へは、更に西から来た列車に乗ってきたようです。愛原所長、小樽から西へ行くと何がありますか?」
 愛原:「函館本線ですから……ニセコや倶知安だ!」
 善場:「はい。私達は斉藤社長が白井と接触した疑いを持っています。ですので、斉藤社長には今後とも気を付けて頂きたいのです」
 愛原:「ぐ、偶然では?」
 善場:「もちろん、裏付けは慎重に進めます。ですが、愛原所長方にも十分気をつけて頂きたいと思い、こうして連絡させて頂きました。いいですか?この事は当然、斉藤社長やその関係者には極秘ですよ?」
 愛原:「は、はい」
 善場:「斉藤社長は斉藤社長で、所長方を利用しようとするかもしれませんから」
 愛原:「…………」
 善場:「よろしいですね?それでは、よろしくお願いしますよ?」

 善場主任は電話を切った。
 おいおい、何だか話が変な方向へと向かっていないか?
 私は知らないぞ!
 とにかく、私は帰宅したリサを部屋に呼んだ。
 変な想像をしたリサは、ニヤけた顔で部屋に入ってきたが、私が真顔で真剣な話をすると、さすがに空気を読んだようだ。
 そして、善場主任からされた話をリサにした。

 リサ:「サイトーが?白井の仲間?」
 愛原:「……か、どうかは分からん。俺も信じられないくらいだ。とにかく、リサは絵恋さんが北海道で何をしていたか聞き出して欲しい。それだけだ」
 リサ:「分かった」
 愛原:「もちろん、今から冬休みのことだから、忘れている部分もあるだろう。だから、覚えている限り、思い出せる限りことまででいいんだ。無理に思い出せる必要は無いからな?」
 リサ:「分かった」
 愛原:「もう1つ、注意として、善場主任に聞かれたことは黙ってておいてくれ。あくまでもリサが興味があって聞く。このテイでやってほしいんだ」
 リサ:「分かった」
 愛原:「よし。じゃあ、これは報酬の前金代わりだ」

 私はリサの頬にキスをした。

 リサ:「きゃっ?!」

 リサはびっくりしたが、次の瞬間、涎を垂らして蕩け顔になった。

 リサ:「うへへへ……」
 愛原:「う、上手くやってくれたら、今度は唇にチューしてやるぞ?」
 リサ:「頑張りまーす!!」

 リサは鼻息を荒くして部屋から出て行った。
 こんなんでいいのかなぁ……。
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“私立探偵 愛原学” 「愛原学探偵事務所の昼」

2022-03-20 11:20:23 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月27日12:30.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 お昼を過ぎたところで、事務所の掃除が終わった。

 愛原:「おー、ピカピカ。皆、ありがとう」
 高橋:「弟子として当然っス!」
 栗原蓮華:「これくらい、毎日道場でやってますから」
 リサ:「お嫁さんとして当然です」
 高橋:「あ!?」
 蓮華:「え?」
 リサ:「ん?」
 愛原:「リサ……」

 私は手伝ってくれたJK2人に報酬を渡した。

 愛原:「じゃあ、これ。今日のバイト代」
 リサ:「おー!」
 蓮華:「こんなにくれるんですか。ありがとうございます」
 愛原:「あとは、これでマックでも買ってきて」

 私はマックカードを2人に渡した。
 何故か持っていたのだ。
 気にしないでくれ。

 蓮華:「それじゃ、私が先生達の分も買って来ますよ」
 リサ:「わ、わたしも行く!」
 高橋:「おいおい!バカ言ってんじゃねぇ!先生の食事を用意するのは、弟子の俺の役目だ!」
 愛原:「高橋は、ここに残ってろ。電話掛かってきたら、応対よろしく」
 高橋:「は、はい」
 蓮華:「正社員さんはどっしり構えててください。使い走りは、バイトが行きます。リサ、行くよ」
 リサ:「う、ウム」
 高橋:「お、俺が正社員!?」

 何故かジワる高橋。
 その余韻に浸っているうち、私は彼女らに買って来て欲しいものを伝えた。

 高橋:「正社員……正社員……正社員……!ムショ上がりの俺が、正社員……!」
 愛原:「ダブルチーズバーガーのセットで、サイドメニューはポテト、ドリンクはコーラ。全部Mサイズでよろしく」
 リサ:「了解!」(`・ω・´)ゞ
 蓮華:「そこの、一瞬あっちの世界へ旅立っておられる御弟子さんは?」
 愛原:「あー……俺と同じでいいや」
 蓮華:「分かりました」

 蓮華さんは再び制服に着替えた。
 その後で事務所を出て行くJK2人。

 蓮華:「エレベーターの中で、私を襲うなよ?」
 リサ:「エレベーターの中で、首を斬りに来ないでね」

 あの2人、仲がいい……のか?

 それから30分くらいして、昼食にありつく私達。
 リサはビッグマックをバグバグ食べていた。

 愛原:「ほー、それで蓮華さんは、大学に?」
 蓮華:「一応、それを考えています。東京中央学園と業務提携?と言いますか、大学への受け入れ先に名乗りを上げている学校法人がいくつかあって、そこの1つに行こうかと」

 リサは来年度から2年生になるが、蓮華さんは3年生になるわけである。
 つまり、卒業後の進路を考えなくてはならない。
 東京中央学園は高等部と中等部があるが、大学は無い。
 短期大学部を創ろうという話はあったが、どうやら立ち消えになったようだ。
 そこで、学校法人東京中央学園は、そこと懇意にしていて、尚且つ大学や短大そして専門学校を運営している他の学校法人への紹介をするようになった。

 蓮華:「その中の1つに、スポーツが強い所があるので、そこにしようかと」
 愛原:「なるほど」

 もちろん、国公立大を狙う生徒も多々いる。
 言い方は悪いが、その滑り止めとしての私大受験の受け入れ先、或いは元々何らかの理由があって、そこを第一志望にする生徒の受け入れ先ということだな。
 蓮華さんは後者のようである。

 蓮華:「リサはどうなの?大学に行くの?」
 リサ:「わたしは……どうなんだろう?わたしはむしろ、高校を卒業したら先生と結婚……」
 愛原:「その前に人間に戻ることを考えなよ!?」
 蓮華:「そうだねぇ……。うちの一族には、話を聞かない頭ガッチガチの人もいるから、リサが鬼というだけで首を斬りに来るよ?逆を言えば、人間であれば何もしないってこと」
 愛原:「あのお祖父さんじゃないよね?」
 蓮華:「祖父もその1人ですけど、祖父は元々国家公務員をやっていたこともあり、リサに関しては、その省庁からの命令だと聞けば、素直に従います」
 愛原:「何だ、そうか」

 尚、蓮華さんの母方の祖父は霧生市にてバイオハザードに巻き込まれ、ゾンビ化してしまっている。

 愛原:「何の仕事をしていたの?警察官か何か?」
 高橋:「チッ、サツかよ……」
 蓮華:「警察じゃなくて、刑務官です」
 高橋:「刑務官!?……先生、ちょっくら御礼参りに……」
 愛原:「やめなさい!逆にボコられるだけだから!」
 蓮華:「剣道七段、合気道五段の猛者ですが?」
 高橋:「で、でも、ジジィだし……。い、いざとなったら、これで……」

 高橋はマグナムを取り出した。

 愛原:「その前に善場主任に逮捕されるからやめなさい」

 私達が銃を持っているのは、もちろん正式な許可を得ているからだ。
 そして、ある条件の時のみ発砲も許されている。
 それは、あくまでバイオテロの時の護身用。
 そして、発砲対象はゾンビやクリーチャーのみ。
 ややもすれば、ここにいるリサも対象だ。
 リサの監視を委託されている我々は、その護身用として、銃の所持・条件付き発砲を許可されているだけに過ぎない。
 つまり、今の高橋の発言は緊急逮捕案件なのである。

 愛原:「それだけの猛者なら、さぞかし死刑執行とかもしたんだろうね?」
 蓮華:「でしょうね。房から連れ出す時に暴れる受刑者もいますから、祖父のような猛者は、それを取り押さえる役に打ってつけだったそうです」
 愛原:「やっぱりなぁ……。聞いたか、高橋?さすがに死刑だけはコンプするなよ?」
 高橋:「当然です!」
 愛原:「どこかの所長さんとかまでやったの?」
 蓮華:「いえ、祖父はノンキャリアだったので。せいぜい、看守長くらいまでだったかと」

 それでも、看守長から上の階級になると、全国転勤があるという。

 愛原:「高橋、良かったな?もしも車でぶつけた相手が白井じゃなかったら、今頃はまだ警察署の中だで?」
 高橋:「そ、そうですね」
 蓮華:「結果的には家族の仇を討ってくれたわけです。本当に、ありがとうございました」
 高橋:「はっはっはー!もっと褒めちぎろ!」
 愛原:「調子に乗るな」

 私は高橋を窘めた。

 高橋:「それにしても、呆気ない幕切れだったっスねぇ!現実なんて、あんなもんなんスかね」
 愛原:「まあ、『事実は小説より奇なり』というしな」

 そうなんだよなぁ……。
 本当に呆気ないんだよなぁ……。
 うーむ……。
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