報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「帰りのトラブル」

2022-03-15 21:14:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月26日15:35.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区上落合 上落合八丁目バス停→西武バス大38系統車内]

 帰りのバスの時間が迫ってきたので、私達は帰ることにした。
 斉藤社長はすんなり私を解放してくれたが、問題は娘の方。
 リサと離れるのが嫌で、何度も引き留めようとしたくらいだ。
 最後には父親の斉藤社長がガツンと言ってくれたおかげで、何とか家から出ることができた。
 これで、親子関係にヒビが入らなければいいが……。

 リサ:「サイトー、『お父さんから愛されてない』なんて言ってた」
 愛原:「そんなことないよ。斉藤社長も、絵恋さんのことは心配してるぞ?」
 リサ:「うん。だから、ただの反抗期だと思う」

 リサも見た目は反抗期の年齢なのに、そういう所は実年齢なんだな。

 愛原:「……なあ。まさかと思うけど、『リサさんと引き離したお父さんが憎い!殺してやる!』ってなったらどうする?」
 リサ:「うーん……わたしに言われても……。サイトーのお父さんの死体は、わたしが食べて始末する?」
 愛原:「オマエに聞いた俺が間違ってたよ」
 リサ:「んん?」
 愛原:「まさかと思うけど、『止めなかった愛原先生も悪いわ!殺す!』ってなったらどうしよう?」
 リサ:「え?だったら、わたしが全力で食い殺すに決まってるじゃん。何言ってるの?」
 愛原:「ダメだ。絵恋さんが暴走すると、『流血の惨を見る事、必至であります』」
 リサ:「そんなわたしにできることは?」
 愛原:「絵恋さんが暴走しないよう、しっかり監視してくれ」
 リサ:「わかった」

 バス停でバスを待っていると、東の方から1台の路線バスがやってきた。
 新型の中型バスだ。
 免許維持路線である為か、中扉から乗っても他に乗客はいなかった。
 それでも大手のバス会社なので、ICカードは使える。
 バスに乗り込むと、後ろの席に座った。

〔発車します。お掴まりください。発車します〕

 バスは県道の上を走り出した。

〔ピン♪ポン♪パーン♪ 次は上小小学校、上小小学校。……〕

 リサは窓側に座り、景色を見たりスマホでLINEをやっていたりする。
 早速、絵恋さんからLINEが来ているらしい。
 私は斉藤社長とのやり取りを思い出していた。
 斉藤社長が、今年度いっぱいで大日本製薬の代表取締役社長の椅子から降りるのは前々から言われている通り。
 来年度からは、ダイニチグループの別の関連会社の社長の椅子に座るらしい。
 どこの会社かまではまだ公表されていないのだが、一応私には打ち明けてくれた。
 ダイニチグループの1つ、大日本エージェンシー。
 元々はダイニチコーポレーション総務部調査課が分社、独立したもの。
 簡単に言えば、私の商売敵とも言える。
 もちろん、大手には大手の、私達のような零細には零細の仕事があるのだが。
 元々世界探偵協会日本支部の役員もやっていた斉藤社長だったから、そういう業種に就くのは自然と言えば自然である。
 『私が行くからには、規模を拡大させますよ』と、豪語していたが……。
 『ますます愛原さんには、仕事をお願いすることになるかもですね』と言っていたのは、大手探偵社から二次、三次の下請けになってほしいということか。

[同日15:55.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 大宮駅西口バス停]

〔ピン♪ポン♪パーン♪ お待たせ致しました。まもなく終点、大宮駅西口、終点、大宮駅西口。【中略】毎度、西武バスをご利用頂きまして、ありがとうございました。どなた様も、忘れ物の無いよう、ご注意ください。……〕

 バスは途中の渋滞にハマることもなく、無事に大宮駅西口に着いた。
 到着後、回送になるからなのかは分からないが、ロータリーには入らず、手前の降車場に停車する。
 目の前にはパチンコ屋があるので、ちょっと一発打ってみたい衝動に駆られるが、それを打ち消すものがあった。

 運転手:「はい、ありがとうございました」

 降りる時は慣れた様子でICカードを使い、運賃を払うリサ。

 愛原:「うーむ……。久しぶりにマリンちゃんを見たくなるなぁ……」
 リサ:「私が大きくなったら、マリンちゃんのコスプレをしてあげるから!」
 愛原:「確かに、今のリサはどちらかというと、ウリンだもんな」

 パチンコ台でパチンコが禁止されている15歳の女の子が登場して良いのかというツッコミがあるが、ウリンはアニメ版で初登場したアニメオリジナルキャラだったので。
 アニメから原作のパチンコ台に逆輸入されたキャラだったのである。
 アニメ版では、パチンコのことは一切触れられていないので。

 リサ:「ツーサイドアップにする?」

 リサはウリンの絵を見て言った。

 愛原:「似合うとは思うけど、リサはいつものショートボブの方がいいな」

 同じような髪形でも、善場主任の場合は性格が出ているのか、前髪から後ろ髪まで、キチンと直毛で切り揃えられている。
 リサの場合は、多少のウェーブが入っている。

 リサ:「そーお?サイトーみたいなセミロングのウェーブとか……」
 愛原:「いや、いいよ。それより、マジで一発打っていきたいな……」

 と、そこへ私のスマホに着信が入った。

 愛原:「はいはい」

 取り出してみて、画面を見ると、東京03から始まってて、最後の番号が110になっている。
 これはつまり、都内の警察署から掛かって来たということだ。

 愛原:「な、何だ?」

 私は電話に出た。

 愛原:「も、もしもし?」
 警察官:「もしもし。愛原さんのケータイでよろしいですか?」
 愛原:「あ、はい」
 警察官:「愛原学さんですね?」
 愛原:「はい、愛原学です」

 私は鸚鵡返しに答えた。

 警察官:「私は警視庁東京空港警察署、交通課の……」

 私は電話の向こうの警察官の話を聞いて、溜め息が出そうになった。
 何でも高橋とパールが羽田空港近くの道路で飛ばし過ぎて、警察に捕まったらしい。

 警察官:「当署の管内で危険運転行為を摘発しましたので、取り調べの最中です。それで、身元引受人に愛原学さんを指定したのですが、今から署まで来れますか?」
 愛原:「……分かりました。今から参ります」

 高橋正義~!オマエ、何やってんだよ!?
 あと、パールも!
 車デートの最中で警察に交通違反を咎められ、キップを切られるというのはたまにあることだ。
 しかし、逮捕まで行くとは……。
 警察官の話では、相当なスピード違反を現認したので停止命令を出したところ、それを無視して逃走したらしい。
 で、逃走中に衝突事故を起こしたと。
 高橋とパールにケガは無かったようだが、相手が【お察しください】。

 愛原:「リサ、これから別のバスに乗るぞ」
 リサ:「どこに連れて行ってくれるの?」
 愛原:「羽田空港」
 リサ:「飛行機に乗るの!?」
 愛原:「……の、近くの警察署。タイーホされた高橋とパールを迎えに行く」
 リサ:「ええーっ!?」

 私達は降車場の反対側、そごうの前の羽田空港行きリムジンバスの乗り場に向かった。
 それにしても、身元引受人が条件とはいえ、逮捕されても即日で釈放されるということは……どういうことだ?
 相手もケガをしなかったということか?

 愛原:「次のバスは16時45分か。少し時間あるな。……あそこのドトールで、少し時間潰すか」
 リサ:「うん。……スイーツも頼んでいい?」
 愛原:「いいよ」
 リサ:「やった!それじゃ、行こう」

 だが、この出来事について、後ほど意外且つ衝撃的な事実を知ることになる。
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“私立探偵 愛原学” 「斉藤家に到着!」

2022-03-15 16:00:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月26日12:15.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区上落合 上落合公園前バス停→斉藤家]

 小型の路線バスが市道上のバス停に停車する。
 外吊り式の前扉が開くと、私達は席を立った。

 運転手:「それじゃ、ここに200円入れて」
 リサ:「はい」

 ICカードが使えないバスなので、現金で乗る。
 子供の頃は現金や回数券で乗るのが当たり前だった私と違い、今の若いコはそれを知らない。
 なので、そういう乗り方を体験させる良い機会だ。

 運転手:「ありがとうございました」
 愛原:「どうも」

 リサは人間の年齢では、もう50歳くらいである。
 しかし10歳になったばかりの頃に日本アンブレラに捕えられ、人体改造並びに長期の冷凍冬眠の為に体の成長・並びに老化が止まっている。
 また、この際、10歳まで生きた頃の記憶が無くなっている。
 なので今の見た目、16歳という認識でいて間違いない。

 絵恋:「ようこそ!ようこそ!リサさーん!……と、愛原先生」
 愛原:「俺はついでかい!」

 バス停まで迎えに来ていた絵恋さん。
 私達が降りて来ると、絵恋さんはリサに抱き付いた。

 絵恋:「早速私を食べてーっ!」
 リサ:「いや、わたしはローストビーフを食べれると聞いたんだが……」
 愛原:「それより早く、案内してくれよ」

 別に道順は知っているのだが、わざわざ絵恋さんが迎えに来てくれたってことは……。

 愛原:「家で待ってろって言われなかったのかい?」
 絵恋:「言われました!」
 愛原:「なら、家にいないと……」
 リサ:「よく、家から出れたな?」
 絵恋:「父ったらヒドいんですよ!?私を部屋に閉じ込めて、メイドに見張りまでさせたんです!」
 愛原:「……それで、どうやって家から出たの?」
 絵恋:「リサさんみたいに、天井裏からダクトを通りまして、エレベーターシャフトの中を……」
 愛原:「キミは忍者かい!」
 リサ:「いや、まるでBOW。天井のダクトを移動するなんて……」
 絵恋:「リサさんのマネをしてみました!」
 リサ:「先生、こいつ人間にしておくには勿体ない。わたしがまた感染させようと思うけど?Tウィルス?Gウィルス?」
 愛原:「善場主任に後でメチャクチャ怒られたくなかったらやめなさい」
 リサ:「はーい」

 そんなこんなで、斉藤家に到着する。

 斉藤秀樹:「絵恋!オマエ、どうやって部屋から出た!?」
 絵恋:「私のリサさんへの愛は、誰にも拘束できないのよ!」

 これが高橋なら、『社長、こいつ精神病院にブチ込んでベッドに拘束の方がいいですぜ?もちろん、入院期間はレズが治るまでです』とでも言いそうだ。
 それを言うのなら、あいつもバイが治るまで入院だな。
 で、ついでに同性癖のパールも。

 秀樹:「これはこれは愛原さん、うちの娘がとんだ御見苦しいところを……」
 愛原:「い、いえ、どうぞお気になさらず。これも仕事です」
 秀樹:「どうぞ、お上がりください」
 愛原:「失礼します」
 リサ:「お邪魔します」
 愛原:「社長、こちらが報告書になります」
 秀樹:「御苦労さまです。色々とお話を伺いたいのですが、まずは昼食にしましょう。どうぞ、ダイニングへ」
 愛原:「ありがとうございます」
 リサ:「サイトー、おトイレ貸して」
 絵恋:「どうぞ」

 リサは曰く付きの1階のトイレに向かった。

 リサ:「まさか、また和式になってるんじゃないだろうな?」
 絵恋:「ちゃんと洋式よ。お父さんが急いで証拠隠滅……もとい、劇的改造!ビフォーアフターしたのよ」
 リサ:「そうか」
 絵恋:「和式、嫌い?」
 リサ:「研究所にいた頃を思い出すから嫌い」

 ガラス張りの個室トイレ。
 周囲には研究員達の観察があり、ほぼ公開排便、公開排尿状態であった。
 排泄物はすぐに便器の下に開けられた穴を通って下に落ち、BOWが体内で接種した食物をどのように変化させるのかの実験をさせられた。
 尿意が無い場合は利尿剤を飲まされ、便意が無い場合は浣腸や下剤を飲まされた。

 絵恋:「そう、なんだ」

 リサはトイレのドアを開けた。
 中にあったのは洋式便器だった。

 リサ:「フム。それじゃ」

 リサはトイレの中に入っていった。

[同日13:00.天候:晴 同地区内 斉藤家]

 本日のランチのメインディッシュ、ローストビーフは塊のまま厨房から出て来て、それをメイドさんが切り分けて提供するという方式だった。
 リサはむしろ塊のまま欲しがったが、さすがにそれははしたない。
 大きめに切り分けてもらうことで、何とか耐えた。
 昼食の後、私は斉藤社長と一緒に1階奥の応接間へ。
 一方、リサは絵恋さんと一緒に、ホームエレベーターで3階の絵恋さんの部屋に向かった。

 秀樹:「いやあ、愛原さん、改めまして、今回もありがとうございました」
 愛原:「いいえ。お役に立てて何よりです」
 秀樹:「報告書については、後ほど読ませて頂きます。愛原さんの報告書は写真がふんだんに使われていて、実に読み応えがありますよ」
 愛原:「恐れ入ります」
 秀樹:「初日は事件に巻き込まれたそうですな?」
 愛原:「私じゃなくて、リサと娘さんがですよ」
 秀樹:「その娘をリサさんが守って下さった。ありがたいことです。何か、その時の秘蔵映像もあるそうですが?」

 私はフラッシュメモリーを取り出した。

 愛原:「これなんですけどね?ちょっとマニアックかもしれませんよ?」
 秀樹:「そうですか?」

 私は自分のノートPCを取り出し、立ち上げた。
 そして、件のフラッシュメモリーを挿して映像を再生した。
 そこには、梅田美樹が獲物にする少女達を操って雪山で裸にさせ、体内の老廃物を排出させる映像が映し出されていた。

 秀樹:「ほほぉ……。これはこれは……!?日本のAVにもなかなか無い内容ですな」
 愛原:「そりゃそうでしょ。未だにモザイクなんてくだらない物を使っているくらいですから。しかも彼女ら、18歳未満の現役女子高生達だし」

 雪山青姦より、やっぱり日本のAV視聴者はブルマやスク水、セーラー服が好きなんだよ。
 こういう所も平和だよね。

 秀樹:「私が若い頃は、『アイドルの○○ちゃんは、ウ○コなんて絶対しない』なんて言われていたものですが、最近は逆なんですな」
 愛原:「?」
 秀樹:「あれ?御存知ないですか?これ、ここに映ってる、全裸で立ちションしてるコ!これ、確かBKA49の大本真美ですよ」
 愛原:「ええーっ!?」
 秀樹:「確か、うちの会社の風邪薬のCMに出てくれたので覚えているんですが。……ていうか、ここに映ってるコ達って、都内の芸能事務所のアイドル達じゃないですか!……ほら、ここで全裸野グソしてるコなんて、下り坂転がり隊の山川留美です」
 愛原:「そうだったんですか?!」
 秀樹:「うちの会社の殺虫剤のCMに出てくれましたよ?いやいや、愛原さん、いい物を提供して下さってありがとうございます。報酬は30%増しでいかがでしょうか?」

 思わぬ高報酬を受けてしまった!
 そして、後で調べて分かったのだが、聖クラリス女学院は御嬢様学校であると同時に、芸能人の娘も多く通う学校だったのだ。
 この映像を撮影したのはリサだ。
 後でリサにも、何か御褒美をあげようと思う。
 高橋は……今回あまり役に立たなかったからいいやw
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