報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「少女達の密会 ~昼の部~」

2022-03-24 15:08:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月5日16:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 斉藤家1F応接間]

 オパール:「失礼致します。お茶のおかわりをお持ち致しました」
 愛原:「ありがとう」

 私は社長が帰って来るまで、応接間で待ちぼうけをさせられることになった。
 思えば、リサが絵恋さんに会う為に来たようなものであるので、私はオマケみたいなものだ。
 粗方、斉藤社長とは丸の内の本社で話が終わっているし。
 仕方ないので、土曜日であるが、私は善場主任に連絡した。
 といっても、メールのやり取りである。
 私が今、斉藤社長の家にいることを伝えると、主任は、なるべくデイライト側の動きを探らされないように、しかし斉藤社長の動きは探るように頼まれた。
 それにしてもヒマだ。

 オパール:「旦那様は先ほど、会社を出られました。今、こちらに向かっておられます」
 愛原:「分かりました」

 ハイヤーで戻って来るつもりかな。

 愛原:「リサは上の部屋かな?」
 オパール:「はい。御嬢様と過ごしておられます」
 愛原:「そうか。私も行ってみていいかな?」

 するとメイドのオパール、困惑した様子になった。

 オパール:「も、申し訳ございません。御嬢様から、『誰も部屋に近づけるな』との厳命でございまして……」
 愛原:「ほお……?と、言いますと?」
 オパール:「御嬢様はリサ様との2人きりの時間を、それはもう楽しみにしてございました。従いまして、例え愛原先生であっても、部屋に入れてはならぬという厳命を下されたのです。ですので、どうかご理解ください」
 愛原:「部屋で仲良くゲームでもやっているというレベルじゃないね、それは?」

 私が中高生の頃は、友達の家でよくゲーム三昧であったが……。
 桃鉄でキングボンビーが出た時の、人間関係崩壊の序章は今でも忘れられない。

 オパール:「は、はあ……」
 愛原:「部屋で何をしているのか、教えてもらえないかな?」

 リサの事だから、恐らく絵恋さんの老廃物と血液を啜っているのだろうが……。
 具体的には血中に含まれている老廃物といった方がいいか。
 これがリサが考え抜いた、合法的に血液と遺伝子を飲食する方法だった。
 マッサージと称して血管内にいくつもの細い触手を刺し込み、そこから血中老廃物と血液そのものを啜るのだ。
 リンパマッサージやリフレクソロジーだって、正に血中の老廃物を流すのが目的だから、それに被せたものだ。
 そして実際、リサに老廃物を吸い取られた後は、確かに血液がサラサラになっている感じはする。

 オパール:「具体的には申し上げにくいのですが……『運動』とか……」
 愛原:「それは18歳未満閲覧禁止の内容に抵触するものなのだね?」
 オパール:「えー……それは……」
 愛原:「部屋に案内してもらおうか!」
 オパール:「あっあっ、愛原様!どうかお待ちくださいませ!厳命が……」
 愛原:「高校生には禁止されている行為は止めるのが保護者というものだ!」

 私は応接間を出ると、3階へ上がる為にエレベーターに向かった。
 上のボタンを押すと、エレベーターがスーッと下りて来る。
 が、それは私の目の前を通過して下へ向かって行った。
 そして、窓からはリサと絵恋さんの姿が見えた。

 愛原:「んん!?今のはリサ達じゃないか?どこへ向かったんだ?」
 オパール:「恐らく、地下のプールまたはフィットネスルームかと思われます。御嬢様の御命令で、温水プールを稼働させておりますので」
 愛原:「リサの奴、水着なんか持ってきたのか」

 この家に行くことは予定済みではあったが……。

〔上に参ります〕

 そしてエレベーターが折り返してくる。
 その中にリサ達の姿は無かった。
 私はオパールを伴って、3階へ向かった。

〔ドアが閉まります〕

 思えば、屋敷の主人の娘の部屋に勝手に行くのも、それはそれでどうかとは思うが……。
 3階に着いて、私は絵恋さんの部屋に向かった。
 すると……。

 ダイヤモンド:「まあ!愛原様、どうなさいました?」

 部屋の掃除をしているダイヤモンドの姿があった。

 愛原:「リサ達は地下に行ったのか?」
 ダイヤモンド:「はい。こちらでの『お遊び』が一段落しましたので、今度はプールに入ろうかということになりました」
 愛原:「それで、何で掃除してるの?」
 ダイヤモンド:「御嬢様に後片付けを頼まれたものでして……」

 どうやら、激しい『運動』をしたようだな。
 リサが着ていた制服は無造作に脱ぎ捨てられ、そして窓が開けられて換気中とはいえ、微かにリサと絵恋さんの体臭の匂いがした。
 ここで汗をかくほどの『運動』をしたことに他ならない。

 愛原:「……分かった。だいたい、予想通りだと分かったよ。リサは水着なんか持って来たかな……」
 ダイヤモンド:「お持ちのようです。『学校のを持って来た』と仰っておりましたので……」
 愛原:「何だかんだ言って、リサもリサで楽しんでるみたいだなぁ……」
 オパール:「愛原様……」
 愛原:「分かったよ。俺は下に戻る」

 私は絵恋さんの部屋をあとにした。

 愛原:「待てよ。プールは?」
 オパール:「プールでございますか?」
 愛原:「部屋は立入禁止だって、命令してたじゃない?」
 オパール:「はい」
 愛原:「プールも立入禁止っていう命令はしていた?」
 オパール:「少々お待ちください。今、確認を……」
 愛原:「いや、待ってくれ。絵恋さん本人に確認すると、『そうね。忘れてたわ。プールも立入禁止』とか言いかねん。他のメイドさん達がそれを聞いているか確認してくれ」
 オパール:「かしこまりました」

 オパールは今日出勤しているメイド達に確認した。

 オパール:「お待たせ致しました。私も含め、他のメイド達も御嬢様からそのような命令は承っていないとのことです」
 愛原:「よし、分かった。ありがとう」

 私はエレベーターに乗り込むと、地下階のボタンを押した。

 オパール:「行かれるのですか?」
 愛原:「プールの中で、ヘタすりゃ溺死するかもしれん危険な『運動』をしているかもしれんだろ?それを止めに行くのが保護者たる私の使命だ」

 私は地下のプールへ向かった。
 案の定、2人の少女達は、せっかく着て行った水着を脱いで全裸水泳ばかりか、【ぴー】や【ぴー】、おまけに【あらあら】【うふふ】なことをしていたので、強く注意をした。
 それに驚いた絵恋さんがびっくりして足を攣り、却って溺れるという結果を招いてしまったが、すぐにリサが助けに入ったので事なきを得たのであった。

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