報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「一日がかりの検査」

2021-04-26 19:54:29 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月4日12:00.天候:晴 秋田県大館市豊町 大館市立総合病院]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 大館市郊外でのBOWとの戦いから一夜明け、私達は大館矢立ハイツをチェックアウトした。
 そして、昨夜の戦いで何らかのウィルスに感染していないか検査を受ける為、ここから最も近い指定病院に向かうことにした。
 今日は日曜日だが、そこは指定病院。
 私達の為に検査をしてくれるらしい。
 私達は車に乗って市街地を目指した。
 市街地へ行くので、国道7号線をひたすら南下する。
 例の現場の前を通ることになるが、表向きにはラーメン店でガス爆発があり、それで火災が起こったということになっていた。
 バリケードは剥がされ、しかし多くの警察車両が駐車場に止まっている。
 BSAAの姿は無かった。
 彼らはあくまでバイオハザードの鎮圧、予防の為に出動するのであり、その後に関しては黒幕の捕縛以外には動かない。
 ここにBSAAがいないということは、黒幕、つまり白井はいないということだ。
 カーナビの通りに進んで市街地に入り、そこにある市立病院に入る。
 日曜日なので、通常の外来は行われていない。
 しかし、市の休日夜間急患センターは開いている。
 そこに行くのかなと思ったが、私達はしっかり病棟へ案内された。
 まずは救急処置室へと入れられる。
 そこで医療スタッフから、今日行われる検査について説明を受けた。
 色々とされるようだが、何とか夕方までは結果が出るようである。
 私達は良いのだが、今日中に帰京しないと、リサが明日から学校だからなぁ……。

 リサ:「えー、お昼これだけー?」
 愛原:「しょうがないだろ。検査中なんだから」

 検査はお昼を挟む。
 病院にはレストランもあるのだが、休診日の今日は営業していない。
 コンビニがあり、昼食はそこでコンビニ弁当を買った。
 尚、検査食とかは特に無い。
 また、病院食も、別に入院しているわけではないのだから出るわけがなかった。
 コンビニが開いていて(日曜日でも勤務しているスタッフはいるし、入院患者でも病室外を出歩ける人には需要があるのだろう)、そこで弁当が売られているだけだいぶマシだろう。
 ていうか私から見れば、リサの食事量はかなり多いと思うのだが。
 私なんかミートソースパスタだけだぞ。

 リサ:「ファミチキもいい!?」
 愛原:「ああ、いいよいいよ」

 ついでに店内のATMで金を下ろしておこう。

 高橋:「何時頃、帰れますかね?」
 愛原:「まずハッキリ言えるのは、大館能代空港発の飛行機にはもう乗れないってことだ」
 高橋:「もう飛行機無いんスか!?」
 愛原:「本来なら3往復くらいの便があったんだけど、コロナ禍のせいなのか、1往復に減便されてる。俺達が乗って来た便は、その1往復のうちの下り一便だけだよ」
 高橋:「帰りは?」
 愛原:「午前中の一便で終わり」
 高橋:「ええっ、マジっすか!?じゃあ、どうするんスか?」
 愛原:「鉄道で只管帰るか」
 高橋:「秋田新幹線ですか?」
 愛原:「花輪線で盛岡まで行って、そこから東北新幹線でもいいと思う。もっとも、乗り換えは少ないが、時間は掛かる。ところが、その割にはそんなに遠回りってわけでもないんだ。盛岡駅で東北新幹線に上手く接続するダイヤになっているんだが、その東北新幹線、秋田新幹線も連結するんだ」
 高橋:「有名ですね」
 愛原:「その秋田新幹線に乗る為には、盛岡行きの鈍行列車より早く出発する列車に乗らないといけないんだ」
 高橋:「んん?ということは……?」
 愛原:「秋田新幹線回りの方が遠回りで遅いってことだよ」
 高橋:「そうなんスか。だったら……」
 愛原:「17時35分発、花輪線の盛岡行き。どんなに遅くても、これに乗れなかったらアウトだ」
 善場:「秋田空港からなら、夜出発の便もございますよ?」

 私達がイートインコーナーで昼食を取っていると、善場主任がやってきた。

 愛原:「善場主任!」
 善場:「皆さん、お疲れさまです」

 そして、空いている椅子に座る。

 愛原:「秋田空港まで行くのが大変ですなぁ……」
 善場:「所長ならそう仰ると思いました。鉄道好きが航空便に乗るのは邪道ですか?」
 愛原:「北秋田地域みたいに、首都圏からの便が不便な所なら航空便も有りだと思いますよ。なもんで、もしも大館能代空港からも夕方や夜の便があれば、迷わずそれを選択しています」

 羽田空港からのアクセスも微妙な所だ。
 菊川付近には乗り換え無しのリムジンバスは運転されていないし、鉄道も結局は東日本橋駅で乗り換えないと行けないから不便だ。
 鉄道なら花輪線で盛岡、盛岡から東北新幹線で東京、東京駅から都営バスに乗り換えることができる。
 もっとも今日の場合、もうバスは無いから、タクシーに乗ることにはなるだろうがな。

 善場:「でしょうね。それと、愛原所長に朗報です」
 愛原:「白井が見つかりましたか!?」
 善場:「それはあいにく、まだです。BSAAが所長方の協力に感謝ということで、報奨金を出すそうですよ」
 愛原:「おおっ、それはありがたい!」

 デイライトさんからも出るのかなぁ……と思ったが、善場主任は何も言わなかった(出ないとも言っていない)。

 善場:「何しろBSAAの隊が1つ全滅するようなBOWを相手に、よく戦いましたからね」
 愛原:「リサのおかげですよ」
 リサ:「むふー」

 リサは誇らしげに鼻息を荒くした。

 善場:「よく頑張りましたね」
 リサ:「エヘヘ……」(*´∀`*)
 愛原:「ラーメン屋の店長とかはどうなるんですか?」
 善場:「店長にあっては感染が確実ですので、隔離して発症しないようにワクチンを投与しております。その後はBSAAや私共で、事の経緯について聴取することになります」
 愛原:「そうですか。リサが怪しんだBOWについての正体、まだ分かりませんか」
 善場:「あいにくまだ調査中です。しかし、愛原所長方の御協力には感謝しております。今後ともよろしくお願い致します」

 お?これはもしかしたら、デイライトさんからも報酬もらえるかな???
 ……とはいえ、民間の探偵業者にできることはここまでなんだよな。
 私達も真相を知りたいところだけど、民間人が深入りしてしまってはいけない部分もあるし。
 まあ、しょうがない。
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“私立探偵 愛原学” 「事件終結」

2021-04-26 10:34:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月3日21:30.天候:曇 秋田県大館市郊外某所 スーパーラーメンショップ]

 愛原:「高橋、こっちだ!」
 高橋:「はい!」

 倉庫の鍵を壊し、私と高橋は中に飛び込んだ。

 愛原:「誰かいるか!?」
 店長:「た、助けて……」

 店長の声がした。

 愛原:「大丈夫か!?」

 私はマグライトで倉庫を照らしながら、店長を探した。
 すると倉庫内に設置された大型冷蔵庫の陰に、店長が手足を縛られた状態で転がっていた。

 愛原:「一体、何があった!?」
 店長:「オーナー達がやってきて、あなた達のことを話したら、突然襲われてここに入れられたんだ!」
 愛原:「オーナーというのは、白井伝三郎か?」
 店長:「そうだ!」

 やはりこの土地を相続していたのは白井伝三郎だった!

 愛原:「『達』というのは?白井が1人で来たんじゃないのか?」
 店長:「違う!何か、ガスマスクをしてサバゲーの恰好をした人達が数人ほど一緒だった」
 愛原:「ガスマスクって……!」
 高橋:「ヴェルトロっスね!」

 すると、BSAAの応援部隊も倉庫に突入してきた。

 BSAA隊員G:「外はクリアした!早く外に!」
 愛原:「わ、分かりました!この人をお願いしていいですか!?」
 隊員G:「その人は?」
 愛原:「生存者です。あのラーメン屋の店長さんです」
 隊員G:「すぐこっちに!」

 私達は倉庫を出た。
 店は完全に焼失し、焦げ臭い臭いが立ち込めているのはもちろんのこと、他の臭いも混じっていた。

 愛原:「リサ!」
 リサ:「先生」

 リサは第1形態になっていた。

 リサ:「何とか倒したよ」
 愛原:「よくやった!」

 BOWは肉片の状態になって、あちこちに転がっていた。
 それをBSAAがかき集めている。
 持ち帰って調査するのだろう。
 店長はBSAAのヘリコプターに乗せられた。
 病院で検査と、それから事件に関する経緯の事情聴取をされるのだろう。
 バイオハザード絡みはもうBSAAの管轄になるからな。

 愛原:「俺達も帰ろうか。帰って一っ風呂浴びたい」
 高橋:「そうですね」

 私達はBSAAから借りていた銃を適当に置いて、そそくさ~と帰った。
 いや、今から思えば、銃の無断拝借はさすがにマズかったかなと思った次第だ。
 バリケードの外では、警察が交通規制をやっていた。
 バイオハザードの中では、警察ができることは交通規制くらいか。
 急いで陣馬駅に戻り、止めていたライトバンに乗り込む。

 愛原:「久しぶりに戦闘に参加したせいか、変な汗かいちゃったな」
 高橋:「そうですね」

 そして高橋はエンジンを掛けて車を走らせた。

[4月4日07:00.天候:晴 同市内 大館矢立ハイツ4F大浴場→1Fレストラン]

 愛原:「ふぅーっ……」

 朝風呂に入る私達。
 実は昨夜、宿に帰ったら、入浴時間は終了していて入れなかったのだ!
 温泉がこんこんと湧き出る所だから、24時間入り放題だと思っていたのだが、残念だった。
 仕方ないので昨夜は体を拭いて着替えて、朝早く起きて入浴することにした由。
 朝は7時から入れるので、朝一を狙った。

 愛原:「やっとさっぱりしたな~」
 高橋:「全くです」

 湯船に浸かってゆっくりする私達。
 内湯の後は露天風呂に移動する。

 高橋:「今日はどうしますか?もちろん、東京には帰るでしょうけど……」
 愛原:「まずは昨夜のことを善場主任に報告するよ。もしかしたら、もう秋田入りしてるかもしれない」
 高橋:「分かりました」

 風呂に入ってサッパリした後は、1Fのレストランに向かう。

 従業員:「おはようございます」
 愛原:「おはようございます」

 レストランに行くと席は用意されていて、『愛原様』と書かれていた。
 そこに座る。
 朝食はバイキング形式ではなく、定食形式だった。
 従業員がすぐに持って来てくれる。
 ベタな法則で、焼き鮭に玉子焼き、味付けのりや納豆、1人鍋もあった。
 リサが喜びそうな量だ。

 リサ:「♪」

 リサはおひつの御飯を自分でよそうと、期待を裏切らない。
 山盛りにした。
 御飯はお代わり自由らしい。

 高橋:「しかし先生……」
 愛原:「何だ?」
 高橋:「ゾンビ無双した後で普通に帰って寝て、朝起きてのんびり温泉入って、こうして飯を食おうとしてるんですよ」
 愛原:「何が言いたい?」
 高橋:「多分俺達、もう普通の人間じゃないんたろうなぁって思います」
 愛原:「何を今さら……。あの霧生市のバイオハザードを生き延びただけで、もう俺達は普通の人間じゃないんだよ」

 そしてそれは、同じ生存者の栗原蓮華さんもそう。

 愛原:「だから気にしないことだ。気にしたら負けだぞ」
 高橋:「分かりました」
 愛原:「それじゃ、食べよう」

 私が合図を出すと、リサが一心不乱になって食べ始めた。
 思えばリサが一番激しく動き回っていたのだから、彼女が一番腹が減っているはずなのだ。
 にも関わらず、捕食行動を抑えられて偉いと思う。
 私達が食べ終えるよりも先に、リサがペロリと平らげてしまった。
 確か、御飯を何杯かお代わりしていたはずなのだが。

 愛原:「せっかくスリムになったのに、またリバウンドしちゃうぞ?」
 リサ:「気をつける」

 食べ終えてレストランを出た時、私のスマホに善場主任から電話が掛かって来た。

 愛原:「はい、もしもし。おはようございます」
 善場:「善場です。おはようございます。昨夜はお疲れ様でした」
 愛原:「いえ。お役に立てたかどうか……」
 善場:「リサを使ってBOWを倒し、生存者を1名救出したということで、BSAAも唖然としていますよ。そのうち、入隊勧誘があるかもしれませんね」
 愛原:「私はただの探偵ですよ」
 善場:「いえ、ただの探偵ではないと思います。それより所長方は、特に体の変化はありませんか?」
 愛原:「特に無いですね」
 善場:「ですが、検査は受けて頂く必要があります。生存者も感染が確認されたので、今は病院に収容しています」
 愛原:「あの店長も感染していたんですか!」
 善場:「CウィルスとTアビスを融合したものを、BOWは撒き散らしていたようですね。所長も御存知の通り、前者は空気感染のみ、後者も初期の時点では空気感染しますから、それを吸ったものと思われます」
 愛原:「なるほど、分かりました。それ以外に分かったことはありますか?」
 善場:「それに関しましては、また後でお話しします」
 愛原:「それで、私達はどこで検査を受ければいいのでしょう?」
 善場:「大館市内の病院に行ってください。病院には私達の方から話を通しておきます。というか、そこの病院で落ち合いましょう」
 愛原:「分かりました」

 やっぱりBOWとの戦闘の後は、感染状態をチェックか。
 リサと常に一緒にいるせいか、どんなウィルスでも怖くないんだよなぁ……。
 うん、やっぱり私も常人ではなくなったようだ。
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