報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「突入作戦」

2021-04-25 20:13:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月3日20:30.天候:曇 秋田県大館市某所 スーパーラーメンショップ]

 昼間に行ったラーメン屋のある場所に行くと、そこは完全に封鎖されていた。
 まるでこれからビルでも建つのかと思うような工事用のバリケードがされていたからだ。
 見た目には工事用のバリケードをすることで、一般市民からの目を反らすというわけだ。
 だが、どういうわけだろう?
 突入したBSAAの分隊だか小隊は全滅したと聞いているのに、バリケードの向こうからはまだマシンガンやマシンピストルの音がする。

 リサ:「いる!この奥に!」
 愛原:「よし、行くぞ!」

 私はもらった鍵でバリケードの入口を開け、中に入った。

 BSAA隊員ゾンビA:「アァア……!」
 同隊員ゾンビB:「ウゥウ……!」

 中に入ると、ゾンビ化したBSAAの隊員が闇雲に手持ちの銃を発砲しまくっている。
 照準を定められないが、取りあえず一応銃は撃てることから、Tウィルスではなく、Cウィルスとか、もう少し改良されたウィルスに感染したようである。

 愛原:「流れ弾に当たるなよ!」
 高橋:「はい!」

 私は完全に死亡してしまった、或いは仮死状態でまだゾンビ化していない他のBSAA隊員から銃器を拝借した。

 高橋:「死にらせ!この死にぞこない野郎!!」

 高橋がマシンガンを手に、ゾンビ化したBSAA隊員達に発砲する。

 隊員ゾンビA:「ゥアアアッ!!」
 隊員ゾンビB:「ギャアアアッ!!」
 愛原:「リサ!ゾンビ達はオレ達に任せて、オマエはBOWを倒せ!」
 リサ:「分かった!」

 因みにラーメン屋は火災を起こしていた。
 BSAAが突入した際に出火したのか、それとも戦闘の最中に出火したのかは分からない。
 しかし、その炎の中からそいつは現れた。

 愛原:「でけぇな!?」
 高橋:「仙台で見たリサ・トレヴァーの成れの果ても、あんな感じじゃなかったでした!?」

 身の丈は10メートルほどあり、辛うじて2足歩行ではあるが、動きはぎこちない。
 あれがリサの怪しんだBOWと思しき女性店員の成れの果てなのかは分からない。

 リサ:「人間を食い過ぎたんだね」

 リサは右手の爪を長く鋭く伸ばした。
 そして、化け物に向かって行く。

 隊員ゾンビC:「ウァアア……!」
 隊員ゾンビD:「ウゥゥ……!」
 愛原:「また来るぞ!」
 高橋:「全員、ゾンビ化してやがりますね、これ!?」

 霧生市にばら撒かれたTウィルスと違い、Cウィルス或いはそれよりもっと新しいゾンビウィルスは、感染者の知能を完全に殺しはしない。
 道具を使ったりするくらいの知能は残っている。
 また、肉体の腐敗もそこまでではない為か、走って来たり、フェンスなどをよじ登ることができる。

 愛原:「どうせワクチンなんかすぐに手に入らないだろ!楽にしてやろう!」
 高橋:「はい!」

 尚、WHOによると、ゾンビウィルスによりゾンビ化した者は『活性死者』と呼ばれ、医学的には死んでいるのと同じと定義づけられている。
 なので私達がここで生きたままゾンビ化した者達を殺しても、殺人罪に問われることはない。
 但し、死体損壊罪には問われる恐れがあるが、それは動かない死体を故意に損壊させるから問われる罪であり、動く死体に対しては緊急避難が認められる。
 生きている人間ではないので正当防衛ではなく、緊急避難になる。
 正当防衛は完全にそれを立証しないとなかなか裁判でも認められないが、緊急避難は案外あっさり認められる。

 リサ:「でやぁーっ!!」

 リサは上着を脱いで、スポブラだけの姿になると、背中や左手から触手を出してBOWと戦った。

 愛原:「ぅおっと!?」

 私達はゾンビだけ相手にしていればいい。
 しかし、そんなのは私達の勝手な都合であった。
 BOWとしては、せっかくこうしてわざわざやってきた生きている人間(食料)を見逃すはずがなかった。
 上空からリサの触手のようなものが落ちて来た。
 リサの触手も長さや硬さを自由に変えられる特徴を持つが、それはあのBOWも同じようだ。

 高橋:「さっさと死ねや、ゴルァッ!!」
 隊員ゾンビE:「ギャワァ……ッ!」

 隊員ゾンビEのヘルメットが脱げて、剥き出しになった頭部に高橋がショットガンを撃ち込む。
 この隊員は背中にグレネードランチャーを背負っていた。
 頭を撃ち抜かれた隊員Eは血しぶきを噴き出しながら地面に倒れ、そのまま動かなくなった。

 愛原:「これでゾンビは片付いたか!?」
 高橋:「はい!」
 愛原:「グレネードランチャーだ!これでリサの援護射撃をするぞ!」

 私はグレネードランチャーを構えた。

 高橋:「先生、足元!」
 愛原:「えっ!?」

 すると私の右足を這いつくばっていたBSAA隊員が掴んだ。
 一瞬ゾンビかと思ったが、まだゾンビ化していなかった。
 さすがにゾンビ化していない者を殺すと、本当に殺人罪になってしまう。

 愛原:「大丈夫ですか!?」
 隊員F:「そ……そ……」
 愛原:「えっ、何ですか!?」

 隊員Fは血を吐きながら、震える手で倉庫を指さした。
 店舗は火に包まれているが、倉庫は無事だ。

 隊員F:「対象……が……そ、こ……に……」
 愛原:「倉庫に何かあるんですね!?」
 隊員ゾンビF:「ゥアアアアッ!!!」
 高橋:「先生、危ない!!」

 高橋がゾンビ化した隊員Fに体当たりし、私から引き離したところで、マシンガンを集中的に浴びせた。

 隊員ゾンビF:「ギャアアアアッ!!」

 ゾンビ化した隊員Fは断末魔を上げ、その場に血だまりを作って絶命した。

 愛原:「高橋!倉庫だ!倉庫に行くぞ!」
 高橋:「はいっ!」

 私達は倉庫に走った。
 だが、私達の動きに気づいたBOWが触手を私達に向けて来る。

 高橋:「うぜぇっ!!」

 高橋はBOWに向けてマシンガンを放った。
 だが、当たってはいるのだが、効いているのかまでは分からない。

 高橋:「リサ!さっさとそいつをブッ殺せ!!」
 リサ:「分かってるよ!」

 私も倉庫に向かう前に、グレネードを一発お見舞いしてやった。
 どうやらグレネードランチャーの中に入っていたのは、焼夷弾だったらしい。
 被弾した所から火が出た。
 ……まさか、店舗焼いたのこれじゃないだろうな?

 愛原:「ん!?」

 すると上空にヘリコプターの音が聞こえた。
 そのヘリコプターには、BSAAの文字がはっきり書いてあった。

 愛原:「おおっ!やっと援軍が来たぞ!」

 カプコン製のヘリはすぐに撃墜されるというジンクスがあるが、BSAAもバカじゃないから、BOWの攻撃範囲には入らなかった。
 遠くから機銃掃射をし、BOWにダメージを与えてから降下するという作戦のようだ。
 おかげでBOWの注意がそっちに向いた。
 私達は急いで倉庫に向かった。

 高橋:「先生!倉庫に鍵が掛かってます!」
 愛原:「鍵を壊せ!」

 私はショットガンで鍵を壊した。
 そして、倉庫に飛び込んだ先にあったものとは……。

 A:店長
 B:白井伝三郎
 C:地下への階段
 D:人間の死体
 E:ヴェルトロ関係者
 F:ジャック・シュラ・カッパー
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“私立探偵 愛原学” 「作戦決行」

2021-04-25 16:08:46 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月3日18:00.天候:曇 秋田県大館市 大館矢立ハイツ1Fレストラン]

 先に温泉を堪能した私達。
 今度は夕食を取ることにした。
 あいにく飛び込みでチェックインした私達は、夕食付プランを選択することはできず、建物内のレストランで普通のメニューを注文することになった。

 リサ:「馬肉煮込み定食!」
 愛原:「最初からそれを狙ってたか。いいよ」
 リサ:「やった!」

 もしかすると、これからリサには活躍してもらうことになるかもしれない。
 人肉は当たり前に無理だが、馬肉で力を付けて戦ってもらおう。

 高橋:「先生はどうします?」
 愛原:「そりゃ秋田といったら、きりたんぽだべ~」
 高橋:「じゃあ、俺も」

 比内地鶏きりたんぽ鍋を注文した。
 アルコールは、これから仕事に行くので控えることにした。
 仕方ないので、ノンアルビールで我慢する。
 リサにはウーロン茶。

 愛原:「夕食付プランではないけど、朝食付きプランではあるから、明日はちゃんと朝食が付いてるからな?」
 リサ:「分かったー」

 いずれにせよ、夕食は全員が鍋物というわけだな。

 高橋:「新潟の三条にも、“ひこぜん”っていう、このきりたんぽに似た料理があるんですよ」
 愛原:「そうなのか」

 米どころならではの郷土料理なのかもしれないな。

 愛原:「しかし、三条市は下越地方ではないだろう?中越か?『下越のヤンキー』が、それ以外の地域の情報も持ってるんだな」
 高橋:「一応、同じ県スから……。下越を制覇した後、調子乗って中越にも手ェ出したんです。そしたら、そこのアタマがなかなか強くて、思うようには……ヘヘ……」

 上には上がいて、さすがの高橋でも勝てなかった暴走族がいたのか。
 そりゃ怖いな。

 高橋:「そうこうしているうちに、俺もサツにパクられちゃって、今度は中越を制覇ってわけにはいかなくなりましたね」
 愛原:「なるほどな。その中越に進出しようとした時に、ひこぜんのことを知ったのか」
 高橋:「前々から知ってはいたんですが、実際に食べたのはその時が初めてですね」
 愛原:「ふーん……」

 中越のヤンキーとケンカする前に、中越の郷土料理を楽しむ下越のヤンキーw

 愛原:「そういえば高橋は俺の田舎には何度か行ったが、俺はオマエの田舎にはまだ行ってなかったなー?」
 高橋:「あー……と……。ご案内したいのは山々なんですが、色々と事情が……」
 愛原:「そうか。だが、もしも日本アンブレラと関係があるようなら行かないといけないから、その時は案内頼むな?」
 高橋:「あ、はい……」

[同日20:00.天候:曇 同市内 JR陣馬駅前]

 夕食を終えた私達は浴衣から私服を着替えると、車に乗って、まずはJR陣馬駅に向かった。
 駅前の舗装されていない広場に車を止めようとすると、奥羽本線を貨物列車が通過していった。
 この辺りは電車の本数よりも、貨物列車の方が本数が多いという。
 電車も2両とか3両編成が良い所で、貨物列車が首都圏の中距離電車よりも長い編成で走っているのとは対照的だ。

 愛原:「ん?何だあれは?」

 駅前の広場に車を入れると、大型トラックが3台ほど停車していた。
 それもJR関係者の車ではない。
 幌付きのトラックは自衛隊のそれをイメージさせた。

 愛原:「まさか、BSAAか?」

 私は咄嗟に自分のスマホを見た。
 しかし、善場主任からは何の連絡も無い。
 また、トラックにはBSAAという表示が全く無かった。
 自衛隊のトラックと言えばそんな感じもするが、しかしどうしてここに自衛隊のトラックが3台も止まっているのかという理由も思い付かない。

 高橋:「どうしますか?」
 愛原:「取りあえず近くに止めよう。ちょっと話を聞いてみることにする。俺はBSAAだと思うんだがな」
 高橋:「はい」

 高橋は駅舎に近い所に車を止めた。
 陣馬駅は終日無人駅で、自販機やトイレすら無い駅だ。
 またもや反対方向から貨物列車が通過していった。
 私達が車を降りてトラックに近づくと、運転席から武装した兵士らしき男が降りて来た。

 愛原:「お疲れさまです。私はNPO法人デイライト様から業務委託を受けております探偵事務所の愛原と申します」
 兵士:「デイライト?」
 愛原:「【とある政府機関】の出先機関ですよ。そこから我々は業務委託を受けているのです」

 本当は斉藤社長の依頼なのだがな。
 公的機関相手には、同じ公的機関の名前を出した方がいいだろう。

 兵士:「申し訳無いですが、今は民間人の出る幕ではないので」
 愛原:「あのラーメン屋ですね。関係者に成り済ましたBOWが潜んでいるという情報を得たのは我々です」
 兵士:「そういうことでしたか。ご協力ありがとうございます」

 どうやら善場主任からBSAAに話が行き、掃討作戦が行われているようだな。

〔「αチームからHQ!至急、応援願う!対象は最終形態に変化した!当隊の装備では太刀打ちできない!」〕

 という無線が運転席から聞こえた。

 兵士:「まずいな……」
 愛原:「あの……。もし良かったら、お手伝いさせて頂けませんか?」
 兵士:「いや、だから、民間人は危険……」
 愛原:「ここに同じBOWがいるんですが……」

 リサはわざと第1形態に変化してみせた。

 兵士:「うわっ!?」

 兵士はびっくりして、腰の拳銃を抜く所であった。

 愛原:「大丈夫です。こいつは私達の味方ですよ。もしもBSAAで苦戦しているのなら、うちのリサに対応させますよ」
 兵士:「し、しかし……」

〔「至急!至急!αチームは全滅した!生き残りは自分ただ1人……ぎゃああああああっ!!」〕

 高橋:「αチーム、弱ェな!?」
 兵士:「情報では、リサ・トレヴァーより弱いBOWが一匹だけだと聞いていたのに……」
 愛原:「ここにそのリサ・トレヴァーがいます!早くしないと、そのBOWが外に出てしまいますよ!?」
 兵士:「わ、分かった。そこまで言うのなら……」

 私達はこの兵士に、リサのことをHQに報告してもらうと、すぐに現場となっているラーメン屋に向かった。
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