報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「羽田空港は羽田空港という所にある」

2021-04-17 22:53:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月3日08:16.天候:晴 東京都大田区羽田空港三丁目 京急羽田空港第1・第2ターミナル駅→東京国際空港第2ターミナル]

〔「本日も京急をご利用頂き、ありがとうございました。まもなく終点、羽田空港第1・第2ターミナルに到着致します。お出口は、左側です。お降りの際はお忘れ物の無いよう、ご注意ください」〕

 私の心配を他所に、京急空港線の地下トンネルを走行する都営地下鉄の電車はダイヤ通りに運行してくれた。
 1面2線の幅の広い島式ホームに滑り込む。

 
 
 きっと帰りも、ここから電車に乗るのだろう。
 但し、それはまだ分からない。
 調査の結果がどうなるか分からないので、帰りの航空チケットは購入していないのだ。

〔「ご乗車ありがとうございました。羽田空港第1・第2ターミナルでございます。……」〕

 

 電車が止まってドアが開くと、乗客達が一斉に降り出した。
 当然、私達も後に続く。
 この京急のホームは、前後を羽田空港の第1ターミナルと第2ターミナルに挟まれている。
 前者であれば進行方向後ろの車両に、後者であれば前の車両に乗ると良い。
 なので、私達は先頭車に乗り込んだのだ。

 リサ:「早く地上に出たい。お腹空いた」
 愛原:「はいはい。急ぎましょ」

 私達はエスカレーターに乗ると、まずは改札口に向かった。

 高橋:「先生、飛行機の時間は……」
 愛原:「9時20分だ。だいたい1時間前ってところか。朝飯食う時間はあるな」
 リサ:「おー!」
 高橋:「先生は何を食べますか?」
 愛原:「朝は軽食でいいだろう。リサはがっつり食べられる所かな」

 となると、必然的にカフェ系統しか無くなるわけだ。
 私はミックスサンドイッチ程度で良かったのだが、高橋の場合それがカツサンドで、リサに至っては大盛りカレーだった。

 リサ:「ウマウマ……。ウマーッ♪」
 高橋:「馬かよw」
 愛原:「そりゃあ良かった」
 高橋:「それで先生、現地に着いてからは?」
 愛原:「もちろん、すぐに調査を開始するさ。地方だからな、レンタカーを借りて出発だ。高橋、運転頼む」
 高橋:「お任せください」
 愛原:「因みに車はライトバンを予約してある」
 高橋:「ライトバンですか?」
 愛原:「ああ。いつもはコンパクトカーだったんだが、値段がそれと一緒だったんだ。それに、廃屋の調査なら、自家用車よりもライトバンの方が、いかにも業者っぽく見えるだろ?工事業者とか、役所関係とか……」
 高橋:「なるほど。そういうことっスか。さすが先生っス。それと、さっき俺の知り合いから変なLINEが来たんスけど……」
 愛原:「LINE?」
 高橋:「俺の知り合いにラーメン食べ歩きが趣味で、その様子をネットに上げてるヤツがいるんスよ」
 愛原:「よくいるな、そういうの」
 高橋:「そいつ、全国のラーメンを食べ歩いて制覇しようってヤツでして、秋田県にも行ったらしいんです」
 愛原:「それで?」
 高橋:「去年の話なんスけど、国道7号線……まあ、俺達がこれから行く所ですね。現地を通り掛かったら、新しいラーメン屋ができそうな感じだったっていうんですよ」
 愛原:「はあ?」
 高橋:「そいつが通り掛かった時はまだ工事中だったらしいんですけど、『今頃オープンしてるはずだから、マサ、早速行ってレポしてくれ』ってLINE来まして……」
 愛原:「ど、どういうこっちゃ?」
 高橋:「わ、分かりません」

 白井兄弟の誰が実家の建物と土地を相続したのかは不明だが、ラーメン屋に売却でもしたのだろうか。
 だとしたら、今行ったところでどうしようも無いぞ。

 愛原:「そのラーメン屋、ネットで調べられないのか?オープンしてるなら、ネットに引っ掛かるだろ?」
 高橋:「それが公式サイトが無いみたいなんです」
 愛原:「食べログとかは?ラーメン屋なら、オープン早々すぐに食べログにアップされたりするだろ?」
 高橋:「今、知り合いが検索してくれてます。もう少々お待ちを。何せあいつが通り掛かった時、まだ店の名前すら分からない状態だったらしくて……。一応、俺達は住所そのものは知ってるんで、そいつにその住所を送って検索させてます」
 リサ:「美味しいラーメンだったら食べたい」
 愛原:「おま、カレー食ったばっかで……」

 こんなに食べても、リサは太らないのだ。
 変化や変化後の身体能力にエネルギーを費やしてしまう為。
 むしろ、空手部員の斉藤絵恋さんよりも体の大きさは一回り小さいくらいである。
 だから、知らない人間がリサにナメたマネを取り、リサの機嫌を損ねると、後で化け物を見たように絶叫を上げるのだ。

 朝食を取った後で、保安検査場に向かう。

 高橋:「先生、危険物の持ち込みは禁止ですってw」

 高橋はフザけたように笑いながらリサの頭をポンポン叩いた。

 リサ:「ぶー……」
 愛原:「こらこら、何ちゅうことを……」
 リサ:「私なら、飛行機内でバイオハザード起こすことくらい……」
 愛原:「できるだろうな。だから絶対やめろよ」
 リサ:「先生の命令なら」
 愛原:「高橋もリサを怒らせない」
 高橋:「サーセン」

 と、そこへ高橋が検査に引っ掛かった。

 高橋:「お、俺は何も知らねーぞ!?」
 リサ:「お兄ちゃん、アウトー」
 愛原:「ちゃんとポケットの中身とか、全部出したのか?」
 警備員A:「申し訳ありません。ライターとタバコの持ち込みはできません」
 高橋:「てやんでい!」
 愛原:「機内は全面禁煙だからな?ほら、早く出せ!」

 他にも検査に引っ掛かる者が……。

 警備員B:「ちょっとお客さん!銃の持ち込みはダメですよ!?」
 ジャック・シュラ・カッパー:「怨嫉謗法はいけませんよ。それよりヤング・ホーク団の功徳を語りましょうね」
 警備員B:「結構です!ちょっと警察を呼んでください!」
 んっ?巡査:「河童くん、おはようw 今度はこの作品に友情出演かい?暇な老人がお笑いテロ組織をやるとは笑わせる」
 ジャック:「怨嫉謗法はやめなさい!それより功徳を語りましょうね!ワックスが売れて大繁盛したのですよ!功徳~~~~~~~~!!」

 愛原:「何だか、向こうの検査場はうるせーな」
 高橋:「放っといて行きましょう」
 リサ:「あれ、何なのん?イスラムの武装テロ組織?」
 愛原:「見ちゃダメだよ、リサ。それより、搭乗口は向こうみたいだから、向こうに移動しよう。喫煙所も向こうみたいだから」
 高橋:「うっス。吸い溜めさせてもらいます」

 私達は大捕り物が繰り広げられている保安検査場をあとにし、出発ロビーの奥へと進んだ。
コメント (4)
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