報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「事件終結」

2021-04-26 10:34:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月3日21:30.天候:曇 秋田県大館市郊外某所 スーパーラーメンショップ]

 愛原:「高橋、こっちだ!」
 高橋:「はい!」

 倉庫の鍵を壊し、私と高橋は中に飛び込んだ。

 愛原:「誰かいるか!?」
 店長:「た、助けて……」

 店長の声がした。

 愛原:「大丈夫か!?」

 私はマグライトで倉庫を照らしながら、店長を探した。
 すると倉庫内に設置された大型冷蔵庫の陰に、店長が手足を縛られた状態で転がっていた。

 愛原:「一体、何があった!?」
 店長:「オーナー達がやってきて、あなた達のことを話したら、突然襲われてここに入れられたんだ!」
 愛原:「オーナーというのは、白井伝三郎か?」
 店長:「そうだ!」

 やはりこの土地を相続していたのは白井伝三郎だった!

 愛原:「『達』というのは?白井が1人で来たんじゃないのか?」
 店長:「違う!何か、ガスマスクをしてサバゲーの恰好をした人達が数人ほど一緒だった」
 愛原:「ガスマスクって……!」
 高橋:「ヴェルトロっスね!」

 すると、BSAAの応援部隊も倉庫に突入してきた。

 BSAA隊員G:「外はクリアした!早く外に!」
 愛原:「わ、分かりました!この人をお願いしていいですか!?」
 隊員G:「その人は?」
 愛原:「生存者です。あのラーメン屋の店長さんです」
 隊員G:「すぐこっちに!」

 私達は倉庫を出た。
 店は完全に焼失し、焦げ臭い臭いが立ち込めているのはもちろんのこと、他の臭いも混じっていた。

 愛原:「リサ!」
 リサ:「先生」

 リサは第1形態になっていた。

 リサ:「何とか倒したよ」
 愛原:「よくやった!」

 BOWは肉片の状態になって、あちこちに転がっていた。
 それをBSAAがかき集めている。
 持ち帰って調査するのだろう。
 店長はBSAAのヘリコプターに乗せられた。
 病院で検査と、それから事件に関する経緯の事情聴取をされるのだろう。
 バイオハザード絡みはもうBSAAの管轄になるからな。

 愛原:「俺達も帰ろうか。帰って一っ風呂浴びたい」
 高橋:「そうですね」

 私達はBSAAから借りていた銃を適当に置いて、そそくさ~と帰った。
 いや、今から思えば、銃の無断拝借はさすがにマズかったかなと思った次第だ。
 バリケードの外では、警察が交通規制をやっていた。
 バイオハザードの中では、警察ができることは交通規制くらいか。
 急いで陣馬駅に戻り、止めていたライトバンに乗り込む。

 愛原:「久しぶりに戦闘に参加したせいか、変な汗かいちゃったな」
 高橋:「そうですね」

 そして高橋はエンジンを掛けて車を走らせた。

[4月4日07:00.天候:晴 同市内 大館矢立ハイツ4F大浴場→1Fレストラン]

 愛原:「ふぅーっ……」

 朝風呂に入る私達。
 実は昨夜、宿に帰ったら、入浴時間は終了していて入れなかったのだ!
 温泉がこんこんと湧き出る所だから、24時間入り放題だと思っていたのだが、残念だった。
 仕方ないので昨夜は体を拭いて着替えて、朝早く起きて入浴することにした由。
 朝は7時から入れるので、朝一を狙った。

 愛原:「やっとさっぱりしたな~」
 高橋:「全くです」

 湯船に浸かってゆっくりする私達。
 内湯の後は露天風呂に移動する。

 高橋:「今日はどうしますか?もちろん、東京には帰るでしょうけど……」
 愛原:「まずは昨夜のことを善場主任に報告するよ。もしかしたら、もう秋田入りしてるかもしれない」
 高橋:「分かりました」

 風呂に入ってサッパリした後は、1Fのレストランに向かう。

 従業員:「おはようございます」
 愛原:「おはようございます」

 レストランに行くと席は用意されていて、『愛原様』と書かれていた。
 そこに座る。
 朝食はバイキング形式ではなく、定食形式だった。
 従業員がすぐに持って来てくれる。
 ベタな法則で、焼き鮭に玉子焼き、味付けのりや納豆、1人鍋もあった。
 リサが喜びそうな量だ。

 リサ:「♪」

 リサはおひつの御飯を自分でよそうと、期待を裏切らない。
 山盛りにした。
 御飯はお代わり自由らしい。

 高橋:「しかし先生……」
 愛原:「何だ?」
 高橋:「ゾンビ無双した後で普通に帰って寝て、朝起きてのんびり温泉入って、こうして飯を食おうとしてるんですよ」
 愛原:「何が言いたい?」
 高橋:「多分俺達、もう普通の人間じゃないんたろうなぁって思います」
 愛原:「何を今さら……。あの霧生市のバイオハザードを生き延びただけで、もう俺達は普通の人間じゃないんだよ」

 そしてそれは、同じ生存者の栗原蓮華さんもそう。

 愛原:「だから気にしないことだ。気にしたら負けだぞ」
 高橋:「分かりました」
 愛原:「それじゃ、食べよう」

 私が合図を出すと、リサが一心不乱になって食べ始めた。
 思えばリサが一番激しく動き回っていたのだから、彼女が一番腹が減っているはずなのだ。
 にも関わらず、捕食行動を抑えられて偉いと思う。
 私達が食べ終えるよりも先に、リサがペロリと平らげてしまった。
 確か、御飯を何杯かお代わりしていたはずなのだが。

 愛原:「せっかくスリムになったのに、またリバウンドしちゃうぞ?」
 リサ:「気をつける」

 食べ終えてレストランを出た時、私のスマホに善場主任から電話が掛かって来た。

 愛原:「はい、もしもし。おはようございます」
 善場:「善場です。おはようございます。昨夜はお疲れ様でした」
 愛原:「いえ。お役に立てたかどうか……」
 善場:「リサを使ってBOWを倒し、生存者を1名救出したということで、BSAAも唖然としていますよ。そのうち、入隊勧誘があるかもしれませんね」
 愛原:「私はただの探偵ですよ」
 善場:「いえ、ただの探偵ではないと思います。それより所長方は、特に体の変化はありませんか?」
 愛原:「特に無いですね」
 善場:「ですが、検査は受けて頂く必要があります。生存者も感染が確認されたので、今は病院に収容しています」
 愛原:「あの店長も感染していたんですか!」
 善場:「CウィルスとTアビスを融合したものを、BOWは撒き散らしていたようですね。所長も御存知の通り、前者は空気感染のみ、後者も初期の時点では空気感染しますから、それを吸ったものと思われます」
 愛原:「なるほど、分かりました。それ以外に分かったことはありますか?」
 善場:「それに関しましては、また後でお話しします」
 愛原:「それで、私達はどこで検査を受ければいいのでしょう?」
 善場:「大館市内の病院に行ってください。病院には私達の方から話を通しておきます。というか、そこの病院で落ち合いましょう」
 愛原:「分かりました」

 やっぱりBOWとの戦闘の後は、感染状態をチェックか。
 リサと常に一緒にいるせいか、どんなウィルスでも怖くないんだよなぁ……。
 うん、やっぱり私も常人ではなくなったようだ。

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