報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「プロジェクト始動……か?」

2015-03-13 21:58:29 | アンドロイドマスターシリーズ
[3月15日11:00.埼玉県さいたま市西区 デイライト・コーポレーション埼玉研究所 井辺翔太&敷島孝夫]

「起動テストは問題ありません。ボディの動きやソフトウェアも異状なく起動しております」
 井辺達は3人の研究員に案内され、研究所内を歩いていた。
「それでは予定通り、うちで稼働させることは可能ですね?」
 敷島が質問すると、主査という役職名を持った背の高い研究員が大きく頷いた。
「今のところ、問題は見当たりません」
「ありがとうございます」
「このまま順調にテストを終えれば、来週には敷島エージェンシーさんに引き渡しできるかと思います」
「分かりました。早速、顔を合わせたいのですが?」
「結構です。コミュニケーションのテストもしたいので、どうぞ」
「井辺君、行こう」
「はい。……あれ、研究員さん達は?」
「私達は別室でモニタリングさせて頂きます」
「はあ……」
 井辺と敷島は研究員達と別れ、結月ゆかりが起動テスト中の部屋に入った。

 無機質な部屋を想像していた井辺だったが、意外とそうでもない。
 まるでアイドルがダンスやボーカルのレッスンを受ける、トレーニングルームのような部屋があった。
「あっ、ちょっと待った。電話だ。キミは先に入って、結月ゆかりと何かコミュニケーション取ってくれ」
「ええっ!?」
「新プロジェクトの話でもしてくれればいい。……あ、もしもし。お待たせしました。敷島です。……あ、はい。どうも、いつもありがとうございます。……」
 敷島はケータイ片手に、廊下の奥に行ってしまった。
(しょうがないな……)
 部屋の奥を見ると、結月ゆかりは井辺に背中を見せて、人間でいうストレッチの動きを見せていた。

[同日11:05.同場所・実験ルーム 結月ゆかり&井辺翔太]

 結月ゆかりは新しく与えられたボディで、どこまでストレッチできるかの実験を命じられていた。
 だから、1人の人間が入室してきたことは全く気付いていなかった。
 それに気づいたのは、井辺がかなり接近してきた時。
 緊張感を持った井辺の姿は、とても威圧的だった。
 これから人を殺しに行くような雰囲気というのは言い過ぎだろうか。
「あ、あの……自分……」
「きゃああああああっ!!」
「ならず者・か!?」
 結月ゆかりの悲鳴には緊急信号発信も兼ねている。
 それを受信して、右手をショットガンに変形させたガイノイドが飛び込んで来た。
「貴様・何者だ?両手を・上げろ!」
「し、シンディ!?……じゃない!?」
 顔はシンディによく似ていた。
 スリットの深いロングスカートが特徴の、ノースリーブのワンピースという衣装も似ている。
 だが、髪の色や髪型が全く違ったし、何より喋り方が変だ。
 そして、二の腕にはローマ数字で1と書かれている。
 シンディが3で……。
(あれ……?あそこに7って書いた……)
「シンディを・知ってるのか?」
 シンディの名前を聞いたガイノイドが銃を下ろした。
「じ……自分は井辺翔太。敷島エージェンシーに、4月からプロデューサーとして採用された者です」
 井辺は冷や汗を浮かべつつ、平静さを失わないように答えた。
「申し訳・ありません。私や・結月ゆかりの・認識力が・足りなかった・ようです」
 ガイノイドはショットガンを引っ込めて元の右手に戻すと、深々と頭を下げた。
「何だ何だ?何の騒ぎだ!?」
 そこへケータイ片手に、敷島が飛び込んで来た。
「あっ、エミリーじゃないか!」
「敷島さん・お久しぶり・です」

[同日15:10.同場所 応接コーナー 井辺翔太&結月ゆかり]

「申し訳ありませんでした。私、てっきり不審者かと……」
 結月ゆかりは、ばつの悪そうな顔をしていた。
「いえ。よくあることなので、気にしないでください。それより、シンディみたいなのが、もう1人いたことの方が驚きです」
「平賀博士の護衛として、同行しているようです」
「なるほど。では、改めて自己紹介致します。社長は、ちょっと取引先との電話で忙しいようなので……」
「はい」
「私は井辺翔太。4月から敷島エージェンシーでプロデューサーとして働くことになりました。まもなく自分は大学を卒業した後、本採用前の事前研修に入ります。が、その前にプロジェクトの最後のメンバーであるあなたを一目見ておこうかと思ったのです」
「では、あなたが私のプロデューサーさんですか?」
「敷島社長のお話では、そうなります」
 井辺は緊張して表情は硬いままだったが、ゆかりの方はニコニコと笑った。
「私は結月ゆかり。敷島エージェンシーの新プロジェクトのメンバーとして、お世話になります。よろしくお願いします」
「よろしく、お願いします」
「プロジェクトは何をするんですか?」
「もちろん、デビューして頂くことになるかと思います」
「なるほど。他のメンバーとは、いつ会えますか?」
「今現在、結月さんはテスト中です。全ての項目をクリアできれば、来週には敷島エージェンシーに引き渡されるそうです。恐らく、その時かと」
「なるほどー」
「他に何か質問は?」
「えーと……デビューしたら、どうなるんでしょうか?」
「もちろん、他のボーカロイドや人間のアイドルと同じく、CDを出したり、ライブをしたりすることになるかと思いますが」
「なるほどー」
「あいにくと、詳細については私も社長から聞かされていませんので」
「そうですかー」
「他に質問はありますか?」
「えーと……。こんなこと聞いちゃっていいですか?」
「何でしょう?」
「どうして私は敷島エージェンシーに引き取られるのでしょうか?」
「と、言いますと?」
「実は私……1度、検品で弾かれてるんです」
「え?……それは初耳ですが。そうなんですか?」
「はい」
「えーと……」
 井辺は敷島から預かった資料を探してみた。
「一応、社長の見解ですと、検品に弾かれたことは何のマイナスポイントにはなっていないようです」
「そうなんですか?」
「あなたを引き取る理由については……『クールな印象の半面、笑顔がアイドルらしい』と、あります。すいません、自分も詳しくは聞かされていないもので……」
「いえ、いいんです。私を選んで下さって、ありがとうございます」
「社長に伝えておきます」
「私はこの後、何をすればいいのですか?」
「まずはテストに合格する必要があります。先ほども言いましたが、この研究所における起動テストの項目全てにおいてクリアしてください」
「分かりました。結月ゆかり、頑張ります!」
 結月ゆかりは両手にグッと拳を固めると、笑顔で答えた。

 その様子をカメラで見ていた研究員達の見解によると、
「結月ゆかりの方が人間らしい動きで、むしろ井辺の方が表情が硬く、抑揚の無い喋り口調のせいでロボットに見えた」
 ということだ。
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本日の乗り鉄&バス

2015-03-13 16:36:56 | リアル旅行記
 今日は“リゾートみのり”に乗って来た。
 これは仙台駅を出発して東北本線は小牛田(こごた)駅まで向かい、そこから陸羽東線をひたすら走って新庄駅まで向かう臨時快速である。

 
(鳴子温泉駅で撮影。駅構内は除雪されているが、この時期でも周辺は雪深い)

 写真だけ見れば、いかにも新型車両のように見えるが、実はそうではない。
 実際はキハ48系と呼ばれる、今まで何十年も走行してきた旧型車両をフルモデル改造した車両なのである。
 だから、これもキハ48系というわけである。
 この列車、概ね平日は2両編成、土休日は3両編成で運転するようである。
 いずれにせよ全席指定なので、予め指定席券を購入しなくてはならない。
 しかもこれ、前面展望を望みたい場合、平日の下りはハズレである。
 何故なら、冒頭の写真をご覧頂ければ分かるが、テールランプが点灯している。
 つまり、後ろの車両である。
 後方展望は問題無い(車掌が乗務しているので、車掌の存在が気にならなければ、だが)。
 では、先頭車はどうなっているのかというと……。

 
(同じく鳴子温泉駅で撮影。左は上りの普通列車キハ110系である)

 通常のフロントマスクをしている。
 これだけ見れば、確かにキハ48系の改造車であることが分かるわけだ。
 しかし、前面展望は殆ど望めない。
 3両編成だと、この前にもう1両展望車を連結するので、前面展望も問題は無い。
 なので平日ダイヤで前面展望を希望する場合は、上り列車に乗るべし。
 車内は新幹線の自由席と同じリクライニングシート。
 座り心地は、首都圏中距離電車のグリーン車みたいな感じだ(やや硬い)。
 しかし、シートピッチはグリーン車よりも広い。
 混雑具合だが、平日はガラガラである。
 私が乗ったのは後ろの車両だが、せいぜい全区間を通して平均10人くらいしか乗っていなかった。
 鳴子温泉駅では観光案内ボランティアの皆さんが横断幕まで出してきて出迎え、発車時には見送りをしてくれるイベントがあるが、このガラ空き具合では張り合いも無いだろう。
 せっかくなので私は北の将軍様風で応えたが。
 え?今は元帥様だって?んなもん知るかい。

 途中駅で見所があったりすると、車掌が観光案内をしてくれる。
 尚、車内販売もあって、元学会員で今は法華講員という人に有りがちなバイタリティ溢れるアラフォーの女性が車内を巡回しに来る。
 その女性が記念乗車証を全乗客に配ってくれて、

 

 表はこんな感じ。裏は、

 

 こんな感じである。
 ちょっと写真写りが悪くて申し訳無い。
 裏には記念スタンプを押す欄があり、乗務員室前にスタンプが置いてある。
 これだけではなく、車掌が希望する乗客に記念スタンプを押してくれるサービスもある。
 車内販売ではベタな商品のラインナップの他に、記念ストラップなんかも置いてあった。
 車内の設備は他に、トイレなんかも新幹線並みのものに改造されている。
 が、男子用が故障していたorz
 やはり、オンボロ旧型車両の改造は無理があったか?

 昨日や一昨日とかは山沿いなどのJR線に遅延や運休が発生したようだが、今日はそれらも無くて、終点まで運転できた。
 因みに鳴子温泉駅では25分停車するので、ちょっと列車を降りて、駅前の足湯を浸かりに行くのも良し。
 水虫じゃなかったら私も行ったんだが。
 せっかくなので、私はここで列車の撮影や売店で土産を購入したりと、鉄ヲタなんだか旅行客なんだか分からない行動を取った。
 途中、雪深い所に撮り鉄がいたが、彼らのガッツには負ける。
 手を振りたい気持ちになったが、それを嫌がる撮り鉄もいるので、ここは暗黙のルール通り、目礼のみにしておく。
 トワイライトエクスプレスみたいに、葬式鉄になら思いっ切り手を振ってもいいんだけどね。
 葬式鉄が嫌がらないかって?いいんだって。プラチナチケットを取れた者の特権だ。

 新庄駅には定刻通りに到着。
 もう1度あの個性的な列車に乗りたかったが、今度はバス・フリークスとしての活動に移ることにする。
 因みに乗車券は記念に持ち帰ることもできる。
 新庄駅は有人改札口なので、ブースに駅員が立っている。
 その駅員にキップを記念に持ち帰りたい旨を伝えると、2つ返事でOKしてくれる。
 その代わり、無効スタンプが押されるのだが。

 

 観光地の駅だと『記念 お持ち帰り』なんて書かれていたりするのだが、新庄駅はそれほどでもないのか、無機質な無効印である。
 まあ、一応新庄駅で降りた証明にはなるのだが。
 ここでも土産を購入し、後は駅前のバス停に向かう。

  

 帰りは13時ちょうど発、山交バスの特急“48(よんぱち)ライナー”に乗った。
 仙台駅まで、約2時間半掛けて運転する。
 このバスの最大の特徴は、都市間バスでありながら、高速道路を一切通らないことである。
 山形県東根市までは国道13号線を通り、あとはハイライトである国道48号線を通る。
 この国道48号線、地元では『ヨンパチ』と呼ばれているので、バスの名前もそうなったようだ。
 道路の通称名がバスの名前になった稀有な例である。
 誰ですかー?4円パチ想像したのー?
 バスはトイレ無しの高速バスと同じ車種が使われる。
 首都圏では1時間足らずの路線でもトイレ付きが主流なのに、地方では未だにトイレ無しが横行している。
 村山駅前バスターミナルでトイレ休憩を取るだけで、あとは休憩が無いので、トイレが近い人にはオススメできない。
 高速バスの時刻表に一切載らない(高速道路を通らないから)マニアックなバスであるが、ウィキペディアでは混雑時の対応などが書かれているので、けしてそんなに閑散路線というわけでもないのだろう。
 私が乗った便は、マックスで20人くらいの乗客だったが。
 バス・フリークスでもなければ、絶対に乗らなかったであろう。
 運賃は新庄〜仙台間で大人2000円也。
 多分、安いのだろう。

 こういう乗り鉄&乗りバスで充実できるのだから、ある意味功徳なんだろう。
 沖浦さんみたいに、『功徳〜〜!』とかワザとらしく言うつもりはないけど。
コメント (6)
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