報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「序章」

2015-03-24 19:32:48 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月27日23:16.JR埼京線電車・10号車内 稲生ユウタ、マリアンナ・スカーレット、イリーナ・レヴィア・ブリジッド]

 夜中の東京都心を走る通勤電車。
 それが1つのターミナル駅に接近した。

〔「まもなく池袋、池袋。お出口は、同じく右側です。池袋の次は終点、新宿に止まります」〕

 稲生ユウタ(愛称、ユタ)は2人の魔道師師弟と共に、車中の人となっている。
 上り電車とはいえ、平日のこの時間は賑わっていた。
 イリーナは魔道師のローブを羽織っていることもあって、ほとんど手ぶら。
 マリアもせいぜい小さなバッグ程度なのに対し、ユタは大きなキャリーバッグを持っていた。
「いいの?正式な弟子入りは4月1日からだから、あと4日は家族と一緒に暮らせるよ?」
 ユタより年上だが、しかしユタより小柄なマリアがユタの顔を覗き込むようにして聞いた。
「いえ、いいんです。それに……」
 ユタはゴソゴソと上着のポケットから、ある物を出した。
 それは指定席券。
「今日を逃すと、あとは5月まで運転されませんからね。快速“ムーンライト信州”」
「ま、まあ……。修行中は、なかなか乗り鉄もできないしね」
 マリアは半分呆れながら、しかしもう半分は彼らしい発言と、複雑な顔をした。

 埼京線上り電車は池袋駅には低速度で進入する。
 駅の手前の線形が頗る悪いからである。
 ドアが開くと、ここで降りる乗客も去ることながら、乗車客も結構いた。

〔「池袋です。埼京線の新宿行きです。次は終点の新宿です。発車まで1分ほど停車致します」〕

 で、その中に……。
「おー!稲生君と魔女のお2人さん!」
「藤谷班長!?」
 ユタが信心していた頃、直属の上長として世話になっていた藤谷春人が偶然乗ってきた。
「どうしたんです?こんな時間に?」
「それはこっちのセリフだよ。まあ、この人達と一緒ってことは、これからどこか遠くへ行くんだろうと推察するけどもね」
「まあ、そうですね」
 ユタは頷いた。
「もっとも、俺も近々もっと遠い所へ行くけどな」
 藤谷は得意げだ。
「冥鉄の列車なら、もっと遅くならないと出ないが?」
 マリアは金色の眉を潜めて言った。
「相変わらず手厳しいねぇ。あの世までは行かないよ。ヨーロッパに出張だ」
「ヨーロッパですか?」
「ああ。これを見てくれ」
 藤谷は1枚のパンフレットをユタ達に見せた。
「今、北海道のど真ん中にテーマパークを作る計画があってだな、ヨーロッパの古城を移築する計画があるんだ。それらの仕事はJVなんだが、この度、大聖人様からの功徳で我が藤谷組も仲間入りを果たすことができたんだ」
「壮大な計画ですね」
 ユタは感心したが、マリアは冷やかだ。
「いくら日本の景気が上向いているからといって、今さらこんなハコモノは無駄な抵抗だと思うが?」
「いや、そんなことはないさ」
「どうだか……」

〔「埼京線の新宿行きです。お待たせ致しました。まもなく発車致します。次は終点、新宿です」〕

 ホームから軽快な発車メロディが流れて来る。
 元々は発車ベルの殺伐とした音色や、それからくる駆け込み乗車の防止が目的だったが、今ではそれを合図に急ぎ足になる乗客が多い。

〔1番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車はターミナル駅の1つを発車した。
 ユタ達が乗っている先頭車はさほどでも無かったが、新宿駅で1番賑わう出口へ向かう後ろの車両はメチャ混みかもしれない。

〔次は終点、新宿です〕

「藤谷班長はどこからどこへ?」
 ユタの質問に、
「これから海外遠征で、しばらくお寺には参詣できなくなるからな。しかし、この大仕事を受けさせてくれた感謝の気持ちを御本尊様にお伝えすると共に、御供養をいくつかしてきた。で、向こうで話し込んでいるうちに、こんな時間になっちゃったってわけだ。明日は朝早くの飛行機で飛ぶから、新宿のホテルに一泊だよ」
「そうなんですか」
「そういう稲生君達は、これから長野かい?」
「僕は僕で、マリアさんの屋敷に泊まり込んで、魔道師になる為の修行です」
「仏道修行より厳しそうだな。ま、仏法と違って、退転しても罰は当たらんだろ。嫌になったら、いつでも戻ってこい。御勧誡は、いつでも執り行えるからな」
「はい」
「……そんなことは無いがな」
 マリアは静かに否定した。

[同日23:21.JR新宿駅 ユタ、マリア、イリーナ、藤谷]

 北海道に移築するというヨーロッパの古城は、かつてどこかの貴族が所有していたもので、それだけ聞けば観光名所になりそうなものだが、現地ではどういうわけだか、そうはいかなかったらしい。

〔まもなく終点、新宿、新宿。お出口は、右側です。【中略】今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

「そろそろ、お師匠さんを起こした方がいいぞ」
「そうですね。イリーナさん……あ、いや、先生。そろそろ降りますよ」
「弟子入りしたから、先生か」
「うーん……あと5分……」
「ダメですよ。5分もしたら、折り返し下り電車になりますよ」
「お約束だな」
 藤谷は納得したかのように頷いた。
「お約束だが、今オマエが頭の中で考えたことを実行したら、痴漢の現行犯で駅事務室に連行する」
 マリアは藤谷に冷たく言い放った。
 その時の目は、久しぶりに見る快楽殺人者のようなものだった。
「な、何も考えて無ェって。(センセーの巨乳モミモミしたら、目ェ覚めんじゃねぇのって、冗談だって!)」

 で……。

〔しんじゅく〜、新宿〜。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

「あぁふ……。日本の電車は安心して寝れるねぃ……」
 イリーナは大きな欠伸をして電車を降りた。
「今寝ちゃうと、今度の夜行列車で眠れなくなりますよ?」
 ユタは苦笑いして言った。
「まあ、師匠のことだから、その夜行列車でも朝まで爆睡だろうけどね」
 ユタの言葉を受けて、マリアが別の笑みを浮かべる。
「じゃあ稲生君、気をつけて行けよ」
「班長も、お元気で」
「何か、またどこかで会いそうな気がするな」
「それは無い」
 マリアが冷たく言い放つ。
「いやあ……僕は何だか有りそうな気がします」
「うん、そうだね」
 と、イリーナは目を細めて頷いた。
「予知能力はマリアよりユウタ君の方が優れていそうだから、ユウタ君の方が当たりそうだね」
「さすがセンセー!」
「それより、もしフランスに行くことがあったら、お土産に【高級ワイン】お願いね?」
「任せてください!」
「なに人間にタカってるんですか!」
 弟子に窘められる師匠イリーナだった。

[同日23:54.中央本線臨時快速“ムーンライト信州”81号車内 ユタ、マリア、イリーナ]

 3人の魔道師師弟3人組を乗せた夜行列車は、ゆっくりと新宿駅を発車した。
 旧国鉄のクリーム色と赤色に塗られた特急用の車両は、旅情が満点だったが、肝心のヘッドマークは単に“ムーンライト信州”と書かれただけの無機質なものだった。
 ユタとマリアは2人用の席に隣り合って座ったが、その前に座ったイリーナはさっさとカーテンを閉め、座席をリクライニングしてフードを被って眠り始めた。
 確かこういう臨時快速の場合、車内改札があるはずなので、ユタが代わりにイリーナのキップを預かっておいた。

〔♪♪“鉄道唱歌”♪♪。「お待たせ致しました。本日もJR東日本をご利用頂きまして、ありがとうございます。23時54分発、中央本線、大糸線直通の臨時快速“ムーンライト信州”81号、松本方面、白馬行きです。停車駅は立川、八王子、大月、塩山、甲府、【以下略】。主な駅の到着時刻をご案内致します。【中略】終点、白馬には明朝5時40分の到着予定です。電車は6両編成での運転です。【中略】次は立川、立川です」〕

「はい、ご面倒様です。恐れ入ります」
 思った通り、車掌が回ってくる。
「すいません、この人のです」
 ユタ達の所まで回って来ると、ユタはすぐにイリーナのキップを渡した。
 車掌は何か苦言を言うわけでもなく、
「はい、ありがとうございます。……はい、すいません」
 普通に受け取って青い改札印を押して返してきた。
「……はい、ありがとうございます」
「ユウタ君、私は洗面所に行ってくる。しばらく東京の風景は見られなくなるから、今のうちに夜景でも目に焼き付けておいた方がいい」
「はい、そうします」
 マリアは自分のローブを脱ぐと座席の上に起き、洗面用具を持ってデッキに向かった。
 今乗っている車両はグレードアップと言って、現役特急時代にリニューアルされた編成なので、洗面台も新しくなっているはずだ。
 そんな鉄道の知識も、まもなく無駄知識となる修行生活。
 都会からも隔絶された場所での生活が、まもなく始まろうとしている。

 しかしユタに待ち受けていたのは、ユタに対してだけの試練では無かったのである。
コメント (8)
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本日の動向 0324

2015-03-24 16:14:17 | 日記
 今日は潰瘍性大腸炎の関係で通院してきた。
 私にとって、乗りバスの一環でもある。
 もちろん、メインは通院だ。これは揺るぎない。
 予約制で午後に予約を取れば、泊まり勤務明けでも通院できるから、仙台から転院して良かったよーと思っていたのだが、今回に限っては油断してミスった。
 先に採血してその結果が出るまでの間、食堂で昼食を取るのが私のデフォ。
 診察時間まで相当あるし、外待合でゆっくり待とう。
 宗門関係の本をゆっくり読む、良い機会でもある。
 ……そこから先が命取りになるとも知らずに。

 泊まり勤務明けで、仮眠時間数時間しか取っていなかった。
 昼食を取った後だった。
 んでもって、病院内は基本的に温かい。
 読み物に持ってきた本は、教学に関する難しい本。

 どうなるかお分かりであろう。

 ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ…………………………………………………………………はッ!?

 ハンドルネーム・ユタ!ペンネーム・雲羽百三(クモハ103)、一生の不覚!!
 ……しかし、外待合室の電光表示板を見ると、まだ私の番号は点灯していない。
 ふぅ……焦ったぁ……!どうやら、予定時間は少し遅延しているようだ。
 今のうちにトイレに行っておこう。
 戻ってきたら、

〔「ユタ様!ユタ様!診察室へ!」〕

 え……?おかしいな。この病院、名前はマイクで呼ばないのに……。
 首を傾げながら診察室に入ると、顔はニッコリ、しかし目は笑っていない先生の姿があった。
 先生は私の顔を見るなり、【お察しください】。
 とはいうものの、
「診察室の方で呼び出しボタンを押すと、すぐに外待合室の番号は消えてしまうんです。実は、それで何度も他の患者さんともトラブルになってまして……」
 つまり、私が居眠りしている間、外待合室では私の番号が点灯し、消灯していたのである。
「はあっ!?」
 で、私がなかなか診察室に来ないもんだから、痺れを切らして、マイクで呼んだというわけ。
 居眠りした私も悪いが、どうやら他の患者の話では、ずっと番号表示版を凝視することはまずない。
 私のように本を読んでいたり(今回は居眠りしてしまったが)、同行者と駄弁っていたり、トイレに行っていたり(消化器科で罹っているのだから、これは切実)。
 つまり、表示版はふと何かの拍子に見ることが多い。
 だから、気づいたら私の時のように、いつの間にか番号が点灯し、少ししたら消えていることが多々あるのだという。
 私の場合は先生が気づいてすぐに名前を呼んでくれたからいいようなものの、不幸な患者はそれで数時間も放置されたこともあったという。
 これはマズいなと思った。
 私の場合は自業自得だからしょうがないが、腹の具合が悪くトイレに行ってる間、番号が点いて、すぐ消えていた……ので、呼ばれたかどうか分からないのは困る。
 帰り際、御意見箱に投書しておいた。

 病院から駅までは乗りバスの復路を楽しむのだが、ふとタクシー乗り場を見ると、珍しい車を見つけた。
 あれはっ!まさか、シタ朝鮮韓国車ヒュンダイのグレンジャー!?
 在特会関係者の弟を持っておきながら何だが、1回だけ乗り心地を体験してみよう。
 ……高級車なんだか大衆車なんだか分からんな。
 走りの安定性はあまり良くない。

 運ちゃん、まさか国籍は【自主規制致します】。
 名札を見ると日本人名で、通名ではあまり使われないものだったが……。
 B氏とK氏が同じW氏だとして、Wは在日が通名でもよく使う名字である。
 通名禁止、早よ!

 もらった薬は大量で、行き着けの調剤薬局では気を使って紙袋まで用意してくれた。
 その親切さ、ありがたい限り。
 因みに診療代と薬代は、双方合わせて医療給付証の私の上限額ピッタリになるよう、帳尻合わせがされている。
 それにしても、本当に高い薬だ。
 薬代の自己負担の発生、さいたま市からの見舞い金廃止は大きな痛手だ。
 先生の見立ててでは、安倍総理が政権から退いたら、そもそも医療給付すら無くなるだろうとのこと。
 せめてジェネリックができるまで待ってもらえんかね……。

 いよいよ次回は、大腸検査が始まる。
 何事も無ければいいけど……。
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本日の雑感 0323

2015-03-24 02:46:48 | 日記
 http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20150324k0000m040084000c.html?fr=rk

 北陸新幹線が停電事故を起こしてしまったわけだが、原因は3本の列車が同時に加速してしまったからだというお粗末なものだった。
 これはどういうことかというと、家庭で規定のアンペア数を超えたため、ブレーカーが飛んだというのと同じことだ。
 新幹線を含む電気鉄道には直流と交流があり、新幹線は交流2万5千ボルトである。
 交流は直流よりも、高速運転時の安定性が良いとか聞いたことがある。
 また、在来線においては2万ボルトに設定されているが、首都圏などの直流1500ボルトに比べて弱いため、その分、電気代が安いというのもある(その辺は“アンドロイドマスター”でも話題になった描写である。いずれも高圧電流なのに変わりは無く、そんなんで充電したらバッテリーが爆発する……みたいな)。
 その代わり冒頭の新聞記事の内容のようにアンペアの上限値を設定し、それを超えないように調整しなくてはならないというのは、正に家庭の契約アンペア数のことである。
 北陸新幹線開業のせいで上越新幹線の本数が減らされるという危惧があったのは、それも原因があったからだと私は見ている。
 尚、首都圏などの電車本数の多い所は直流を使用している為、発着本数に影響は無く、少なくとも在来線で走る分にはスピード面においても心配することはない。

 話は変わるが、山門入り口さんの所でパラパラ茜氏のことが出されていた。
 相変わらず茜氏のブーメランぶりには、呆れてモノが言えない。
 爆サイや2ちゃんねるにまで取り上げられて、実に有名人になったものだ。
 いくら顕正会に対する“怨嫉者”とはいえ、わざわざ既婚が云々まで取り上げるものだろうかと思っていたが、自分が結婚できないからそれも嫉妬の理由かと思った。
 彼女の場合、謗法呵責ではなく、単なる嫉妬、恨みつらみの書き綴りなだけである。
 まあ、私もその辺については似たようなものだから強くは言えないが、それにしても、諦めざるを得ない理由については【お察しください】。
 私なんか逆に、周りが結婚してくれた方が、
「よし!これで俺は何もしなくていいぞw」
 と思うのだが、やはり茜さんとは考えが違うようだ。

 しかし、こう言っては何だが、茜氏はアラフォーどころか、アラフィフだろう?
 その時点で彼氏もいない状態ということは、もうほぼ大願成就されているようなものじゃないか。
 おめでとう!

 ……で、こういうオバハンに限って、まだ自分に選ぶ権利があるなんて勘違いしてるもんだから困るね。
 職業が看護師で、警備員の私よりかなりの収入があると予想されるが、はっきり言って、独身男の30代、40代のほとんどが下の世代を選ぶんだよね。
 いや、男だって確かにその年代になってしまうと、身の程を弁える必要があるとは思うけどさ。
 私は30代前半であるが、もはや同級生女子ですら、結婚の対象からは外してしまい、20代にターゲットを絞っている者も存在する。

 それだけ年齢はシビアだということだ。
 私も孤独死は現時点で確定しているようなものだが、まあ、死んだ後の現世についてはどうでもいいので(死んだらその時点で、この世は過去世となるのか?)、私の死体は適当に処理しておいて頂きたい。
 茜さんはどうするんだろうね?
 あ、私より長生きしそうだから心配いらないか。
コメント (6)
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