報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「新ユニット始動へ」

2015-03-22 19:46:39 | アンドロイドマスターシリーズ
[3月23日13:00.東京都新宿区西新宿 メイドロボ・カフェ“シーサイド新宿” 井辺翔太&結月ゆかり]

 名前にと付くメイドロボットが働いているから、シーサイドなのだろうと勝手に想像している井辺。
 ここで働くメイドロボット達は財団解散の際、引き取り手が無く、保管先も無いことから、最悪廃棄される恐れのある個体が殆どだった。
 けして役に立たないわけではないのだが、パイオニア過ぎて、なかなかユーザーの成手がいないのが大きな原因だった。
 メンテナンス費用も高いというのも理由の1つだろう。
「元々が試作品というのが殆どだそうですから、そのまま使い続ける方が珍しいのだそうです」
「でも……」
「ここで働いていれば、引き取り手も現れるだろうというのがカフェの責任者の見方です」
「そうなんですか」
「結月さんは何の心配も要りませんよ。デビューしてボーカロイドの仕事をこなしていけば……」
「そ、そうですよね」
「それでは、そろそろ行きましょうか。やはり、早く顔合わせをするべきだと思うので」
「はい」

[同日13:21.都営新宿線(京王新線)新宿駅→都営新宿線電車内 井辺&ゆかり]

 充電が終わると、ゆかりのバッテリー状態もタブレットで分かる。
 但し、問題なのはタブレット自身も充電しなければならないということだ。

〔「お待たせ致しました。13時21分発、各駅停車の本八幡行き、まもなく発車致します」〕

 都営新宿線では発車メロディは流れないので、ゆかりが反応することはなかった。
 電車は地下の駅を発車する。

〔都営新宿線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、各駅停車、本八幡行きです。次は新宿三丁目、新宿三丁目。お出口は、右側です。丸ノ内線、副都心線はお乗り換えです。……〕

「プロデューサー、他のコ達はフィールドテストはしないんですか?」
「他の人達は既に終えています。あなたは製造して間もないので、今行っているのです」
「なるほど」
「普段の動きについては特段心配することはないようなので、メンバーとの顔合わせに入りましょう」
「はい。……あの、社長さんは大丈夫ですか?」
「心配無いでしょう。あの方は何度も修羅場をかい潜って無事なわけですし、我々は我々の仕事をした方が良いと思います」
「なるほど……」
「メンバー達には14時前には到着することを伝えてありますので、すぐに合流できるかと」
「はい。楽しみです」

[同日13:50.東京都墨田区菊川 敷島エージェンシー 敷島と鏡音リン・レンを除く関係者全員]

「えっ、全員揃ってる!?」
「はい。社長が皆で顔合わせするようにということで、スケジュールを調整しました」
 あまり表情を変えない井辺が、さすがに少し驚いた顔をした。
 それを笑顔で受け止める一海。
「社長がそのような意向だというのでしたら……。えー、では新メンバーを御紹介します。結月ゆかりさんです。今日から敷島エージェンシーのボーカロイドに正式所属となります」
「結月ゆかりです!よろしくお願いします!」
「初音ミクです。一緒に頑張りましょ」
「MEIKOです。ここでは私が1番お姉さんになるので、分からないことがあったら、聞いてください」
「巡音ルカです。よろしく」
「KAITOです。この事務所では唯一、成人男性ボーカロイドです」
「Lilyです。一緒にユニット組むみたいだから、よろしく」
「未夢です。私だけ、用途変更でボーカロイドをやることになりましたガイノイドです。Lilyちゃんと同じユニットなので、よろしくお願いします」
「鏡音リンちゃんとレン君はまだ修理中ですので、現在のところ、以上がこの敷島エージェンシーのボーカロイドです。プロデューサーさん、よろしくお願いしますね」
 一海がおっとりした様子で、さも当然のように井辺に言ったので、井辺は思わず、
「はい」
 と、答えてから、
「……は?いや、あの……自分は結月さん、Lilyさん、未夢さんのユニットのプロデュースを任されてはいますが……」
「これから同じ敷島エージェンシーの仲間なんですし、よろしくお願いします」
 一海は笑顔を崩さず、井辺に言う。
「冗談!どうせまた、あいつみたいに私達をメチャクチャに扱うだけなんでしょ!!」
 だが、それに猛反対したのはMEIKOだった。
「ちょ……!MEIKOさん」
 ミクが慌ててMEIKOを宥めた。
「今度のプロデューサーさんは、ちゃんと大事にしてくれますよ」
「フン、どうだか。いい?私達は敷島社長のプロデュースで売れてるの。今さら変なことして、ボカロの評判落とさないようにしてよね!」
「ど……努力します」
「MEIKO、前任者の責任を新しいプロデューサーにぶつけてもしょうがないだろう?」
 KAITOもMEIKOの背中を押しながら、奥の部屋に行った。
「き、気にしないでくださいね、プロデューサーさん?ちょっと皆……あれなんです」
 ミクが取り繕うように言った。
「あれ?」
「ルカも。新しいプロデューサーさんが来てくれて良かったよね」
「私は……どっちでもいいけど。ボカロが仕事を選んじゃいけないのは分かってるけど、でも……あれは絶対用途外だと思う。あんなのは絶対やりたくない……」
 ルカは腕を組みながら、やっぱり別の部屋に行ってしまった。
「皆さん、一体何があったんですか?」
 井辺は首を傾げた。
「き、気にしないでください!プロデューサーさんは、新しいコ達のプロデュース、頑張ってくださいね。……あ、わたしもお世話になるかもです!わたしの方こそ、よろしくお願いします!」
 ミクがやはり取り繕うように言う。
「……初音先輩だって、前のプロデューサーにひどい売り方をされたそうじゃないですか」
 Lilyが冷たく言った。
「初音先輩が気にすることではないと思いますけど?」
「Lilyさん!」
「私達がここに来る前、この事務所で何があったかなんて、私達には関係無いんです。そのことで、私達のプロデューサーを混乱させないでください」
「Lilyちゃん!」
「Lilyさんの仰る通りです。あなた方は気にする必要は無い」
 井辺が言った。
「しかし、私は人間のプロデューサーです。人間は過去の過ちに対しては真摯に向き合い、反省しなくてはなりません。もし自分の前任者が何か大きな不祥事案を起こしたというのなら、私はちゃんとそれを知り、同じ轍を踏まないように注意する義務があります。初音さん、是非とも教え下さい」
「わたしは……」
 ミクは右手で拳を作って、エメラルドグリーンのネクタイの前に持って行き、左手は短いスカートの裾を掴んだ。
「……すいません、ごめんなさい!」
「あっ!」
 ミクは事務所を飛び出してしまった。
「あら?」
 事務所のエントランスでシンディとぶつかりそうになる。
 シンディは買い物に行っていたようだ。
「どうかしたの?」
「いえ、何でもありません」
「あ、そのコが新しく入ったコ?エミリー姉さんから、ちょこっと情報もらったかな」
「今日からお世話になります!結月ゆかりです!よろしくお願いします!」
「マルチタイプ3号機のシンディよ。ボーカロイドじゃないから歌って踊れるわけじゃないけど、あなた達を襲うテロリスト達から守ってあげることはできる。この事務所とあなた達の身辺警備が任務だから、よろしくね」
「はい!」
(何もない時は、買い物に行くんだな)
 と、井辺は思った。
 しかし、エミリーとシンディ、同型機の姉妹機だから似ているのは当然だが、井辺は既にそのタイプに会っているような気がしてしょうがないのだ。
 夢の中とか、遠い昔に映画で見たとか、そういった感覚なのだが……。
 そして何より思ったのは、
(ボーカロイドとしては売れないだろうけども、グラビアアイドルとかで売れそうなのに……)
 で、あった。
 無論それは用途外なので、不可能である。
コメント (4)
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“新アンドロイドマスター” 「結月ゆかりのフィールドテスト」

2015-03-22 11:03:57 | アンドロイドマスターシリーズ
[3月23日11:30.JR大宮駅 井辺翔太&結月ゆかり]

〔お待たせ致しました。まもなく終点、大宮駅西口、終点、大宮駅西口。……〕

 井辺達を乗せたバスは無事バスプールに到着した。
 運賃はSuicaで払う井辺だが、ゆかりがPasmoで払っているのを見て、
「それは社長から?」
「いいえ。研究所からです」
 ゆかりは使用したカードを首にぶら下げながら答えた。
(デイライトはどれほど関わっているのだろう……?)
 バスから降りて駅から向かう際、井辺はそう思った。
 敷島の話からしてマルチタイプの製造を計画しているらしいが、実際今手掛けているのはこのようなボーカロイドである。
 バスに乗り降りする際、読み取り機に残額が表示されるが、マックスの金額が入金されているようだった。
 ボーカロイドへのはなむけのつもりだろうか。
「プロデューサー、これからどこへ行きますか?」
「もちろん事務所です。他のメンバーとの顔合わせもありますので。ただ、社長からは『なるべくゆっくり遠回りで来てくれ』と言われています。なかなかアバウトな指示なので、どうしたら良いか……」
「何時までに事務所に着けばいいとか……」
「いや、それもありません。まあ、終業時間が18時なので、どんなに遅くても、それまでには着いた方が良いとは思いますが」
「なるほどー」
「まずは財団があった場所をご案内します。あなたもボーカロイドである以上、避けては通れぬ道であることを伝えよとのことです」
「避けては通れない……道?」
「ええ」

[同日11:41.大宮駅・埼京線ホーム→電車内 井辺&ゆかり]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。22番線に停車中の電車は、11時41分発、各駅停車、新宿行きです〕

「階段の昇り降りなど、段差のある所でも大丈夫なようですね」
「はい」

〔「各駅停車の新宿行きです。まもなく発車致します」〕

 ホームに発車メロディが鳴り響く。
「!」
 それに反応するゆかり。
「どうか、しましたか?」

〔22番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

「……歌は流れないんですね?」
「まあ、発車メロディですから。浦和美園駅では歌付きだと聞いたことがあります(※)」
 ※埼玉スタジアムで浦和レッズの試合がある時のみ。当然、流れる歌は浦和レッズの応援歌。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は埼京線、各駅停車、新宿行きです。次は北与野、北与野。お出口は、右側です〕

「まずはメンバーとの顔合わせなどが先です。まだ、あなたは持ち歌とかもありませんからね」
「はい」

 電車が地上に出ると、しばらくの間は見晴らしの良い所を走る。
 空気の澄んだ冬場、天気が良ければ富士山を見ることも可能だ。
 春の今は微かに見えるか見えないか、である。

 しばらく電車が南下すると、戸田市内の各駅に停車する。
 停車時間は僅かなのだが、戸田市内各駅の上りホームの発車メロディは、戸田市歌“ああ わが戸田市”のトリ部分が流れる。
 埼玉県内のJR駅では、よくあることである(大宮駅1番線のさいたま市歌、熊谷駅高崎線ホームの熊谷市歌など)。
(何でライブラリの中に入っているんだろう?)
 井辺は手持ちのタブレットの中に、今現在ゆかりが歌えるものの中に、“ああ わが戸田市”が入っていることに首を傾げた。
 時間調整で長めに停車した戸田公園駅で、発車メロディが長めに流れたものだから、危うくゆかりが歌い出すところだった。
(もしかしてこの演出の為に、社長はあんなことを……。今となっては分からないが……)

[同日12:20.JR新宿駅→西新宿 井辺&ゆかり]

 緑色の帯を巻いた電車がまだ何か工事をしているホームに入線した。

〔しんじゅく〜、新宿〜。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

「人の多い駅です。歩行には十分気をつけてください」
 と、井辺は注意を促す。
 それでもまた貨物線(だった)ホームは、それほどでもないのだが……。
「おおー。人がいっぱいですねー」
「新宿駅ですから。西口へ向かいます」
 センサーとカメラを駆使して、ゆかりは人でごった返すコンコースを通過して行く。
「上手いですね。これなら現場などへも1人で行けそうですね」
「ありがとうございます」

 西新宿の高層ビル群。
 そのうちの1つに、財団が入居していたビルがあった。
 だが、その高層階部分は工事をしていた。
 中に入ってみると、『40階から上は改修工事の為、閉鎖中です』と書かれている。
「プロデューサー、これは?」
「テロの爪痕です」
「えっ?」
「財団が退去する1ヶ月前に、このビルの高層階でテロが発生したそうです。イスラムの過激派は人間が爆弾を抱えて飛び込んできますが、ここではロボットが自爆することで起きた爆弾テロだそうです。おかげで、解散が早まりました。見事、先方の思惑通りになったということですね」
「それと私と何の関係が……?」
「デビュー前のボーカロイドが何体か破壊されました」
「え?……ええーっ!?」
「テロ組織の目的は財団の早期解散と、ボーカロイドの破壊でしょう。正しく、先方の勝利です。あなたも、その脅威に晒されているということです。その覚悟を決めて頂く期間でもあるのです」
 と、井辺は言った。
 それはまるで、自分にも言い聞かせているようだった。
「わ……私、頑張ります!ボーカロイドとして!」
「一緒に頑張りましょう」
「はい!」

 このビルの1階にあるカフェ。
 井辺はここで昼食を取ることにしたのだが、これも織り込み済み。
 何故なら……。
「いらっしゃいませ!カフェ“シーサイド新宿”へようこそ!メニューです!」
 メイド服を着た店員がやってきた。
「どうも」
「…………」
 相変わらずポーカーフェイスで表情を変えない井辺に対し、唖然とするゆかり。
「……プロデューサー、ここ……メイド喫茶か、何かですか?」
「まあ、そうでしょうね。ただ、秋葉原にある件の店とはノリは違いますが。何故なら……」
「製造番号MA21-22.メイド7姉妹、“海組”の1機、メイドロボットの六海(むつみ)です。かずみん(一海のことか?)がお世話になっています。敷島エージェンシーのプロデューサーさん」
「いえ、どうも。……名前まではまだ登録されていませんか。まあ、いいです。この、ランチセットのBを。その間、彼女用の充電器と冷却用のラジエーターも合わせてください」
「かしこまりました!」
 六海が行ってしまうと、井辺はつぶやくように言った。
「一海さんと同型機でしたか。それでよく似ていたのですね」
 因みに番号順に製造順番が決まっているのかというと、そうではないらしい。
 何故なら1番最初にできた七海が、そういう名前だからだ。
 んでもって、7機全て製造されているわけではないらしい。
 因みにその説明は手持ちのタブレットで、六海などの個体をスキャンすることで可能。
 カメラやQRコード読取機で、体全体を読み取るような感覚でOKだ。
「因みに秋葉原には秋葉原で、別のメイドロボ喫茶があるそうです」
「へえ……。皆、頑張ってるんですねぇ……」
「財団解散後、引き取り手の無かったメイドロボットを廃棄するのは勿体ないと、敷島社長のような方がカフェを経営することになったそうです。……ので、経営母体は新宿も秋葉原も同じです」
「廃棄!?捨てちゃうんですか!?」
「まあ……保管場所も無いそうですし、稼働もしていないロボットに掛けるメンテナンス費用も勿体ないということですね」
 井辺は上司から言われただけのことを、そのまま言っただけだったが……。
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本日の雑感 0321

2015-03-22 00:40:21 | 日記
 厳虎独白さんのおかげで、こちらの日記のネタには事欠かない。
 仙台帰省で連休を取ってしまった為、ゆっくり小説を書く時間が取れないのである。
 記事1つ書くのに2時間必要になる。
 日記なら、30分そこらで書ける。
 実はこの差は大きい。
 10代、20代なら大した差ではないのだが、30代にもなると、その差を睡眠時間に当てたい気持ちで一杯なのだ。
 本業のプロ作家さん達は、本当に凄いと思う。

 こんな時、厳虎独白に出入りしている、恐らくは定年後リタイアして時間があるであろう爺さん達が羨ましくなってくる。
 ていうか多分、あそこの常連コメント投稿者で私が1番若輩者かもしれない。
 んっ?さんと沖浦さんのやり取りは面白いけどね。
 まあ、あれに関しては見てるだけにしよう。

 厳虎さんはちょこちょこブログを更新されているからいいのだが、バーズさんやパラパラ茜さんが全く記事を更新しなくなってしまった。
 山門入り口さん等の包囲網に恐れを成して逃げ出したか。
 それにしてもサブブログのホーム画面に出ている本人と思われる顔写真、いかにも美魔女といった感じだが、どうもよっぴんさんらの話だと違うのか?
 私よりも身長が低く(163センチ)、それでいて体重が私以上(60キロ)にあるとのことだが……。
 それにしても、私もだいぶ体の具合が良くなったものだ。
 体重減少で、ひどい時には52キロまで落ちたことがあったからな。
 今では60キロ。
 ヤセギスでもなく、かと言って肥満でもない。
 少なくとも、電車のバケットシートにスッポリ収まる体型になっている。
 いいことだ。
 健康状態はそれでも不安定だけどね。
 消化器科、歯科、皮膚科の3つに通院中だ。
 まずは自分の健康状態が第一ってところかな。

 話が逸れてしまったが、明日には、もう来月の登山について考えようと思う。
 化他がろくにできない以上、自行だけでも確立させておきたい。
 非常時以外、なかなか同時に2つ以上のことができない自分には自行・化他の同時進行は難しいものがある。
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