報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

27日の東京の天気は雨か?

2013-07-27 02:24:56 | 日記
 “ボカロマスター”より。 死傷事件の続き。ショート・ストーリー。

 敷島の意識が戻らないまま、1週間が過ぎた。この間、ボーカロイド達は営業活動の停止を余儀なくされた者もいれば、それでも少しづつ前に進もうとしている者もいた。
 初音ミクはその中で、前に進もうとしている側だろう。本人の意思を除けば、だが。

「敷島さんが心配なのは分かるよ。それは皆同じなんだから」
 病院にいつもいるのは、ミクがほとんどだった。面会謝絶の中、敷島の意識が戻るのを今か今かと待っていた。
 そんな中、ミクに舞い込んで来た仕事はライブ全国ツアーの話だった。敷島が事件に巻き込まれる前に進んでいた話であり、ミュージカルが大成功したことが大きなバネとなって、見事実現を果たしたとのことだった。
 敷島のことが心配で乗り気ではないミクに、話を持ってきた赤月が諭すように言った。
「でもね、ここでそろそろ仕事に復帰しないと、それこそドクター・ウィリーの思う壺だよ?こんなチャンス、そうそうあるもんじゃないし……」
「それは……分かってます」
「分かってるんだったら……。きっと敷島さんも、ミクが仕事を頑張ってる方が喜ぶと思うよ?因みに無理を言って、リンも一緒だから」
「リンもですか?」
 元々はミクだけの単独ツアーだった。
「レンのことがあって、あなた以上に塞ぎ込んでる。“お詫び行脚”じゃないけど、ファンに相当な心配を掛けているのも事実だし、仕事に打ち込んだ方がいいんじゃないの?」
 他に、別の舞台出演などの仕事もあったそうだが、ボカロのお家芸である歌の仕事に集中した方が良いという判断だそうだ。
「もし仮にその間、敷島さんが意識を回復してくれたら教えてあげるし、各場所でのライブ映像もネット配信されるから、それを見てもらうこともできるからさ」
「……はい」

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 本編で敷島の意識が回復した時、肝心のミクがその場にいなかった理由がここにあったという話。
コメント (3)
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