報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

もっとも、ヤンデレに狙われるのは御免被る!

2013-07-16 17:45:44 | 日記
 “ボーカロイドマスター”より。『もう1人のターミネーチャン』一部抜粋

 鏡音レンがさらわれた!
 リンが事務室に飛び込んで来た。
「ほんの一瞬だけど緊急SOS信号が飛んできて、しかもその後全く交信できなくなったんだってば!」
 リンが悲痛な叫びを上げる。
「マジかよ!?」
 敷島はPCを操作した。GPSまでは破壊されておらず、高速度で移動しているのが分かった。
「飛行機で移動しているのか!?」
 だが、そこへやってきたエミリーが険しい顔をしていた。
「シンディ・です。あいつしか・考えられません」
「ウィリーの奴、ついに実力行使に来たか!……で、もう1人のターミネーチャンが来たということは……もうダメだな……」
「うわぁぁぁん!!」
 敷島の絶望的な言葉に、リンが泣きじゃくる。慌ててMEIKOが抱き寄せ、ルカが敷島に抗議した。
「プロデューサー、何てこと言うんです!」
「いや、だって本当のことだろうが!財団事務所まで襲撃されて、何体の試作機が破壊されたと思ってるよ!?」
「御心配・いりません。私が・必ず・救い出します」
「大丈夫なのか?」

「ん……」
 レンが再起動する。自動復元されたメモリーによると、確か金髪のサイドテールをしたガイノイドに電気ショックを与えられて、シャットダウンしたのだった。
「どう?気分は?」
「エミリー姉ちゃん!?これは何のつもりだ!?……って、あれ?エミリー姉ちゃん……じゃない?」
「はい、ブブーッ。でもね、当たらずも遠からずではあるね。髪の色も髪型も違うけど、顔は同じだし、スペックも全部同じだからね。間違うのも無理無いね」
 レンは両手に手錠をはめられている。
「思い出したぞ。確か、ドクター・ウィリーの所の……シンディ!?」
「はい、正解。ハワイにご招待しようかしら?」
「ボクを壊すのか!?」
「んー、そうしてもいいんだけど、あいにくとドクターからそういう命令は受けてないんだよね~。まあ、キミが抵抗したから壊したってことにしてもいいんだけどォ~……」
「エミリー姉ちゃんが助けに来てくれるさ!」
「そうね。エミリー姉さんなら、必ずここに来るわね。何てったって、『ターミネーチャン』だから」
「姉さん!?」
「私は同じ設計図から作られた、言わばキミ達と同じ双子。もっとも、キミ達は姉弟だから男女の違いによる設計差はあるけどね、私達は全く同じなの」
「ボクを人質に取って、エミリー姉ちゃんを破壊するのか?」
「そういう命令もあるにはあるんだけど、私にとってもハイリスクなんだよね、それ。まだ姉さんが来るまで時間があるから、私と少しお話しようか」
「……ウィリーの手先と話すことなんて無いよ」
「そんなこと言わないで。そもそもさ、どうしてエミリーを破壊するのに人質が必要だったにしても、キミをさらったと思う?誰でもいいわけじゃん、人質なら?はい、シンキングターイム!いい答え考えて~」
「MEIKOりんやルカ姉ちゃんはそこそこ強いし……」
「はい、ブブーッ。キミじゃないとダメな理由があるの」
「ぼ、ボクが!?」
「そう。……前にキミ、うちのドクターから失敗作呼ばわりされたんだってね?」
「ああ……」
「ドクターね、あの言葉を反省してるのよ。結構見てたらキミ、優秀作じゃないかって」
「何を今さら……」
「だよね。でね、そのお詫びも兼ねて、うちの研究所に来ないかって」
「は!?」
「うちのドクターなら、もっとキミを使いこなすことができるっていうのね」
「お断りだ!ウィリーなんかの手先になれないし、皆を裏切るなんてできない!」
「でもね、キミが断ったら、ここにリンちゃんの首を持って来させろって、変な命令なのよ」
「な、なに……!?」
「確かに私の力なら、リンちゃんの首と胴体を引きちぎることなんて簡単だからね、ドクターの勧誘を断った大罪として、リンちゃんの首を……」
「や、やだ!やめてくれ!壊すなら、ボクを壊せ!」
「まあ、落ち着いて。そもそもさ、レン君だけってのが無理なんだよね。だってさ、鏡音リン・レンで一対じゃない?どっちか片方だけなんてさ……。ドクターはレン君だけって言ってるけど、私はそうじゃないと思うのね。私だって敵対しているとはいえ、“姉機”がいるわけだから、少しはキミの気持ちも分かるのよ」
「えっ……?」
「リンちゃんをここに連れてきてあげる。もちろん、無傷でね。お姉ちゃんと一緒ならいいでしょ?ドクターには、私から言っておくから」
「そ、それは……」
「はい、再びシンキングタイム!よく考えて~。リンちゃんの首だけがここに来る方を選ぶか、無傷の五体満足でここに来る方がいいか?2つに1つだよ?」
「ぼ、ボクは……」
 だが、シンディは急に眉を潜めて、後ろを振り向いた。
「チッ。もう来たのか。せっかちな女だね~」
 建物の壁を破壊して、飛び込んできたのはエミリーだった。
「鏡音レン・そいつの話を聞くな!シンディ!鏡音レンを・惑わすな!」
「え、エミリー姉ちゃん!!」
 エミリーは既に右手をマシンガンに変形させていた。
「鏡音レンを・返してもらう!」
「はー、やれやれ……。めんどくさい命令だけど、やるかぁ~。エミリーの破壊命令」
 気だるそうにシンディはエミリーと正対した。
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罰ゲームの人生

2013-07-16 15:23:28 | 日記
「一生結婚するつもりはない」未婚者が過去最高、男性9.4%、女性6.8%に(マイナビニュース) - goo ニュース

 さて、いよいよ明日は大腸検査だ。表向きは特定疾患の医療給付証の更新のため、主治医の先生が記載する書類に検査の結果を記載するためだが、実際は血液検査であまりいい結果が出なかったことによるものが大きい。
 ただ、症状は出ていないので、よもやガンが見つかることはないと思うが……。まあ、なったらなったでそれまでのこと。ようやく、罰ゲームの人生ともおさらばできるってわけだ。

 私の場合、こういうこともあって9.4%に入っているわけだ。結婚どころじゃない。今のうち、適当な墓でも探しておこうか(←今、ここにいる)。
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とても長い日

2013-07-16 00:11:27 | 日記
 “新人魔王の奮闘記”より、『戴冠式』一部抜粋。

[10:00.魔王城“大ホール” アデランス矢島]

 これより、第5回共和党大会を開催致します。
 今大会におきましては、ルーシー・ブラッドプール陛下の御臨席のみならず、その戴冠に重点が置かれているものであります。
 前大会における安倍春明党代表委員長兼国務首相の提案のもと、党員全員の意見の一致により、今回の戴冠式開催に漕ぎ着く事ができましたこと、まこと大感動としか言いようの無いものであります。
 されば我々共和党員は、王国の新たな歴史の1ページの証人になれた喜びを心肝に染め、陛下の御為に、そして国民の代表として、益々国の発展の為に日々まい進していこうではありませんか。

[同時刻。同場所。 サイラス]

 不思議な光景だ。オレは100年以上生きているが、実際に戴冠式に立ち会うのは初めてだ。これというのも、今のオレの立場がアベさんの専属護衛という役得に他ならない。
 因みに亜人の要人として、エルフ族からは中央の村の長、レニフィールが来ているし、ドワーフの族長クラスの者もいる。民主党の台頭の前までは互いに犬猿の仲であったが、今ではルーシー陛下の政(まつりごと)に協力するという点で一致している。
 尚、金属工芸品の制作が得意なドワーフ達は、今回の戴冠式においても、陛下が着用される冠の制作を行っている。その技術性の高さにおいては、我々も認めざるを得ない。木工芸なら得意なのだが……。

[11:00.“大ホール” サイラス]

 緊張の1時間が終了した。議会の採決により決まったこととはいえ、陛下が腰を低くし、アベさんがその上から冠を乗せる光景は何とも不思議だった。
 聞いた話だが、最初アベさんはヴァール大帝が戴冠式の時に使用した王冠を流用するつもりだったらしい。しかしそれが意外と重く、しかもデザインが女性の陛下には似合わぬ重厚過ぎるものだったので断念したという。そして、急いでドワーフの職人に依頼したとのこと。ドワーフは快諾し、できあがったものは王冠というか、ティアラであった。
 仮にこの国がヴァール大帝の時代のような帝政であれば、あの重厚な冠でも良かったのだろう。だが、立憲君主制を謳う今の国には不適格だ。
 とにかく、今の女王が玉座に座られている間は、オレ達の森の自治権も安泰だろう。独立はさすがに無理だったが、致し方あるまい。

 陛下がバルコニーに出られた。外からは大きな歓声が起こる。大多数の国民である魔族からの支持率は低いとのことだったが、意外とそうでも無いようだ……?

[13:00.アルカディアシティ市街地 安倍春明]

 うん。ようやくルーシーもサマになってきたかな。ここまで漕ぎ付けるの、大変だったなぁ……。死んだローラも、妹の晴れ姿を見てくれれば安心だろう。
 今現在、パレードを行っている。専用の馬車を仕立て上げ、市街地を進む。魔界高速電鉄も、路面電車の全部の車両を花電車にして祝ってくれている。高架線や地下鉄線でも、全ての電車にヘッドマークを付けて運行しているという。
「おぉーい!頑張れよー!!」
 時折、魔族の国民から声援が聞こえてくる。随分と馴れ馴れしい声援だが、
「Thank You!」
 それでもルーシーは笑顔で手を振っている。
 多くの魔族の国民は、ルーシーよりずっとずっと年上で魔力も強い。それが、いくら崇敬する大魔王ヴァールの任命とはいえ、こんな小娘が代理を務めることにすら嫌悪感を覚える者が大多数だった。それがましてや、たかが議会なんぞの指名で勝手に正式即位とはと……。暴動が何回起きたことやら……。
 ふふ……。さすがは常春の国だな。今日は少し暑いかな。目から汗が出て来たよ。
 この後は城に戻って、各国要人達の対応をしないとな。同じく正式に国王に即位したスティーブンも来てくれるんだっけ。あの時はルーシーにぶん殴られて不慮の事故で即位式に参加出来ず、ルーシーだけが行ったそうだ。後で謝っておかなきゃな。
 今季が思わぬ豊作で良かった。そうでなきゃ、さすがにこんなこともできないだろう。
 努力が実って、本当に良かった。
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