報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

前回の続き

2013-07-06 19:24:32 | 日記
[21:00.闇の森“中央の村” 安倍春明]

 闇の森は名前の通り、高い木々のせいで地表は常に薄暗い。エルフ族の村周辺では、シャーマンが“光の精霊”なるものを召喚して村を照らしている。もっとも、そんなことしなくたって、夜目の利く彼らのこと、それすら滅多に使わない。今回は私達、視察団が来ている為、特別にしてくれているようだ。
 彼らは火を一切使わない。森林火災を極度に警戒しているためかと思うが、他に心情的な理由があるらしい。
 出された夕食もベジタリアンな彼らのこと、やはりそれ系が全てだった。全てが質素に慎ましい生活だと私は思った。タンパク質はどうやって取っているのだろうと思ったが、これもそれが多く含まれている木の実や作物があるらしく、大豆に似たものもあった。
 人間界の書物では、彼らを『森の妖精』と称することが多々ある。人間界でも、広大な森の中に住む未開の部族が存在する。……失礼。今、『部族』ってのも、差別用語なんだっけ?人間界は面倒だな。とにかく、人間の中でそういった生活をしている“民族”と根本的に違うのは、彼らの中には露骨な序列も無ければ、信仰も無いということだ。そして私が1番知りたかった男女格差。これも、一見すると無い。男女の体付きの違いによる“区別”はあっても、例えばここの村長職を堂々と女性が勤めているのもそうだし、弓矢を取って戦うのも男女関係無いようだ。

「アベさん、何か分かりましたか?オレ達のことについて……」
「ああ。本当に、視察に来るべきだと思ったね」
 視察団は空き家にそれぞれ宿泊をしている。世話係として、各家に1人の村人が付いてくれているが、恐らく監視役でもあろう。その証拠に、何故か横田達の小屋だけ3人も付いていやがる。しかも全員男。私はサイラスに誘われ、彼の実家に泊まることになった。
 私の所もサイラスを含めて3人ではあるのだが、横田達とは事情が違う。何故なら、残る2人はサイラスの弟達だからだ。つまりリーフも含めて、サイラスは4人兄妹ということになる。これは大家族だ。1年に1度しか子作りができず、それとて必ず受胎するとは限らないということなので、この兄妹は奇跡なのだろうか。
 因みに彼らの母親は既に亡くなられており、先代村長の父親も民主党人民軍の“間引き”によって虐殺されている。しかし、そこが人間と大きな違いだ。当然なら同族である私達を憎み、断固抗議、もしくは視察自体を拒否となるだろう。ややもすれば、私達の命も無くなっていたかもしれない。
 彼らは、自分達に危害を加えた“本人”しか憎まないようである。いち早くそれに気づいた私は人民軍掃討の際、王国の法律ではなく、あえて彼らの法律で裁かせた。当然それだって死刑だと思った。してやったり。彼らは自分達の手で仇討ちの手助けをしてくれた私達に報恩の念を抱いてくれた。
 やはり、人間は狡賢いのかもな。もっとも、それで戦争を仕掛ける政権にはしたくないけどね。
「明日はどうする?」
「まだ村を全部回ってない。まあ、秘密まで知ろうとは思わないけど、もっと知っておきたいね。それで今後、ルーシーと相談して、この森をどうするか決めるさ。……あ、もちろん、悪い扱いはしないさ。それだと前の民主党みたいになっちゃうし、多分俺達、この森から出してもらえなくなる……」
 最後のセリフに、サイラスは何故か口元を歪めただけだった。もしかして、本気かな?

[翌6:00.闇の森“中央の村” 横田高明]

 清々しい朝です。ええ。さすが、常春の国アルカディア。正にこの淫らな温かさは、私の体の一部をホットにしてくれます。でも何故かその度に、総理や陛下に厳しい叱責を受けるのです。……グスン。
 朝食の時間までまだ間がありますし、少し村内を散歩してみましょう。“護衛”の皆様方はまだ寝ていらっしゃるようですね。
 人間からは迷いの森と呼ばれる森ですが、家々が見える間なら大丈夫でしょう。
 おっ、どこからともなく沢の音が聞こえてきますね。環境汚染の「か」の字もない森。沢の水は清々しくて冷たく、私のホットになった体の一部をクール・ダウンしてくれます。ええ、正に魔法の水ですね。
「おっ?おおおーっ!!」
 私はつい声を荒げてしまいました。何故ならその沢で、1人の少女が全裸で水浴びをしていたのです!嗚呼、何という……!!
「・・・・!・・・・・・・!!」
 私の分析では人間換算年齢10歳前後、まだ平らな、それでいて今にも膨らもうとしている胸が何ともたまりません。エルフ語で何か言っているようですが、幸か不幸か、私はエルフ語が分からないのです。嗚呼、そして下半身はまだ陰毛も生えるか生えないかの……。
「・・・・・!・・・・・!」
 おっと、いけません。私が大感激している間に、少女が服を着て私のところに抗議に来てしまいました。不肖、共和党理事。ここは1つ、大人の対応をしようじゃありませんか。
「お嬢ちゃん、悪かった。しかし、いいものを見せてくれてありが……じゃなかった。お詫びに、いいものをあげよう」
 人間の娘ならお小遣いでも渡すところでありますが、何しろ金銭欲の無い種族です。たまたま私は、持参していたハッカ飴をあげました。
 少女はそれまでの憤怒から、今度は珍しいものを見たという顔になりました。どうやら、私の作戦は成功したようです。
 少女はそれまでの怒りはどこへやら、私が渡したキャンデーを持ってどこかへ行ってくれました。
「あっ、お嬢ちゃん!総理にはナイショだよ~!」
 果たして、聞いてくれたかどうか……。
 しかし!私のこの行動が、とんだ裏目に出るとは……っ!この横田高明、一生の不覚であります!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 何だか一人称にすると、本人達の呟きだけで、肝心のセリフが少なくなっているような……。こんなもんだったっけ?
 ポテンヒットさん辺りはもう知ってると思うけど、ここに出てくる横田のモデルは【お察しください】。しかし、春明も何でこんなトラブルメーカー連れてきたのやら……。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本日のボツネタ

2013-07-06 15:27:37 | 日記
 どうせボツネタなのだからと、サークルのメンバーに違う表現方法をしてみては?というアドバイスを受けた。
 例えば私の小説では、完全に視点は三人称である。これは赤川次郎先生や西村京太郎先生にインスパイアされたものによる。
 ポテンヒットさんがこの前、当ブログに“ケンショーレンジャー”を投稿してくださったが、場面ごとに時系列や場所を列挙する方式だ。確かこれ、多摩先生から名前を教えてくれた気がするのだが、すっかり忘却の彼方にやってしまった。先生、ごめんなさい。ちなみにポテンヒットさんの手法は、予め最初に登場人物を全て読者に伝えている必要があるのだそう。私はちょっと別の手法をやってみよう。

 “新人魔王の奮闘記”より。

[14:00.アルカディア王宮正門前。赤き鎧の女剣士???]

 アルカディア王国の首都アルカディアシティ。アルカディアとは何のひねりも無い名前だが、人間界ではユートピアという意味に近い英語だそうだ。
 元々この魔界には地名が無い所が多い。今の王権になってから、付けられた地名も多い。
 あの時、一緒に魔王討伐をした仲間も散り散りになってしまった。スティーブンは海の向こうの王国の国王に即位したし、ジョージは人間界に戻って紛争地域で暴れているようだ。そして“勇者”だった安倍春明だけが魔界に残り、新しい魔王を即位させて、自分は首相に収まっていると聞く。
 新しい魔王と一体どういう関係なのか。それは何としても確認しなければならない。4人目のメンバーとして。

「止まれ。何の用だ?」
 案の定、門衛に止められる。
「この国の首相に会いたいんだけど?」
「アベ首相にだと?それなら、しばらく王城にはおられない。日を改めて出直せ」
 屈強な魔族の兵士は私を見下ろすような感じになる。
「しばらくいない?どこへ?」
「それは国家機密だ。教えることはできない」
「ちっ。かつての仲間が訪ねてきたってのに……」
 私はタイミングの悪さに踵を返すほか無かった。しかし!
「!?」
 巨体な兵士の更に上から見下ろす者の気配に、私は気づいた。

[同時刻。アルカディア王宮バルコニー。ルーシー]

 正門前で衛兵とやり取りしているのは、茶髪のショートカットで赤色の鎧が目立つ剣士だ。傭兵だろうか?あまり重装備ではなく、胸当てを着けて腰にレイピアと呼ばれる細身の剣を携えているのが分かる。
 私がバルコニーに、たまたまいたのに気づいたようだ。見た感じ女のようだが、私はどこかで見た覚えがある。果たして、どこだっただろうか。
「陛下。ティータイムのお菓子は何になさいますか?」
 そこへ、話し掛ける者がいた。振り向くと、メイド服を着たダークエルフの少女リーフがいた。本当は春明に同行している兄サイラスと一緒に行きたかったのだろうが、あいにくだ。サイラスは春明付きの護衛、そしてリーフは私専属のメイド。別行動となると、当然この兄妹も別行動になる。
「そうね。あまり好き嫌い言ってもしょうがないから、ブリオッシュでいいわ」
「かしこまりました」
 私はあんこアレルギーだ。公表しているにも関わらず、たまに貢物の中にあんこの入っている食べ物を送り付けてくるヤツがいる。無論それは魔王に対するテロ行為と認定し、捕縛するように通達している。ブリオッシュは、どうも傾国の菓子のような気がして控えているのだが、最近はおかげさまで政治情勢も安定してきたし、食べてもいいかなって思ってる。
 ところで、あんこアレルギーが分かったのはいつだったかな……。そう。確か、日本の高校に入学してからだっけ。茶道部を見学していて、あんこの入ったお茶菓子を口にした時、意識を失いかけた。
 ヴァンパイアにたまにある味覚障害の1つで、人間には有りえない食べ物アレルギーを起こすって、両親に言われた記憶がある。それがまさか、あんこだったとは……。

[同時刻。闇の森“中央の村” 安倍春明]

 村長の家に入るのは何回目だったかな。そんなことを考えながら、私は村で1番大きな村長の家に入った。1番大きいといっても、金銭欲の無いエルフ族だ。王都の庶民の家よりも小さい。入るとサイラスの言う通り、この森にある5つの村の村長達がいた。
 テーブルに向かい合って座ると、まるで原発再稼動の是非を巡る政治家と地元自治体の関係のようだ。
 この森の運営については、この村長達の合議制である。……が、一応その中でも代表的な者は立てているようで、それが中央の村(『中央区』なんて呼んでる党員もいる)の首長らしい。レニフィールという名の女性であった。サイラスよりずっと年上だというが、長命でほとんど老化の無い彼らのこと、実年齢については不明だ。確かサイラスが100歳を超えているので、それよりずっと上ということになる。先に、そのレニフィール村長が口を開いた。
「王宮から遥々、ご苦労様です。そこにいるサイラスから話は聞きました。この森について、何か視察に来られたということですが、その目的についてお伺いしましょう」
 何と、レニフィールは通訳を通さず、そのまま流暢な人間の言葉で話してきた。こりゃ私も、エルフ語を学ぶ必要があるかな?筆談ならできる自信があるのだが。
「全ての村から代表者の方々にお集まり頂き、大変光栄です。此度の視察の目的は、私共の政権運営において、もっと皆様のことを知りたいというのが最大の目的です。といいますのは、我が党員のほぼ9割は人間であり、また女王ルーシー陛下は魔族です。しかしながら、当王国の国民には亜人も含まれています。新王国憲法においては、どの種族においても政策において差別はしないと謳っております。が、その為にも理解が必要だと考えているのです。確かにここにいるサイラスより色々伺ってはいるのですが、それだけではまだ足りない。こうして現地に赴くことにより、もっと理解を深めたいと考えているのです」
 無論これには理由がある。亜人達は政治に全くといっていいほど関心が無いため、政権に加わろうとしないからだ。
「この森も王国の運営に参加して頂いていることですし、2度と前政権の失政は避けたいのです」
「……分かりました。では具体的に、どうされますか?」
 質問されて、私はふと困った。はてさて、この種族のことについてどう知るべきか。確か、人間界だと……。
「まずは、皆様の生活習慣から知りたいです。それによって、政策も大きく変わることでしょう。国民の視点に立たない政治は、民主的な意味を成しません」
 するとレニフィールは、エルフ語で他の村長達はヒソヒソ話を始めた。
「それで、私達は何を協力すればいいのでしょう?」
「まずはこの村の中を見学させてください。ご案内のほど、お願いしたいのですが……」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 意外とこの方法もありだな。でもやっぱり、慣れた三人称形式の方がいいかな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボツネタ掲載

2013-07-06 02:32:34 | 日記
 “新人魔王の奮闘記”より。更に前回の続き。

 安倍春明ら視察団を乗せた特別列車は、魔の森駅に到着した。無人駅で、ホームは1面1線しか無く、駅舎も改札口も無いようなローカル過ぎる終着駅だった。
 隣には3線分くらいの貨物ホームがあって、荷物電車はここで“納税”を受けるらしい。しかし、そのうちの2線分は草に覆われていた。
「相変わらず、威圧感漂う森だな……」
 春明は率直な感想を漏らした。何者も寄せ付けぬ雰囲気が、そこにあった。本線は簡易的な車止めがあるだけで、本当は森の中までレールを引きたがっているようだった。
(もしかして、意外と森の中は資源の宝庫だったりして)
 ふとそう思う。電鉄がその利権を狙っているのだとしたら……。
「さあ、行きましょう」
 サイラスが促した。

 森は広大であるが、実はその3分の1は内戦で焼失している。自然の生命力は凄いもので、焼け跡にはもう新芽の息吹が出ているとのことだった。
 普段は護衛のサイラスも、森の中では先導者となる。全村に視察団のことは伝えているので、いきなり襲われることはないだろうとのこと。
「どこを歩いているのか、分からなくなるなぁ……」
「正に、迷いの森ですな」
 視察団のメンバーは、そんな感想を漏らす。内戦の際、民主党人民軍が森を焼き払おうとしたのは、人間が入ろうものなら、たちまち迷うからだと聞いた。
 実際には3分の1まで焼けたところで、突然集中豪雨が発生し、自然消火された。そんな話を春明は思い返していた。

 視察団が最初の訪れたのは、南の村である。電鉄の駅から最寄りの場所にある為、ここを訪れる他の村のエルフ族も多いという。
「サイラスだ」
「サイラス、帰ってきたのか」
 サイラスもまた、この村に顔見知りは多い。前回、ルーシーと来た時には明らかに警戒されたものだが、今回はいくらか友好ムードになっている。
 また、人民軍に根こそぎ拉致されていなくなっていた女性達の姿もあった。
「なかなか綺麗どころですな」
「私の分析によれば、AKBがかすむでしょう」
 男女ともに容姿端麗なことで有名なエルフ族。視察団メンバーも、鼻の下を伸ばすほどだ。
「バカなこと言ってないで、早く行くぞ。サイラス、この村の首長にお会いしたいんだが……」
「村長(むらおさ)は、先に中央の村に向かってます。アベさん達が来るということで、全ての村の長がそこに集まっているようです」
「あらま。じゃ、あまり待たせると悪いな。先を急ぐか……ん!?」
 春明が一行を促そうと振り向くと、横田が……。
「私の分析によりますと、あなたは人間換算年齢16~17歳。スリーサイズは上からはちじゅ……ぶっ!」
「なにやってんだ!!」
 1人のエルフ族少女を捕まえ、手帳片手に“調査”していた。
 拾った木の枝で引っ叩く春明だった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冨士参詣深夜便

2013-07-06 02:23:19 | 日記
 ポテンヒット氏からの書き込みを頂戴している。さりげない私の折伏(?)は、あっさりかわされてしまった形だ。
 氏のコメントの中にプリウスが出てくるのは、ハイブリット・カーは音が静かすぎるため、接近に気付きにくいからであると思われる。

 また、話は変わるが、再び北区の京浜東北線沿線で不発弾が見つかったとのこと。位置的に今度は新幹線と埼京線が無事で、京浜東北線、宇都宮線、高崎線、湘南新宿ラインが運休するといったところか。未だに第2次大戦中の“亡霊”は発生するものだ。今度は、どこから“発掘”されるのだろう……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする