飛騨の自然と巨木に親しむブログ

飛騨をうろうろぐるぐる歩き、飛騨高山の自然と巨木をご紹介します。あと、宮笠、登山、トレランのネタなども登場します。

千石せんせい、ありがとう。

2012-02-10 21:20:42 | インポート
 2月7日、千石正一さんが逝去されました。

 動物学者とよく紹介されますが、どっちかというと、「動物&生き物ハカセ」って感じで、市民のための動物学、生態学を普及しておられたと思います。

 今なおファンがいる『わくわく動物ランド』や『どうぶつ奇想天外』などの動物の生態を紹介するテレビ番組では、その独特の風貌と、切れのある(?)ギャグでお茶の間でもよく知られた存在でした。

 生き物の中でも両生爬虫類が好きで、しばしば偏見を持って扱われがちな彼らの魅力について、身をもって広く訴えておられました。

 千石さんは、昔私が在籍していた財団法人野生生物研究センター(通称:野生研。現在の自然環境研究センター)の上司というか大先輩。そのころは野生研の書籍部(自然関係の専門書が並ぶ本屋さん)の元締めをしておられました。フィールド調査など一緒の仕事に携わらせていただいたのは数回で、尊敬というか正直ちょっと近寄りがたい存在でしたが、時折お話しするときの知識や考え方には、ざっくばらんな言葉の中にも敬服することが多く、また時折発せられるギャグは、気づかない人が多いくらいキレがありすぎて、世の中にはすごい人がいるんだなぁ、と思ったものでした。

 自然研を離れて飛騨に来て10年たった平成21年9月、地元のNPOの設立5周年記念行事として、千石さんをお呼びし、当時話題となりはじめていた生物多様性について「いのちはみんなつながっている ~自然豊かなふるさとを未来へ~」と題して講演をしていただきました。

 講演会では世界中で撮影された動物たち(やはりカエルやヘビなどが多く登場)の写真を映写しながら、わかりやすく充実した内容のお話をしていただきました。そのときすでにお体の具合が悪いようで、お話しするのもつらそうなそぶりも見受けられましたが、ギャグのキレは相変わらずで、多くの聴衆は置いてきぼりを喰らっていました・・・。

 


 講演の最後には、こどもたちからの質問コーナーや、贈り物の宮笠をかぶっていただく一幕も・・・。




 予算の関係で講師謝金は安く抑えていただきましたが、講演後にはNPOメンバーの経営する民宿で小宴を催させていただきました。




 その後は、先生のブログを見たりする程度で、ご無沙汰して今日に至ってしまいましたが、長い闘病生活を送っておられたとのこと。

 今思うと、いろいろ学ばせていただいたくせに、何もお返しをしていない自分がいます。

 千石さんのような知識も能力もないけれど、生き物すべてに対してニュートラルに接し、かれらの魅力を多くの人に伝えるような活動は、自分のできる範囲で取り組んでいきたいと思います。第2第3の千石さんが、飛騨高山の地から生まれるように(?)。


 他人よりちょっと短かったかもしれませんが、他人よりずっと人生を楽しまれたのではないかなぁ、と思います。

 私もそんな人生を送ってみたいものです。

 千石さん、ありがとうございました。