飛騨の自然と巨木に親しむブログ

飛騨をうろうろぐるぐる歩き、飛騨高山の自然と巨木をご紹介します。あと、宮笠、登山、トレランのネタなども登場します。

木曽駒ケ岳から空木岳縦走に行ってきました~その3(完)~(20170728~30、小屋泊)

2017-08-22 20:27:34 | 宮笠で登山

(その2からの続き・・・その2はこちらをクリック⇒『その2』)


 さて、3日目最終日。

 今日は、空木岳を越えて下山、温泉、慰労会のフルコースです。ただ、昨夜からの風雨が朝になっても止まず、5時出発予定をちょっと遅くし、その間に朝食弁当を小屋でいただくことに。急な変更にもかかかわらず、小屋の方にはスペースを貸していただき、あったかいお茶もいただきました。感謝。

 天気予報では回復傾向にあるということで、朝食後、まだちょっと雨が残っていましたが、雨具を着て出発(5:30)。昨日見た通りの急登を、一歩一歩ゆっくり登っていきます。


 雨や風は時折止んだので、山頂では晴れ間が!なんて期待もしながら真っ白のガスの中を登っていきます。次第に傾斜を増していき、やがて第一ピークと書かれた岩に到着。そこから巨岩が積み重なるコースになり、鎖や鉄のステップが設置された岩場が現れました。疲労がたまった重い濡れた体を、ゆっくりですが上に引き上げ進みます。


 岩場のアップダウンをいくつか過ぎると、やがてガスの中に空木岳山頂(2,864m)の標柱が浮かび上がってきました。(6:50) 特に強く意識してはいませんが、百名山を一つクリアしました。

 

 相変わらずガスの中なので、休憩もそこそこに下山方面へ。進路を東に変えしばらく下ると、ガスの中に四角い建物が浮かび上がってきました。駒峰ヒュッテです。

 ここは避難小屋ですが、シーズン中は地元山岳会の方が常駐し、寝具や食料の提供をしていただけるとのこと。こじんまりしたいい雰囲気の小屋でした。テラスがありましたが、晴れてたらきっといい風景が見えることでしょう。

 

 そこからルートは二つに分かれますが、駒石という巨岩がある北側のルートを選択。花崗岩が風化したマサといわれる砂を踏みしめ、緩い下りの道を進みます。

 途中、何か所か面白い形の巨石がありましたが、やがて特に大きな岩が現れました。これが駒石でしょう。なんとなく手前のクラックから登れそうでしたが、降りれなくなりそうだったのでやめました・・・。(後で裏に回ると、登れそうなところがありました)

 

 駒石からは徐々に標高を下げ、やがて樹林帯に入っていきます。

 その先には、地図に「小地獄」「大地獄」と書かれたところがあり、いかにも厳しい難所の雰囲気・・・。

 やがて予想に違わぬ急傾斜が現れました。岩の折り重なったやせ尾根に、鎖場やハシゴ場が続きます。一人一人、慎重に進みます。名前にビビっていましたが、危険ではありますが、慎重にいけば安全に通過できるよう整備はされています。

 

 その先は、傾斜も普通に戻り、延々と高度を下げる登山道を進みます。

 途中、空木岳の主(?)のようなヒキガエルが現れ、ひと時の安らぎを与えてくれました。

 

 池山小屋手前では道が二又になっていますが、左を選択。このあたりで、止んでいた雨がまた強く降ってきました。池山小屋にてしばし休憩、雨宿りです。

 しばらく待ちましたが止む様子がなかったので、出発。予定よりちょっと遅れてきたため、池山には登らずまっすぐタカウチ場に下ります。

 この辺りは広大なカラマツ植林地のようで、行けども行けどもカラマツ林。造林用の作業道だったためか、道は広くて歩き(走り?)やすい感じでした。

 カラマツには、地衣類のサルオガセが密生して下がっており、ガスと相まって幻想的な風景を見せてくれました。

 

 延々と作業道を下り、やがて林道に出ました。迎えのバスはスキー場駐車場にて待機中とのこと。まだまだ下ります。

 遊歩道が入り組んで、ちょっと迷いそうになりながら下り、やがてスキー場駐車場に到着。ちゃんとバスが待機していて、ほんとにほっとしました!(12:15)

 

 この後温泉&地ビールで反省会。充実した3日間が終わりました。

 皆さま、お疲れ様でした&ありがとうございましたー。秋山はどこに行こうかな?

 


木曽駒ケ岳から空木岳縦走に行ってきました~その2~(20170728~30、小屋泊)

2017-08-22 00:13:03 | 宮笠で登山

 

(その1からの続き・・・その1はこちらをクリック⇒『その1』)

 

 さて、2日目。

 今日は、はるか空木岳(の手前)までの長距離移動です。地図を見てみると、宝剣岳をはじめとして岩場が結構あったり、アップダウンもしなければいけない行程、大勢のパーティで行くには、少しでも早出をして時間的余裕を確保しておく必要があると考え、朝食を弁当にしてもらい、5時には出発します。曇り空でしたが、昼過ぎまでは雨ももちそうです。小屋の前にはたくさんのテントが。テント泊もやっぱりいいよなー、と思いつつ、出発です。

 

 中岳は昨日と違う道をとトラバースルートで通過。前方に宝剣岳が朝日を浴びて光っています。いよいよ宝剣岳!

 宝剣岳を見上げる岩場に入り、高度感あるトラバースや、三転確保で登る岩壁を慎重に通過します。朝イチですが、仲間も良い動きで高度を稼ぎます。

 そして、意外とあっけなく宝剣岳(2,931m)山頂の岩場に到着。古びた祠が二つと、「手力雄(たじからお)」と刻まれた石碑がありました。手力雄尊は、天の岩戸伝説で天照大神が隠れていた岩戸の扉の岩を投げ飛ばしたという怪力をもった神様で、宝剣岳の岩場つながりで祀られているのかな、などと推察。

 

 スリル満点の山頂の尖岩に登ると、これから進む木曽山脈の山々がはるかかなたまで続いていました。足元をふと見ると、四角く窪みが掘られていました。聞くところによると、かつてここに岩の祠が乗っていて、その安置のために掘られていたようです。

 

 山頂からの下りに差し掛かると、登りよりもアブナそうなところが何か所も出てきました。でもまあ、三点確保とバランスに注意しクリア。

 途中で、名物(?)となっている水平に突き出た岩がありました。一見怖そうですが、がっちりした岩なので乗っても大丈夫、ということで、物好きなメンバー(私も含め)は上に立ってポーズをつけていました。でもまあ、きっと長い年月の間には崩落する日がいつか来るのかもしれませんね。

 

 そこから進んで、三ノ沢岳への分岐あたりで朝食弁当をいただきました。結構ボリュームがあり、おなか一杯になりました。

 さらに極楽平(千畳敷カールへの降り口)、濁沢大峰へと緩いアップダウンで南下します。

 桧尾岳からはメンバー一名が下山。ガスっていて、普段なら見える桧尾避難小屋も全く見えません。そこから残りのメンバーでさらに南下します。

 

 道中目についた高山植物は、やはりヒメウスユキソウ。たくさんたくさんありました。

 あと、花は終わっていましたが、チョウノスケソウがたくさんありました。個人的に好きな花なので、花を見たかったなー。

 ↑シワシワしたような葉がチョウノスケソウ。上に向いているとがった感じのものが未熟な実です。この後チングルマみたいな綿毛に変わります。

 

 あと気が付いたのは、イワウメが多いこと。こちらも花はほとんど終わっていて目にすることはできませんでしたが、ちょっと紅葉したかわいい葉がびっしりマット状に密生している様子が見事でした。時々そっと触って、一人ほくそえんでしました・・・(写真中の白い木の枝みたいなのは、地衣類のナギナタゴケ)

 

 桧尾岳以降も、大滝山、熊沢岳、東川岳とアップダウンがあり、巨石や岩場の通過もあり、なかなか気の抜けない行程でした。

 東川岳からは、本日の宿である木曽殿山荘まで一気に下ります。ガスに巻かれていたことの多かった本日の行程ですが、下る途中で、明日一番に登る空木岳がそびえているのが見えました。「急登」の表現がぴったり!なそびえ方でした・・・。

 

 木曽殿越まで下ると、木曽殿山荘が見えてきました(13:10)。手入れの行き届いたこじんまりとした感じがいい雰囲気です。水場はちょっと遠かったけど、花の咲くいい感じの登山道を進むとおいしい水が流れていました。明日の行動分もたっぷり汲んで小屋に戻り、さっそく酒盛り。夕飯は名物の(?)おでん。これまたお酒が進みました。

 

 

 この小屋は、布団を敷くのをスタッフさんがやっていただけます。整然と並んだ布団に入り、早めに就寝。結構暑くてなかなか寝付けませんでした。また、夕方からの雨がかなり強く降り続け、3日目の行程を心配しながら、寝苦しい夜を過ごしました。

(「その3」へ続く。)

 


木曽駒ケ岳から空木岳縦走に行ってきました~その1~(20170728~30、小屋泊)

2017-08-21 00:58:41 | 宮笠で登山

 少し前ですが、職場の山仲間と、駒ケ根から入って木曽駒ケ岳~空木岳を縦走してきましたのでアップします。自分で行くときはテント山行が中心ですが、職場の人と行くときは小屋泊まり。お金のない学生時代は半ばやっかみをこめて『大名登山』と呼んでいましたが、荷物が少なくなることにより体力に余裕がでるので、山の自然をより楽しめる一面もあると思います。(荷物が減った分、ビールを背負っていくので結局重くなるという噂も・・・)

 7月28日、飛騨高山をマイクロバスで出発し、権兵衛峠~中央道駒ケ根~菅の台バスセンターに到着。客が結構いたためか臨時便のバスが出て待ち時間がそれほどなく、ロープウェイのしらび平までたどり着きました。

 

 ロープウェイで標高2,600mの千畳敷駅に。千畳敷カールのあちこちにはまだ雪渓が残っています。それにしても人が多いこと。結婚式をしているグループも。

 ここで早めの昼食時間を兼ねた自由時間をとります。一部の方はレストランでソースカツ丼を食べたようでしたが、私は早めにコンビニおにぎりを食べ、カールの遊歩道へ。人をかわしつつ、雪解けしたばかりの斜面に咲く花などを眺めて楽しみました。

 ガスが晴れると、これから登る乗越浄土や、明日登る宝剣岳などが一望できました。

 

 11時、いよいよ登山開始です。大勢の登山者や観光客のいる遊歩道を通り抜け、乗越浄土への分岐を過ぎると、傾斜が強くなってきます。徐々に傾斜を強め、
ジグザグに登っていくと、12時ころには乗越浄土に到着。振り返ると小さくなったロープウェイ駅が眼下に見えました。

 

 乗越浄土のすぐ先には、宝剣山荘と天狗山荘があり、右に目をやると中岳への緩やかな稜線を登山者が登っているのが見えます中岳はあまり目立つ山ではありませんが、山頂(2,925m)には巨石が積み重なり、登ると、これから目指す木曽駒ケ岳と今夜の宿である駒ケ岳頂上山荘が見えました。

 

 中岳から緩い登山道を下り、駒ケ岳頂上山荘にザックを置くと、木曽駒ケ岳に向け登り始めます。広く緩い斜面でしたが、次第に急になって岩場も現れました。

 いよいよ木曽駒ケ岳の頂上に到着(2,956m、13:19)。実は30年ほど前学生時代に木曽駒・宝剣に夏合宿で来た覚えがあるのですが、確か天候の都合で木曽駒ケ岳には登らなかったような・・・。今回登って、疑惑の(?)百名山を改めて一つクリアできました。

 

 下山途中に雨がぽつぽつ降りだして、皆は足早に小屋に向かったのですが、道端にはけっこう高山植物があり、一人遅れて写真を撮ったりしていました。合羽を着ていなくても、宮笠があればちょっとした雨でも大丈夫なので。

 ↑チシマギキョウ 3つ並んで咲いていました。

 ↑コマクサ 妙に色の濃い個体がいくつかありました。白花は珍しいのですが、ここまで色の濃いのも珍しいですね。

 ↑オヤマノエンドウ なんか久しぶりに見たような気がします。 

 ↑ヒメウスユキソウ(コマウスユキソウ) いわゆるエーデルワイスの仲間で、その名の通り日本では一番小さいウスユキソウの仲間です。花の周りに放射状に着いた葉に白い綿毛をまとっているので全部が花のように見えて可憐な印象を受けますね。ちょうど降った雨の水滴がついて、なんともいえない風情です。

 ヒメウスユキソウについては、写真にあるように駒ケ岳周辺に多く群生しており、2日目の空木岳への縦走路にも、これでもか、と言わんばかりにたくさんのヒメウスユキソウが生育していて、いい意味で予想を裏切られました。昔、希少なハヤチネウスユキソウを見ようと軽自動車で高速を乗り継いで早池峰山に行ったように、ウスユキソウの仲間は少ないものと思い込んでいましたが、木曽山脈のヒメウスユキソウは(分布域は狭いかもしれませんが)個体数的にはかなり多くあるようです。

 

 小屋に戻ると、早く帰った仲間は酒盛りを始めていました。仲間に入って飲み始め、夕飯でも飲んでしまいました。ということで小屋の写真はありません・・・

(その2・「宝剣岳から木曽殿山荘編」に続く)


平湯大滝の上流、滝谷に遊ぶ。~20170805~

2017-08-06 01:02:55 | 沢登り

 暑い日が続きますが、今日(8月5日)は、一日時間があいたので、日本の滝百選としても名高い「平湯大滝」に行ってきました。といっても、ただ滝を見に行ったのではなく、沢登りで平湯大滝の上流の滝谷を遡上してみました。

 ↑平湯大滝

 

 平湯大滝の手前から東側の尾根にとりつくように、昔の乗鞍登山道があったそうで、ちょっと古い地図にはそのコースが乗っています。旧道は崩壊が激しいので、平湯からの登山道は、今ではスキー場経由の道だけになっています。

 今日は、その登山道跡をたどりながら、標高1,500mあたりの尾根から滝谷に降りてみました。

 あまり下調べをせず(と言うか、あまり情報がない)、地図を見ながら、この辺行けそうかな、などと考えつつ谷に下り立ちましたが、ゴルジュ帯で沢の中を進むことができず、左岸を高巻きしてしばらく進み、懸垂で谷の合流点付近に再び下り立ちました。(ちゃんとロープもってきてよかった・・・)

 ここからしばらく沢登りで上流を目指すと、行く手にけっこう立派な三段の滝(20mくらい)が見えてきました。

 

 今回はちゃんとクライミングの用意をしていなかったので、この滝の手前から右岸を高巻き。標高1,620mあたりで再び沢におりました。

 ここには目印のテープなどがついており、下るところも薄い踏み跡がありました。

 この先はは、大小の落ち込みはありますが、滝らしい滝はなく、広い川原と崩壊した川岸、倒木が交互に現れました。

 遡上していくと、霧がかかったようになり(水温が低いため?)、また川の岩が乳白色になってきました。ここは支流が流れ込んでいるのですが、どうやらこの支流の水温が低く、また石灰分(温泉成分?)のような成分が多く、それが岩に付着して色がついているようでした。上流には昔鉱山があったとのことなので、そんなことも関連しているかもしれません。

 ↑谷の右側だけ岩が乳白色になっている。本流は左に曲がっており、正面奥から支流が流れ込んでいる。

 ↑この支流は、谷水が冷たいからか川霧が立っている。

 

  今回はちょっと起きるのが遅くなり、登りはじめは9時ころ。13時まで沢登りを続け、その時点で引き返しました。

 いつかは旧道で乗鞍登山をしてみたい、と思っていましたが、崩壊したり草などが繁茂してたどるのは難しそうでした。その代わり、沢登りで源流の四ツ岳方面に向かうことができそうでした。
 上流には等高線の目が詰んでいるところや、岩場マークがあるところもあり、ちゃんと早出して装備をしっかりすれば、まだまだ楽しそうなところはあるようです。

 今回は小手調べでしたので、次回はもうちょっとじっくり楽しめたら、と思いました。