さて、宮笠との比較を交えて、佐治の板笠をじっくり見てみましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/e6/94acb59a1be23fdd3eb75ac584c52f49.jpg)
前回も掲載した全体の写真です。まず目を引くのが、円錐形をしていない(中心部は円錐形ですが周りは平面)ことと、六角形の外周です。
宮笠など多くの笠は、円錐形をしています。これは、かぶりやすさもあると思いますが、ひとつには強度を出すために立体構造にしているのかなとも思います。
板笠は頭に乗る部分以外は平面になっていますが、材料にカエデの仲間(ウリカエデかウリハダカエデなど)を使っていて、ヒデ自体にある程度強度があるため、平面にしてもしっかりしたつくりとなっています。
六角形の外周も、他にはない特徴です。普通は竹を輪にして編みつけ、強度を出しているので、必然的に丸い形になりますが、先述したように板笠のヒデは強度があるため、竹で補強しなくてもある程度の強度があります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/d8/243621cee6f0d33c160cba8f66a78eba.jpg)
ふちはこのように折り返してとめているだけです。桧のヒデでは、おそらく強度が足りず、何かに当たると痛んでしまいそうですが、カエデのヒデは丈夫そうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/92/8ccf8631612344d47381c1a529f381cb.jpg)
中心部は、宮笠に似ています。カンバ(ヤマザクラの皮)で補強するところも、(2本か3本かの違いはありますが)似ています。端をカールさせているのは、デザイン的に愛嬌がある感じを受けますが、何か意味があるのかもしれません。
よく見ると、ちょうど円錐部分はベースの笠に被せ笠が乗っていて、2重構造になっています。強度のあるヒデを二重にしているので、円錐部分はかなり丈夫です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/49/f40b28ef833bd4ed5fb2ac3e17e38166.jpg)
中心部を裏返すと、ツルが円形に編みつけてあり、頭に固定するための紐を結ぶようです。宮笠でいう「緒たて竹」ですね。
それと、見てわかるように宮笠には放射状にある骨が、板笠にはありません。それでもヒデの強度のおかげで、しっかりした笠になっています。(そのため、宮笠に比べると多少重くなっています)
板笠に関する記述で、休憩時に尻に敷くこともあったとのことですが、この強度があれば納得です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/7a/fa64b3cdb38679ee90eb9a53cf014cd3.jpg)
編み目は、基本は宮笠と同じで「3枚綾」。直行するヒデを3枚くぐって3枚上を通る、と繰り返す形式です。
ですが、よく見ると六角形の外周のうち長めの3辺のふち近くは、2枚飛ばしの「2枚綾」になっています。宮笠でも、セミ笠の外周部分は2枚綾になるのですが、問坂さんの話では、2枚綾は編み目がしっかりするので緩みにくいとのことなので、板笠でも緩みにくくしっかり編むために2枚綾にしているのかもしれません。
ヒデは、一本一本裂いて作るため太さが多少異なっていますが、厚みはそろっています。裂くときに力加減に気を配らないと、こうはいかないでしょう。宮笠のヒデも昔は手作業で作っていたとのことなので、どんなヒデになるのか興味があります。
今回は、実物を目にして気がついたことなどを書き綴りましたが、シンプルな造りや今でもほぼ手作業だけで笠が作られているなど、とても興味深い笠だと思いました。各地の笠の原型に近いような感じもします。
どのようにして板笠が作られるようになったのか、また他の地域の笠とのつながり、材料のとり方や加工など、気になる点がたくさんあります。佐治町では、製作技術をまとめた資料を作成中とのことなので、それが完成したらぜひ見てみたいものです。
あと、できたら現地の製作者をたずねて、お話を聞いたり製作風景を見学できたら、と思いました!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/e6/94acb59a1be23fdd3eb75ac584c52f49.jpg)
前回も掲載した全体の写真です。まず目を引くのが、円錐形をしていない(中心部は円錐形ですが周りは平面)ことと、六角形の外周です。
宮笠など多くの笠は、円錐形をしています。これは、かぶりやすさもあると思いますが、ひとつには強度を出すために立体構造にしているのかなとも思います。
板笠は頭に乗る部分以外は平面になっていますが、材料にカエデの仲間(ウリカエデかウリハダカエデなど)を使っていて、ヒデ自体にある程度強度があるため、平面にしてもしっかりしたつくりとなっています。
六角形の外周も、他にはない特徴です。普通は竹を輪にして編みつけ、強度を出しているので、必然的に丸い形になりますが、先述したように板笠のヒデは強度があるため、竹で補強しなくてもある程度の強度があります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/d8/243621cee6f0d33c160cba8f66a78eba.jpg)
ふちはこのように折り返してとめているだけです。桧のヒデでは、おそらく強度が足りず、何かに当たると痛んでしまいそうですが、カエデのヒデは丈夫そうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/92/8ccf8631612344d47381c1a529f381cb.jpg)
中心部は、宮笠に似ています。カンバ(ヤマザクラの皮)で補強するところも、(2本か3本かの違いはありますが)似ています。端をカールさせているのは、デザイン的に愛嬌がある感じを受けますが、何か意味があるのかもしれません。
よく見ると、ちょうど円錐部分はベースの笠に被せ笠が乗っていて、2重構造になっています。強度のあるヒデを二重にしているので、円錐部分はかなり丈夫です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/49/f40b28ef833bd4ed5fb2ac3e17e38166.jpg)
中心部を裏返すと、ツルが円形に編みつけてあり、頭に固定するための紐を結ぶようです。宮笠でいう「緒たて竹」ですね。
それと、見てわかるように宮笠には放射状にある骨が、板笠にはありません。それでもヒデの強度のおかげで、しっかりした笠になっています。(そのため、宮笠に比べると多少重くなっています)
板笠に関する記述で、休憩時に尻に敷くこともあったとのことですが、この強度があれば納得です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/7a/fa64b3cdb38679ee90eb9a53cf014cd3.jpg)
編み目は、基本は宮笠と同じで「3枚綾」。直行するヒデを3枚くぐって3枚上を通る、と繰り返す形式です。
ですが、よく見ると六角形の外周のうち長めの3辺のふち近くは、2枚飛ばしの「2枚綾」になっています。宮笠でも、セミ笠の外周部分は2枚綾になるのですが、問坂さんの話では、2枚綾は編み目がしっかりするので緩みにくいとのことなので、板笠でも緩みにくくしっかり編むために2枚綾にしているのかもしれません。
ヒデは、一本一本裂いて作るため太さが多少異なっていますが、厚みはそろっています。裂くときに力加減に気を配らないと、こうはいかないでしょう。宮笠のヒデも昔は手作業で作っていたとのことなので、どんなヒデになるのか興味があります。
今回は、実物を目にして気がついたことなどを書き綴りましたが、シンプルな造りや今でもほぼ手作業だけで笠が作られているなど、とても興味深い笠だと思いました。各地の笠の原型に近いような感じもします。
どのようにして板笠が作られるようになったのか、また他の地域の笠とのつながり、材料のとり方や加工など、気になる点がたくさんあります。佐治町では、製作技術をまとめた資料を作成中とのことなので、それが完成したらぜひ見てみたいものです。
あと、できたら現地の製作者をたずねて、お話を聞いたり製作風景を見学できたら、と思いました!