飛騨の自然と巨木に親しむブログ

飛騨をうろうろぐるぐる歩き、飛騨高山の自然と巨木をご紹介します。あと、宮笠、登山、トレランのネタなども登場します。

北鎌尾根~槍ヶ岳、行ってきました。ー新穂高から1泊2日(その2)ー

2014-10-26 23:53:41 | 登山
(その1からの続き。→その1はこちら

 明けて12日。4時起床。10時間ほど眠ったおかげか、疲労はそれほど残っていない感じです(それほどはないけど、残ってはいるということで…)。外は静かで、薄いツェルト越しに月が明るく中を照らしてくれていました。

 お湯を沸かし、コーヒーとラーメンの簡単な朝食をとっていると、外で人の声が。他のパーティも動き出しているようです。

 5:00、ちょっとだけ空が白み始めたところ、ヘッドライトをつけて出発。北鎌沢を遡上します。

 始めのうちは水がなく、積み重なった岩を乗り越え乗り越え登っていきます。やがて水が現れ、まあまあの水量になってきました。

 30分ほど登ると、左股と右股の分岐に到着。このころには周りもある程度明るくなり、上部の目指すべきコルが見えていました。
 右俣は、全然水がなく、暗闇やガスっているときには見落としてしまうかもしれないな、と思いました。(実際、分岐を見落として左股に入り、遭難するケースも多いとか)ハイドレーションに水(後でよく見たら小さな水生昆虫が泳いでいた…)を補給し、右股へ出発。


(分岐。ちょっとわかりにくかったです。)

 しばらく登ると、5,6人のパーティに追いつきました。ガイドさんとお客さん、という感じの一行でした。

 さらに登っていくと、岩だらけの谷から、草付きの渓になってきます。このあたりでふと気づくと、左に並行して谷がありました。もしかして、そっちがルート?と、藪と突っ切って念のため確認に行きました。でも、たぶん元のほうが踏み跡がはっきりしていると判断し、元に戻って登り再開。
 やがて進行方向のコルに、V字樹形のダケカンバが見えてきました。どなたかのブログで、これを目印にするといい、と書いてあったので、目指して登っていきました。
 最後に二手に分かれていたところも、ダケカンバを目指し左に。

(実は、最後は右だったかも・・・)

 7:00、コル到着。でも、事前に調べていたコルの雰囲気と違い、ずいぶん狭い。最後の分岐で右に行くと、広いころだったのかもしれません。まあ、気にせず休憩し、先に進みます。なんといっても、これからが北鎌尾根!ですから。


 バリエーションルートとはいえ、人気の北鎌尾根。踏み跡はまあまあはっきりしています。多少迷う場面はありましたが、何とかなりました。
 たぶん、「天狗の腰掛」とか呼ばれるところをふくめ、いくつかの小ピークをすぎると、やがて「独標」が見えてきました。
 今回の山行で気がかりなことが二つあり、一つが独標のトラバース。どこで上を目指すかが判断できるかどうか、ちょっと心配でした。さて、自分の判断を試す時が迫ってきました。


 8:30、独標の基部に到着。有名なギャップがありました。足元がすっぱり切れ落ち、スリル満点です。岩にフィックスロープが張ってあり、普段なら使わずに行きたい、といいたいところでしたが、足元がザレていてやばそうだったので、フィックスにスリングを掛けてそれを持ちながら渡りました。これ以上ザレていったら、渡るのが難しくなりそうでした。 


 そこを越えた先は、しっかりした踏み跡があり、独標の基部をトラバースしながら進みます。とはいえ、いつ落石が起きてもおかしくない場所ですので、足早に進みます。

 いくつか、独標に登れそうなルンゼがありましたが、結構急でやばそうでした。やがて、前方に小リッジが見えてきました。ここからなら登れそうかもしれません。と、その時、これも有名な飛び出した岩のところがありました。したをくぐるように通過します。
 その先に、さっき目星をつけたリッジがあり、いけそうだ、と判断し独標のピークを目指しました。

 ところどころに踏み跡があり、ちょっとほっとしながら登ります。浮石があることを除けば、私のクライミング技術でもなんとか行けるところでした。逆に、大きな岩でもぐらぐらするものがあり、手足の置き所を慎重に吟味しながら、一歩一歩進みました。

 8:55、独標のピークに到着。トラバースしすぎるとピークも通り過ぎると聞いていたので心配でしたが、ピークに立つことができました。そこからは、これから目指す槍ヶ岳が、ドーンと見えていました。


 そこからは、何度も登ったり下ったりを繰り返します。なるべく巻き道は使わないようにして、直登・直下降を心がけました。やばそうなところは巻きましたが・・・
 途中、男女3人組の山慣れたパーティーに追いつき、また追い越されました。巻き道を行く3人を、稜線をたどって追い越すとき、巻き道で落石の音がしてちょっと心配しましたが、無事だったようでした。

 大好きな岩稜ですが、そろそろ飽きて(?)来たころ、前方に北鎌平と思われる平地が見えてきました。このあたりからの槍ヶ岳は、岩のカタマリ感がすごく、迫力を感じました。


 ここからは、槍ヶ岳への最後の登りが始まります。岩が折り重なる尾根も傾斜が増し、足元では時々岩どうしがぶつかる「ゴッ」という音が響きます。
 今回で二つ目に気がかりだったことは、クライミングに行き詰った時、どう下るか、でした。それ用に補助ロープも用意しましたが、何とかお世話にならずに、ところどころひやひやするクライミングで登っていき、事前に情報収集したルンゼや、木の杭(だいぶ左手に見えていましたが…)などを通過しました。

 11:30、山頂到着。先行した3人パーティが記念写真を撮っている祠のわきに出ました。
 念願の北鎌尾根、ようやく(途中からですが)登ることができました。
 山頂からの景色は、快晴だった9月23日の時とほぼ同じですが、季節が進み紅葉も終わりかけているようでした。


 12:00、槍ヶ岳山荘。御嶽の噴煙はまだ出続けています。


 槍ヶ岳山荘からは、飛騨沢を下ります。
 ガレ場についた道を、ガンガン下っていましたが、やがて足の痛みが・・・まだ相性があっていないのか、右の小指と左のくるぶしが痛みます。ひもを締めなおしたり、緩めたりしながら、痛くないように下りました。紅葉がきれいでしたが、痛みであまり鑑賞するゆとりがなくなっていました・・・。

 15:00、滝谷通過。奥の滝には、まだ雪渓が残っていました。


 17:05、夕暮れの新穂高に到着。でも、まだこれから駐車場までの登りが…。薄暮時は特にクマが出やすいので、ひやひやしながら鈴を振り回して、疲れた体を鍋平園地無料駐車場まで引き上げ(標高差150mほどあった…)ました。
 車にたどり着いたのはすっかり暗くなった6時。あー疲れたー。よく頑張った、自分。

 長年の課題であった北鎌尾根を登り、次は奥穂南陵、前穂北尾根あたりを狙いたいところです。今年はもう雪が降るので、来年ですね。(冬は冬山の楽しみもあるし。)

北鎌尾根~槍ヶ岳、行ってきました。ー新穂高から1泊2日(その1)ー

2014-10-19 23:52:33 | 登山
 子供時代に山を走り回って遊んでいたことを除き、そもそも「山登り」を始めたきっかけは、花・植物の写真を撮ることでした。
 その後、山に登ること自体が目的(冬山など厳しさを求める登山)となったり、子供時代に戻ったように山を走ることが目的(トレランなど)となったり、仲間と飲むために登ったりと、私にとって山に求めるものは様々です。
 
 今回挑戦した北鎌尾根は、山に登ることを目的とした登山のうち、「こんなところを行けるようになりたいなぁ」とあこがれていたルートの一つで、地元の山岳会に入った理由も、そのための技術を磨きたいと思ったことでした。山岳会の先輩や仲間の話を聞くうちに、あこがれの部分はそれほどなくなってきてしまいましたが、自分の登山の技術などを確かめるのに適したルートとして、ようやく挑戦する日を迎えました。

 行程は、10月11日に新穂高温泉から入山し、槍平、槍ヶ岳山荘を経由し東鎌尾根に入り、水俣乗越から登山道を外れて天上沢を下り一泊。
 12日に北鎌沢を遡上して北鎌尾根に取り付き、槍ヶ岳を越えて新穂高温泉に下る、というものです。
 天気のいい2日間を確保することが夏以降なかなかできなくて、今になってしまいました。しかも、13日には接近する台風の影響で雨が降り始めるとのことなので、なんとしてでも12日には下山したいところでした。

 11日、3連休の初日ということで新穂高の無料駐車場も混みそうな感じでしたが、ちょっと寝坊して6時ごろ到着。すると案の定、つい今しがた満車になったとのこと。日帰りなら有料駐車場も、と思いましたが2日間ということで、係員さんに無料のところを聞くと、車で10分くらいのところにある鍋平園地無料駐車場を紹介されました。そこに置くと、新穂高バスターミナルから行きで30分、帰りは40分くらい余分に歩かなければなりませんが、寝坊したむくいですね…。
 駐車場から30分ほど下って、新穂高バスターミナルにおよそ7時。登山届を提出し出発しました。快晴の空のもと、笠ヶ岳が光っていました。


 9時、滝谷出合。夏の豪雨で渡渉しようとした3名の方がなくなったところです。その日、職場の仲間と新穂高から雨と沢の増水に悩まされて双六小屋に向かい、小屋でその遭難の話を聞いたのですが、今日の滝谷は水量も少なク、穏やかな流れでした。


 槍平を過ぎ、登山道の傾斜が増していき、ダケカンバ林のジグザグ道を登ると視界が開けます。東鎌尾根・千丈乗越への道への分岐に到着しました。11:17。


 12時45分、槍ヶ岳山荘に到着。先日の槍ヶ岳~双六小屋周遊の時と比べ、荷物が多い割にややいいペースです。1時まで休憩。ここから一応ヘルメットを着用しました。他の登山者の方にもちらほらかぶった方がいました。


 実は、東鎌尾根も今回初めて。侮っていましたが、結構な岩場やはしご場があり、思った以上に苦戦しました。


 やがて水俣乗越到着。最近遭難した方があったとかで、関係者の方らしき10名ほどの団体さんが滞在していました。


 水俣乗越から北を見ると、天上沢。ここからは登山道を離れ、自己責任・自己判断の世界です。気を引き締めて、ざれざれの谷を下っていきました。14:30。


 結構厳しい下りでしたが、遅くまで残っていた雪渓のためか、まだウサギギクが一角だけ咲いていました。ちょっと心が和みました。


 だいぶ下ると、大きな丸岩がかさなる枯れ沢になります。ふと左を見上げると。槍ヶ岳のシルエットが。斜光が射す中の黒々とした槍ヶ岳はかっこよかったです。その後左から水のある沢が合流しますが、それも伏流し、岩だらけの川床を下っていきました。


 16時、北鎌沢出合に到着。他に4組10余名の登山者がいました。
 ツェルトを張り夕食の準備。でも水がありません。さっきの水があったあたりまで戻ろうか、とも思いましたが、けっこう遠い・・・。ふと思いつき、明日の朝のことも考え、北鎌沢の水の状況を調べに遡上してみました(一応プラティパスをもって) すると100mほど登ったところで水が出ていました。下っていくと他の登山者に水の様子を聞かれたので答えると、みんな水を汲みに行っていました。
 山の端にちょっと見える槍の穂先を見ながら、コーヒーを飲んでからアルファ米と麻婆ナス丼をビールで流し込み、6時前には就寝。けっこう疲れたのかぐっすり眠りました。背中のデコボコやちょっと寒いこともあり、夜中何度か目を覚ましたが、ツェルトの外がかなり明るく見えました。月のあかりです。見に起きようかな、とも思いましたが、疲れていたこともあり、まあいっか、と、4時の目覚ましまで再び就寝しました。


(その2に続く・・・)

奥穂高岳に行ってきましたー新穂高から新しい登山靴の足慣らしに。

2014-10-15 01:10:29 | 登山
 前回、長年連れ添った登山靴を買い替えた、とお話ししたところですが、替えてからまだ山に登ったことがありませんでした。
 そこで、9月29日、岩稜歩きで靴を足に馴らそうと、新穂高から奥穂高岳に向かいました。本当は、奥穂から西穂への縦走をしたかったのですが、朝ちょっと寝坊をして、奥穂高岳だけの行程になりました・・・。

 朝7:00、新穂高の無料駐車場を出発。新穂高センターに登山届を投函。近道で穂高平小屋を通り白出出合から奥穂高を目指します。

 9:40、重太郎橋を渡り、岩壁につけられた水平歩道を通ります。右側が切れ落ち、スリルがあるコースです。



 沢を渡り、樹林帯の中を標高を挙げていくと、やがて白出沢にでます。このあたりから、笠ヶ岳などの展望がよくなり、ウラジロナナカマドやダケカンバなどの紅葉もきれいになってきました。
 しばし景色を眺めながらの登高となます。







 やがて岩の折り重なった白出沢の上部に至り、前方上方に穂高岳山荘が見えてきました。でも、登れども登れども小屋が近くになりません。
 一歩一歩歩いて、12:15にようやく小屋にたどり着きました。天気がいいこともあり、結構な人でにぎわっています。



 左に目をやると、前穂北尾根。いつか登ってみたいところの一つです。


 尾根の下方を見おろすと、涸沢の小屋とテント群が、はるか下方に見えました。あそこにはまだ行ったことがありません。混んでそうで…



 そこからはしごを登りついで、山頂を目指します。いよいよ岩稜帯歩きに入ります。靴は右の小指が痛いのと、くるぶしが周りのパッドに当たってちょっと痛い感じですが、歩いた感じはまあまあです。しっかりグリップしてくれ、ぐいぐい登っていけました。

 だいたい13:00に山頂到着。方位盤にも祠にも人が取り付いています。

 北を見ると、はるか遠くに槍ヶ岳の尖塔が見えます。あそこの北鎌尾根も、いつか行きたいコースの一つです。





 下りは順調で、新穂高の無料駐車場に16:40にたどり着きました。ザックは、ミレーのマルシェ24ℓ、荷物を絞ったのでこれで十分でした。白出上部からはヘルメットをかぶって行きました。

 

 今回初の登山靴、軽快に飛ばせました。が、初めてということで小指が当たるのはもうしばらく我慢しないと解消されないのでしょうか・・・
 前の登山靴も、初めは靴擦れがおさまらず、時間をかけて足になじんでいきました。今回の靴はどれくらいで馴染んでくるでしょうかねぇ・・・。

登山靴を新調しましたー ダナーのピークポイント ハイカー プラス

2014-10-06 00:58:52 | 登山
 台風が近づいているようですが、みなさんのところはいかがでしょうか。高山は雨がちょっと降っていますが、まだあまり影響がないようです。これから雨が強くなる予報とのことですが、8月の災害のようなことにならなければいいです…。あと、御嶽の救助活動に影響がなるべくでないといいですね。

 さて、先日槍ヶ岳の下りで、20年ほどはいた軽登山靴がズリズリ滑ったことから(ほとんどソールのデコボコがすり減って平らになっていました…)、靴を新調することにしました。

 ちょっと足を延ばして富山のマンゾクスポーツに行き、用途を話していくつか候補をあげていただきました。試着して決めたのが、ダナーのピークポイント ハイカー プラス。



 ワークブーツで知られるダナー社は、登山靴ではいまいちの評価を耳にしますが、こちらの靴は程よい重さとがっしりしたソール(ビブラム社製)で、岩稜歩きにも対応できます。また、個人的には初めてのゴアテックスブーティということもあり、濡れない靴&蒸れない靴もどんなものか楽しみでした。

 靴の性能を確かめつつ、足に馴らさなきゃということで、奥穂高岳に行くことにしました。あわよくば西穂高岳まで縦走を、と思ったのですが、体力が持たず、奥穂ピストンになってしまいました・・・。

 紅葉がきれいだった、白出沢からの奥穂高岳ピストンの話はまたこの次に・・・