飛騨の自然と巨木に親しむブログ

飛騨をうろうろぐるぐる歩き、飛騨高山の自然と巨木をご紹介します。あと、宮笠、登山、トレランのネタなども登場します。

雪山レスキュー講習会に参加しました。(その1)

2009-01-29 00:29:01 | 山岳会
 最近は、朝晩はマイナスになるものの、昼は気温が上がり、雪もだいぶ溶けてきました。もう少し雪が積もったら、位山に遊びにいこうと思っているのですが、なかなか積もりません。

 さて、前回予告しましたが、去る1月24・25日の土日に標題の講習に参加してきました(主催:岐阜県山岳連盟 会場:乗鞍青少年交流の家)。折りしも飛騨では「二十四日市」の日で、また選挙もあり、行事が重なった日でしたが、ちゃんと技術を学ぶ機会は貴重なので、他の予定を調整し、参加してきました。冬山は、本などの情報をもとに我流で登っていましたので、雪崩の起き方やメカニズム(表層or全層雪崩とか弱層とか)や雪洞の掘り方など、ちゃんと学んでみたかったという思いがもともとあったのです。
 講習は、基礎コースと応用コースがありましたが、私は当然基礎コース。内容は、雪崩の基礎知識と雪崩発生時の遭難者捜索の流れ及び捜索方法です。

 初日は、まず雪原を掘り下げて、雪の断面を観察しました。地層のように降った雪が層状に積み重なっています。雪の断面に、表面から下方にかけて1cmおきに指先を突き立ててみると、柔らかくて指が刺さる所と硬くて刺さらない所があります。

 雪が溶けた後に冷え込むと表面が凍りつき硬い層ができるのです。断面の様子から、これまでの雪の降り具合と溶け具合が推測できるのです。次は雪の断面の近くで、人がジャンプして、小さな雪崩を起こす「ジャンプテスト」。2人並んで断面に徐々に近づいて、小さくジャンプします。すると、表面から約50cm下の雪の面で雪の層がずれて崩れました。このずれる層を「弱層」と呼びます。

 次に直径30cm位の雪の柱を手で掘りだし、その柱をずらせる「弱層テスト」。上の方から下にかけて、柱を引き寄せると、ジャンプテストと同じ深さの辺りでずれました。

 この弱層に力が加わると雪の層がずれて雪崩になるとの事です。弱層の雪を少し手にとってルーペでのぞくと、雪の結晶が溶けてかたまったように粒状になっていました。これがベアリングのような働きをして層の上の雪が雪崩になるのです。

 この後、雪崩に遭遇して埋もれるとどうなるかを体験する「埋没体験」!にチャレンジしました。希望者だけが埋没させていただけるということで、一番に手を上げて埋めてもらいました。体が入る程度の穴を掘り、頭のところには小さな横穴(ここが空気穴になります)を作ります。

 ブルーシートを敷いて横に伏せ、上からもブルーシートでくるまれました。その後、他の参加者が雪を穴のなかの私めがけて投げ込みます。頭は横穴に入れているので雪はかからず、万一に備えてトランシーバーも持って埋められました。だんだん雪の重さが体を圧迫してきて、白っぽかった周りの雪面もだんだん暗くなってきました。穴は1m程度で、埋没したのは70cmくらいの深さだと思いますが、ぜんぜん身動きできない重さです。おなかが圧迫されて呼吸も困難になりました。「プローブで突付きますよー」トランシーバーでそう告げられると、背中などに突付かれる感触が・・・。後で交代してやってみましたが、何かあると雪とは違う感触(人は柔らかい感じ)がしました。

 埋もれた人を捜索するときには、この感触を敏感に感じ取る必要があります(なるべく遭遇したくないですが・・・) (つづく)
 

冬山レスキュー講習会に行ってきます

2009-01-24 00:11:49 | 山岳会
 今日は、日ざしが暖かで、雪もとけていました。明日からはまた冷え込んで、雪が降るようです。もうちょっとまとまった雪が降ると、冬らしくていいのですが・・・。

 明日から、乗鞍青少年交流の家で「冬山レスキュー講習会」があり、参加してきます。今後、危険な冬山に行くかどうかわかりませんが、冬山は夏山に比べて冬ならではの危険が多いので、何かあったときに対処できるように、ということで参加することにしたものです。確か、昨年末に飛騨山脈の抜戸岳で雪崩に巻き込まれた登山者も、まだ見つからないままだったと思います。講習では、雪崩対策(雪崩にあわないように&雪崩に埋まったらなど)も習うのでしょうか。
 どんな講習会か?どんな先生か?不安ですが、技術を身につけてきたいと思います。
 無事帰ってこれたら(?)、また報告します。

穂高~槍ヶ岳登山 その7 完結編

2009-01-11 23:46:42 | 宮笠で登山
 3連休は、冬らしく寒い日となっています。あまり積もってはいませんが、雪が降ったり止んだりしています。

 昨日はサタデーサークルで、宮の子供たちをつれて、ふるさと地学講座「位山分水嶺のなぞ(講師・岩田修氏)」を聞いてきましたし、今日は岐阜県植物研究会の総会&講演会で「岐阜のアザミ(講師・門田裕一氏)」などを聞いてきまして、知的好奇心が大いに刺激された2日間でした。明日は・・・のんびり本でも読もうかなぁ・・・。

 さて、ようやく完結にこぎつけることとなりました。長かった・・・。
 槍ヶ岳の山頂で至福のときをしばらく過ごした後、下山ルートをたどりました(槍ヶ岳の山頂周辺の登山ルートは、渋滞を防ぐためだと思うのですが一方通行になっているのです)。小屋の手前に、双六岳方面に伸びる西鎌尾根の分岐がありました。またいつかたどってみたいルートです。飛騨乗越まで戻り、行動食を食べて小休止し、ザックに残った余分な水を捨てました。後はひたすら下り、槍平を経て新穂高温泉を目指します。下りのルートは、岩屑の堆積した広くカーブした斜面(カール地形?)をジグザグに降りていきます。


 下っていくと、花は終わりかけでしたがお花畑があり、所々残った花がきれいに咲いていました。タテヤマリンドウ、ミヤマアキノキリンソウ、トリカブトsp.、クロトウヒレン、サワアザミ、オヤマリンドウなどが、下る道沿いに次々に現れました(種名はちゃんと同定していないので間違っているものもあるかもしれません。悪しからず…)。
     

 また、ベニバナイチゴの実を口に入れてみましたが、まだ時期が早いのかかなり酸っぱかったです。そのほか、イワオトギリなどの草紅葉もきれいでした。
 

 この辺りから、帰りの時間が気になり始めました。初日に新穂高ロープウェイの中間駅の上に車を置いたので、新穂高に到着した後、中間駅まで移動しなくてはなりません。ロープウェイの最終便の時間に、のんびり下っていると間に合わなくなりそうです。しかも悪いことに、左足のひざがちょっと痛み始めました。歩き方を工夫して、何とかだましだまし下りました。
 途中、左手の小さな沢の岩の間から湧き水が出ていました。手をつけてみると、冷たい!飲んでみるとキーンと冷えたおいいい水でした。ちなみに持っていた温度計で測ると、水温は5度。天然の冷水です。
 

 一息ついて下りだすと、カニコウモリやハクサンカメバヒキオコシの花、実になりつつあるキヌガサソウなどがありました。
  

 さらに下ると、ロッククライミングで滝谷を有名にした藤木氏のレリーフがありました。

 山岳会でザイルワークを学んだら、一度は滝谷にも行ってみたいものです。そして、滝谷出合いから、滝谷を見上げてきました。

 どんどん下って、林道に出てからは、左足の痛みをかばいながら走ったりして、何とかロープウェイに間に合いました。

 そして、前に登場した飛騨牛コロッケ(閉店間際で半額でした!ラッキー!)を食べて、車に戻ったのが17時でした。


 ここ数年は一泊2日ばかりで、2泊3日の山行は久しぶりでしたので疲れました。また、原稿も半年に渡り疲れました。(読んでいただいた方も長い間お疲れ様でした!)
 さて、次は冬山登山の様子の原稿になるかなぁ・・・。

 参考コースタイム 飛騨乗越(11:15) → 槍平山荘(13:10) → 滝谷出合(13:40) → 新穂高ロープウェイ(16:00)

穂高~槍ヶ岳登山 その6 槍ヶ岳まで

2009-01-04 00:07:03 | 宮笠で登山
あけましておめでとうございます!

 年末にまとまって降った雪も一段落、大晦日の地元地区のミニ花火大会に降り始めた雪も、今日まで降ったり止んだり。時折日が射す穏やかな正月を迎えています。のんびりと、読めなかった本を読んだり部屋の片付けなどをして過ごしていますが、あさってからはまた仕事三昧の日々が始まります。
 本年も、ぼちぼち記事をアップしますので、よろしくお願いします。

 9月16日、超久しぶりの山小屋泊で体力回復した私です。5時前に起床。天気はちょっと雨が残ってぱらついています。次第に天気は回復する予報なので、手早く朝食を済ませ、6時に小屋を出ました。

 今日はいよいよ大キレットを越えて槍ヶ岳に向かいます。
 小屋を出るとさっそく急斜面(というか垂直の岸壁)の鎖場が続きます。雨で濡れた岩は滑りやすいこともあるので慎重に下ります。進行方向の右手は草付の斜面ですが、右は「鳥も通わぬ」といわれた滝谷のものすごい岩場です。見下ろしては気を引き締め、進んでいきます。
  
 気を緩めるとケガをしそうですが、3点確保をしつつ慎重に行けば大丈夫。途中のナイフリッジ状のところには、木の階段(渡り廊下?)がつけられ、通りやすくなっていました。途中で振り返ると、北穂高岳山頂付近に小屋の赤い屋根がちょっと見えました。

 大キレットを通過した頃、雨は上がり晴れ間も見えてきました。最低地点辺りで雨具を脱ぎ、行動食を食べて一息つきました。ここからは南岳への登りです。結構急なハシゴ場などもありますが、慎重に進み無事クリア。南岳小屋前ではバイオトイレが設置してありました。

 北穂高小屋もそうでしたが、最近はバイオトイレなど環境に配慮したトイレになっています。今までと比べればよくなっていくのでしょう。小屋からひと登りで南岳(3,032.7m)の山頂です。

 ここからは難しいところはあまりなく、ひたすら槍ヶ岳を目標に稜線歩きです。
 途中、左下には、飛騨沢の槍平小屋が見えました。去年の冬だったか、奥丸山方面からの雪崩で、小屋近くにテントを張っていた方が亡くなったところです。

 また右に目をやると、槍沢から越える天上沢に水俣乗越(写真矢印)が見えました。いつかあそこを越えて(写真の右から左へ)、天上沢から北鎌尾根を登るのが夢というか課題です。

 さて、中岳(3,084m)と大喰(おおばみ)岳(3,101m)のピークを踏み、
 
 飛騨乗越(ひだのっこし)に到着しました。
 ここまでで、昨日の疲れも合わさって、体力に余裕がなくなってきました。今日、双六岳方面まで体力に余裕があれば行って、あさって下山と思っていたのですが、槍ヶ岳に登って今日下山することにしました。ここにザックをおいて、空荷で槍の穂先を目指します。
 槍ヶ岳山荘前では、小屋の大勢のスタッフが10時のおやつでスイカを食べる横を通って、穂先の根元に到着。

 いよいよ今日のハイライトです。空荷ということもあって、割合スムーズに登れ、鎖がある箇所もそれを頼らず岩をつかんで登りました。右手には小槍がそびえています。

 最後のハシゴでちょっと先行者を待って、槍ヶ岳山頂!(3,180m)

 山頂では数名の方が、周りの景色に感動し、写真を撮っていました。私も行ってみたい北鎌尾根方面(独標がかっこいい)、雲の平方面(新婚旅行で行ったアラスカを彷彿とさせる風景があるとか)を眺め、秋晴れの空のもと、槍の穂先のひと時を過ごしました。  


参考コースタイム 北穂高小屋(6:00) → 南岳(8:30) → 中岳(9:25) → 大喰岳(9:50) → 飛騨乗越(10:05) → (槍ヶ岳往復) → 飛騨乗越(11:15)