三浦 明博 著 「滅びのモノクローム」を紹介します。
骨董市で買った古い釣り用リール。
それと共に入手した柳行李(やなぎごうり)に昔のフィルムが入っていた。
好奇心に駆られたコピーライターの日下哲は、フィルムの再現を試みる。
過去の映像が現代に蘇ったその時、日下の周りでは不穏な動きが…。
1個のリールが結ぶ過去と現代。
日本人が封じてきた忌まわしい出来事は、今もなお、人々の心の奥底に澱(おり)のように潜んでいた。
古い一本のフィルムから、闇から闇へと葬り去られんとしていた歴史の暗部が浮き上がり、白日の元にさらされてゆく・・・。
2002年度 江戸川乱歩賞受賞作。