曽根 圭介 著 「鼻」を読みました。
人間たちは、テングとブタに二分されている。
鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。
外科医の「私」は、テングたちを救うべく、違法とされるブタへの転換手術を決意する。
一方、自己臭症に悩む刑事の「俺」は、二人の少女の行方不明事件を捜査している。
そのさなか、因縁の男と再会することになるが…。
「暴落」、「受難」、表題作「鼻」を含む三作からなる短編集です。
表題作の「鼻」は第14回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞しました。
どれもホラーという程怖くはありませんが、それぞれに独特の雰囲気のある作品ばかり。
世にも奇妙な物語と云った感じですが、その全部が後味が悪い・・・。
それでも、先が気になって読まずにはいられない!!
短編なのでさくっと読めます。
この小説の満足度:☆☆☆☆
D1 警視庁暗殺部」を読みました。
法で裁けぬ悪人抹殺を目的に警視庁が極秘に設立した“暗殺部”。
射撃の名手・周藤一希、刃物遣いの天才・神馬悠大ら精鋭を擁する。
東京・吉祥寺の放火事件で遺体からエボラウイルスが検出された。
防犯カメラに映っていたのは白ずくめの集団だった。
さらに現場では女性の誘拐が判明―
やがて暗殺部が仕掛けた罠に獲物が掛かった時、恐るべき真の黒幕が浮上した!
人気作「もぐら」シリーズに続く、新シリーズの第一弾!と云う事で読んでみました。
”桜の名の下、極刑に処す!”・・・という決め台詞は現代版の遠山の金さん!
さらに、法では裁ききれない巨悪を退治するストーリーはまさに現代版の必殺仕事人です!!
登場キャラもそれぞれに個性的、魅力的です。
「もぐら」に比べて、いまいちハラハラ感には欠けましたが、このシリーズの今後の展開が楽しみです。
この小説の満足度:☆☆☆
「小さいおうち」を読みました。
昭和11年、田舎から出てきた純真な娘・布宮タキは、東京郊外に建つモダンな赤い三角屋根の小さな家で女中として働き始める。
家の主人で玩具会社に勤める平井雅樹、その妻・時子、2人の5歳になる息子の恭一とともに穏やかな日々を送っていた。
ある日、雅樹の部下で板倉正治という青年が現れ、時子の心が板倉へと傾いていく・・・。
それから60数年後、晩年のタキが大学ノートにつづった自叙伝を読んだタキの親類・荒井健史は、それまで秘められていた真実を知る。
山田洋次監督によって映画化されたと云う事で読んでみました。
山田監督の作品と云えば”泣ける話”だろうな~、なんて勝手に想像して読み始めましたが・・・
戦前~戦後までの市民の生活が意外に淡々と描かれていました。
戦時中の話もさらりとしていてほどんど暗い影が感じられません。
ひっそりと静かに進行してゆくストーリーは、”久々に文芸作品を読んだな~!”と云う感じです。
第143回(平成22年度上半期) 直木賞受賞作
この小説の満足度:☆☆☆☆
首藤 瓜於 著 「指し手の顔 脳男Ⅱ」を読みました。
元関取が愛宕市内で突然暴れて多くの死傷者を出し、精神科の入院歴が問題にされた。
他にも事件を起こした元患者たちが揃って直前に行方不明になっており、精神科医の鷲谷真梨子は患者の話から監禁に使われた小屋を探しあてた。
が、事件の鍵を握る医療ブローカーと小屋を監視していた刑事二人が殺される・・・。
映画化もされた『脳男』の続編です。
前作から1年後の話。
舞台は前作と同じ愛宕(おたぎ)市。
登場人物も刑事の茶屋、精神科医の鷲谷真梨子、そして脳男こと鈴木一郎。
三者それぞれに異常な連続殺人事件の真相に迫ってゆくと云うストーリーですが・・・
肝心の脳男の出番が少なすぎます!
前作を読んで期待度が大きかっただけに、がっかりでした。
この小説の満足度:☆☆
藁にもすがる獣たち」を読みました。
大金の入った忘れ物のバッグをネコババしようとするサウナで働く初老の男。
暴力団に2000万円もの借金をして返済に窮する悪徳刑事。
FXで失敗した借金を返すためにデリヘルで働く主婦。
金の誘惑におぼれ、犯罪に手を染めていく獣たち・・・。
追い詰められて、破滅への道を突き進む彼らを待ち受ける驚愕の結末とは?
一癖も二癖もある三人が繰り広げる物語。
それぞれにストーリーが展開されていきますが、最後はみごとにまとまります。
最後に笑うのは一体誰なのか、それとも全員破滅なのか。
テンポの良い描写にぐいぐいと引っ張られて・・・
最後は、見事に予想を外された!!
この小説の満足度:☆☆☆☆
シャイロックの子供たち」を読みました。
ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。
女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪…!?
“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績…
事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。
銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇。
架空の都市銀行の大田区にある東京第一銀行長原支店に勤める行員たちの姿を描く短編集です。
副支店長や女子行員、新人、検査部員、パートタイマーなどそれぞれ別な主人公の短編が10話収録されています。
傍から見ると整然としているかに見える銀行も、出世、地方転勤、社内恋愛、ノルマ達成など中ではいろいろあって・・・
銀行員って結構大変だな~!、なんて読んでいると・・・・
あれ、あれ、あれ~!
最初は別々の話かと思い読んでいたのに、最後はつながって・・・
こう云うオチかよ!!
流石は、半沢直樹!? 面白い!!
この小説の満足度:☆☆☆☆
偽りの血」を読みました。
最愛の兄の自殺から六年、ライター深沢の前に兄の妻と名乗る女性・朱実が現れる。
そして、自殺の三日前に結婚していたこと、多額の保険金がかけられていたことを知る。
保険金の受取人だった実父、朱実を連れてきた弁護士、担当刑事だった元同級生…。
ひとり真相を探り始める深沢の元に、死んだはずの兄から一通のメールが届く。
これまでに読んだ笹本作品の中では『天空への回廊』、『フォックス・ストーン』、『太平洋の薔薇』、『グリズリー』、『極点飛行』などいずれもスケールの大きい冒険・謀略小説でした。
本作はそんな冒険小説のような派手さはありませんが、じっくりと読ませるハードボイルドなミステリー小説です。
フリーライターの深沢章人が兄の死の謎を解明する中で次々明らかになる驚愕の事実。
なかなか面白い!
さらに、結末に向けて物語は加速する・・・。
おっと! ラストがこれか・・・。
読後感は爽快!と云う訳には行きませんでした。
この小説の満足度:☆☆☆
もぐら 凱(上・下)」を読みました。
驚異的な戦闘力を有する敵の前に、次々と倒される“モール”専従員。
新たに管理官に就任した小山田が強固な捜査を続ける一方、東京に戻った竜司は楢山とともに敵を追いはじめた。
だが、国会議事堂にはロケット弾が撃ち込まれ、日本全土で多国籍軍が蜂起した。
国家を、愛する者を守るため、竜司が最後の闘いに挑む!
『もぐら』シリーズの完結編です。
シリーズ全七作いずれもストーリーは単純明快ですが圧倒的な強さで悪を挫く"もぐら"に魅せられました。
本作はこれまでに竜司と一緒に数々の事件の捜査にあたってきた古谷や垣崎までもが謎の無国籍集団に倒されます。
沖縄で静かに暮らしていた竜司が再びモールへ復帰し、真相解明に乗り出すが、さらに、全国で同時多発テロが発生する・・・。
いやいや、えらいこっちゃ~!!
竜司は大丈夫か~!!
終盤の戦闘シーンが圧巻です!!
そして、ついにラストには・・・・。
この小説の満足度:☆☆☆☆
福澤 徹三 著 「東京難民」を読みました。
時枝修は、東京郊外にある私立大学の三年生。
夏休み明けにクラス担任から告げられたのは、学費未納で除籍になるという寝耳に水の事実だった。
北九州の実家では、借金を抱えた両親が失踪。
貯金はないに等しい。
アルバイトを転々とする中、家賃滞納で住居も追い出されてしまう。
追いつめられる修。
だが、それはまだ、底なしの貧困と孤独への入口に過ぎなかった―。
福澤作品を読むのは「すじぼり」、「真夜中の金魚」、「壊れるもの」、「Iターン」に続いて5作目です。
いずれの作品もどん底まで落ちてゆく男たちが描かれています。
その落ちっぷり?が良く、アッと云う間に読了してしまいました。
今回の主人公は親元を離れて東京近郊の三流大学に通い、普通の暮らしをしていた21歳の大学生です。
親が事業に失敗して借金を抱えて失踪した事から突然仕送りが途絶え、大学を除籍される。
最初のうちは「何とかなるさ」とタカをくくっていたが、現実の厳しさは世間に疎い若者をどんどん追い詰めて行く・・・。
あっという間にネカフェ難民にまで転落し、さらに事態はますます悪い方向に進み、ついには・・・。
フィクションと分かっていても、十分に現実で起こりえる話です。
今どきの都会の若者の実態がリアリティーを持って詳細に描かれています。
我々の世代から見ると一体何をやってるんだと説教したくなりますがこれも現実なのかも・・・。
東京難民・・・
新宿や渋谷などの繁華街にも確かにそんな若者たちが居そうな気がします。
2月映画公開予定
この小説の満足度:☆☆☆☆
長岡 弘樹 著 「教場」を読みました。
君には、警察学校を辞めてもらう。
この教官に睨まれたら、終わりだ。
全部見抜かれる。
誰も逃げられない。
警察学校が舞台です。
一般の人には殆ど窺い知ることのない警察学校内の様子やその教育課程などが描かれていてなかなか興味深く読めました。
しかし、人を疑う事が商売?の警察官とは云え、随分と陰湿な話ばかりでしたね~。
警察学校の中って本当にこんな感じなのでしょうか・・・。
単なる学園ものという感じじゃなくて、かなりの毒が含まれた連作ミステリーとして面白かったです。
この小説の満足度:☆☆☆☆