福澤 徹三 著 「東京難民」を読みました。
時枝修は、東京郊外にある私立大学の三年生。
夏休み明けにクラス担任から告げられたのは、学費未納で除籍になるという寝耳に水の事実だった。
北九州の実家では、借金を抱えた両親が失踪。
貯金はないに等しい。
アルバイトを転々とする中、家賃滞納で住居も追い出されてしまう。
追いつめられる修。
だが、それはまだ、底なしの貧困と孤独への入口に過ぎなかった―。
福澤作品を読むのは「すじぼり」、「真夜中の金魚」、「壊れるもの」、「Iターン」に続いて5作目です。
いずれの作品もどん底まで落ちてゆく男たちが描かれています。
その落ちっぷり?が良く、アッと云う間に読了してしまいました。
今回の主人公は親元を離れて東京近郊の三流大学に通い、普通の暮らしをしていた21歳の大学生です。
親が事業に失敗して借金を抱えて失踪した事から突然仕送りが途絶え、大学を除籍される。
最初のうちは「何とかなるさ」とタカをくくっていたが、現実の厳しさは世間に疎い若者をどんどん追い詰めて行く・・・。
あっという間にネカフェ難民にまで転落し、さらに事態はますます悪い方向に進み、ついには・・・。
フィクションと分かっていても、十分に現実で起こりえる話です。
今どきの都会の若者の実態がリアリティーを持って詳細に描かれています。
我々の世代から見ると一体何をやってるんだと説教したくなりますがこれも現実なのかも・・・。
東京難民・・・
新宿や渋谷などの繁華街にも確かにそんな若者たちが居そうな気がします。
2月映画公開予定
この小説の満足度:☆☆☆☆
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