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御坊市内8カ所目の国有形文化財に瀬戸家(藤井)大規模和風住宅 〈2018年7月22日〉

2018年07月23日 08時30分00秒 | 記事

主屋正面外観

座敷12畳


 国の文化審議会が20日に開かれ、御坊市藤田町藤井、瀬戸家住宅の主屋、座敷、旧女中部屋・風呂、文庫蔵、穀蔵、西蔵、表門・塀の7件を国の有形文化財(建造物)に登録するよう文部科学大臣に答申。「集落の歴史的景観の核をなす大規模な和風住宅として価値が高い」と評価された。市内では堀河屋又兵衛家住宅(御坊)堀河屋野村(薗)伊藤家住宅(御坊)佐竹家住宅(同)旧中川家住宅(同)伊勢屋(薗)笹野家住宅(薗)に続いて8カ所27件となった。寺内町以外からの登録は初めて。

 瀬戸家は日高川右岸の藤井に所在し、広い屋敷は日高川にほぼ接するように構えられている。天正年間に当地に来住したと伝え、17世紀後期から明治末年ごろまで酒造業を営んだ。江戸時代後期には大庄屋を務めていた。12代の瀬戸健三は、小池左平らとともに大正9年に南海紙業(株)(現・旭化成工業(株)和歌山工場)を設立し、社長に就いた。この健三によって建築されたのが現在の住宅。
 広い敷地の東よりに主屋、その西側に座敷を建て、主屋の背面側には街路に接し、東から旧女中部屋・風呂、文庫蔵、穀蔵、西蔵を並べ、集落の歴史的景観の核をなす大規模な和風住宅として価値が高い。
 主屋は木造2階建、入母屋造、桟瓦ぶき。大正時代後期に建築され、建築時の図面の一部も残されている。東側に入り口を構え、通り土間を設け、背面側は台所でかまどや流しが据えられている。1階の最も上手に8畳、床の間のある書院座敷を設ける。2階は南西隅に洋室があり、寄木張りの床とした凝った造り。通り土間の吹き抜け空間と、改造の少ない台所空間も見応えがある。
 座敷は建設年は不明だが、主屋に続いて建てられたと伝え、主屋同様に図面が残されている。昭和34~35年にかけて増築し、現在に至る。元は隠居部屋としてつくられたというが、充実した接客空間を持ち、主屋と同様に上質な建築。木造、入母屋造、桟瓦ぶき。最も上手の部屋は12畳半あり、床の間、床脇、付書院を設け、柱や長押などにはヒノキの目の詰んだ良材を用いる。12畳半、10畳の境には重ね扇を透かし彫りにした欄間を設ける。
 旧女中部屋・風呂は主屋とほぼ同時期の大正後期に建築。風呂はタイル貼りで五右衛門風呂の釜を据え、天井は良質な意匠。文庫蔵、穀蔵、西蔵は重厚な土蔵群で、漆喰塗りの外壁に腰を板壁とし、屋根は本瓦ぶき。穀蔵は天保13年(1842年)建築で、屋敷内で最も古い。表門は主屋の南東に取り付き、東側の路地に門扉を開く。一間の腕木門で切妻造、桟瓦ぶき屋根。桟瓦は丸桟瓦を用い、欄間も凝った意匠。当家の表門として上質な造り。
 県内から2カ所12件が新規登録され、今回を含めて78カ所233件となった。


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