職員、女性防災グループ員が事業活用PR
御坊市が大規模地震発生時の人的被害軽減を目的に平成29年度から実施している家具転倒防止金具取付事業で新たに御坊、湯川両地区で令和5~6年度に65歳になった一人暮らし世帯1046戸を戸別訪問し、自己負担なしで活用できる同事業を推奨した結果、約6割の人がその必要性を感じ、検討意向を示したことが分かった。今年度申請数は過去最多の106件に上り、地道な取り組みの成果が表れている。
三浦源吾市長は就任時から防災対策を重点課題と位置づけ、2期目は各家庭での家具固定や個別避難計画策定、自主防災組織の連携強化と未設置地域での組織設立などソフト対策に力を入れている。家具固定では65歳以上一人暮らし・夫婦世帯、障害者世帯を対象に家具転倒防止金具取付事業を行っているが、29年度から令和4年度までの実績は94件にとどまっていた。
民生委員の協力で令和4年10月から12月にかけて65歳以上の一人暮らし約2200世帯を対象に初の実態調査を行い「自己負担ゼロなら活用したい」と答えた人が506人いたことから防災対策課職員3~4人が空いた時間を使い、戸別訪問した結果、5年度は88件の申請があり、過去最多だった4年度30件の約3倍に増えた。
今年度は次のステップとして民生委員調査後の5~6年度に65歳となった一人暮らし世帯の戸別訪問を始めた。専従の会計年度任用職員1人を雇用して再任用職員との2人で7月から8月23日にかけ、まずは御坊、湯川両地区の対象者1046人宅を訪問。不在の222人には事業のチラシと不在票を置き、連絡があれば再訪問している。
先日の南海トラフ巨大地震注意発表で市民の防災意識は高まっており、在宅者で「申請しない」と答えた55人を除く769人のうち約8割の人が金具取り付けの必要性を感じ、今後検討するとの意向を示したという。うち73人から申請があり、今年度申請数は106件に増え、過去最多を更新中。今後どの程度の申請があるかは分からないが、全対象者1046人の約6割が検討意向を示したことは大きな成果と言える。
戸別訪問することで事業活用以外にも安否確認、熱中症予防を呼びかける機会にもなっている。現在は来年度で実施予定だった藤田地区217人を対象に戸別訪問を続けており、その後も順次残りの3地区で行う。来年度以降も新たに65歳となった一人暮らし世帯の訪問を続け、事業の活用を推奨していく。
補助事業は1世帯あたり家具3竿(たんす、食器棚、本棚が対象)の転倒防止金具取り付けを補助。金具代(金具は市が指定)と取り付け費用をあわせて1世帯あたり9500円を上限に補助するため、無料で利用できる。問い合わせは防災対策課(電話23・5528)へ。
相乗効果で申請は過去最多32件
感震ブレーカー設置事業補助金
戸別訪問では家具転倒防止金具取付事業とあわせ、感震ブレーカー設置事業の活用も推奨しており、今年度すでに過去最多となる32件の申請を受け付けた。
感震ブレーカーは地震を感知すると自動的にブレーカーを落とし、電気を止める装置で通電火災対策に効果的とされる。
対象者は家具転倒防止金具と同じで、1世帯当たり購入費と設置費用で2万円を上限に補助。事業を始めた令和3年度は24件、4年度は22件、5年度は19件と伸び悩んでいた。
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