紀州新聞 THE KISYU SIMBUN ONLINE

和歌山県の御坊市と日高郡をカバーする地方紙「紀州新聞」のウェブサイトです。主要記事、バックナンバーなどを紹介。

総勢30人「希望のリレー楽団」リモート合奏  御坊から全国に輪広がり反響呼ぶ 〈2021年5月23日〉

2021年05月23日 08時30分00秒 | 記事

 コロナ禍の中、認知症支援施策で全国トップランナーを走る御坊市からの呼びかけで全国から認知症当事者や家族、障害児者、介護事業所職員、病院職員、市職員ら子どもから高齢者まで総勢約30人が参加した「希望のリレー楽団」が誕生。それぞれが得意な楽器や歌声でリモート合奏した動画はユーチューブで公開され、大きな反響を呼んでいる。アイデアを出した市の認知症地域支援推進員は「全国に輪が広がりうれしい。コロナ禍だから実現できたこと」と喜んでいる。
 
 今年2月に「あがらの総活躍希望大使」に任命された山際裕三さん(81)=薗=はハーモニカが得意で楽譜があればどんな曲でも演奏でき、全音階のハーモニカを持っている。元教師の楠本順三さん(80)=湯川町丸山=は、若いころから本格的な音楽活動を続け、現在もピアノを弾いている。2人とも認知症当事者で市内の介護事業所「あがら花まる」を利用し、事業所内でハーモニカとピアノを合奏したり、地域の学校などに出向いて演奏しているが、コロナ禍でその機会をつくるのが難しくなった。
 市介護福祉課認知症地域支援推進員の谷口泰之さん(42)が「2人の特技、力をなんとか生かせないか」と考え、趣味でやっているオンラインを通じて合奏する「リモートセッション」を思いつき、著作権のかからない童謡「ふるさと」を選び、まず楠本さんの自宅でピアノ演奏を録画し、その演奏にあわせて山際さんの自宅でハーモニカ演奏を録画し、2人の動画をあわせて合奏している動画を作成した。
 その動画を見た市内の介護事業所ケアマネージャー、病院職員、市介護福祉課職員、ヤクルトレディーらが「自分たちも得意な楽器で参加したい」と申し出て、それぞれのスマートフォンで動画を撮影し、2人の動画に加えていった。この広がりを見た谷口さんが日本認知症本人ワーキンググループに協力を呼びかけ、全国から参加者を募ったところ、大きな反響を呼び、東京、神奈川県藤沢市、長崎県佐世保市、大阪府堺市など全国から認知症当事者や家族、支援員、障害児者ら子どもから高齢者まで総勢約30人に輪が広がった。
 ピアノ、ハーモニカから始まった演奏はギター、ベース、トランペット、マンドリン、三線、カリンバ、カホン、鼻笛に増え、コーラスも寄せられ、総勢30人の動画が完成。日本認知症本人ワーキンググループの赤い羽根福祉基金助成事業「希望のリレー推進事業」の一環で行ったことから「希望のリレー楽団」と名付け、同グループ公式ユーチューブチャンネル=掲載のQRコードから視聴できる=で公開。動画は3分あり、演奏時間は2分30秒。市内の高齢者施設利用者がスターチスで手づくりした「希望のリレー」の花文字も紹介している。
 動画はオンラインでの「ごぼう総活躍のまち講座」で活用しているほか、今後、曲のレパートリーを増やすことも考えている。谷口さんは「コロナ禍で閉塞感が漂っているが、コロナ禍だからこそ普及したオンラインのスキルを活用して実現できた。全国に輪が広がり、うれしい。今までになかった良い経験ができた。今後も少しずつできることから取り組んでいきたい」、ギター演奏で参加した市介護福祉課職員も「完成した動画を見て感動した。見ず知らずの人たちとこうして音楽を通じ、つながれたことは本当にうれしい」と話した。「希望のリレー楽団に参加したいなど興味、関心のある人は気軽にご連絡下さい」と呼びかけている。問い合わせは市介護福祉課(電話23・5851)へ。


 その他の主なニュース

大雨過ぎ梅雨の晴れ間

24日から御坊市薗会館でトーチとユニホーム展示

市民運動推協総会 議案書面議決

 衣奈、由良小で初夏の運動会