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大洋化学(株)がハイブリッド型水耕栽培で「沢ワサビ」の栽培実験開始 〈2016年7月6日〉

2016年07月06日 08時30分00秒 | 記事

システムを活用して新たに沢ワサビ栽培を開始


 大洋化学(株)=上西一永代表取締役CEO、御坊市島=は、平成26年度から和高専産官学技術交流会の協力で実験、実用化した同社独自の「ハイブリッド型水耕栽培システム」を活用し、新たに市場で高付加価値のある「沢ワサビ」の栽培実験を始めた。沢ワサビは自然環境や鳥獣被害など厳しい栽培条件があるが、同システムなら安定した収穫が見込まれる上に1年周期で収穫、出荷することで収入増も期待されている。葉の活用も含めて実証実験を行い、早期の実用化、商品化をめざす。

 4日に市内「花ご坊」で開いた和高専産官学技術交流会総会で同システムの実証実験の発表があり、今年2月から新たに沢ワサビの栽培実験を始めたことを報告した。ワサビは畑地で栽培する畑ワサビと冠水地で栽培する沢ワサビに大別される。香り、味ともに優れる沢ワサビが市場で高付加価値があるが、気温や水温、日射量の自然環境や鳥獣被害など厳しい栽培条件がある上、出荷まで2~3年要することから安定した生産は難しいとされる。
 日高地方は「真妻ワサビ」の発祥地で、明治・大正時代には県内地域産業の一翼を担っていたが、現在は国内総生産量600トンのうち、わずか0・4トンしかない。地域産業復活を図り地域活性化に役立てようと、和高専との協同事業で県の補助金を活用し、ワサビ実験用コンテナで今年2月から栽培実験を開始。4トン車のコンテナ内に同社製のLED照明や防藻・抗菌性効果のある銀イオン発生装置などを取り付けた独自のハイブリット型水耕栽培システムの棚を設置し、養液循環で最高級品種の真妻ワサビを栽培している。
 コンテナ内は20度以下の温度管理、炭酸ガス管理を行い、栽培4カ月で根茎は4~5センチに生育している。今のところ病気など生育障害もなく順調だという。通常出荷される根茎は25~30センチで、この大きさまで生育するには2~3年かかるが、世界的な日本食ブームで国内外で需要があるため、10センチで収穫サイズになると言われており、1年周期での収穫、出荷を目指している。
 実用化に当たってはコスト軽減が課題とされ、今後は屋内型栽培施設の建設に取り組むほか、葉の活用も検討する。今は葉が生い茂るたびに切り取る作業を行っているが、この葉を漬け物にするなど何らかの形で加工して付加価値を付ければコスト軽減につながる可能性があるという。ワサビのほか、ワサビ大根やミニトマトなど栽培品種を増やしながら同システムの量産用、店舗用、事務所用、家庭用などラインナップを増やし、若者や定年退職者の雇用促進、農業従事者の所得増収につなげていきたい考え。

三段式棚、ペットボトル栽培
東京ビッグサイトで展示販売

 同システムで実用化、商品化している三段式水耕栽培棚は、27日から29日まで東京ビッグサイトで開かれる施設園芸・植物工場展に展示し、販売する。
 1セットの定植数は192株。LED照明は標準装備で、冷水機やカバー類、照度センサーなどはオプションにすることで価格を抑えている。ペットボトルで野菜を育てる栽培キットの開発、商品化も行っており、あわせて展示する。


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