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防災機能充実の和歌山病院新病棟完成、28日 竣工式典 〈2016年3月24日〉

2016年03月24日 08時30分00秒 | 記事

完成した和歌山病院新病棟


 総工費38億3000万円と6年の歳月をかけた美浜町和田、国立病院機構和歌山病院(南方良章院長)の老朽化に伴う病棟建て替え整備工事が完了し、28日午後2時から、関係者100人を招いて竣工記念式典を行う。平成22年春の着手以来、途中、平成23年3月11日の東日本大震災の教訓から、南海トラフ巨大地震を見据え防災対策を強化しようと当初計画を全面見直しするなどう余曲折を経てようやく完成した。有事の際の患者や地域住民の安全確保に細やかに配慮された造りとなっている。

 同工事は当初、平成22年3月の設計監理業務委託から、基本計画、実施計画の本部承認を経て、平成24年夏に着工、平成25年3月までには完成の予定だった。しかし東日本大震災の発生で事態は急変。平成24年8月に南海トラフ巨大地震における内閣府の津波浸水想定が出され、続いて平成25年3月には、県予想で津波想定深が最大5メートルと発表されたのを受け、同4月、設計の全面見直しを院内決定した。
 当初は一般病棟3階建て1棟、重心病棟1階建て1棟の2つを新築する計画だったが、患者収容階が津波の影響を受けない高さにすることに重点を置き、ゼロから再考。すでに一部着工済みの基礎工事を生かしできるだけ変更の少ない策を練り、新重心病棟を高層化する案で意見集約した。
 新病棟は、一般病棟2棟、一般結核混合病棟1棟、重心病棟1棟の、上空からみて東西にH型の構造。県の津波浸水想定に沿い、1階部分を5メートルの高さの橋脚だけで上階を支える建築(ピロティ)とし、2階から4階部分に重心160床、結核15床、一般135床の計310床を配置。5階は重心患者の療育訓練場のほか、地域の避難者1600人(1人あたり2平方メートルで算出)を受け入れられる避難場所を確保した。建築面積は3489・60平方メートル、延べ面積は1万4084・84平方メートル。
 地域に密着した救急・災害医療病院として災害時対応機能を整備。建築・耐震基準は一般的なものよりレベルの高いものに沿い、自家発電機や貯水槽は、強固な特殊構造のものを設置した。今後、ヘリポートも設ける。平成25年末の循環器内科縮小に伴い院内設置の必要はなくなったが、県や周辺市町の要望を受けて整備を決め、4月から着工する。総工費は38億3000万円。
 28日午後2時から、関係自治体首長と保健所、消防署、近隣医療機関、国立病院機構本部などから関係者約100人を迎え、竣工記念式典を行う。4月10日には旧病棟からの患者の引っ越しを終え、翌11日からは使わなくなった旧病棟の解体工事に着手し、その跡地にヘリポート整備を進める。7月下旬までには全ての工事を完了させる予定。


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