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日高川堆積土砂対策で県が中州に直線水路の妙案 〈2016年3月17日〉

2016年03月17日 08時30分00秒 | 記事

堆積土砂対策で中州につくった直線水路(写真中央)


 御坊市や市議会から強い要望のあった野口、藤田町藤井地内の日高川堆積土砂対策で、県が新野口橋下流の中州中央に直線の水路(河道)をつくり、増水時の力を利用して上流の堆積土砂を下流に押し流す試みを行った。堆積土砂を除去するには多額の予算がかかるため、低水護岸の災害復旧工事に伴う「川替え」という妙案をひねり出し、コスト軽減との一挙両得を狙う。効果があれば他の個所でも取り組めるため、市や議会は「期待しながら成果を見たい」としている。

 平成23年9月の紀伊半島大水害以降、日高川ふれあい水辺公園や藤井多目的グラウンドの浸水被害が相次いでいることを受け、市と市議会が日高川の堆積土砂しゅんせつなどの対策を強く要望し、昨年秋から市の担当部課長、議会産業厚生常任委員会正副委員長が日高振興局建設部と折衝を続け「平成23年の被害後、目に見えて土砂が堆積している個所については調査し直し、改修等を検討する」との回答を得ていた。
 振興局は「堆積土砂を除去するとなると多額の費用がかかるし、土砂の捨て場も探さないといけない」とし、いくつかの方策を検討。新野口橋下流約400メートルの日高川左岸の低水護岸が昨年7月の台風で被害を受けたのに伴い、国の災害復旧を活用して原形復旧工事を行うことになり、その一環として「川替え」の妙案をひねり出した。工事を行うには現場周辺で川の流れを止める必要があるが、矢板を打ち込む方法では費用がかかるため、1000万円以上のコスト軽減につながる川替えを選択した。
 工事現場前には堆積土砂でつくられた中州があり、その中央部分に延長560メートル、幅30メートル、深さ約2メートルの直線の水路を設け、水がまっすぐ下流に流れる河道をつくった。堆積土砂を移動させるだけなのでコストが抑えられたのに加え、直線の水路をつくることで流下速度を上げられるため、増水時の水の力を利用して上流の堆積土砂を下流に押し流す効果を狙っている。振興局は「うまくいけば上流の堆積土砂が多少なりとも減らせる」と効果に期待している。
 15日に開いた市議会産業厚生常任委員会で松本隆史委員長や向井孝行副委員長、市執行部がこの試みを説明しながら「我々が要望してきた成果だ。川替えの効果があれば上流の他の個所でもできる。すでに効果も出ており、今後の成果を期待しながら見守りたい」と報告した。低水護岸の災害復旧工事は延長230メートルで、昨年12月に着工し、5月末完成予定。川替えの水路は2月末にできている。総事業費約8000万円のうち川替えの水路にかかった費用は約1500万円。


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