kotoba日記                     小久保圭介

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『あきらめたピノキオ』

2023年12月26日 | 生活詩





















   


  『あきらめたピノキオ』

あの人は

静寂ではない

寂しさがなく
静か

必要な言葉は小さく言う
天気の話やあいさつを言い
不要な言葉を言わない

気が付くと
知らないまま消えていく

その人は

存在の気配がない
いるのか
いないのかも
わかならい

その人は

金ぶち色の
まるい眼鏡を
少し下げている

あの人は
誰にも
触らない

あの人は
冷たい海の水でも
海面が温かさになってしまう
夜の太陽みたいで
光さえ消えている

陰徳

あの人は

山の中で
誰も見たことがない花に
少し見ている
「へえ」
と小さな声で言う

あの人は
川の流れで
動く草

時には
岸で歩くし
寝てもいる

あの人は
穏やかなピノキオ

鯨のお腹の中で
ランプの下
鯨が食べる小魚を食べ
小さな机で
一人で
絵を描く
言葉を書く
勉強もする

あの人は
時には明るい表情で
目を大きくし
短く楽しそうになる

あの人は
どれだけ忙しくても
小さな声で
「今忙しいのでもう少し待って」
と言う
すぐに必ず来てくれる

あの人は
瓦礫の角で
戦闘機が爆音が終わると
知らない子どもたちを
両手で守り
空の流れを
心配の目で
見ている
子どもたちを
抱えている

あの人は
本物の平和で
いつでも怒らない

あの人の
おとなしさは
怒り過ぎて
あきらめたのだ

本当は静かではなく
実は大きな声であり
それでもやっぱり
言わず
言えず
判ったことこそ
陰徳の道しるべ

あきらめたからこそ
本物の徳
本物の思い
たくさん失い
手から落ちちゃって
あきらめた時こそ
美しい
そして
また始める

あの人は

静寂てはない

寂しさがなく
静かです

陰徳のピノキオ
明徳のピノキオ

あの人は
少し笑いかけ
穏やかな表情で
人をほっとする
本物の愛の人って
本当に
いるんだね




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