kotoba日記                     小久保圭介

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天使は雨粒の舟に乗って

2020年06月14日 | 生活
  

雨だったけれど
湯屋に行く
カッパを着て

湯屋の露天風呂にも
雨が降る

数日前
久しぶりに
湯屋に行った時
天使に会った
その日も雨だった

天使はもう20年前に
わたしの前にあらわれて
コーラをくれたり
手を振ってくれたり
笑顔を送ってくれたりした

わたしが
手を振ると
天使は両手で振り返した

天使の
全身全霊の挨拶に
感動した
裸の
天使は
どこまでいっても
両手を振ってくれた
わたしも振り返した
「小久保さんの友達?」

民に
揶揄された
「そうです」
と胸を張った
みんな
わからないのだ
彼が天使だということを

時々
浄心の街で
天使を見かけた
天使は声をあげていた

そうだった
20年前も
静かな時と
荒れている時があったこと

湯屋で天使はわたしを憶えてくれていた
天使の付き添いの人に話しかけた
「前、会ったことがあるんです。おぼえていてくれるかなあ?」
天使はうなずいた、少しだけ

そしてうれしそうに笑った
わたしを見たことがある
と天使も思っていてくれたのだ

「コーラを頂いたこともあります」
と付き添いの人に言うと
「コーラ、好きなんですよ」
と言う
天使も笑った
うれしそうに

束の間
天使に再会して
しっかり
無言で
お話ができた

湯屋で
天使に会うということ

雨は
露天風呂の水面に
粒を刻む
そして
消える

わたしたちは
ここでまた出会い
わかれてゆく
けれど
きっと
思い出す

何かの時に
どんな時か
わからない
いつかまた
思い出す


雨の湯屋で
天使に会った
天使
笑った

至福です
これは

天上の恵みです
これは

雨の粒で
できた
舟に
乗って
天使は地上に
舞い降りた

湯船に天使は半身をつけ
あるがままの
表情で
わたしたちに
知らせる
きれいになる姿を
身をもって
知らせる

みんなそれを知らない
わたし
知ってる

本物の天使の姿を

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