雨が降る
湯屋に向かう
バスは
西に向かって
走って
い
る
橋を渡り
信号で止まり
川の堤防を
バスは
走って
ゆく
しまや
に寄ると
あった
薄手の
靴下
あった
靴下
「福助ですから、ものは良いですよ」
しまやに行くと
腹巻きもあった
福助の靴下も
あった
パンツもあった
しまやに行けば
生活に必要なものが
ある
八百屋に向かって
自転車を走らせている
くもり空
梅雨入り
八百屋で
久しぶりに
バナナを
買った
バナナは90円で
売っていたから
買った
食べた
梅雨入り
睡眠
夜
LINEで
歌が届いた
きれいな声の
歌だった
この世で
この歌を
聞いて
いる
この世で
この声を
聞いて
いる
生まれてきた
死んでゆく
その
途上で
この声を
聞いて
いる
瞬間の連続
とまることなき
束の間の
中で
あらゆるものと
連なって
この声が
耳から
骨
に振動して
頭蓋骨を鳴らし
脳の聴覚分野で
聞いて
いる
人は
歌うことができます
楽器を弾くことも
できます
宇宙は鳴る
心の竪琴に
手で触り
弾く
鳴る
宇宙は
鳴る
響く
紫色の
実からでも
宇宙へ行ける
人の歌声からでも
宇宙に行ける
ここは
宇宙ですから