

晴
五時半起床
赤福の入荷待ちを
電車の時間ぎりぎりまで
待つ
待った甲斐あり
事前に四つ申し込み
お店の人が
台車で近寄ってくる赤福青年に駆け寄って
四つだけ持って
店に戻り
すぐに清算
ありがとうございます!
待って良かった
8時43分
快速みえ
この12番ホームへの階段の始まり
どれだけこの階段をのぼっただろう
幼少の時から
関西線は幾度も
そして
熊野行きは
快速みえも
特急も
この12番線から
車窓を眺めていると
この世は面白いと思った
何故なら
トタン屋根はあるし
と思って
これは変な言い方ですけれど
この世に生まれなかったら
トタン屋根は見られなかったはず
この世にはたくさんの事物があり
それはどれであれ
視神経が脳に電気信号を送り
脳は記憶から「トタン屋根」
と瞬時に電気信号で送り返す
当たり前のトタン屋根だけれど
いつも見ている
通り過ぎてしまうほどの
事物だけれど
それを見るということは
凄い奇跡の連続の結果だ
生命はおもしろすぎる
この世でトタン屋根を見る
ということ
その不思議
まるで映画『ベルリン・天使の歌』
で間違って
地上に降りてきた男のような気分
わたし
もちろん天使じゃない
毒々しい生の人類だけれど
太陽の秘密
雨
曇りの秘密
花
グレーの車
山道
海道
多々と会談
談笑
元気な姿
駅
スーパー
さんま寿司
弁当
バス停
関西から来た人
海辺から来た人
各駅停車
バスのWi:i
兄に電話
トイレ休憩
飴玉
LINEで写真と動画を送り
たくさんの書類
窓の外
冷え
夕闇
終着駅
夜の道
おばば家へ帰る
電車を待つ
焼きそばパン
エッグパン
赤福
夜の中
電車は走る
深夜帰宅
ぐったり
トマトジュース二本と
垂ノ漬けたニンニクを二つ食べ
寝る