kotoba日記                     小久保圭介

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vision of yoshimasugouzou

2014年04月29日 | 生活
グレイの、
鉄の、
デスクベッド、
そこに青い色の、
線を筆で引っ張る、
下地に混じった、
まだ乾かない絵具の具合で、
線は黄緑になる、
「ほらあ、ねえ、」
もう一度、
線を引っ張る、
重ねる、
下地がまだ残っていた箇所が、
黄緑になって、
滲んでいる、
起きている現象に、
目を見張り、
そこに喜びの声と笑んだ目で、
「ねえ、こうしてね」
デスクベッドの鉄のキャンパスは、
一大の作品になってきていて、
最終に近い一本の線、
または途上である二本目の線を、
手で描いていく

縁側から、
すりガラスの薄い扉をあけて
作品依頼にきた男に見せるのは
作家本人の舞踏であって、
黄色い壁面で居合抜きのような、
手の動き、足摺をして、
その男に近寄ってゆく

トイレにいくと、
その途上もふくめて、
美しい件p作品になるのだ、
と教えられた

医療カメラのようなものを使って
スキャンしたり、
動画を撮っていく
生活が件pであり、
どの瞬間を切り取っても、
抽象画になっている

本を献上する
大き目の会議室の
薄いカーペットに座り
件p家のする一挙を見ている
見逃さぬように
と注視している
ディランの「風に吹かれて」
を件p家が歌い
合わせて寄ってきた人たちに
合唱するように言うのだが
誰もが合わせるように
小声で歌うだけ
それでも件p家は
その現象の中にいて
満足そうに笑んでいる

薫という名前を持つ作家の本を
本棚にしまうのです、
けれど、本棚はいっぱいで、
横にして詰め込むしかない、
「どうして≪薫≫なの?」
と訊かれ、
答えられずにいる
時間は流れ、
問だけが残り、
件p家は次の所作に移っている

ずっとカメラが回っている
件p家の声は、
すべて詩になっていて、
句読点まで明確にわかる話し方をする
文字起しをすれば
詩になっている

たとえば若松が撮った熊野に
件p家は当然に反応し、
線ひとつに、
所作の一つに、
宇宙の闇を感じさせる
闇の色は藍

会議室に置かれた
スチール机に
たくさんの人が胡坐をかいて
座っていて
一人の件p家の講義を
真剣に見聞きしている
レクチャーは続く
実践を目の当たりにして
圧唐ウれる凄みに
誰も声がでない
世間の常識まみれになった人々は
宇宙の常識を前に
圧唐ウれる

その声、
そのしぐさ
その間、呼吸の間隔、
絵筆が描く絵はもちろん、
言葉がすべて詩になってゆく
音楽はなってはいないけれど
空間が奏でる音がすべて
現象件pになっている

何のために生きるのかが
判った
何のために表現するのかが
判った

覚醒したとき
転送が起きている
と思った
うすうすは感じてはいたけれど
幻かどうかが判らず
あまりにリアルなので
実際に起きていることだと思っていた
実際に脳内で起きていたのだったけれど
夢というにはあまりにリアルで

転送が起きている
啓示が起きている
インスピレーションが起きている
それ以外の何事でもなく
「機を逃してはだめ」
と件p家は言う
「その時にそうしなきゃだめ」
と言う
瞬間が続いていく中で
私たちはお坊さんに頼らなくても
大きな藍の宇宙のvisionを啓示される

静かにして活動
活動にして静か

贈り物
描かなくては
書かなくてはだめ
と件p家は教える

作品依頼をしにきた男の
背負っているものが現実社会としたら
こちら側の空間は
藍の宇宙の微細な動き
縁側から入ってきた男の背景には
緑があった

扉を境にして
行き来している
行き来する扉は
キャンパスの中にもあって
新しい世界は、
違う世界は、
絵筆の一本の線で、
出現する

本当のくりかえりが
コンピュータのおかげで可能になり
その恐ろしい反復の生活
精彩を放つ件p家の所作
啓示であり
転送が起きている
件p家ももちろん
コンピュータの恩恵にあずかり
それを使う
あのフラッシュのインスタレーションは、
まさしくテクノロジーのなせる技



波頭

刹那の連続
生きる意味
表現する意味

あなたは
わたしにとって
件pの父であり
件pの母である

贈り物として
転送されてきた
vision

厳しく優しく
行為の実践を
教示する
あなたは
老いてはいても
まるで
宇宙の子供

ほがらか
口ずさむ言葉は
詩語になって
現象の絵筆は
色彩でいっぱいだ



コメント (1)
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