kotoba日記                     小久保圭介

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混風(まぜ)の街

2013年09月25日 | 生活
この街は
文句なしで
好きだ
ここに
引っ越してきたいくらいに

良い思い出が多すぎて
それはたとえば
廃線になった
駅の名残
それはたとえば
うどん屋
それはたとえば
長く続く
駅までのにぎわいの道
パチンコ屋の隣に
床屋があって
食べ物屋には事欠かない
人はそこそこ猥雑で
それが何より
素晴らしい
整頓されそうで
整頓できない街
どこかほころびがあって
それはたとえば
刺繍入りのスタジャンの
足が
規則起立を蹴飛ばすのだし
それはたとえば
アジアの女性が色めきだって
祖国の原色を
街に持ち込み
鮮やかな絵を
描いてくれる







この水の惑星で
人種が交配する
まぜこぜ
は、
混風(まぜ)
を生み
強い遺伝子を作ってゆく

自衛隊の飛行機が三機
左旋回して
東に向かった
でかい爆音と
近距離の胴体の姿

「みなと君がランドセル買ったんだって」
父が息子に言う
道の声に耳を立て
人が出す言葉に注意する

張り紙は
三浦綾子の「母うんぬん」

言葉
それを
弦楽器と合わせて
朗読される催し

あまちゃんの大吉のセリフ
「線路の脇ががれきの山でも」
「泣くな」
と渡辺えり子が言う
「泣け」
と美保純が言う
本物の言葉を持った人たちの
連ドラだった

僕は歩いた
駅まで
けれど
駅から乗らず
まだ歩きたかった
そして
家まで歩いて帰った

*「混風」は、中上健次の小説の中で、
 「まぜ」とルビがあり、
 そう読ませることから、
 引用しました。
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