kotoba日記                     小久保圭介

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いい匂い

2013年02月01日 | 生活
そろばん塾の匂い
長机
その木目
おじいさんの塾長
といっても
六畳に
何列か長机が並んでいて
僕たち子供は
畳に座って
そろばんをはじいた
そろばんの奇妙な形
チョークの粉
そろばんは退屈で
指の運動は
のちのギター演奏の方が
快楽を伴ったので
上達した
そろばんは快楽はなく
無級で塾から弾かれ
その後は
ローラーボードになった
あの角にあった
そろばん塾の匂い
のちに
学習塾になった時
喜んで通った
何故なら
あの民家の
匂いが好きだったから
おじいさんが好きだったから
寺子屋のような
学びの部屋に
僕らは嗅いでいた
静かの中で
時折
外から
豆腐売りの
鐘と声が鳴り
耳はそれを聞いたが
鼻は嗅いでいた
あの
ぼろぼろの
長机で
算数が好きになった
方程式の美しさに
子供ながら感動し
僕らは嗅いでいた
その民家の
小さな部屋で
学ぶ静けさの
いい匂いを
茶色の木の
長机に座って
すべて割り切れる
方程式に
胸は鳴り

ーーー

モンゴル800
鳴る
高架の下で
「人に喜んでもらってそれを受け取る。本当の幸せはそこにしかない」
と吉岡医師は言った
そのことを考えていた
あの大木のそばで
僕は吉岡医師の言葉を
噛んでいた
キシリトールガムと一緒に

コメント
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