最近日本各地で起こる洪水被害などを見ていると、日本は水不足などには縁が遠いと思っていた。
しかも、名水で有名な個所も日本のあちこちに存在する。
中国資本が日本にある水源になる山々を、探している等と言う話も、時々聞いていたように思う。
このところ水不足の話題もないだけに、気にも留めていなかったが、ハフィントンポストをチェックしていると、日本は水輸入大国で「水ストレス」の大国だと言うコメントに何故?と思って読んでしまった。
筆者も最初は意味不明であったが、日本の食料自給率が約40%であり、非常に多くの食料品を世界各地から輸入しているのが、日本の現状である事は知っていました。
その食糧生産に使用する水をバーチャルウオーター(仮想水)と呼び、本来の水使用量としてカウントされるとの事でした。
そう言われれば納得です。 麦やトウモロコシなど主食の食料品の輸入先である米国だけでなく、畜産品まで含めた農産品の範囲で見ると、日本は中国などのアジア周辺国だけでなく、ブラジル等南アメリカ諸国等々、世界各国から食料品を大量に輸入しています。
この図表によると、水ストレスの高い国は、日本以外では、韓国、オーストラリア、フィリッピン、中近東諸国、北アフリカ諸国などが表示されています。
ここのブログでは添付の図表を表示できませんが、関心がある方はつぎのURLをご覧ください。
http://www.wri.org/blog/world%E2%80%99s-37-most-water-stressed-countries
確かに文明が進み、工業生産や農業や畜産などの生産量が増えるほど、水資源の必要性が飛躍的に増える事は容易に理解できます。
下記のコメント内には、シンガポールの水確保の真剣な取り組みも書かれています。 是非読んでおきたいものです。
(下記にハフィントンポストを貼り付けます)
The Huffington Post | 執筆者: Matt Ferner | 投稿日: 2013年12月15日 JST | 更新: 2013年12月15日 JST
気候変動による「水ストレス」が世界を脅かす 世界有数の水輸入大国・日本も高リスク
水を安定的に、そして十分に供給することはこれからますます難しくなる。それは人口増に伴う地球温暖化の影響による。新しいデータによると、世界の37カ国がすでに「極めて高いレベルの水ストレス」状態に直面している。
「水ストレス」とは、1人当たり年間使用可能水量が1700トンを下回り、日常生活に不便を感じる状態を指す。ワシントンにある環境研究組織の世界資源研究所(WRI)は12月12日、「アキダクト(水道)・プロジェクト」のデータを発表した。水ストレスが極めて高いレベルとは、年間を通じて国内の農業用水、家庭用水、工業用水を十分に利用できない人が80%以上で、その地域の水不足が非常に高い状態に陥っていることを意味する。
「水ストレスは世界中の国に深刻な結果をもたらす」と、WRIの「アキダクト・プロジェクト」にかかわってるポール・レイグ氏はハフィントンポストの取材にこう答えた。「気候変動による干ばつ、洪水、そして限られた資源の供給をめぐる競争によって国の経済とエネルギー生産が脅かされる。そして人々の生命すら危険にさらすことになる。もし世界各国が、そして国際レベルの政策決定者が、水ストレスは一番深刻な問題だとより明確に理解を示せば、今、水ストレスの危険性の高い地域に注意を向け、対策の予算をかけることができるだろう」
「アキダクト・プロジェクト」の研究者は、世界にある100の河川流域と181カ国で水に関するリスクを調査をした。国レベルでこういった水に関する評価が行われたのは初めてのことだ。地域を基準として、数年単位で発生する水ストレス、洪水、干ばつの経年変動(年を経ることで測定値などに現れる変化)と季節変動(1年の季節のなかで測定値などに現れる変化)、そして毎年の河川や水路、帯水層にある水量をくわしく調査し、WRIはそれぞれの国に0〜5のスコア付けをした。5は、水リスクがもっとも高いレベルとなる。
水ストレスの基準値は、1年で再生利用できる水も含めた年間水量の割合に基づく。WRIが作成した図によると、高いパーセンテージになるほど水の供給が限定され、水の奪い合いが激化していくことがわかる。
また、WRIは最新のデータを使用した詳細なインタラクティブマップ(双方向の地図)を作成した。
WRIによると、国にとって重要なのは水不足のリスクを理解することであり、極端に高いレベルの水ストレスによって国がそのまま水危機の餌食になるというわけではない、という。適切な水管理と国同士の対話が、国の水供給を保障することになる。
「このようなランキングが公表されれば、水ストレスがもっと高い地域に注目が集まるいいきっかけとなる」とレイグ氏は述べている。「農業、工業、そして行政分野で国際レベルの政策決定者が、この情報を基にもっとも困難な地域を見分けることができるし、水管理、そして水の安全保障を改善するための協力ができるだろう」
シンガポールを例に取ってみよう。WRIによると、シンガポールは水ストレスのランキングがもっとも高い(5.0)。人口が過密状態であることと、湖や帯水層から十分な淡水が得られないことがその理由だ。そして、天然水の供給が過剰に求められていることも原因となっている。
しかし、シンガポールは非常に優れた水管理を行っており、淡水の需要を十分に満たしているとWRIはブログで指摘している。
シンガポールは雨水を採取するシステムが非常に優れており、シンガポール国内の水供給の20%をまかなっている。40%はマレーシアからの輸入、30%は家庭から出る排水の再利用、残り10%は海水の脱塩生産で、国内全体の需要を満たしている。このように先進的で革新的な管理計画によって、水ストレスの基準が深刻な状態に陥っているとしても、シンガポールの産業、農業、そして国内の利用者に対して安定した水供給が可能にになっている。
■ 日本は世界有数の水輸入大国
水資源が豊富と思われている日本も、実は水ストレスが高い国である。日本の水ストレス平均スコアは3.1。農業は2.9、国内使用分は3.3、工業は3.2である。これは、WRIの分類によると高リスク(40〜80%)の水ストレスに分類される。
日本の年平均降水量は1718mm(1971年から2000年にかけての平均値)で、世界平均(880mm)の約2倍に相当する。にもかかわらず日本は世界有数の「水輸入国」である。これは、実際に水そのものを輸入している割合を指すのではなく、食料を輸入している日本が、国内で食料を生産した場合に必要な水を必要とする割合を意味する。これを「バーチャルウォーター(仮想水)」といい、食料の輸入は、形を変えて水を輸入していると考えられる。
環境省は、バーチャールウォーターの現状について次のように述べている。
日本のカロリーベースの食料自給率は40%程度ですから、日本人は海外の水に依存して生きているといえます。つまり、日本はバーチャルウォーターの輸入を通じて海外とつながっており、海外での水不足や水質汚濁等の水問題は、日本と無関係ではないのです。 2005年において、海外から日本に輸入されたバーチャルウォーター量は、約800億m³であり、その大半は食料に起因しています。これは、日本国内で使用される年間水使用量と同程度です。
(環境省「Virtual water 世界の水が私たちの生活を支えています」より)
(貼り付け終わり)
しかも、名水で有名な個所も日本のあちこちに存在する。
中国資本が日本にある水源になる山々を、探している等と言う話も、時々聞いていたように思う。
このところ水不足の話題もないだけに、気にも留めていなかったが、ハフィントンポストをチェックしていると、日本は水輸入大国で「水ストレス」の大国だと言うコメントに何故?と思って読んでしまった。
筆者も最初は意味不明であったが、日本の食料自給率が約40%であり、非常に多くの食料品を世界各地から輸入しているのが、日本の現状である事は知っていました。
その食糧生産に使用する水をバーチャルウオーター(仮想水)と呼び、本来の水使用量としてカウントされるとの事でした。
そう言われれば納得です。 麦やトウモロコシなど主食の食料品の輸入先である米国だけでなく、畜産品まで含めた農産品の範囲で見ると、日本は中国などのアジア周辺国だけでなく、ブラジル等南アメリカ諸国等々、世界各国から食料品を大量に輸入しています。
この図表によると、水ストレスの高い国は、日本以外では、韓国、オーストラリア、フィリッピン、中近東諸国、北アフリカ諸国などが表示されています。
ここのブログでは添付の図表を表示できませんが、関心がある方はつぎのURLをご覧ください。
http://www.wri.org/blog/world%E2%80%99s-37-most-water-stressed-countries
確かに文明が進み、工業生産や農業や畜産などの生産量が増えるほど、水資源の必要性が飛躍的に増える事は容易に理解できます。
下記のコメント内には、シンガポールの水確保の真剣な取り組みも書かれています。 是非読んでおきたいものです。
(下記にハフィントンポストを貼り付けます)
The Huffington Post | 執筆者: Matt Ferner | 投稿日: 2013年12月15日 JST | 更新: 2013年12月15日 JST
気候変動による「水ストレス」が世界を脅かす 世界有数の水輸入大国・日本も高リスク
水を安定的に、そして十分に供給することはこれからますます難しくなる。それは人口増に伴う地球温暖化の影響による。新しいデータによると、世界の37カ国がすでに「極めて高いレベルの水ストレス」状態に直面している。
「水ストレス」とは、1人当たり年間使用可能水量が1700トンを下回り、日常生活に不便を感じる状態を指す。ワシントンにある環境研究組織の世界資源研究所(WRI)は12月12日、「アキダクト(水道)・プロジェクト」のデータを発表した。水ストレスが極めて高いレベルとは、年間を通じて国内の農業用水、家庭用水、工業用水を十分に利用できない人が80%以上で、その地域の水不足が非常に高い状態に陥っていることを意味する。
「水ストレスは世界中の国に深刻な結果をもたらす」と、WRIの「アキダクト・プロジェクト」にかかわってるポール・レイグ氏はハフィントンポストの取材にこう答えた。「気候変動による干ばつ、洪水、そして限られた資源の供給をめぐる競争によって国の経済とエネルギー生産が脅かされる。そして人々の生命すら危険にさらすことになる。もし世界各国が、そして国際レベルの政策決定者が、水ストレスは一番深刻な問題だとより明確に理解を示せば、今、水ストレスの危険性の高い地域に注意を向け、対策の予算をかけることができるだろう」
「アキダクト・プロジェクト」の研究者は、世界にある100の河川流域と181カ国で水に関するリスクを調査をした。国レベルでこういった水に関する評価が行われたのは初めてのことだ。地域を基準として、数年単位で発生する水ストレス、洪水、干ばつの経年変動(年を経ることで測定値などに現れる変化)と季節変動(1年の季節のなかで測定値などに現れる変化)、そして毎年の河川や水路、帯水層にある水量をくわしく調査し、WRIはそれぞれの国に0〜5のスコア付けをした。5は、水リスクがもっとも高いレベルとなる。
水ストレスの基準値は、1年で再生利用できる水も含めた年間水量の割合に基づく。WRIが作成した図によると、高いパーセンテージになるほど水の供給が限定され、水の奪い合いが激化していくことがわかる。
また、WRIは最新のデータを使用した詳細なインタラクティブマップ(双方向の地図)を作成した。
WRIによると、国にとって重要なのは水不足のリスクを理解することであり、極端に高いレベルの水ストレスによって国がそのまま水危機の餌食になるというわけではない、という。適切な水管理と国同士の対話が、国の水供給を保障することになる。
「このようなランキングが公表されれば、水ストレスがもっと高い地域に注目が集まるいいきっかけとなる」とレイグ氏は述べている。「農業、工業、そして行政分野で国際レベルの政策決定者が、この情報を基にもっとも困難な地域を見分けることができるし、水管理、そして水の安全保障を改善するための協力ができるだろう」
シンガポールを例に取ってみよう。WRIによると、シンガポールは水ストレスのランキングがもっとも高い(5.0)。人口が過密状態であることと、湖や帯水層から十分な淡水が得られないことがその理由だ。そして、天然水の供給が過剰に求められていることも原因となっている。
しかし、シンガポールは非常に優れた水管理を行っており、淡水の需要を十分に満たしているとWRIはブログで指摘している。
シンガポールは雨水を採取するシステムが非常に優れており、シンガポール国内の水供給の20%をまかなっている。40%はマレーシアからの輸入、30%は家庭から出る排水の再利用、残り10%は海水の脱塩生産で、国内全体の需要を満たしている。このように先進的で革新的な管理計画によって、水ストレスの基準が深刻な状態に陥っているとしても、シンガポールの産業、農業、そして国内の利用者に対して安定した水供給が可能にになっている。
■ 日本は世界有数の水輸入大国
水資源が豊富と思われている日本も、実は水ストレスが高い国である。日本の水ストレス平均スコアは3.1。農業は2.9、国内使用分は3.3、工業は3.2である。これは、WRIの分類によると高リスク(40〜80%)の水ストレスに分類される。
日本の年平均降水量は1718mm(1971年から2000年にかけての平均値)で、世界平均(880mm)の約2倍に相当する。にもかかわらず日本は世界有数の「水輸入国」である。これは、実際に水そのものを輸入している割合を指すのではなく、食料を輸入している日本が、国内で食料を生産した場合に必要な水を必要とする割合を意味する。これを「バーチャルウォーター(仮想水)」といい、食料の輸入は、形を変えて水を輸入していると考えられる。
環境省は、バーチャールウォーターの現状について次のように述べている。
日本のカロリーベースの食料自給率は40%程度ですから、日本人は海外の水に依存して生きているといえます。つまり、日本はバーチャルウォーターの輸入を通じて海外とつながっており、海外での水不足や水質汚濁等の水問題は、日本と無関係ではないのです。 2005年において、海外から日本に輸入されたバーチャルウォーター量は、約800億m³であり、その大半は食料に起因しています。これは、日本国内で使用される年間水使用量と同程度です。
(環境省「Virtual water 世界の水が私たちの生活を支えています」より)
(貼り付け終わり)