ユーロ圏で一番問題になっているのは、ギリシャの債務問題だ。
6月5日にギリシャがIMF(国際通貨基金)に返済する予定の借金返済が、今注目されているのです。
ギリシャは6月中に総額16億ユーロのIMF融資を返済する必要があり、その第1弾として3億ユーロ(約400億円程度)の融資が5日に返済期限を迎えています。
ギリシャのユーロ圏離脱は現実的には困難であろうが、ギリシャ国民は自己の金融資産の保全を考えると、安全通貨であるユーロの引き出しをどんどん行っているようで、国家の存在意義とはなにか、突き詰めれば真剣に考える必要があると筆者は思いました。
確かに、確固たる安全性や信頼性があってこそ、国家としての存在意義はありますが、存続の信頼性をなくすようになると、国民が頼るものは生き延びるための自己の財産と言う事になるのでしょう。
そうなると、価値を失ったその国の通貨ではなく、安全な外国の通貨であったり、貴金属類となるのかもしれません。
振り返って日本国の借金は現在、1053兆円と計算されており(国民一人当たり830万円)未だ国民の預金総資産を超えていないから信用はあるとはいえ、そう安泰であるという状況ではありません。
しかも円安の歯止めがかからなくなると、円の価値はどんどん下がるわけで、国民の資産価値も急速に目減りする事になります。
政府と日銀が行っている円安政策は、一歩間違えると日本が泥沼に落ち込む可能性が無いとはいえず、自己資産の保全を常日頃考慮して、いつでも動ける体制を取っておくのが賢明かもしれません。
(BROGOSより貼り付け)
ギリシャが預金封鎖を強いられる日 銀行から怒涛の勢いで現金が引き出されている
広瀬隆雄
2015年05月30日
僕はギリシャのユーロ圏離脱は無いと考えています。
でもギリシャの銀行預金残高を見ると、このところどんどん銀行から現金が引き出されています。
現在の総預金残高は1,394億ユーロで、去年9月から330億ユーロ減りました。
もし総預金残高が970億ユーロを割り込むと、担保不足となりギリシャの銀行が連鎖的に倒産するリスクがあります。
なぜギリシャの国民は怒涛の勢いで現金を引き出しているのでしょうか?
それはギリシャとトロイカ(国際通貨基金、欧州連合、欧州中央銀行の三者のこと)の話し合いが不調に終わりギリシャ救済プログラムを延長できなかった場合、ギリシャはユーロ圏を離脱する可能性があるからです。
その場合、ギリシャで使用されているユーロ(€)は、ドラクマに戻ります。その際、ドラクマの価値はギリシャ経済の実力を反映して急落する恐れがあるわけです。
またユーロからドラクマへの切り替えに際しては事務作業のため預金を一旦、封鎖する必要が出ると思われます。
なにせユーロから離脱した国は未だ無いし、具体的にどういうやり方で旧通貨に戻すのか? という方法論に関しては、出たとこ勝負です。
また、これは予想したくない事だけれど、政府が債務返済に充てるため、実質的な預金税(capital levy)を課す可能性も除外することはできません。預金税とは、平たく言えば、ある日銀行預金の引き出しが突然できなくなって、翌日、通帳を見たら自分の貯金の一部が忽然と消えていた……という現象を指します。
(そんなバカな!)
と皆さんは思うかもしれないけど、預金税は古代ギリシャの時代から何度も試みられています。古代ギリシャでは1~4%の預金税がしばしば発表され、古代ギリシャ人は見栄っ張りで、自分の資産を実際より多く見せようとして喜んで預金税を払ったと言われます。
その他1714年には英国でアーチボルト・ハッチンソン議員が全ての私有財産に対して10%の財産税を課すことを提案しました。またナポレオン戦争の際はリカルドが財産税を提唱しました。1870年の普仏戦争の際はフランス公債の償還時に1%のディスカウントが検討されました。1890年代にドイツと英国の間で戦艦の建艦競争になったときには預金税が検討されています。
最近では2年ほど前にキプロスで預金封鎖があったことは皆さんの記憶に新しいと思います。
なお預金封鎖や新ドラクマへの切り替えは、電撃的に行わないと成功しません。実際のオペレーションは、たいへんな困難を伴います。
ギリシャの救済プログラム延長の話し合いは、この土日で早期の合意に達したいというのが関係者の意見です。でも話し合いが成立する可能性は低いです。すると次に問題になるのは6月5日に控えた国際通貨基金(IMF)に対する借金の返済です。これが最初の山場で、その後、相次ぐ支払期限の到来が予定されています。
(貼り付け終わり)
6月5日にギリシャがIMF(国際通貨基金)に返済する予定の借金返済が、今注目されているのです。
ギリシャは6月中に総額16億ユーロのIMF融資を返済する必要があり、その第1弾として3億ユーロ(約400億円程度)の融資が5日に返済期限を迎えています。
ギリシャのユーロ圏離脱は現実的には困難であろうが、ギリシャ国民は自己の金融資産の保全を考えると、安全通貨であるユーロの引き出しをどんどん行っているようで、国家の存在意義とはなにか、突き詰めれば真剣に考える必要があると筆者は思いました。
確かに、確固たる安全性や信頼性があってこそ、国家としての存在意義はありますが、存続の信頼性をなくすようになると、国民が頼るものは生き延びるための自己の財産と言う事になるのでしょう。
そうなると、価値を失ったその国の通貨ではなく、安全な外国の通貨であったり、貴金属類となるのかもしれません。
振り返って日本国の借金は現在、1053兆円と計算されており(国民一人当たり830万円)未だ国民の預金総資産を超えていないから信用はあるとはいえ、そう安泰であるという状況ではありません。
しかも円安の歯止めがかからなくなると、円の価値はどんどん下がるわけで、国民の資産価値も急速に目減りする事になります。
政府と日銀が行っている円安政策は、一歩間違えると日本が泥沼に落ち込む可能性が無いとはいえず、自己資産の保全を常日頃考慮して、いつでも動ける体制を取っておくのが賢明かもしれません。
(BROGOSより貼り付け)
ギリシャが預金封鎖を強いられる日 銀行から怒涛の勢いで現金が引き出されている
広瀬隆雄
2015年05月30日
僕はギリシャのユーロ圏離脱は無いと考えています。
でもギリシャの銀行預金残高を見ると、このところどんどん銀行から現金が引き出されています。
現在の総預金残高は1,394億ユーロで、去年9月から330億ユーロ減りました。
もし総預金残高が970億ユーロを割り込むと、担保不足となりギリシャの銀行が連鎖的に倒産するリスクがあります。
なぜギリシャの国民は怒涛の勢いで現金を引き出しているのでしょうか?
それはギリシャとトロイカ(国際通貨基金、欧州連合、欧州中央銀行の三者のこと)の話し合いが不調に終わりギリシャ救済プログラムを延長できなかった場合、ギリシャはユーロ圏を離脱する可能性があるからです。
その場合、ギリシャで使用されているユーロ(€)は、ドラクマに戻ります。その際、ドラクマの価値はギリシャ経済の実力を反映して急落する恐れがあるわけです。
またユーロからドラクマへの切り替えに際しては事務作業のため預金を一旦、封鎖する必要が出ると思われます。
なにせユーロから離脱した国は未だ無いし、具体的にどういうやり方で旧通貨に戻すのか? という方法論に関しては、出たとこ勝負です。
また、これは予想したくない事だけれど、政府が債務返済に充てるため、実質的な預金税(capital levy)を課す可能性も除外することはできません。預金税とは、平たく言えば、ある日銀行預金の引き出しが突然できなくなって、翌日、通帳を見たら自分の貯金の一部が忽然と消えていた……という現象を指します。
(そんなバカな!)
と皆さんは思うかもしれないけど、預金税は古代ギリシャの時代から何度も試みられています。古代ギリシャでは1~4%の預金税がしばしば発表され、古代ギリシャ人は見栄っ張りで、自分の資産を実際より多く見せようとして喜んで預金税を払ったと言われます。
その他1714年には英国でアーチボルト・ハッチンソン議員が全ての私有財産に対して10%の財産税を課すことを提案しました。またナポレオン戦争の際はリカルドが財産税を提唱しました。1870年の普仏戦争の際はフランス公債の償還時に1%のディスカウントが検討されました。1890年代にドイツと英国の間で戦艦の建艦競争になったときには預金税が検討されています。
最近では2年ほど前にキプロスで預金封鎖があったことは皆さんの記憶に新しいと思います。
なお預金封鎖や新ドラクマへの切り替えは、電撃的に行わないと成功しません。実際のオペレーションは、たいへんな困難を伴います。
ギリシャの救済プログラム延長の話し合いは、この土日で早期の合意に達したいというのが関係者の意見です。でも話し合いが成立する可能性は低いです。すると次に問題になるのは6月5日に控えた国際通貨基金(IMF)に対する借金の返済です。これが最初の山場で、その後、相次ぐ支払期限の到来が予定されています。
(貼り付け終わり)