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鴻海精密工業の傘下に入ったシャープは、大きく再生できるか?

2016年02月29日 11時29分06秒 | 日記
 シャープの行く末に関して、経済ニュース面を賑わせていたが、台湾の鴻海精密工業の傘下で生き残る合意が整ったようであったが、偶発債権3000億円が、合意の直前に出されたために、契約時期が延期されている。

 しかし、どういう形をとるかは両者間で決まることではあるが、遅かれ早かれ既定路線でスタートするのではなかろうか。

 日本の消費者は鴻海精密工業などという社名を知らない人が大部分だろう。アップルのIphoneやIpadは愛用しているが、この製品の受託生産社であったのだから知るはずもないわけだ。

 しかしIphoneのウエイトが高いだけに、ひとたび売れ行きに陰りが出だすと、鴻海の収益悪化の大きな要因になりかねない。

 シャープという自社ブランドを持てるようになると、最終製品の開発・販売という新しい力を鴻海は得ることができる。

 世界的なスマホのシェアは低くなっているが、日本国内でのシャープブランのスマホは、アップル、ソニーに続いて3位の座にある。

 今まで手掛けていなかった白物家電のシャープブランドも、世界中に認知されている。液晶TVなど情報家電も韓国サムスンやLGなど強豪が存在するが、鴻海のコスト競争力のある工場で生産し、販売攻勢をかけることができれば、あるいは世界市場での液晶TVのかなりのシェアを取ることが可能かもしれない。

 資本力で経営力が発揮できなかったシャープが、すっかり変わる可能性は十分考えられる。

 ルノーの傘下になり経営再建を図った日産自動車のように、海外資本の傘下に入ることは、今のグローバル経済では当然のことだ。

 東芝にしても、筆者は、苦境に落ちった根本原因は原子力企業のウエスチングハウスの巨額買収が、大きく収益の足を引っ張るこn原因になっていたとみているが、経営判断のミスが会社存続を揺るがす事態になる典型であり、シャープも液晶事業への超大型設備投資の判断ミスが、苦境を招いた原因であるとみている。

 さて、鴻海の傘下になってシャープが見事に再生するかは、両社の経営努力による。今のところ両社はお互いの特徴を補完できる関係であり、筆者の個人的な判断では、大きく再生できる可能性が高いとみている。 今後の発展を期待したい。 


(日本経済新聞電子版より貼り付け)

転機の鴻海、危機のシャープを救う  
編集委員 後藤康浩
2016/2/29

 世界最大のエレクトロニクス製品受託製造企業(EMS)である鴻海(ホンハイ)精密工業が、経営が揺らいでいた家電大手、シャープの買収を決めました。紆余曲折があり、なお未確定な部分も残っていますが、受託製造の鴻海と研究開発、ブランドのシャープの組み合わせは、アジアのモノづくりに新たな可能性を示唆しています。

■理想的な補完関係

 台湾の電機・電子産業は鴻海と半導体の受託メーカーを指すファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の両雄がけん引し、今世紀に入って急成長しました。両社のような受託製造を産業分析のツールである「スマイルカーブ(付加価値曲線)」(表)のうえに位置づけると、ちょうど真ん中、すなわち付加価値が最も低い場所に来ます。発注企業から与えられた設計図、指示書、支給された部品、原料のままに組み立てや加工生産するビジネスは、他社との違いを打ち出しにくく、どうしてもコストと納期だけの競争になってしまいがちだからです。

 そこからTSMCは半導体の線幅の微細化などの研究開発力を高め、世界のトップグループに入ることで、他社にできない製品をつくりだせるようになり、スマイルカーブの左側、高付加価値の分野に移動することに成功しました。一方で、鴻海などEMSは部品の調達を代行したり、設計や商品企画の分野も取り込むことで付加価値を高めようとしてきました。しかし、鴻海単独の研究開発力では限界があり、受託する規模を大きくするしか利益を拡大する方法をみつけられませんでした。幸い鴻海はアップルのiPod、iPhoneなどの生産受託が急拡大したことで、成長路線を走ることができましたが、受託製造の構造的な弱みから抜け出ることはできませんでした。

 液晶パネルなどデバイスメーカーの買収、中国での家電小売りへの進出など様々な模索はしてきました。スマイルカーブで言えば、デバイスは左側、小売りは右側への挑戦です。ただ、いずれも構造転換には明らかに力不足でした。そこに訪れたのがシャープ買収のチャンスです。シャープは液晶ディスプレーを世界の先頭に立って開発したメーカーです。基礎的な研究、その成果の商品化などに力を持ち、斬新な商品企画力や高度の生産技術も持っていました。ブランド力もありましたが、グローバル市場に全面的に浸透し、トップシェアを取るには経営資源が追い付かず、ライバルのサムスン電子や台頭した中国メーカーなどに対抗できず、経営が悪化してしまいました。

 整理すれば、鴻海に欠けた技術力とブランド力をシャープが持ち、シャープに欠けた資金を鴻海が持っていたわけです。そしてスマイルカーブでみれば両社を合わせれば左から真ん中、右まできれいにそろいます。両社の組み合わせは理想的な補完関係といえるのです。日本、韓国を除けば、アジアのモノづくりは大量生産、労働集約型です。人件費が安く、若年労働力を確保しやすいという環境が要因です。スマイルカーブの真ん中で強みを発揮するわけです。ただ、中国、タイのように中進国レベルまで成長すると、賃金は上がり、少子化、高齢化も進むため、そうした強みは急速に薄れます。工場はより賃金の安い次の途上国に移っていくわけです。アジアでめまぐるしい生産拠点の移動が起きるのはこのためです。

■アウトバウンド型からインバウンド型へ

 中進国レベルまで成長した国の製造業が次のステージに上がる時に、日本企業との連携は不足するものを補い、力になるでしょう。グローバル企業になりきれないまま成長の限界に達した日本企業にとって、途上国、中進国のメーカーが持つコスト競争力や市場開拓力は魅力的です。そうした連携をつくるのは従来は日本企業によるM&A、すなわちアウトバウンド型でしたが、これからは日本企業がアジア企業に買収されるインバウンド型も受け入れていくべきでしょう。

 転機に立っていた鴻海が、危機の瀬戸際にあったシャープを救うことで、両社には新たな可能性が広がったといえるでしょう。

(貼り付け終わり)

G20の開催結果で、株価が上がるような結論が出る訳ではない。

2016年02月28日 13時18分45秒 | 日記
 年明け以降の世界同時株安や金融機関の経営不安の広がりなどで、G20の開催結果を期待していた向きも多かった。

 しかし、中国上海で開かれたG20で、日本政府は中国経済の混乱が、世界の成長に悪影響を与えていると、中国批判に重点を置いた発言を述べたようであるが、G20の主要議題は、通貨の競争的な切り下げを回避する合意に重点が置かれた。

 これはまさに、日本政府などが率先して行ってきた円安政策に他ならない。

 もちろん、中国も元の切り下げを行おうとしていただけに、アジアの通貨切り下げ競争の実施に、釘を刺された感じだ。

 通貨の切り下げなどの金融政策だけに頼って、実体経済の立て直しを行うのは、当然のことではあるが無理があるのだ。

 株価を上げることだけに頼っている安倍政権の政策に、限界があるのは火を見るよりも明らかであり、今後は国民の生活向上の為の、地に足がついたきめ細かな経済政策を行うべきなのだ。


(ブルームバーグより貼り付け))

G20:通貨の競争的切り下げ回避あらためて確認-緊密に協議へ
2016/02/27

(ブルームバーグ):中国・上海での20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は27日、外為市場に関する緊密な協議で合意するとともに、通貨の競争的切り下げを回避するとの公約をあらためて表明した。

 会議終了後に公表された共同声明によると、G20は成長押し上げのため金融、財政、構造政策を活用することで合意。 声明は「金融政策だけでバランスの取れた成長をもたらすことはできない」と指摘した。

 米財務省の元中国専門家で、現在はロサンゼルスの資金運用会社TCWグループのアナリストを務めるデービッド・ロービンガー氏は「投資家が望んでいた協調した政策行動は単なる空想だと分かった」とコメントした。

 G20は為替相場に関して、「われわれは競争的な切り下げを回避する。競争的な目的のために為替レートを目標にしない」ことを確認した。

 また、G20は「為替市場に関して緊密に協議する」と述べた。外為市場では中国と日本の予想外の行動が両国の通貨下落につながっていた。

 G20当局者は共同声明で新たな懸念材料として、英国の欧州連合(EU)離脱の可能性に言及。英政府のEU残留のキャンペーンで、各国財務相の応援を求めていたオズボーン財務相にとって勝利となった。

 共同声明では主要な経済的リスクとして、地政学的な緊張激化や商品相場の大幅下落、不安定な資本の流れも指摘された。「一部地域での大規模で増加しつつある難民」もリスクとして挙げられた。

 同声明は「われわれはこうした課題を認識しながらも、最近の市場のボラティリティの程度が世界のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の基調を反映していないと判断している」と指摘。「大半の先進国で穏やかなペースの成長が続くと予想し、主要な新興市場国の成長は引き続き強い」と述べた。

 共同声明では中国の経済動向に関して明白な懸念は示されなかった。 AMPキャピタル・インベスターズの投資戦略責任者シェーン・オリバー氏(シドニー在勤)は「中国は議長国であり、中国を名指しすれば異例なことだっただろう」と指摘。

 同氏は「G20は全て正しいことを言っており、金融市場でコメントが心地良く受け止められるかもしれない。だが、私はそれが一段と協調的な政策刺激が行われることを意味すると確認していない」と語った。

原題:G-20 Affirms No-Devaluation Pledge, to Consult on Currencies (1)(抜粋)

梅田のスクランブル交差点での巻き込み事故で思うこと。

2016年02月26日 22時41分46秒 | 日記
 大阪梅田で発生したスクランブル交差点へのクルマの暴走事故。確たるところはいまだ調査中であるが、運転者の心臓などの急変による突発性病変で発生したとみられているようだ。

 発生した場所があまりにも気の毒な場所で、巻き込まれた犠牲者の方々に心から哀悼の心をささげたい気持ちだ。

 このような突発性の病変ばかりでなく、筆者も運転していてたまに襲われる眠気なども、同じような大事故を起こす可能性がある。

 アルコール飲酒や覚せい剤常用者の事故発生は言わずもがなだが、正常な運転者でも、年齢を問わずこのような事故を発生させる可能性がある。

 そのために任意保険に加入して、万一に備えて自動車の運転をしているということかもしれない。

 最近の自動車は、接近状態になると自動ブレーキがかかる装置を搭載したグレードが増えている。

 衝突の際のエアバッグ装置の危険な爆発の発生可能性が判明し、世界中で膨大な数のタカタ製のエアバッグ交換の問題もあるが、自動ブレーキ装置こそ運転者を衝突の危険から未然に防止する事ができ、今回の事故で明らかなように、事故に巻き込まれる歩行者を防ぐ事ができる。

 自動ブレーキの技術開発ができていなかった時には、エアバッグで運転者を守るという技術も尊重された。

 しかし、自動ブレーキの技術をもっと発展させ、コストも安く装着できるようになれば、今回のような悲惨な事故も防げるし、場合によると、幼稚園児などを巻き込んだ若者の暴走事故なども、未然にブレーキがかかれば防げるかもしれない。

 自動車メーカーは、自動ブレーキのような安全対策を、今こそ業界基準で搭載する努力をすべきではないのだろうか。

筆者も主張していた消費税5%に戻すべきという意見に、高橋洋一氏もコラムで主張。

2016年02月24日 14時31分30秒 | 日記
 筆者の昨年12月16日のブログ上で、軽減税率を検討するよりも、今の景気状況では消費税率を元の5%に戻すべきだと主張していた。

 今の日本の消費者行動はどう見ても、生活防衛に走っているとしか筆者には見えません。

 中国人観光客が、何十万何百万円を平気で買い物に使う、爆買いのテレビ報道を見せられて、自分の買物の姿にどれだけ惨めさを感じていた日本人が多かった事でしょう。

 しかし、かってのバブル時代の日本人観光客の買い物スタイルも、まったく同じように現地人に見られていたのです。

 バブル時代はさておいても、8%の消費税が実施されている今の日本は、どう見ても景気が良いというようには見えない。

 例えば、新車の販売現場を見ると、8%消費税実施になって以降は、販売実績は一向にその前年より上向かず、低迷したままだ。

 軽減税率を採用するのか、やはり10%に消費税をアップすることに政府が危機を感じているのか、参院選を前にして消費税の話が最近はあまり表面だって出てきていない様に見える。

 元財務官僚であった高橋洋一氏の最近のコラムで、「アベノミクス沈没、その原因は消費税8%の実施」であったと書いおられる。

 筆者も主張していたように、今の日本のGDPの60%は個人の消費によって成り立っている。せっかく消費が盛り上がろうとしていたタイミングで、5%から8%へ消費税を引き上げたせいで、消費行動が一挙にしぼみ、今に至るまで改善しないままである。

 そういった環境で再度の消費税アップは自殺行為そのものだという。 筆者も考えていたように日本経済を再活性化するためには、思い切って消費税を5%に減税することだ。

 経済低迷を乗り切る方法には、減税手法は予想以上に効果がある。一見、税収が減るように見えるが、盛り上がった消費からの税収増もある上に、高橋氏は「国の特別会計上で余った資金、すなわち、いわゆる「霞が関埋蔵金」を吐き出す方法もある」という。

 概略の財務計算を高橋氏はコラムの中で行っておられ、なんだか消費税増税ありきという大手メディアの政府寄りのPRに、国民は騙されているのではないのだろうか? 


(現代ビジネス 経済の死角より貼り付け)

アベノミクスついに沈没
「消費税8%」がすべての間違いだった
2016年02月24日(水) 高橋洋一

●失われた20兆円

 '12年の年末、アベノミクスが始まった当初、日本のGDP(国内総生産)は順調な成長を続けていた。アベノミクス開始時のGDPが約517兆円。これが、'14年3月には実に約535兆円にも達した。

 ところが、'14年4月の8%の消費税率導入を境に状況が一変した。'14年度第2四半期までに、GDPが一気に約14兆円も急落してしまったのだ。

 その後もGDPは伸び悩み、直近の'15年7-9月期の数字は約530兆円。私の試算では、仮に消費増税さえしていなければ、GDPはその後も右肩上がりの成長を続け、今頃は約550兆円まで達していただろう。

 差額は20兆円。これだけの金額が、増税によって失われたのだ。

 この20兆円分の伸びがあれば、物価も上昇し、賃金も消費も好調という、良好な循環が生まれ、昨年中には「デフレ脱却宣言」ができただろう。日経平均株価も2万円台、為替も1ドル=120円の水準は保てたはずだ。

 そもそも、GDPの6割を個人消費が占めている以上、増税による消費減退でGDPが下がるのはわかりきっていた。

 増税の影響で失われた20兆円のGDPを国民一人頭で割ると、約15万円。所得が15万円も下がったと考えれば、買い物をする気が失せるのも当然だろう。

 いま、日本では格安商品ばかりが売れる、デフレ時代と同じ状況が生まれている。アベノミクスの目標である、2%の物価上昇に相反する事態が起きているわけだ。だが、経済学の常識からして、増税すれば物価が下がるのは自明の理だ。

 優秀なはずの財務官僚たちはそんなことすら理解できていなかった。自分たちの歳出権を拡大するため、なんとしても消費増税を可決させようと、「増税をしてもGDPは下がらない」という机上の空論を組み立て、押し切った。

●5%に戻すしかない

 失われた20兆円のGDPから試算される消えた税収は約5兆円。一方で、消費増税で増えた税収は約8兆円。

 「3兆円多いのだから、増税のほうがいいのでは」と思うかもしれない。

 しかし、冷静に考えると、増税によって税収を8兆円増やすのと引き換えに、一人当たり15万円のGDPを吹き飛ばしてしまったのだ。これが日本経済に与えたダメージは、計り知れない。

 収益が上がらないのに税負担だけを増やしたので、企業は苦しみ、賃金も上がらない。消費も当然伸び悩む。アベノミクスの理想とは真逆の悪循環にはまりこんでいる。

 結局、無知な財務官僚が身勝手な思惑で推し進めた増税で、国民は8兆円を取り上げられたあげく、本来、得られるべき所得までを失ったのだ。

 この状況に、本来であれば、「責任をもって2%の物価上昇を達成させる」と明言している日銀の黒田東彦総裁こそが、「増税で物価が上がらないのなら、失敗を認めて減税するか、景気対策をしてください」と政府に強く進言すべきだろう。

 だが、黒田総裁は「消費増税で成長が大きく損なわれることはない」と繰り返し発言してきた手前、今更もう何も言えない。起死回生のマイナス金利政策も、消費増税のダメージが大きすぎたため、いまのところ本来の効果が出ていない。

 もし、安倍政権が予定通り、'17年の春に10%への増税を実行すると、どうなるか。8%増税の時と同じくらい、いや、それ以上の致命的なダメージを引き起こすだろう。

 3%の増税でGDPが14兆円急落した。ということは、上げ幅が2%なら、単純計算で約10兆円のGDPが一瞬で失われる。さらに、今回は中国経済失速などの要因も加わるため、長期的に考えれば、8%増税時を上回る規模のGDPが失われる可能性がある。

 消費増税が引き起こした負の連鎖から脱却するには、いますぐにでも消費税を5%に戻すのがベストなのは言うまでもない。だが、政府もいまさら引き返せないだろう。

 それでも、本気で景気回復を目指すのならば、取れる策は消費減税の他にもいくらでもある。

 例えば、国の特別会計上で余った資金、すなわち、いわゆる「霞が関埋蔵金」を使う手だ。

 「外国為替資金特別会計」には円安の含み益の約20兆円、「労働保険特別会計」には約7兆円もの埋蔵金がある。これを原資に、国民に10兆円規模の給付金を配り、増税の痛みを和らげる。

 この「埋蔵金10兆円バズーカ」をぶっ放し、景気に良好な刺激を与えて上向かせたところで、日銀が一気に金融緩和を推し進め、国債の購入量を今の80兆円から100兆円まで増やす。

 極端な話に聞こえるかもしれないが、ここまでしてようやく、「8%増税の呪縛」は払拭される。

 それほどまでに、消費増税が日本経済に与えたダメージは大きい。

「週刊現代」2016年2月27日号より

(貼り付け終わり)

日本は、じりじりと円高に向かうのか。 年内に95円を目指すという分析も出る。

2016年02月23日 15時52分30秒 | 日記
 今日23日PM3時ころの、円レートは112.46-48 前日比 0.41円高になっている。最近は115円以上に円安になる傾向もなく、112~113円あたりで取引されている。

 その結果か、日経平均株価も16千円を挟んで推移している。

 円は今後どのような方向に進むのか? 興味を持っている方々も多いことだろう。

 ロイターに門田真一郎氏(バークレイズ銀行 為替ストラテジスト)がコラムを掲載しておられる。

 年内には95円になる可能性もあるという分析である。じっくりと110円から105円、100円、95円へ向かうという予想だ。

 もちろんその原因を門田氏は解説されている。

 100円で買える物の値段を、外国貨幣で買う場合と比較してみるのが、政策などで操作されていない貨幣の持っている価値となる。これが購買力平価という見方だ。
 
 その見方からすると、円は明らかに割安な水準になっているといえるのだ。結局輸出増や株高を狙って、日本政府が政策的に円安誘導をしても、明らかに円の価値が安く見積もられていると判断されると、市場はリスクの少ない円の価値を考え、他の通貨から円を求めるようになる。

 黒田日銀のマイナス金利政策も、すでに欧州圏で実施している国があるが、日本に比べれば中小国が主であった。vそれだけに、日本銀行がマイナス金利の導入に踏み切ったことに、サプライズも生んだが、金融機関の収益悪化などの不安定要素も顕在化し、金融の混乱を生む結果なってしまっている。

 今週末に開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に向けて、政策協調の可能性が焦点となっているとはいえ、財政状況も全体的に厳しいなか、政策余地の限界に対する市場の疑念を払拭(ふっしょく)できるかに注目している。世界経済の減速や一部新興国の債務問題の解決策になるとは考えにくく、政策の限界を改めて露呈し、中長期的には市場の変動を高めることになるのではないかと、門田氏は言うのだ。


ロイター FX Forum より貼り付け)

コラム:強まる円高圧力、年内ドル95円も=門田真一郎氏
門田真一郎バークレイズ銀行 為替ストラテジスト
2016年 02月 23日

 [東京 22日] - ドル円相場は1月末の日銀マイナス金利導入にもかかわらず急落を続け、2月11日には一時110円台まで円高が進んだ。その後は持ち直しの動きも見られたが、依然残る円の割安感やグローバルな不確実性の高まりを踏まえ、年内95円程度までの円高を想定している。

 そもそも年初から10円以上の急激な円高が進んだのはなぜか。周知の通り、円は安全資産として世界的なリスクセンチメントの動向に左右されやすい。すなわち、リスクオフ局面では円高圧力が強まる傾向がある。

 また、2012―14年の円安の結果、円はかなり割安な水準に達していた。円の実質実効為替レートは昨年6月にプラザ合意以来の円安水準に達し、購買力平価で見た割安感が強まっていた。

 加えて、アベノミクス当初に大幅な悪化を示していた貿易収支も、昨今の原油安でほぼ赤字が解消されている。結果、所得収支黒字の拡大もあって、経常黒字は11年の震災前の水準を回復している。

 さらに、日銀の金融緩和効果に対する疑念が生じた。昨年12月の緩和補完措置や今年1月末のマイナス金利導入にもかかわらず、円高が止まらなかったためだ。つまり、きっかけさえあればいつ円高に火がついてもおかしくなかった。

<リスクオフがきっかけで円高加速>

 このように円高の条件がそろった状況下、ついに円高のきっかけが訪れた。2月に入り、欧州銀行部門への懸念や米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測後退が顕在化したのだ。これらが、従来からくすぶっていた中国の資本流出・人民元安や原油価格下落に新たな材料として加わったことで、リスクオフの流れが加速した。

 海外投資家も円高見通しに転じており、米商品先物取引委員会(CFTC)が発表している建玉報告によれば、非商業(投機)部門の通貨先物ポジションは今年に入り、12年後半以降で初めての円買い超に傾いた。

 中国・新興国の景気減速といった問題は構造的で早期解消が期待しづらく、今後も円高圧力を加え続けよう。しかも、過去を振り返ると、円安トレンドから円高への転換は急速に進む傾向が強かった。円の割安感が大きく、世界的なリスクセンチメントが悪化する局面ではそうしたトレンドが顕著で、現状はまさにその双方が当てはまると言えよう。

 こうした状況を踏まえ、筆者はドル円が年内95円程度まで円高が進むと予想している。購買力平価に基づく中長期フェアバリューも95―100円程度となっている。

<グローバルリスクと政策当局のせめぎ合い>

 この見通しには双方向のリスクがある。中国経済の急減速や地政学リスクの高まりなどで、一層深刻なリスクオフとなった場合、さらに円高が進む可能性は否定できない。12―14年の円安局面と異なり、グローバルな逆風の中での日銀緩和が円高を抑制する効果も限定的となろう。

 一方、日本を含む各国政策当局が金融市場の混乱をただ静観するとは考えにくい。実際、今週末に中国・上海で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に向けて政策協調の可能性が焦点となっている。

 ただ、主要国中央銀行のバランスシートがすでに高水準にあり、その多くがマイナス金利導入に踏み切っているほか、財政状況も全体的に厳しいなか、政策余地の限界に対する市場の疑念を払拭(ふっしょく)できるかが注目される。

 むろん、主要国の政策協調が、投機筋のショートカバーを誘発する形で、リスク資産の反発をもたらす可能性もあろう。一部の国からは、新興国の資本規制を求める声さえ聞かれる。しかし、世界経済の基調的な減速や一部新興国の債務問題などへの本質的な解決策になるとは考えにくく、政策の限界を改めて露呈し、中長期的には市場の変動を高めることになるのではないかとの懸念は拭えない。

 世界的なリスク動向と当局対応のせめぎ合いがテーマとなるなか、今年のドル円相場は変動の大きい展開が見込まれる。

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*門田真一郎氏は、バークレイズ銀行の為替ストラテジスト。2008年にバークレイズ証券株式会社に入社し、調査部で銀行戦略調査および外債ストラテジーを担当した後、2013年から現職。海外拠点の為替・金利・経済チームとのネットワークを活かし、為替市場見通しのほか海外経済・政治動向などについて幅広い情報提供を行っている。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経済学部卒。

(貼り付け終わり)