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堺市長選挙で惨敗した、「日本維新の会」に思う事

2013年09月30日 12時13分32秒 | 日記
 橋下市長の慰安婦発言の時にも、大阪市に生れ育った筆者としては、こんな恥ずかしい市長をそのままにする、大阪市民は目覚めよとこのブログでも書いたことがある。

 その次には八尾空港をオスプレイの発着基地にという橋下氏の発言の時にも、八尾空港の傍で生活した事がある筆者は反対し、このブログに書き込んだ。

 余りにも彼の発言は物事を深く洞察せず、思い付きでしゃべる所詮はTVのコメンテーターのレベルなのである。しかもペラペラと澱みなくしゃべるだけに性質が悪い。

 市長であろうと国会議員であろうと、政治家の発言は一般市民の居酒屋談義とは違うのです。

 一度口から出た言葉には十分すぎる注意が必要で、簡単に発言を撤回してもらっては困るのです。

 無責任発言は有権者に大きな迷惑と誤解を与える。

 「日本維新の会」は唯一の地盤である関西では、筆者の観たところ既に地盤沈下が著しい。

 今年の4月の伊丹市、宝塚市の市長選挙でも維新の会候補者は落選、7月の兵庫県知事選挙にも候補者擁立を断念しています。

 恐らく10月にある神戸市長選挙にも、維新の会は候補者を擁立ができないのではなかろうか。

 まあもっとも伊丹市、宝塚市も兵庫県であるので、維新の会は大阪府の隣県では、未だ弱いと言う事かも知れないが、今回の堺市長選挙の敗北は、大阪府内の大型の市だけに大阪都構想が根本的に崩れる事になる。

 八尾市長なども反維新の会として反旗をゆるがす決心がつく事になるでしょう。

 二重行政の改革と言うが、それぞれの市には育ってきた歴史もあり、一概に効率だけで論じるべきではない。効率の改革は上部組織である大阪府が思い切り二重行政部分を自らカットし身軽になれば良いだけではないか。

 堺市などは豊臣秀吉の時代から東南アジアとの貿易の港町として栄え、茶の湯でおなじみの千利休など歴史的な由緒のある町なのである。

 ある意味では非常に先進的な気風も持ち、大阪市とはまた違った趣を持っている堺市なのです。

 橋下氏はもっと歴史も学ぶべきであり、例えば大坂が生んだ文楽への支援にも冷たく、吉本のような一般市民が喜ぶ漫才などの演芸だけで良いような暴論も述べている。

 その土地が生んできた古くからの文芸を簡単に消し去ろうと言う、その了見の狭さに筆者などは怒りを覚える。

 このような文化財こそ大事に育てはぐくむ精神を施政者は持ってもらいたい。

 今は筆者は埼玉県に住まいしているため、今でも大坂の地元に住む知人に、早くまともな市長を選ぶように呼びかけている次第だ。

法人税減税で、賃金アップを求める滑稽さ。

2013年09月29日 23時25分15秒 | 日記

 経済学者である池田信夫氏がニューズウイーク日本語電子版に寄稿されている。

 最近安倍総理が企業への復興増税を一年前倒しで廃止し、企業減税を行うと言う。しかも3%の賃上げを行った企業へ減税を行うと言う。

 筆者は少しでも企業会計の知識を有している人であれば、不思議な提案であるなあと思っていました。

 賃金はご存じのように人件費の項目に当たります。しかも売り上げ等の変動により人件費も時間外手当のように変動するものも多く含まれています。

 しかも一般的には企業は利益を上げるためには、人件費などの経費である固定費は常に削減を目指すものなのです。無駄な経費を省き、主要原材料の経費も抑え、生産性を上げる努力をして収益の確保を行って企業を運営していきます。

 果して人件費の3%アップは企業の会計とは別に報告書を出すのでしょうか?

 これこそ、マクロで考えだしたバカな思い付きだと思います。

 これをまたまたチェックする膨大な公務員を必要とします。官庁はこの為にそれこそ人件費が増加します。

 そう思っていると、池田信夫氏が下記のようなコメントを出しておられました。

 法人税の削減は、世界的な企業誘致の競争の政策であり、人件費アップなどには関係ありません。

 参考までにお読みください。

(以下に貼り付け)
法人税を減税して賃上げを求める珍妙な税制改正
2013年09月24日(火)19時29分

 迷走を続けた消費税の増税がやっと決まり、10月1日に安倍首相が経済対策とともに発表する予定だ。この中で、消費税の8%への増税とともに法人税の復興増税が1年前倒しで廃止され、税率も下げる方針だ。野党は復興増税の廃止を批判しているが、これは総合的な財源を確保すればいいので、法人税にこだわる必要はない。

 問題は、法人税を下げる対象として「3%以上の賃上げを行なった企業」という奇妙な条件がつけられることだ。これは今年度から導入された「所得拡大促進税制」で、5%以上の賃上げを行なった企業にその原資の10%を法人税額から差し引く措置の条件を3%に緩和するものだという。

 これは野党の「増税で消費者の負担が増えるのに企業が減税されるのは不公平だ」という批判をかわすためだと思われるが、トバイアス・ハリス(本誌コラムニスト)もいうように「お笑いの政策」で、日本の政治家が法人税を理解していないことを世界に知らしめる税制改正である。

 法人税を負担するのは「法人」ではない。企業は多くの個人からなるので、たとえばトヨタ自動車にかかる法人税は、株主への配当や賃金の原資を減らし、地元の雇用も減らす。このように法人税は、最終的には多くの個人に転嫁される。労働者は減税の最大の受益者だから、賃上げを条件にする必要はないのだ。

 法人減税は、消費増税を埋め合わせる「景気対策」にもならない。企業の目的は税引き前純利益の最大化であって、これは法人税率にも消費税率にも依存しないから、国内企業の行動は変わらないのだ。

 しかしグローバル企業にとっては、主要国でアメリカに次いで高い日本の法人税率は重要な問題である。前にも当コラムでみたように、シンガポールや台湾などは日本企業を誘致するために法人税を下げており、実効税率は日本の半分ぐらいだ。おかげでトヨタやホンダも、最新鋭の工場はもう日本に建てない。

 このような租税競争は激しさを増しており、今や世界の資金の半分はタックスヘイブン(租税回避地)を通るといわれている。対外総資産の残高でみると、トップはイギリス(6800兆ドル)だが、第4位の日本に次いで世界最大のタックスヘイブンであるケイマン諸島(1900兆ドル)が入っている。

 このようなタックスヘイブンを使った節税技術は、企業のグローバル化とともに高度化し、今年もアップルがアイルランドなどの現地法人を使って法人税を10%しか納めていないことがアメリカ議会で問題になった。OECD(経済協力開発機構)も閣僚理事会でタックスヘイブン対策を強化し、国際協調を呼びかけている。

 しかし経済学者は、こうした呼びかけに冷淡だ。企業の利益に法人税をかけた上に、税引き後の利益からの配当に所得税をかけるのは二重課税だからである。また同じ資金を調達しても、銀行から借りると金利は経費として利益から控除されるのに、配当には課税されるのは非対称であり、企業の過剰債務の原因になっている。

 法人税を下げるのは、こうした国際的な租税競争に対応するためであって、賃上げのためではない。日本は法人税だけではなく、雇用規制などの「六重苦」で立地コストが高いため、最新鋭の工場は日本から撤退してアジアに建てる負の退出効果が発生する。このために投資が減るのが「デフレ」の原因である。

 日本の成長率を上げるには、規制改革でこうした悪条件をなくし、企業が日本に投資できる環境をつくることが重要だ。法人税の減税はこうしたグローバル競争の一環であり、政府が賃上げを強要するのは見当違いである。不公平をなくすには、膨大な租税特別措置をなくし、課税ベースを広げるべきだ。
(貼り付け終わり)

やはり面白さでは「マルサの女」だと、改めて思いましたョ。

2013年09月27日 17時48分15秒 | 日記
 昨日「マルサの女」がYoutubeにアップロードされていると書きましたが、アップロードした人はインド人なのか、筆者には読めない文字の名前でした。

 海外のサーバーからの投稿映像であれば、著作権はどうなっているのか、ちょっと怪しく思いました。

 昨日「マルサの女」の方が面白いように筆者は思うと書いた責任上、再度「マルサの女」「マルサの女2」を改めて見直してみました。
 
 結論から言うと、筆者はやはり「マルサの女」に軍配を挙げました。

 勿論、創られた時代や内容も違いますから所詮好き好きの話です。マルサの場合は国税の特別監査部の活躍をテーマにした話なのですが、裏金を隠し税金逃れをあれこれと図る脱税者の摘発に当たる人達の話です。

 「半沢直樹」に出てくる同じ国税特別監査部の人間は、銀行の不正を暴くと言う仕事ですから基本は同じなのですが、見る立場を変えると監査部の人間が悪者のように書かれています。

 もっとも「半沢直樹」は、同じ銀行と言う組織内での上司部下の葛藤が、テーマのようではありますが。

 しかし筆者には、裏金を探し苦労するマルサの国税特別監査部の人達の方が、よりリアリティーを感じました。

 改めてマルサシリーズを視てみると、バブルが発生した頃の不動産業者、ラブホテル業者、銀行等の金融業者、金儲けの為の新興宗教家、暴力団関係者などなど、荒稼ぎをした人々を、伊丹十三監督は、実例を素材にして面白おかしく、しかし当時の世相を厳しくさらけ出しながら、少々エッチな場面も加味しつつ、映画を楽しいエンターテイメントに仕上げています。

 しかも、伊丹監督は小悪人で脱税の事しか考えていないように見える人間にも、ただ断罪するだけではなく、温かい人間性も持っているところを書き出しておられて、作品に奥深さも加味しており流石だと思いました。


「半沢直樹」を見終わったが、何故か「マルサの女」を見たくなった。

2013年09月26日 13時24分19秒 | 日記
 TVドラマとしては異例の高視聴率を叩きだした「半沢直樹」が9月22日で終了しました。

 筆者はあまり興味がなかったのですが、この番組を話題にする人が多く、ビデオに撮ったダイジェスト版と最終回を始めてみました。

 主人公の堺雅人さんの演技が少々オーバーな感じで鼻についたのですが、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、北大路欣也、香川照之さん等の脇役陣にも安定感があり、一応最終回を視終りました。

 原作者は池井戸潤氏で元々は銀行マンで作家に転向した人だけに、銀行内のドロドロした実態には詳しい方だったと思います。
 
 我々庶民が銀行と関わるのは、マンションを購入する資金を銀行から借りるといった時位しか、銀行のお世話にはならないと思います。

 その時の窓口の人から受ける印象と貸付業務の部門とは雲泥の差であり、そこからは銀行員の出世も絡んだ人事や上司と部下の怨念もあり、「半沢直樹」の世界があると思われます。

 法的に禁止されている迂回融資や金融庁の監査の前にヤバい書類を隠す、自分の地位保全のためにリークする等など、一般企業でもサラリーマン社会では、これに近い不正はある事でしょう。

 ただ倍返しだと言う言葉ほど、筆者は水戸黄門のドラマに狂喜するほど勧善懲悪の世界でもないし、まあ主人公があれほど言いたい事が言えるような銀行は、残念ながら現在の日本には存在しないと思いました。

 信用を第一にする銀行ほど、大きな組織をガタガタしたくないという論理が働きますし、それこそ銀行は信用を売る商売なだけに、現実の世界は正義の主張はもっと裏に隠れてしまっていると思います。

 まあそれだけにこのドラマは、日ごろの思いや不満を言えないサラリーマンの悲哀の受け皿であったのかなあという印象を受けた次第です。

 ところで筆者は、このドラマを見ながら、なぜか故伊丹十三監督の「マルサの女」が頭の片隅から離れませんでした。

 それこそ「マルサの女」の時代はバブル真っ盛りの時、不動産業者や金融機関などが濡れ手に泡のような感じで、金儲けに突進した時代でした。

 日本人のモラルもバブルの前に吹っ飛びました。地上げの為には暴力団の力を不動産業者も銀行も利用しました。それこそ株価も地価も、毎日毎日天井知らずに上がった時代でした。

 伊丹十三監督は、国税局特別捜査部(マルサ)を中心に置き、税金逃れの裏カネをため込む小悪人達の狂乱振りを、鋭くしかしおかしく取り上げ、見事な映画に仕上げていました。

 今も元気な宮本信子さん(伊丹さんの奥さんでした)が主人公で、化粧もしないソバカスの顔をした女性マルサとしての活躍劇は、まあ筆者は出来の良さから言うと、「半沢直樹」より「マルサの女」の方が面白く出来ているとおもいました。

 マルサの女は恐らく20年以上前の作品ですが、オンデマンドでもビデオ屋さんでも作品が借りられると思います。一度興味があれば是非ご覧になられたら良いと思います。

 追加 なんとYouTubeに「マルサの女」がノーカットで無料で見れるようです。
 筆者に教えてくれた人がおりましたので、アクセスすると確かに無料で再生されます。




若い人たちに読んで欲しい、前中国大使 丹羽宇一郎氏の発言

2013年09月25日 11時17分46秒 | 日記
 ダイアモンド・オンラインの最新号に前中国大使をされていた丹羽宇一郎氏が日中や日韓関係の改善を願って、記者の質問に答える形で話しておられます。

 丹羽氏はご存じのとおり、伊藤忠商事の社長、会長を務められた商社マンだけに、海外事情に関しても詳しいし、ご自身も良く勉強されています。

 丹羽氏が大使の時に海上保安庁の船に中国漁船が衝突してきた事件や、野田政権が尖閣諸島の国有化に踏み切り、中国国内で大きな反日デモが勃発して、日中関係が大幅に悪化してしまいました。

 丹羽氏は大使として当時大変ご苦労をされたと思うのですが、当時の丹羽大使の対応に日本のメディア等はかなり批判的な見方をしていたと思います。

 筆者もいつも思うのですが、強硬論を唱える人達はすごく威勢良く見えますが、最悪の結果で戦争状態になったりしたら、いつの間にか後ろに引っこんでいるのです。

 そして、戦場で犠牲になるのはご存じのとおり、駆り出された戦闘要員であり、一般市民なのです。

 丹羽氏のお話は少々長いのですが、本当は全文を読んでいただきたいと思います。
 是非ダイアモンド・オンラインにアクセスして、全文をお読みください。

 筆者の独断で、このページには後半部分を引用させていただきました。

 丹羽氏が若い人たちに歴史を正しく学びなさい。戦争とは負けた国は八つ裂きにされても文句が言えないと言うのが現実なのだと、解き明かしておられます。

 筆者も丹羽氏に近い世代の人間として、若い人たちだけでなく多くの日本国民に読んで欲しい一文だと思います。

(ダイアモンド・オンライン 9月25日版より。以下に後半部を貼り付けます。)

底流に流れる歴史認識問題
両首脳は不戦の誓いを再確認せよ
――前中国大使・丹羽宇一郎氏に聞く

 第2次大戦後に、なぜ日本がいまのような形で残ったかというと、まさに東西冷戦があったが故に、東(共産主義)に対抗するために、アメリカの覇権拡大政策があって、今の形で残されたと思います。「もし」は歴史にはありえないが、万万が一東西冷戦がなければ、日本はおそらく東西に分断されるか、北はロシア、南は中国、真ん中はアメリカが統治するということもあり得たでしょうね。

 そして、戦争に導いた者に対する罪も敗戦国がいつも背負わされてきた。それが日本でいうA級戦犯問題です。僕も日本人として、A級戦犯だから一刀両断100%悪いとばかりは思わないけれども、それは敗戦国側が言うことではない。戦争とはそういうもの。要するに戦争は、敗ければすべてが悪となり無残で屈辱的な結果を生むし、民族の滅亡につながりかねない。その怖さを本当に知っているのは、戦争を行った人たちです。だから絶対勝つという自信(そんな事はありえないが)がない限り、戦争はしてはいけないのです。戦後日本国民の不戦の誓いとはそういう背景からの憲法であり、心情が表現されたものです。

「私がいちばん心配するのは今の若い人たちは、全くこうした過去の歴史や国民感情の底流にあるものを意識していないことです」

 韓国の日本に対する国民感情がさらに悪いというのは、戦前、韓国は日本の植民地の二等国民として扱われて、民族として屈辱的な思いを味わったからだと思います。そして日本が敗戦国になった時から歴史は変わる。韓国の民族は臥薪嘗胆し「今に見てろよ」って思っていたと思う。その民族の血が今爆発していると言う人がいる。一理あるように思います。

 私がいちばん心配するのは今の若い人たちは、全くこうした過去の歴史や国民感情の底流にあるものを意識していないことです。僕は、若い人に言いたいんです。歴史を学びなさい。平和ボケになってはいけない。自分の国は誰かが守ってくれるものでなく、自分達で守らなくてはならないのです。戦争体験者の話をもっと聞きなさい、戦争がどれだけ悲惨であるか、と。学校では中学生くらいから近現代史を教える。教えられないのは、his storyの観点で言えば、自分の先人達を否定しなきゃいけない場面が出てくるから。だから、日本が悪いことをしたと言うかどうかは別としても、追い込まれて中国に攻め入り、多くの中国人をあやめてしまったということを、事実として話さなくてはならない。

 若い人の中には「今度戦争やっても勝てる」などと言う人もいますが、今度負けたら本当に日本が滅亡するかもしれない。八つ裂きにされるかもしれない。だから、戦争なんて二度とすべきではない。これが歴史の教訓であり、歴史認識なんです。

 だから、日本にそういう歴史認識があるかどうかということは、欧米諸国も見ている。歴史認識はまさに日中間でも、日韓間でも、日米間の問題でもあるんです。アメリカもいまの日本の指導者のたちの歴史認識を見て、疑いを持ち始めている。要するに、グローバルな問題になってきているということを、日本政府は忘れちゃいけない。世界中が見ているんです。

尖閣問題はフリーズする

(記者)――では、習近平体制の中国との関係をどう改善していったらよいのか。尖閣問題で火を噴いた日中関係悪化の背景には、歴史認識とそれによって醸成された国民感情があるとすると、関係改善はなかなか困難ではないでしょうか?

 何が大事かというと、教訓はただひとつ。二度と両国が刀を交えちゃいけない。戦争をしちゃいけないということ。これについて両国の首脳がいま一度合意することです。それは歴史認識上、これまで述べてきたようなことがあるから、なかなか難しいかもしれない。でも、そうやって国交正常化以来40年近く日中は交流してきたんです。ところが今その原点を忘れようとしている。だから、もう一度両国の首脳はそれを思い出すべきです。両国の首脳が会って、戦争が起こらないようなシステム、ルールを作ることに踏み出す。そしてその間に、経済の交流とか青少年の交流を始めることです。

 尖閣問題は棚上げではなくてフリーズする。凍結をして、氷が解けるような季節が来たら、その時にこの問題は話したらいい。それまで尖閣の周りを氷で固めてしまえ、と言っているんです。中国には船がしょっちゅう日本の領海に入ってきているのを、止めてくれと言う。日本側もできるだけ尖閣諸島の領海に行かない。中国も尖閣の領海が自分の国のものだと思っているようだし、棚上げ論はなくなったという段階に入ったのだから、両国ともとにかく尖閣問題を凍結する。フリーズしている間にいちばん最初にやるべきことが、青少年の交流です。

 要するに若者同士が白いキャンパスに絵を描くように、純な気持ちで対話をすればいい。何もしないで放っておいて関係が良くなるわけがない。日本はいまや中国や韓国を二等国民だと思ってないし、経済規模は今や中国の方が日本よりも大きい。中国が今や日本を抜いたと思っていたら、それはそれでいい。それはGDPという量の問題で、量だけで国の力は決められるものじゃないから。でもお互いがそれを認め会って、付き合っていくということが大事です。

 日中両国の首脳とも「戦争はしてはいけない」と言うんだったら、そういう努力をしなきゃいけない。お互い逆のことばっかりやってるように見える。中国は尖閣に船を出し、日本は憲法を変えようという動きをしている。お互いに反発し合うような方向に向いている。だから両国の首脳には強く努力しなさいと言わなくてはいけない。両国民も「戦うなら戦ってもいい」なんて無責任で未熟なことを言っていてはいかん。「俺はこんなに強いんだぞ」といって、ナショナリズムを煽るのは格好良くないし、強くもない、弱い者に限って大声でよく吼えるものです。

仲良くするにはという問題設定が大事

――ご著書の『北京烈日』に書いておられるように、中国共産党の正統性が、先の戦争の日本に対する勝利にあるとすれば、中国社会の不満が大きくなっているなかで、依然として、日本には強硬にならざるを得ないのではないでしょうか。果たして習政権は対日関係の修復に動いてくるのか……。

 習近平氏が正式に国家主席に就任して半年経ちました。彼の人事は未だできていません。政治的な基盤がまだ弱い。日本で言えば、新内閣ができたけれども、閣僚は自分の選んだ人ではないという体制です。しかも、いわゆる最高指導部のチャイナセブンは習氏より年上の人が多い。ですから習氏も、第1期の5年間は本当には自分の政策はまだ打てないでしょうね。

 その間に頼りになるのは、やっぱり軍でしょう。軍のサポートなくして中国の56の民族を統治していくのは並大抵のことではない。だから対外的には強気の姿勢を出してくると思います。決して油断はできない。しかしながらお互いが“争えば害なり、和すれば益なり”。これは周恩来が言った言葉ですが、こういう考え方に立って、やはり両国が仲良くするにはどうしたらいいかという議論をすべきですね。

 今日本は攻められたらどうしようかということばかりを議論し、どうやったら仲良くなれるかという議論がない。そういう議論をすると「お前は親中派だ」って言うわけです。「世の中そう簡単にはいきません」って。そんなことは誰でも分っている。簡単にいかないところに、壁に穴をあけるのが政治家の仕事です。
(以上で貼り付け終わり)