このところ東京株式市場で日経平均株価は続伸している。
日経平均株価は、通常はNY市場のダウ工業平均株価の動きに連動することが多いが、ここ5日間NYは200ドル下げているが、日経株価は4日間上昇を続けている。
しかも、国内の経済指標は減速傾向を強めている。前日発表の6月の鉱工業生産指数速報値は前月比3.3%減となり、在庫指数も増加している。
「民間推計で4~6月期の実質GDPは年率7.1%減と、1997年の前回消費増税時より落ち込みが大きいもよう」と日経は報じている。
どう見ても、消費税のアップが、国内景気の足を引っ張りだしているという事だろう。
公的年金の買い支えの思惑などで下振れリスクは少ないとみた短期筋が先物買いを入れ、買い戻しなども巻き込んで一気に相場が動いたというわけだ。
安倍政権の行う株価上昇政策の公的年金資金等による株式市場への参入に、海外投機ファンドが短期間で利益を確保する格好のチャンス到来と、株価上げの原因になっているのだろう。
しかし31日の日経平均株価は午前中は15,750円まで上昇したが、午後2時以降から下落に転じ、15,620円、 前日より▲25.46 円安で引けた。
安倍政権の旗振り役でもある日本経済新聞までも、以下に貼り付けたように、日経平均株価の動きに懸念を持ってみている。
日経は経済紙であるだけに、さすがに各種の速報数値が下落基調を示しているだけに、イケイケどんどんといった提灯記事は書けないのだろう。
(日本経済新聞より貼り付け)
5日続伸にらむ日本株 しっくりこない高値の正体
公開日時 2014/7/31 12:56
31日午前の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、取引時間中では1月23日以来の1万5700円台を付けた。2014年4~6月期の米国内総生産(GDP)が実質で前期比年率4.0%増と、市場予想を大きく上回ったことを受け、外国為替市場で円相場が一時1ドル=103円台と約4カ月ぶりの安値に下落。最近の上昇基調に円安進行という支援材料が加わり、日経平均はここ1カ月半程度続いていた1万5000円台前半のレンジを明確に上抜けてきた。ただ、市場で聞かれる上昇の背景については、どこかしっくりこない点も残る。
日経平均はきょうで5日続伸を試すが、まず気になるのが米国株との逆行だ。ダウ工業株30種平均は前日までの5日間で「1勝4敗」、約200ドル下げている。特に前週末25日は123ドル安と軟調だったが、週明けの日経平均は71円高と逆行高だった。この間、東証1部の売買代金も1兆円台後半と特に膨らんでおらず、先物主導で指数だけが上げた印象が強い。
足元の円安基調を材料視する声は多いが、それはきょうに限ってのことだ。前日までは株高につれて多少円安に振れた程度で、4月中旬から続いていた1ドル=102円前後でのボックス圏は抜けていなかった。円安進行が株高の「起点」となったわけではない。
主要企業の14年4~6月期決算発表が最初のピークを迎えた。自動車など輸出関連を中心に、堅調な外需を取り込んで、消費増税による国内の落ち込みをカバーしている構図が目立ち、過去最高益を上げた企業などは素直に好感した買いを集めている。一方、円安や原材料価格の高騰で素材関連などの業績は苦戦気味で、証券は軒並み減益となるなど、必ずしも全てが好調というわけではない。みずほ証券リサーチ&コンサルティングの米沢忍シニアクオンツアナリストは、前日までに発表した東証1部の3月期決算企業の決算内容を集計した。それによると経常利益の通期予想に対する進捗率は24.6%、通期予想については9割が据え置き、上方修正は4%という。米沢氏は「まだ慎重に見積もっている面はありそうだが、現時点では総じて驚きに乏しい決算」と指摘する。全体の1株利益が顕著に上昇しない中で株高が続くようなら、東証1部ベースで既にPER(株価収益率)が16倍近くと、10倍台前半が多い欧州やアジアに比べた日本株の割高感が目立ってくる可能性が高い。
足元の経済指標は減速傾向を強めている。前日発表の6月の鉱工業生産指数速報値は前月比3.3%減となり、経済産業省は生産の基調判断を「弱含み」に引き下げた。31日付日本経済新聞朝刊は「民間推計で4~6月期の実質GDPは年率7.1%減と、1997年の前回消費増税時より落ち込みが大きいもよう」と報じた。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、焦点となる7~9月期の回復についても「(増税や値上げラッシュなどによる)実質可処分所得の減少で、小売業の一部には危機感も浮上している。4~6月期の落ち込みを埋めることはできないだろう」と指摘していた。輸出数量も伸びない中、株価が日本経済の急拡大を織り込むのは時期尚早かもしれない。
では、株高のけん引役は何か。岡三証券の大場敬史シニアストラテジストは「海外ヘッジファンドなど短期筋による仕掛け的な買いもあったのではないか」と読む。日経平均は1万5300円前後でのこう着が約1カ月続いたが、公的年金の買い支えの思惑などで下振れリスクは少ないとみた短期筋が先物買いを入れ、買い戻しなども巻き込んで一気に相場が動いたというわけだ。最近、日経平均が5日以上続伸したのは5月下旬の公的年金とみられる買い出動(6日続伸)、その前は昨年末の海外投資家とみられる買い(9日続伸)にさかのぼる。何らかの需給要因が作用しないと、5日続伸はなかなか実現しないようだ。
きょう、JPX日経インデックス400は1月8日に付けた算出以来の高値を上回った。日経平均も1万6000円台乗せ、そして昨年末の高値(1万6291円)を超えるといった楽観論が急速に広がっている。ただ、朝高後は上値の重さも目立ち始めてきた。市場が強気に傾いている今こそ、落とし穴はないのか、改めて現在の相場環境を見直しておく必要はありそうだ。[日経QUICKニュース(NQN) 古門成年〕
(貼り付け終わり)
日経平均株価は、通常はNY市場のダウ工業平均株価の動きに連動することが多いが、ここ5日間NYは200ドル下げているが、日経株価は4日間上昇を続けている。
しかも、国内の経済指標は減速傾向を強めている。前日発表の6月の鉱工業生産指数速報値は前月比3.3%減となり、在庫指数も増加している。
「民間推計で4~6月期の実質GDPは年率7.1%減と、1997年の前回消費増税時より落ち込みが大きいもよう」と日経は報じている。
どう見ても、消費税のアップが、国内景気の足を引っ張りだしているという事だろう。
公的年金の買い支えの思惑などで下振れリスクは少ないとみた短期筋が先物買いを入れ、買い戻しなども巻き込んで一気に相場が動いたというわけだ。
安倍政権の行う株価上昇政策の公的年金資金等による株式市場への参入に、海外投機ファンドが短期間で利益を確保する格好のチャンス到来と、株価上げの原因になっているのだろう。
しかし31日の日経平均株価は午前中は15,750円まで上昇したが、午後2時以降から下落に転じ、15,620円、 前日より▲25.46 円安で引けた。
安倍政権の旗振り役でもある日本経済新聞までも、以下に貼り付けたように、日経平均株価の動きに懸念を持ってみている。
日経は経済紙であるだけに、さすがに各種の速報数値が下落基調を示しているだけに、イケイケどんどんといった提灯記事は書けないのだろう。
(日本経済新聞より貼り付け)
5日続伸にらむ日本株 しっくりこない高値の正体
公開日時 2014/7/31 12:56
31日午前の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、取引時間中では1月23日以来の1万5700円台を付けた。2014年4~6月期の米国内総生産(GDP)が実質で前期比年率4.0%増と、市場予想を大きく上回ったことを受け、外国為替市場で円相場が一時1ドル=103円台と約4カ月ぶりの安値に下落。最近の上昇基調に円安進行という支援材料が加わり、日経平均はここ1カ月半程度続いていた1万5000円台前半のレンジを明確に上抜けてきた。ただ、市場で聞かれる上昇の背景については、どこかしっくりこない点も残る。
日経平均はきょうで5日続伸を試すが、まず気になるのが米国株との逆行だ。ダウ工業株30種平均は前日までの5日間で「1勝4敗」、約200ドル下げている。特に前週末25日は123ドル安と軟調だったが、週明けの日経平均は71円高と逆行高だった。この間、東証1部の売買代金も1兆円台後半と特に膨らんでおらず、先物主導で指数だけが上げた印象が強い。
足元の円安基調を材料視する声は多いが、それはきょうに限ってのことだ。前日までは株高につれて多少円安に振れた程度で、4月中旬から続いていた1ドル=102円前後でのボックス圏は抜けていなかった。円安進行が株高の「起点」となったわけではない。
主要企業の14年4~6月期決算発表が最初のピークを迎えた。自動車など輸出関連を中心に、堅調な外需を取り込んで、消費増税による国内の落ち込みをカバーしている構図が目立ち、過去最高益を上げた企業などは素直に好感した買いを集めている。一方、円安や原材料価格の高騰で素材関連などの業績は苦戦気味で、証券は軒並み減益となるなど、必ずしも全てが好調というわけではない。みずほ証券リサーチ&コンサルティングの米沢忍シニアクオンツアナリストは、前日までに発表した東証1部の3月期決算企業の決算内容を集計した。それによると経常利益の通期予想に対する進捗率は24.6%、通期予想については9割が据え置き、上方修正は4%という。米沢氏は「まだ慎重に見積もっている面はありそうだが、現時点では総じて驚きに乏しい決算」と指摘する。全体の1株利益が顕著に上昇しない中で株高が続くようなら、東証1部ベースで既にPER(株価収益率)が16倍近くと、10倍台前半が多い欧州やアジアに比べた日本株の割高感が目立ってくる可能性が高い。
足元の経済指標は減速傾向を強めている。前日発表の6月の鉱工業生産指数速報値は前月比3.3%減となり、経済産業省は生産の基調判断を「弱含み」に引き下げた。31日付日本経済新聞朝刊は「民間推計で4~6月期の実質GDPは年率7.1%減と、1997年の前回消費増税時より落ち込みが大きいもよう」と報じた。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、焦点となる7~9月期の回復についても「(増税や値上げラッシュなどによる)実質可処分所得の減少で、小売業の一部には危機感も浮上している。4~6月期の落ち込みを埋めることはできないだろう」と指摘していた。輸出数量も伸びない中、株価が日本経済の急拡大を織り込むのは時期尚早かもしれない。
では、株高のけん引役は何か。岡三証券の大場敬史シニアストラテジストは「海外ヘッジファンドなど短期筋による仕掛け的な買いもあったのではないか」と読む。日経平均は1万5300円前後でのこう着が約1カ月続いたが、公的年金の買い支えの思惑などで下振れリスクは少ないとみた短期筋が先物買いを入れ、買い戻しなども巻き込んで一気に相場が動いたというわけだ。最近、日経平均が5日以上続伸したのは5月下旬の公的年金とみられる買い出動(6日続伸)、その前は昨年末の海外投資家とみられる買い(9日続伸)にさかのぼる。何らかの需給要因が作用しないと、5日続伸はなかなか実現しないようだ。
きょう、JPX日経インデックス400は1月8日に付けた算出以来の高値を上回った。日経平均も1万6000円台乗せ、そして昨年末の高値(1万6291円)を超えるといった楽観論が急速に広がっている。ただ、朝高後は上値の重さも目立ち始めてきた。市場が強気に傾いている今こそ、落とし穴はないのか、改めて現在の相場環境を見直しておく必要はありそうだ。[日経QUICKニュース(NQN) 古門成年〕
(貼り付け終わり)