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日経平均株価は1万6000円台乗せは可能か? 昨年末の高値1万6291円を超える?

2014年07月31日 16時40分01秒 | 日記
 このところ東京株式市場で日経平均株価は続伸している。

 日経平均株価は、通常はNY市場のダウ工業平均株価の動きに連動することが多いが、ここ5日間NYは200ドル下げているが、日経株価は4日間上昇を続けている。

 しかも、国内の経済指標は減速傾向を強めている。前日発表の6月の鉱工業生産指数速報値は前月比3.3%減となり、在庫指数も増加している。

 「民間推計で4~6月期の実質GDPは年率7.1%減と、1997年の前回消費増税時より落ち込みが大きいもよう」と日経は報じている。

 どう見ても、消費税のアップが、国内景気の足を引っ張りだしているという事だろう。

 公的年金の買い支えの思惑などで下振れリスクは少ないとみた短期筋が先物買いを入れ、買い戻しなども巻き込んで一気に相場が動いたというわけだ。

 安倍政権の行う株価上昇政策の公的年金資金等による株式市場への参入に、海外投機ファンドが短期間で利益を確保する格好のチャンス到来と、株価上げの原因になっているのだろう。

 しかし31日の日経平均株価は午前中は15,750円まで上昇したが、午後2時以降から下落に転じ、15,620円、 前日より▲25.46 円安で引けた。

 安倍政権の旗振り役でもある日本経済新聞までも、以下に貼り付けたように、日経平均株価の動きに懸念を持ってみている。

 日経は経済紙であるだけに、さすがに各種の速報数値が下落基調を示しているだけに、イケイケどんどんといった提灯記事は書けないのだろう。

(日本経済新聞より貼り付け)

5日続伸にらむ日本株 しっくりこない高値の正体
公開日時 2014/7/31 12:56

 31日午前の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、取引時間中では1月23日以来の1万5700円台を付けた。2014年4~6月期の米国内総生産(GDP)が実質で前期比年率4.0%増と、市場予想を大きく上回ったことを受け、外国為替市場で円相場が一時1ドル=103円台と約4カ月ぶりの安値に下落。最近の上昇基調に円安進行という支援材料が加わり、日経平均はここ1カ月半程度続いていた1万5000円台前半のレンジを明確に上抜けてきた。ただ、市場で聞かれる上昇の背景については、どこかしっくりこない点も残る。

 日経平均はきょうで5日続伸を試すが、まず気になるのが米国株との逆行だ。ダウ工業株30種平均は前日までの5日間で「1勝4敗」、約200ドル下げている。特に前週末25日は123ドル安と軟調だったが、週明けの日経平均は71円高と逆行高だった。この間、東証1部の売買代金も1兆円台後半と特に膨らんでおらず、先物主導で指数だけが上げた印象が強い。

 足元の円安基調を材料視する声は多いが、それはきょうに限ってのことだ。前日までは株高につれて多少円安に振れた程度で、4月中旬から続いていた1ドル=102円前後でのボックス圏は抜けていなかった。円安進行が株高の「起点」となったわけではない。

 主要企業の14年4~6月期決算発表が最初のピークを迎えた。自動車など輸出関連を中心に、堅調な外需を取り込んで、消費増税による国内の落ち込みをカバーしている構図が目立ち、過去最高益を上げた企業などは素直に好感した買いを集めている。一方、円安や原材料価格の高騰で素材関連などの業績は苦戦気味で、証券は軒並み減益となるなど、必ずしも全てが好調というわけではない。みずほ証券リサーチ&コンサルティングの米沢忍シニアクオンツアナリストは、前日までに発表した東証1部の3月期決算企業の決算内容を集計した。それによると経常利益の通期予想に対する進捗率は24.6%、通期予想については9割が据え置き、上方修正は4%という。米沢氏は「まだ慎重に見積もっている面はありそうだが、現時点では総じて驚きに乏しい決算」と指摘する。全体の1株利益が顕著に上昇しない中で株高が続くようなら、東証1部ベースで既にPER(株価収益率)が16倍近くと、10倍台前半が多い欧州やアジアに比べた日本株の割高感が目立ってくる可能性が高い。

 足元の経済指標は減速傾向を強めている。前日発表の6月の鉱工業生産指数速報値は前月比3.3%減となり、経済産業省は生産の基調判断を「弱含み」に引き下げた。31日付日本経済新聞朝刊は「民間推計で4~6月期の実質GDPは年率7.1%減と、1997年の前回消費増税時より落ち込みが大きいもよう」と報じた。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、焦点となる7~9月期の回復についても「(増税や値上げラッシュなどによる)実質可処分所得の減少で、小売業の一部には危機感も浮上している。4~6月期の落ち込みを埋めることはできないだろう」と指摘していた。輸出数量も伸びない中、株価が日本経済の急拡大を織り込むのは時期尚早かもしれない。

 では、株高のけん引役は何か。岡三証券の大場敬史シニアストラテジストは「海外ヘッジファンドなど短期筋による仕掛け的な買いもあったのではないか」と読む。日経平均は1万5300円前後でのこう着が約1カ月続いたが、公的年金の買い支えの思惑などで下振れリスクは少ないとみた短期筋が先物買いを入れ、買い戻しなども巻き込んで一気に相場が動いたというわけだ。最近、日経平均が5日以上続伸したのは5月下旬の公的年金とみられる買い出動(6日続伸)、その前は昨年末の海外投資家とみられる買い(9日続伸)にさかのぼる。何らかの需給要因が作用しないと、5日続伸はなかなか実現しないようだ。

 きょう、JPX日経インデックス400は1月8日に付けた算出以来の高値を上回った。日経平均も1万6000円台乗せ、そして昨年末の高値(1万6291円)を超えるといった楽観論が急速に広がっている。ただ、朝高後は上値の重さも目立ち始めてきた。市場が強気に傾いている今こそ、落とし穴はないのか、改めて現在の相場環境を見直しておく必要はありそうだ。[日経QUICKニュース(NQN) 古門成年〕

(貼り付け終わり)

就任以降47か国も訪問し走り回る安倍首相。しかし軍備増強に狂奔するよリまし。

2014年07月30日 11時29分09秒 | 日記
 筆者も7月26日のブログで、安倍首相の中南米訪問を少々皮肉をこめて書き込んだが、案の定というか、やはりというか英国フィナンシャルタイムズ紙のコラムで、皮肉をこめて安倍首相の中南米訪問を取り上げている。

 安倍首相の異常と言っても良い程の外遊件数を、就任1年半で47か国も訪問している事になると、正確に件数で書いている。

 「外国訪問に長けている中国の習近平国家主席でさえ、まだ23カ国にとどまっている」と皮肉たっぷりだ。

 そして筆者が見ていたように、このコラムの記述も中国の後追いをしている印象は避けられない。

 フィナンシャルタイムズのコラムの記者は、しかしアジア地域での日本の中国囲い込みも、一面では成功しているように見えると評価をしているし、中南米、特に米国と隣国であるメキシコでの自動車組み立て工場の投資等も率直に評価をしている。

 ただ米国のGMなども、メキシコが低賃金で米国内の工場で生産するよりも有利なため、巨大な工場を稼働させている。

 グローバル資本は、低賃金の国を常に探しながら、投資先を探していると言う事だ。

 南米は、エネルギーの開発や輸入も日本にとって重要な相手国であり、これは当然同じように、エネルギーや資源開発で必死である中国と、経済開発面で、バッティングする事になるだろう。

 まあ筆者は、下手に国内で憲法解釈による集団的自衛権の容認などと言う、危なっかしい火遊びをせずに、安倍首相がこまめに外遊する事は、日本の経済活動の一環としてみれば、許される範囲と思っているのだが。

(英フィナンシャルタイムズ紙より貼りつけ)

世界を駆け回る安倍首相、中国と影響力の奪い合い
2014.07.30(水) Financial Times

もし印刷した1万円札の枚数や迂回した憲法の条文の数ではなく訪問した国の数で評価されることになったら、安倍晋三首相は大変な成績を収めることになるだろう。何しろ、25日にメキシコから始まった中南米諸国歴訪の旅を終えれば、1年半ちょっとで47カ国を訪れたことになるのだから。

 首相が外国を訪問する時に国会に事実上許可を請わねばならない日本の基準はもとより、恐らくどの国の指導者の基準に照らしてみても、安倍氏は外国を頻繁に訪れていると見なされるだろう。

 ちなみに、安倍首相の2人の前任者は計2年半の在任中に18カ国しか訪問できなかった。外国訪問に長けている中国の習近平国家主席でさえ、まだ23カ国にとどまっている。

 日本の首相としては10年ぶりとなる中南米歴訪の前に、安倍氏はアジア諸国を何度か訪れている。任期の1年目には東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国をすべて回るという離れ業をやってのけた。中国の影響力がじわじわと感じられるようになっており、常に歴史が重くのしかかるアジアでは、日本政府と中国政府がビジネスの機会だけでなく人々の心を巡っても暗黙のバトルを繰り広げている。

 日本はインドネシアやタイ(両国にとって日本は大口の投資家である)をはじめとする東南アジアの国々と関係を強化したり、中国の台頭に神経質になっているほかの国々(インド、フィリピン、ベトナム、さらには、かつてはしっかり中国陣営に入っていたミャンマーなど)を味方に付けようとしたりしており、概して言えば、そうした取り組みは一般に理解されている以上の成功を収めている。

習近平国家主席の後を追うような中南米歴訪

 アジアより遠く離れたところでは、中国が一歩リードしている。中国は、10年前にはほとんど存在感がなかった中南米でも急速に影響力を強めており、今ではブラジルやチリ、ペルーにとって最大の、そしてアルゼンチン、コロンビア、産油国のベネズエラなどにとっては第2位の貿易相手国になっている。

 また中国の習氏は、安倍氏が最初の訪問国・メキシコに到着したちょうどその日に、1週間の中南米歴訪を終えて帰国している。トリニダード・トバゴで首脳会談を行い、これからブラジル、コロンビア、チリを訪問する安倍氏がまるで習氏の後を追いかけているようにも見えるため、日本人にとっては不愉快な面もある。

 中国国際問題研究所の滕建群氏は、中国国営中央テレビ(CCTV)のインタビューで安倍氏の取り組みを痛烈に評した。

 「安倍は中国の最高指導者を追いかける存在になった。中南米だけでなく、世界中で」。滕氏は得意げにそう語った。そして、日本はやっても無駄だ、外交、商業両面で中国はすでにずっと先を走っているのだから、という内容の話を続けた。日本の朝日新聞でさえ、安倍氏は「巻き返し」を図っていると書き、中南米の地に降り立つころには中国がめぼしいものをほとんど持ち去っているだろうとほのめかした。

 日本の経済規模は5兆ドルで、中国のそれは9兆ドルだ。従って、日本がアジアの新興大国と同格で競うことを期待することはできない。しかし、日本と中南米の間には昔から貿易・投資の面で強い結びつきがある。安倍氏は、このつながりを利用したいと考える財界人70人を中南米に同行させている。

中南米と日本の強い結びつき

 日本はメキシコと経済連携協定を締結しており、メキシコにとっては第4位の貿易相手国だ。日産自動車、ホンダ、マツダは最近、米国市場をにらんでこの国に自動車組立工場を建設しており、その投資額は計40億ドルに達した。メキシコに投資する日本の企業は約800社を数える。また安倍氏の訪問中に、両国はエネルギーの面で協力していくことを明らかにした。

 ブラジルとの関係では中国が日本を上回っているものの、ここでも日本は重要なパートナーだ。安倍氏は日本の造船・エネルギー関連技術を売り込んでいく見通しで、具体的には海洋プラットフォームの開発に役立つ数億ドル規模の契約締結にこぎ着けたい考えだ。さらに安倍氏は中南米各国で、2011年の福島第一原子力発電所事故後のエネルギー不足を埋める石油・ガス購入契約の締結を求めることになっている。

 トリニダード・トバゴでは、同国が参加するカリブ共同体(カリコム)と日本との初めての首脳会合に臨み、来年の国連安全保障理事会・非常任理事国選挙での支持を求める予定になっていた。

 カリブ共同体には、中国ではなく台湾を承認している国が6カ国ある。これらの国々は、日本政府の申し出を受け入れることができるかもしれない。安倍氏は、カリブ諸国が日本にとって特別な存在であることを訴えるのであれば、事前に40カ国以上を訪ね歩いてきたことには触れない方がいいだろう。

By David Pilling

(貼り付け終わり)

マレーシア機撃墜で、ウクライナ東部の紛争状況を、もっと詳しく知っておこう。

2014年07月29日 16時22分07秒 | 日記
ウクライナ東部紛争地域で、マレーシア航空機MH17が撃墜されて10日になるが、日本のメディアから流される情報は、米国から発信されたソースが多く、ロシア側や親ロシア派からの情報が少ない。

 田中 宇氏はインターネット上に流されている海外情報を分析しておられ、筆者には世界の情報戦の修羅場のように感じるほどだ。

 どの情報が正しいのか、読み取る個人の能力に帰着するしかないが、一方的に流されている情報だけで物事を判断すると、後で大きな判断ミスを犯すことになる。

 日本で報道されている、一般的な認識は、例え誤射であろうと、地対空ミサイルの発射は、親ロシア派が発射したものと、ほぼ思われていることだろう。

 しかし田中宇氏は、ウクライナ軍の謀略に近い撃墜の可能性もあると見ておられる。

 また、遺体収容や事故調査が進展しないのも、親ロシア派が墜落現場周辺を占拠しているためだと、報道されているようだが、一番被害者が多かったオランダ側への遺体収集も、親ロシア派側の積極的な協力が多いということも知られていない。

 最近は米国内からも、オバマ大統領弾劾裁判の話や、支持率が過去のどの大統領よりも低いとかいう、メディアの世論調査報告が出たりと、オバマ大統領のレイムダック化が伝わり、それに反比例してプーチン露大統領の評価が上がる傾向にある。

 ウクライナ政権は財政上の逼迫もあり、まだまだ安定には程遠い状態だ。

 田中氏の解説は興味深い内容も多く、一読をお勧めします。

(田中 宇の国際ニュース解説より貼り付け)

ウクライナの対露作戦としてのマレー機撃墜
2014年7月28日   田中 宇

 ウクライナ東部でマレーシア航空機MH17を撃墜した「犯人」は、ウクライナ軍である可能性が最も高い。 事件発生後、米欧日などのマスコミで、いっせいに「ロシア犯人説」が流布された。しかし米政府は7月22日、諜報担当官が匿名の記者懇談で「ロシアがMH17機の撃墜に何らかの直接関与をしていたと考えられる根拠がない」「ロシアがウクライナ東部の親露勢力にミサイルを渡して撃墜させたと考える根拠がない」と述べ、それまでの「ロシア犯人説」の主張を引っ込めた。 (US: No link to Russian gov't in plane downing)

 米政府は「ロシアの責任は、撃墜への直接関与でなく(親露勢力を軍事支援するなど)今回の撃墜につながる状況を(間接的に)作ったことだ」と、それまでより弱い対露非難へと後退した。また米当局者は「ウクライナ東部の親露勢力が(ロシアから与えられたのでなくウクライナ軍から奪うなど独自に入手した)SA11を使って、MH17機をウクライナ軍機と間違えて撃墜した」という新たな説明もしている。 (MH17 likely shot down by mistake by Russian separatists, US intelligence official says)

 ロシアがウクライナの親露派に命じて撃墜させたという説を米政府が引っ込めたことで、ロシア犯人説は「無根拠な陰謀論」になったといえる。残っているのは、米政府が推定している親露派による誤射での撃墜説と、ロシア政府が主張しているウクライナ軍犯行説の2つだ。この2つの説のうち、私は、ウクライナ軍犯行説の可能性の方が高いと考えている。その根拠は、7月21日にロシア軍高官が記者会見し、当日のレーダー映像を証拠として示しながら、ウクライナ空軍のSU25とみられる戦闘機2機が撃墜直前のMH17を追尾し、撃墜後に現場を旋回した上で飛び去ったと発表したからだ。「ロシアが言うことは全部ウソだ」という印象が報道プロパガンダによって蔓延しているが、今回の撃墜事件に関して最も説得力があった記者会見は、7月21日のロシア軍によるものだ。露政府と対照的に、米政府は説得性がある証拠を何も示していない。 (Ukrainian Su-25 fighter detected in close approach to MH17 before crash - Moscow)

 英国BBCテレビのロシア語放送は7月22日、墜落直前のMH17の近くを戦闘機が飛んでいるのを見たという、墜落現場近くの住民の証言を報道した。この放送動画はインターネットのBBCのサイトで公開されたが、その後削除されている。動画をコピーしたものがユーチューブで出回っている。親露派は戦闘機を持っていない。ウクライナ軍の戦闘機がMH17を追尾していた可能性が高い。 (The Video Report Deleted by the BBC - ENG SUBS) (Censorship or error? Internet criticism for BBC removal of MH17 report)

 ウクライナ軍の戦闘機がMH17を撃墜したと決めつけることはできないが、戦闘機の行動からは、少なくともウクライナ軍はMH17が撃墜されることを事前に知っていた、もしくは誘発した可能性が高い。そうでなければ追尾しない。ここにおいて、撃墜状況の可能性は(1)ウクライナ軍機が空対空ミサイル(R60)で撃墜した。(2)露軍が7月21日の記者会見で発表したように、ウクライナ軍は数日前から現場近くに地対空ミサイルSA11(ブーク)を配備していた。それで撃墜された。(3)ウクライナ軍戦闘機と一緒に飛んでいたMH17を、親露派が、ウクライナ軍輸送機と勘違いし、以前にウクライナ軍から奪って持っていたSA11で撃墜した。・・・の3通りが考えられる。(3)は親露派が犯人だが、戦闘機を間近に飛ばしてMH17をウクライナ軍輸送機に勘違いさせたのはウクライナ軍の謀略である。 (Ukrainian Air Defense Exercises Might be Behind Malaysian Aircraft Crash - Source)

 撃墜事件以来、米欧などのマスコミがロシア敵視のプロパガンダを過激に展開し、世界的に「ロシアが悪い」「親露派が悪い」という歪曲されたイメージが強くなった。ウクライナ軍は、この反露的な世界の世論を追い風として、ウクライナ東部の親露派の中心地であるドネツクに攻撃をかけ、親露派を一気に潰そうとする作戦を開始している。ウクライナ軍はすでにドネツク郊外の小さな町を次々と侵攻し、ドネツクに対する包囲網を形成している。人口約百万人ドネツクの街には、まだ市民の多数が住んでおり、ウクライナ軍が市街地に侵攻すると、多数の一般市民が殺される。平時なら、ドネツク市民を殺すウクライナ軍に対する国際非難が強まる。 (Ukraine poised to try to reclaim Donetsk, its military says)

 これまで、ドネツク市民など親露派は、世界的に、あまり「悪者扱い」されていなかった。ウクライナ軍はドネツクを攻略できず、ウクライナ東部の内戦はこう着状態だった。しかし今回の撃墜で親露派が「犯人」扱いされ、親露派のドネツク市民は、MH17に乗っていた「多数の子供たち」を含む無実の乗客たちを殺害した「極悪非道のテロリストの仲間」だ。ウクライナ軍が多数のドネツク市民を殺害しても、国際的な非難は少ない。ウクライナ政府は、ガザの市民を殺害して世界の非難を浴びるイスラエル政府がうらやむような国際プロパガンダの追い風を受けている。ウクライナ軍にとってMH17の撃墜は、ドネツクに侵攻すべきまたとない好機を生み出している。

 こうした現状と、ウクライナ軍が撃墜して親露派のせいにしたか、もしくは親露派をだまして撃墜させたという、MH17撃墜をめぐるウクライナ軍の謀略を合わせて考えると、一つの推論が出てくる。ウクライナ軍は、膠着していた内戦を自分たちに有利なように進展させ、ドネツク陥落や内戦勝利に結びつけるために、親露派に濡れ衣を着せる目的で、MH17撃墜の謀略をやったのでないかという推論だ。

 7月初め、米国の軍産複合体系のシンクタンク「ランド研究所」が、ウクライナ軍が内戦を本格化して勝つための3段階の戦略を立てていたことが暴露されている。それによると、ウクライナ軍はまずドネツクなど東部で親露派が立てこもっている町を孤立させ、外部との連絡網を完全に遮断し、ドネツクなどに残っている市民は親露反乱軍に加担するものとみなす。次に、町に侵攻し、反抗する市民は殺害し、投降してくる市民を、あらかじめ作っておく強制収容所にいれる。収容所でも、抵抗するものは射殺する。最後に、反乱軍を一掃した後のドネツクなどで、親露市民の土地建物などの資産を没収し、国有化する。この戦略は、平時だと人権侵害として国際的に非難されるが、親露勢力に極悪のレッテルが貼られている今なら、非難をあまり受けずに挙行できる。MH17撃墜も、ランド研が考えた謀略だとしても不思議でない。 (Leaked: `US think-tank plan' on E. Ukraine suggests internment camps, executions)

 米英の軍産複合体にとって、MH17撃墜を好機としたウクライナ軍のドネツク侵攻は、ロシアをウクライナの内戦の泥沼に引っ張り込める利点がある。米国などは「ロシアがウクライナに介入し、親露派に武器や戦争技能を供給している」と非難しているが、ロシアは国際政治的に優位を保つため、親露派に武器や技能を供給しないようにしている。米政府は「全部ロシアが悪い」と声高に言うが、国際世論は、途上諸国を中心に、しだいにロシアの肩を持ち、米国を信用しないようになっている。この裏に、ロシアがウクライナ内戦に介入を控えている現実がある。 (US says Russia fired artillery into Ukraine)

 しかし今後、ウクライナ軍がドネツクに侵攻して多くの親露派市民が殺され、米欧マスコミがそれを看過する事態になると、ロシアはウクライナ内戦に介入し、親露派を公式に支援せざるを得なくなる。そうなると「ロシアがウクライナに介入して内戦を激化させている」という米国の主張が、事後的にだが、正しいものになる。この展開は、ロシアを不利にする。 こうした事態との関係が不明だが、ロシアのプーチン大統領は7月23日、ウクライナ情勢について話し合うため、夏休み中の議会を緊急招集した。 (Putin Recalls State Duma From Vacation, "Planning Something" On Ukraine Situation)

 米国は、こうした事態を先取りするかのように、MH17が撃墜されたのと同じ7月17日にウクライナ、グルジア、モルドバの3カ国を、NATOに準じる同盟国に格上げすることを決定した。オバマ政権は、ロシア近傍の東欧諸国に米国の核兵器を配備することを検討している。米国防総省は、冷戦時代のロシア敵視策を復活してウクライナに適用すると表明した。MH17撃墜を機に、米国は、撃墜に対するロシアの直接関与がないと認める一方で、ロシア敵視策を強めている。MH17撃墜の謀略立案に、米国も加担していた感じだ。 (Obama Leads Republicans' War Against Russia) (Gen. Dempsey: We're Pulling Out Our Cold War Military Plans over Ukraine)

 MH17の墜落現場では、犯人を特定するための現場検証が始まろうとしているが、ここでも政治謀略がうごめいている。事故後、撃墜で194人の自国民が死んだオランダなどの当局者たちが撃墜現場を訪れようとして、ウクライナの首都キエフまでやってきたが、キエフから現場まで行こうとするたびに、現場の手前の地域でウクライナ軍と親露派の戦闘が起こり、キエフに引き返さざるを得ない事態が何日も続いた。東部の親露派がオランダの調査隊に語ったところによると、戦闘を起こしているのは多くの場合、ウクライナ軍の方だという。

 マスコミは「現場に行こうとする調査隊を親露派が阻止した」「親露派がフライトレコーダーを盗んだ。破壊した」などと喧伝したが、実のところ、フライトレコーダーは無傷で保管されていた。各国の調査隊が現場に着くまでの数日間、毎日の最高気温が30度を超える猛暑で死臭が漂う中、親露派の人々は、国際調査団から依頼されたとおり、墜落現場で遺体を捜索してマーキングする作業を続けた。猛暑で遺体が腐敗するのを防ぐため、親露派は、支配地域で破壊されずに残っている冷凍貨物列車を現場近くまで移動し、そこに遺体を移動して保管した。オランダの調査隊は、これらの親露派の努力を絶賛し、感謝の意を述べている。この間、国際マスコミは「親露派が遺体を冷凍貨車に乗せて盗み出す?」などと喧伝していた。 (Dutch forensics inspectors praise DLPR workers)

 事件後、初めて海外マスコミが墜落現場を訪れて写真や動画を撮影した時、現場で報道陣を案内した武装した親露派司令官が、搭乗者の遺品が集められた場所で、説明の途中で「見てください。これの持ち主も撃墜されたんです」と言って、子供の搭乗者の機内持ち込み品とみられるサルのぬいぐるみを取り上げた。司令官は、自分がぬいぐるみを持っているところをカメラマンたちに撮影させた後、ぬいぐるみをそっともとの場所に戻し、帽子をぬいで十字を切った。キリスト教徒であろう司令官は、ぬいぐるみの持ち主である子供に哀悼の意を示した。 (Наблюдатели ОБСЕ на месте крушения малайзийского ≪Боинга≫)

 ところが米欧では、親露派司令官がぬいぐるみを持っている写真が「MH17を撃墜した残虐な親露派が、子供の遺品を戦利品のように持って自慢している」という論調で伝えられた。親露派は、米国に後押しされた政権転覆で2月にできたウクライナの極右政権に、母語であるロシア語の使用を禁止され、自治を剥奪される流れになったため、自治の回復を求めて中央政府派遣の当局者を追い出し、自分たちの町に立てこもったのであり、残虐でも極悪でもない。高度1万メートルで破壊し落下したMH17の残骸や遺体は、約10キロにわたって散乱している。国際調査団がなかなか来ない中、親露派の人々は、その広大な地域で遺体や遺品を調査したり集めたりして、オランダ当局に感謝されている。そんな努力をしたのに、親露派は犯人扱いされ、極悪だと言われている。極悪なのは、マレー機墜落の謀略を行ったウクライナ政府や、意図的な歪曲情報をいまだに流すマスコミや米政府の方だ。 (Perverted truth: How rebel mourning MH17 victims was turned into looter with trophy)

 事件から10日がすぎ、国際調査隊がいよいよ墜落現場に行こうとすると、ウクライナ政府は新たな妨害工作を行った。国際調査団の中に、オランダの非武装の警察隊40人が含まれていた。ウクライナ政府は、外国の警察を自国領内に入れるための法的な措置が必要で、その議会承認に5日かかると言い出した。オランダ政府などにとって、それは初耳だった。 (Effort to Secure Malaysia Airline Crash Site Falters in Eastern Ukraine)

 27人の自国民がMH17に搭乗して死んだオーストラリアの政府は、撃墜現場での調査を安全なものにするとの理由で、ウクライナ東部に、190人の武装警察官と、人数は未確定だが豪軍兵士も派兵することを検討している。豪政府はすでにウクライナ政府と、警官派遣で協定を結んでいる。ドイツなど欧州の当局者の中には、豪州の派兵に「ウクライナ内戦を悪化させるつもりか」と強く反対する声が出ている。 (Australia risks inflaming Ukraine conflict by sending armed police to MH17 site: analysts)

 撃墜現場は、親露派とウクライナ軍の対峙や戦闘が起きているウクライナ東部の2大都市であるドネツクとルハンスクからそれぞれ50-60キロ離れた郊外で、すでに周辺で砲撃が行われている。今後、2都市で内戦が本格化すると、墜落現場の地域でも戦闘が激化する。その中で豪州の武装警察や軍隊が現地調査隊警護のために駐留していると、戦闘に巻き込まれ、内戦に参戦することになりかねない。豪州は米国の同盟国であり、好戦的なプロパガンダも米国同様、反露・親ウクライナの傾向だ。内戦が巻き込まれたら、豪州はウクライナの側に立ち、ロシアを敵にすることになる。豪軍がウクライナ内戦に巻き込まれてロシアと戦ってくれると、米軍を痛めず戦争を激化でき、米国の軍産複合体やネオコンにとってうれしいことだろう。

 逆に、米国の同盟国だがロシアと敵対したくないドイツなどEUにとって、豪州の派兵は迷惑千万だ。EUでは、MH11撃墜で自国民が194人死んだオランダが警察隊を派遣したが、非武装だ。オランダは海兵隊の派兵も一時検討したが、ロシアとの関係を考えて見送った。 (Dutch, Australians ready MH17 troops amid Ukraine deadly fighting)

 MH17撃墜の謀略が成功してウクライナ政府側が内戦に勝ち、ロシアが不利になる流れが始まったかと思いきや、それと逆の動きも出てきた。IMFがウクライナ政府に財政緊縮を約束どおりすぐに開始しろと圧力をかけ、ウクライナの4党連立政権が、IMFの要求に従おうとするヤツニュク首相らの2党と、財政緊縮を実施すると国民に貧困を押しつけることになるので拒否すべきと主張するスボボダ(極右政党)など2党が分裂し、7月24日にスボボダなど2党が離脱して連立が崩壊し、ヤツニュク首相が議会に辞表を提出した。 (Obama's Ukrainian Ploy Collapses; Ukraine Now Seeks Direct U.S. Bailout)

 ウクライナ議会は夏休みに入っており、ヤツニュク首相の辞表は議会に受理されていない。30日以内に新政権を組閣できない場合、議会が解散され総選挙になる。ウクライナでは今年5月の選挙で新大統領になったが、議会は2012年から総選挙が行われていない。早く総選挙をやるべきだという世論が強く、このまま総選挙に突入する可能性が強い。 (Poroshenko's risky power play)

 ウクライナの政界は04-06年にも、親露派が追い出されてナショナリストが政権を取った後、新政権内の派閥争いがひどくなり、親露派が政権を奪回する展開になった。今回も、今年2月に米国の後ろ盾で極右らナショナリストが親露派を追い出して政権をとったものの、5カ月後の今、政権崩壊が起きている。ウクライナは、政界が分裂してまとまらない中、東部で親露派を潰す内戦を激化して勝てるのかどうか、不確定さが増している。 (危うい米国のウクライナ地政学火遊び)

 IMFは、BRICSの突き上げが強いものの、一応まだ米国の支配下にある。米国がIMFを動かし、ウクライナ政府に財政緊縮の早期開始の圧力をかけるのをしばらく延期することもできたはずだが、米国はそれをしなかった。IMFは今年2月にウクライナに親米反露の極右政権ができた当初から、ウクライナに融資する見返りに、ほとんど実行不可能な厳しい緊縮財政を求めてきた。米政府はウクライナの反露政権を支援するが、米国が支配しているはずのIMFは反露政権に厳しい要求を突きつけて政権崩壊させてしまうという、矛盾した構造になっている。

(貼り付け終わり)




中国の食品メーカーは、「ブランド価値は信用が第一」という事が学べるか?

2014年07月28日 14時27分11秒 | 日記
 中国で摘発された「上海福喜食品」の、検査官がいない現場で期限切れ肉や、床に落としたミンチ肉をそのままコンベヤに乗せる、既に青カビが生えている腐ったような肉まで、混ぜ込んでいる等の衝撃的な隠し取りビデオが公開され、日本人に改めて中国製食品の危険性を再認識させてしまったようだ。

 以前にもギョーザに毒物混入の事件が発生したり、メラミン入り粉ミルク事件が発生しており、中国産の野菜の過剰農薬使用の実態なども報告され、日本人にとっては中国産食品には要注意食品と言うイメージが定着していた。

 しかし、現在の日本の加工食品の流通量から見て、海外からの輸入食品なしには、生産が不可能と言えるのも事実だ。

 また外食産業などで使用する場合は、原産地の表示義務も無くなる。

 受け入れる日本側の商社や食品会社の検査体制が、より強化されなければならないであろう。

 ハフィントンポスト日本語版では「中国の食品会社「上海福喜食品」が期限切れ肉を使っていた問題は、中国でも衝撃をもって受け止められている。消費者から信頼されていた外資系企業が引き起こしたためだ。背景には外資系が「たたかれやすい」中国の事情もある。

 上海福喜は、米国の食品卸売り大手OSIグループ企業だ。 中国の有名な外資系ファストフードチェーンのほとんどが取引をしていたため、影響はさらに広がっている。

 23日夜から24日にかけては、中国のケンタッキー・フライド・チキンとピザハットを運営する米ヤム・ブランズが、中国でOSIグループとの取引を全てやめると発表。マクドナルドも上海福喜との取引を打ち切る代わりにOSIグループの別の会社から供給を受けると明らかにした」といった具合に中国国内でも、大きな問題として受け止められてるようだ。

 中国の富裕層は、高価であっても日本製の食品を求めているようで、永年のうちに確立されてきた食品安全基本法等の安全管理を進めてきた日本に、中国も真剣に学ぼうとしているようだ。

 しかし筆者は思うのだが、中国社会のビジネスは短期間で多くを稼ぐと言う考え方が蔓延しており、特に食品などのブランドの持つ、安全イメージを、如何に長期にわたって保って行く事が大事だと言う、経営思想を定着しなければならないと思う。

 企業においても、人間関係においても、「信用(信頼)第一」が基本である事を、下記の記者も学んでいるようだ。


(人民網日本語版より貼り付け) 

中国人はなぜ日本の商品を買うのか? 食の安全問題、日本を見本に
人民網日本語版 2014年07月10日08:58

 現在、海外商品の代理購入が大変なブームとなっている中国では、海外のブランド品を買うことが一種のステータスやファッションとなっている。一方、日本では逆に国産品こそが「高品質」の代名詞となっており、米や果物などの国産品は常に高めの値段で売られている。この高めの値段は、土地の資源が少なく、生産高が比較的少ないことが一因だが、国産品の「高品質」に対する国民の信頼感もその要因の1つとなっている。国際在線が伝えた。

 食の安全性が問われる事件が頻繁に起こっている中国にとって、いかに法律やトップダウン設計によって食品の安全管理を強化し、人々の生命や健康を保障するかが目下解決すべき重大課題となっている。中国は、「食の安全大国」と称され、この分野で豊富な経験を持つ日本をぜひ見本にするべきだ。

 実のところ、日本でも過去には下水油やヒ素入り粉ミルクといった食の安全を脅かす事件が起きたことがある。食の安全問題を解決するため、日本は47年に「食品衛生法」や「食品衛生法施行令」「飲食業営業取締法」を制定した後、続いて各種食品にそって、「牛乳営業取締規則」や「飲食物防腐剤、漂白剤取締規則」などの法規を制定した。

 しかし、時代とともに新しい問題が次々と現れ、もともとの法律・法規ではすべての食の安全問題に対応しきれなくなった日本は、03年に「食品安全基本法」を制定・実施し、食品事故後のリスク管理と対策を強化した。

 そのうち、特筆すべきなのは、農作物の生産履歴管理システムだ。これは、消費者に産地の確認や生産過程の追跡を可能にさせ、生産時点から食品の安全性を脅かす事故を防ごうとするものだ。

 日本人は特に食品の生産地を重視している。日本では、各スーパーマーケットやデパートで販売されるほぼすべての食品の包装に、北海道の牛乳や新潟の米といったように、生産地が印刷されている。これは、地方自治体の宣伝や農作物の「履歴書」制度に基づいている。この制度は50年に制定された後、70年の改正を経て、99年の全面的に実施された「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」によって施行された。

 政府の力の入れ様、それに加え日本の高度な信頼社会に基づいて企業・個人に提供される質の保証が、日本の食品安全神話において最も重要な2つの要素となっている。

 しかし、実のところ、この世に恐らく完璧な管理制度というものはあるはずがない。法律が比較的整備されている日本でも、食品事故を完全に無くすことは不可能だ。政府が法律・法規を制定することは、行政が強制的な手段で管理を行うことであるが、やはり生産企業や個人の道徳観や良心がなければ、本当の意味での高品質、高度な安全性を誇る管理システムは築けない。

 ある日本の友人がブログに投稿した文章によると、「日本人は信頼を何よりも重視する。特にブランドに求めるものは高品質と安全性だ」という。消費者のニーズに応えるため、企業は自らの使命を果たさなければならない。そして、国民の安全を守るために、政府は関連企業への厳しい管理を行わなければならない。消費者の企業に対する信頼とは結局、消費者の企業の従業員に対する信頼であり、つまるところ人と人との間の信頼だ。もし相手がこの信頼を裏切れば、大企業であってもいつ倒産してもおかしくない。(編集MZ)

「人民網日本語版」2014年7月9日
(貼り付け終わり)

がんばれ! マツダの1.5Lディーゼル車が今秋発売される。

2014年07月27日 13時40分31秒 | 日記
 関東地区は毎日晴天で暑い日が続いている。

 安倍首相も外遊中であり、今日は政治の世界から離れよう。

 プロ野球セントラルチームは、巨人、阪神、広島、中日が上位を競っている。特に広島は女子の応援団も賑やかで、筆者のように昔からの阪神ファンには、羨ましく思ってしまうのだ。

 最も阪神も最近は女子の応援が増えてきてはいるが、、、

 さてその広島は、経済のベースで頑張っているのは、やはりマツダであろう。

 マツダはロータリーガソリンエンジン車を開発したりと、技術的には面白いメーカーであったが、ロータリーエンジンの燃費向上が図れず、その後は特に画期的なクルマで注目される事は少なく、国内の巨人であるトヨタ、ホンダ、日産の後塵を浴びていた。

 しかし国内市場は、トヨタのプリウス・ハイブリッド車発売以降は、燃費競争上はハイブリッド車で対抗するしかないと、どちらを見てもハイブリッド車のオンパレードとなった。

 そのような業界の中で、マツダはガソリンエンジンの燃費向上を根本的に見直し、スカイアクティブという名称で、高燃費のガソリンエンジン開発を地道に行っていた。

 そして欧州で人気のあるディーゼルエンジンも、合わせて開発していた。

 アテンザ、アクセラ等に、このディーゼルエンジンを搭載し、最近はヒットしている。

 1~2ヶ月前頃に、筆者はTV東京のWBSの番組で見たような記憶があるのだが、マツダのコンパクトカー・デミオに搭載する、1.5Lディーゼルエンジンを開発していると言うニュースを知った。

 技術開発の責任者はハイブリッド車に近いくらいの燃費も叩きだせると、その番組で言っていた記憶がある。しかもディーゼル車でも最新の環境水準に適合しているのだ。

 秋口以降の発売と聞いていたが、東洋経済オンラインで、この新型車の発売前の試乗記事を発見した。

 内容は自動車ジャーナリストらしい、クルマの評価記事であると筆者は思った。

 非常に好意的に、しかも新鮮な感動を素直に伝えていた。

 筆者は、燃費向上のために、従来のエンジン技術を根本的に見直すという姿勢は非常に大事だと思う。

 軽自動車メーカーもそうだが、エンジンや車体などを何回も見直し、軽自動車なども非常に燃費向上を図ってきている。

 特に筆者はマツダを褒めたいのは、その中でディーゼルエンジンに着目している点だ。

 トヨタ、日産、ホンダ共、乗用車用ディーゼルエンジンを乗せた車種を持たない。

 欧州市場や世界市場に打って出る商品としては、環境水準の高いディーゼルエンジンは、市場の価値も高いと思われる。

 発売されたら是非手に入れたい車だ。

(東洋経済オンラインより貼り付け)

新型デミオに見る、マツダ快進撃のワケ
見ればカッコよく、乗れば楽しい貴重なクルマ

川端 由美 :モータージャーナリスト
2014年07月26日

 マツダがまたやってくれた――新しいデミオ(海外名「マツダ2」)に試乗した瞬間の感想だ。2012年のCX-5を皮切りに、アテンザ(同「マツダ6」」、アクセラ(同「マツダ3」)と、スカイアクティブ・テクノロジーの搭載に伴ってラインナップを刷新し、そのどれもが高い評価を受けてきたマツダ。スカイアクティブの第4弾となる今回のデミオも、見ればカッコよく、乗れば楽しいクルマだ。

 和製コンパクトカーの主流であるトヨタ・ヴィッツやホンダ・フィットは、室内の広さや効率の良さを前面に押し出しており、丸みを帯びている。実用性を優先したスタイリングだ。日産マーチや三菱ミラージュは、最近のコスト削減の要求を受けて新興国で生産しやすい設計に舵を切った。ゆえに、デザインや走行性能の両面で没個性の方向に向かっているのは否めない。

“魂動”デザイン

 それだけに、デミオのように「見ても乗ってもワクワクする」コンパクトカーが登場すれば、その成功は約束されたようなもの。筆者の言わんとすることは、写真を見ても一目瞭然だろう。近年のマツダが提唱する“魂動”デザインでは、クルマをただの鉄の固まりではなく、クルマに生命を与えて、エモーショナルで動きのある造形を目指すものだ。そうしたデザイン哲学は、アクセラやアテンザとも共通する。が、今回のデミオのスタイリングは、姉貴分たちのフォルムをただ縮めただけではない。Aピラーを後ろにひき、キャビンを凝縮した形にした。

 キャラクターラインの流れをリアタイヤに溜め、そこに凝縮された力を一気に開放して、加速をしていきそうなデザインだ。例えるなら、俊敏な動物が駆け抜けるようなしなやかな躍動感がアテンザ、そこに至る急激な加速感がアクセラ、そして凝縮したエネルギーを開放する前の瞬間の爆発的な動きを表現したのがデミオである。フロントビューは、瞳孔のように見開いたLED4灯に加えて、ハロゲン2灯で親しみやすい表情をつけている。ラジエターグリル、クロームのシグニチャーウイングは、マツダのラインナップと共通する。

MT仕様はスポーティなドライビングを期待

 6月23日、市販に先駆けて限られたジャーナリストにのみに披露されたのは、1.3Lガソリン・エンジンと1.5ディーゼル・エンジンの2機種。それぞれにMTとATが組み合わされる。大本命は、新設計の1.5Lディーゼル・エンジンを搭載する「スカイアクティブ−D 1.5」だ。なかでも、MT仕様はスポーティなドライビングが期待できそうだ。

 さて試乗。ほどよくタイトなコックピットに乗り込み、ドライビング・ポジションを調整する。小ぶりながらサポート感の高いシートは、座った瞬間のフィット感が高く、またスポーティな走行に対しても腰からおしりを面で広く支えてくれる安心感がある。ペダルの大きさはマツダ3より一回り小さいはずだが、ペダル形状を工夫して、アクセルペダルをより前に設置することで大柄な人でも踏み込みやすくなっている。

 シフトヘッドを1速に入れて、アクセルを踏み込む。今回の試乗ステージは伊豆にあるサイクルスポーツセンター内のテストコースだ。一般道に近い路面ながら、ワインディングロードを模したファンなコースで定評がある。1400rpmという低い回転域から3200rpまで220Nmの最大トルクをフラットに発揮することもあって、短めのストレートでも充分に加速してくれる。105ps/4000rpmの最高出力ゆえに150km/h以上の高速域の伸びは限られるが、今回のテスト・コース内で乗るぶんには充分に楽しめる。

 コーナーに差しかかってブレーキを踏み込むと、ぐっと前足に荷重が移動し、FWDモデルにしてはリニアなステアリング・フィールとあいまって、鼻先をスッと素直に曲げていく。1080kgという軽量なボディの効果もあって、キビキビと俊敏な走りを披露する。

 ドライバーの入力に対するレスポンスが高いのと同時に、減速からコーナリング、そして加速に至る過程の連続的なGの変化は安定した印象を与えてくれる。アクセル操作に限らず、ブレーキや操舵に対する車輌の挙動がリニアで、操作に対してクルマがどう動くか予想ができるのも心地よい。

 前マクファーソンストラット/後トーションビームの足回りはコンパクトカーの基本のような構造だが、乗り心地がなかなかいい上に安定感が高い。リアサスの変更により、ショックは緩和しながらも、路面からの入力はしっかりとドライバーに伝えることでコントロール性を高めたという。実際に、インフォメーションが豊かで様々な路面からの変化に対して、次に何をすべきか予見できることは安心感にもつながる。アジリティを高めた設定だが、意外にも、わだちのような外乱があっても安定した姿勢を保ってくれる。キャスター角を5度まで寝かせたことで直進安定性を高めているのだ。

 低回転域からトルクを発揮することに加えて、ディーゼルとしては高回転域までスムーズに回るエンジンゆえに、3000rpmを超えてもまだドラマチックな展開が残されている。アクセルを踏み込んでいくと、エンジン音の高まりが心地良い程度に耳に響き、気持ちいい加速感とともに速度が高まっていく

 4060☓1695☓1500mmのコンパクトなボディサイズを、軽快に意のままに操るという点では、欧州製コンパクトまで含めても、新しいマツダ2を比較できる実力を持つのはフォード・フィエスタくらいだろう。

 AT仕様も試したところ、ステップATとは思えないほどダイレクトなシフトフィールで積極的に変速をして運転を楽しみたくなる。硬派にMTを選ぶのもクルマ好きにはオススメだが、渋滞を気にする人も少なく無いだろうから、AT仕様でも充分にスポーティであることを伝えておこう。

日本におけるライバルは?

 すでに先代デミオに搭載されて定評のある1.3Lガソリン・エンジンを搭載した「スカイアクティブ−G 1.3」にも試乗した。正直なところ、ディーゼル・モデルを試乗したあとにガソリン・モデルに試乗すると、どうしても非力に感じてしまう。しかし、もしこのガソリン・エンジン車を単体で評価したなら、小さな排気量の割に、最高出力92ps/6000rpm、最大トルク121Nm/4000rpmの出力をしっかりと発揮し、頼もしい走りだと高評価を下しただろう。

 特にシャシー性能の高さが、そのままクルマの評価に結びついている。MTで操るのも楽しいが、ATでも充分にスポーティなフィールだ。エントリー・モデルということもあるので、日常で使うことが多い人ならAT仕様でもデミオのスポーティな走りをスポイルしないということは伝えておきたい。

 日本におけるライバルは、スポーティな走りを望む人なら、1.6Lエンジンを積むスズキ・スイフト・スポーツあたりだろう。また、燃費性能が高く、なおかつスポーティな走りという点では、フィット・ハイブリッドもライバルとなり得る。欧州では、彼の地で最も売れているBセグメントであるフォード・フォーカスが手強い相手となるであろう。

 価格は未発表だが、想定されるライバルから予想される170万円台の価格帯であれば、充分に競争力がありそうだ。そのなかでもデミオは、デザイン性や内装の質感の高さは日本車の中でも群を抜いた存在になりそうだ。さらに、日本の厳しい環境基準に適合するクリーン・ディーゼルを搭載するという個性があり、スカイアクティブ・テクノロジーによる内燃機関らしい爽快な走りっぷりをセリングポイントに持つ。今秋の発売までは、まだ数カ月ほどあるが、その日が待ち遠しい。

(貼り付け終わり)