筆者のこのブログで、春節期間に来日する中国観光客の爆買いの話題を取り上げましたが、中島 恵氏が、付き合いのある中国人などから得た情報をもとに、面白おかしく爆買いの内容をコラムにしておられます。
恐らくYoutubeの中国版や、「微信」(中国版ライン)などのネット情報を、大いに参考にしているのでしょうが、中国観光客の買い求めるブランドは、日本人から見ると少々偏っているような気もしますが、あくまで日本製の商品を探し求めているようです。
振り返って、我々日本人が一般的に買い求めている商品は、繊維製品や雑貨、食品に至るまでMade in China が何と多い事でしょう。
どうも中国人が日本製を執拗に買い求めるのは、筆者が想像するには、アフリカ諸国や中東などで販売されている日本ブランドをもじった、怪しげなパクリの偽物の中国製品が、国内でも売られているせいではないかと思うのです。
ところが日本国内ではそのような怪しげなブランドは当然輸入されていません。その結果、日本人は中国製であってもさして拒否反応はありません。考えてもみてください。最近では大型液晶TVを初め、日本ブランドの家電製品も、ほとんどは中国製やアジア製が普通です。
また手軽に買える100円ショップの文具や雑貨類も、大部分は中国製かアジア製です。
中島 恵氏が中国観光客が買い求める日本製商品のリストを見ると、中には中国製を買い求めているのではないかと、こちらが心配になるほどです。(笑)
それにしても中国人がこれほど日本製を信頼してくれているのであれば、改めて日系量販店などで、もっと買いやすい価格設定で販売すれば、ビジネスとしても面白い結果をもたらすと思います。
もっとも中国の輸入関税がかなり高いのかもしれません。そうなれば日本製と同一品質を保証した現地生産品を、幅広く販売していくことも当然選択肢となります。特に嵩張る紙おむつなどはその典型でしょう。
これは全く同じ販売方法が日本国内で行われています。卑近な例ではコカコーラやデルモンテなどの米国ブランドが日本国内生産で販売されています。
(ダイヤモンド・オンラインより貼り付け)
中国人観光客が“爆買い”する日本の名品・珍品
中島 恵 [フリージャーナリスト]
2015年2月27日
「銀座で降りて、ユニクロに寄って行こう。そのあとハローキティの店に行って、一旦ホテルに帰って……。夕食は、そうだな……。しゃぶしゃぶにしようか……」
中国の春節(旧正月)期間中のこと。時間は午後2時過ぎ。東京の地下鉄・丸の内線に乗っていたら、ドヤドヤと乗りこんできた5人連れの家族の声が聞こえてきた。
すぐに、お正月休みで日本旅行を楽しんでいる個人観光客だとわかった。手に持っているのは「東京ばな奈」のクリーム色のビニール袋や、小田急百貨店の紙袋、それにビックカメラの大きな袋など、抱え切れないほど。40代くらいとおぼしき両親と子どもの3人組に、親戚か友人夫婦が加わったメンバー構成のように見えた。
前述のような会話を聞く限り、まるで日本人の家族かと勘違いしてしまうほど“自然”な話しぶりだが、会話は全て中国語だ。しかも、その様子からして日本在住者ではなく、短期滞在の観光客のようだ。昨今、彼らのように「日本慣れ」した観光客が、公共交通機関を駆使して自由に都内を歩き回り、ショッピングをしているという報道が非常に多いが、まさにその「典型」とも言える楽しそうな家族を目撃して、思わず苦笑いしてしまった。
彼らは東京で、いったい何をそんなにたくさん買っているのだろうか?
これまでよく言われてきたのは、高級炊飯器や爪切りなどだった。高級炊飯器は数年前からすでに人気で、秋葉原の家電量販店に乗り着けた団体ツアーの観光客が、1台数万円もする炊飯器を1人5個、10個と買っていく姿が、よく目撃された。
また、日本製の刃物は“キレ味”が鋭いという定評があることから、ハサミや爪切りなどはお土産として定番商品だった。女性にとっては「資生堂」「カネボウ」といった老舗化粧品ブランドも、以前から人気があった。
筆者の中国人の友人たちに聞いてみると、そうした買い物の基本的な傾向は変わっていないようだったが、最近彼らが日本で「買ったもの」、あるいは「友人から買ってきてくれと頼まれたもの」をリストアップしてもらった。ざっと書き出してみよう。
薬類、液体絆創膏、のど飴、高機能マスク、栄養ドリンク、サプリメント、化粧品(化粧水、乳液)、シャンプー、トリートメント、紙オムツ、粉ミルク、白髪染め剤、歯磨き粉、離乳食、携帯カイロ、生理用品、ストッキング、アイマスク、温泉の素、衣服、靴、カバン、アクセサリー、ランドセル、腕時計、カメラ、ウォシュレットつき高級便座、美顔器、小型のマッサージ器、ステンレスボトル、電子辞書、弁当箱、クッキーやチョコレートなどの菓子の詰め合わせ、即席ラーメン、コメ、調味料、ふりかけ、カレールー、せんべい、アニメ関連グッズ(アニメの絵柄が描かれたマグカップやフィギュア、ぬいぐるみ、クリアファイルなど)、キャラクター関連グッズ、ボールペン、ノート……。
●化粧品も“高級”“自然派”志向に
友達が持っていない商品が欲しい!
ドラッグストアや家電量販店で売っているものに限らず、彼らが望む商品が多方面・多品種に渡っていることに改めてびっくりしたが、さらに細かく聞いてみると、面白い現象も見えてきた。
たとえば、日本メーカーの化粧品はいずれも人気だが、以前から売れていた老舗ブランドだけでなく、「アルビオン」「アスカ」「ファンケル」などの“高級志向”、“自然派”といった独自路線を貫いているブランドの名前が、かなり挙がった。
個人差があるので一概には言えないが、筆者が耳にしたところでは、最近来日した人々は、「他の中国人がまだ持っていない希少価値があるもの」を望む傾向があるように感じた。日本旅行がブームになっているなか、「友人に自慢できるもの」、あるいは「まだ友人が持っていない商品」を買って帰りたいのかもしれない。
今回旅行で来日した女子学生は、母親(50歳)から渡された買い物リストを見せてくれたが、母親のリクエストはサプリメント類が多かった。便秘薬などもあったが、面白いものでは「大麦若葉粉末 100%スティックタイプ」があった。「おいしい青汁」という謳い文句で日本でも人気があるが、母親の会社の同僚たちの間で「健康にいいらしい」と、ちょっとしたブームなっているらしい。
学生本人も大学の同級生から様々なリクエストを寄せられ、「もう買い物だけで日程が終わっちゃう。前払いでお金をもらっているわけではないので、時間がなくて買えなかった、と言うこともできるけど。でも、大変なの……」とこぼしていた。
●羽田空港の国際線ターミナルで
飛ぶように売れる「白い恋人」
しかし一般の土産物に関しては、「以前友だちが買ってきてくれた『白い恋人』(北海道名産のクッキー)をたくさん買って帰りたい」といった、定番商品を求める傾向がまだ強いように感じた。具体的に買いたい商品の銘柄がすでに存在し、それをメモしたり、パッケージをスマホで撮影したりして持ってきているという。
「微信」(中国版ライン)にパッケージ写真を貼りつけ、「これ、買ってきて」と“注文”が入るようだ。前述の家族のように「東京ばな奈」や「じゃがポックル」といった具体名も聞いた。先日、筆者が中国に行く際に通った羽田空港の国際線ターミナルでも、「白い恋人」が飛ぶように売れているのを実際に目撃したので、「なるほど」と合点がいった。筆者がその売り場にいた10分ほどの間に、少なくとも30~40個は売れていたと思う。
2014年には年間で約241万人の中国人が来日したが、彼らが「爆買い」する背景には何があるのだろうか。
まず、元高円安という要因があるだろう。2月中旬の段階で、1元=約19円を超えた。2014年秋の段階では1元=約17円、さらに遡って13年秋には1元=約15円だったので、この1年半ほどの間に20%以上も円安元高が進んだことになり、円は元に対して最も安い水準になっている。来日する中国人にしてみれば、「来るたびに日本の商品はどんどん安くなる」と感じているだろう。
ビザが緩和された影響もある。外務省は2014年11月、一定以上の収入のある中国人の個人観光客に対して、現在発給している数次ビザの要件を緩和する方針を打ち出し、今年1月から実施。過去3年間に渡日歴のある人で一定の経済力があれば、地域に限らず3年間有効のビザ(1回の滞在は30日以内)を、高所得者の場合は5年間有効のビザ(同90日以内)を取得できるようになった。もともと中国人の海外渡航は厳しかったが、ビザが緩和されたことによって、来日しやすくなったと言える。
ここ数年、経済発展によって所得が増加し、中国人の間ではすでに海外旅行がブームとなっていたが、これらの要因がそれを後押しし、「日本旅行」の人気が一気に高まったと言える。14年10月からは、外国人観光客を対象とした消費税の免税が、それまで対象外だった飲料や化粧品にまで拡大されたことも、「爆買い」を加速化させたと言えそうだ。百貨店だけでなく、ドラッグストアなどでも「TAX FREE」の専用レジを設け、中国語や英語ができるスタッフを置いて対応しており、どこも長蛇の列となっていた。
あるドラッグストアの中国人店員は「春節期間中は特別にノルマがあり、ノルマを超えるとボーナスが支給されるので、すごく頑張りました。中国語で対応すれば、お客さんも喜ぶし、自分にもメリットがあるから」と話していた。
●「中国製品は信用ならない」
安くて品質のよい日本製品を“爆買い”
中国側の要因もある。彼らが日本製品を欲しがる理由は、日本には高品質で廉価な商品が溢れているからだ。中国にも日本製品を取り扱うショッピングサイトがたくさんあるのだが、ある上海のOLはこうつぶやく。
「全く同じ商品も扱っていると思うのですが、価格は2倍か、あるいはそれ以上する。それだけでなく、問題はそれらが本物かどうかわからないということ。信用できないから“中国国内”では、日本製品は買いたくない」
「中国国内の中国製品はニセモノが横行している。品質がいいだけでなく、価格も安い日本製品を、日本で手に入れたい。安心して長く使えるから」と話す知人もいた。
これまでも、日本製品の品質のよさは世界中から定評があった。それは事実だ。それが、円安元高など複合的な要因が重なったことによって、現在の中国人の「爆買い」を誘導したと言えるのではないだろうか。
(貼り付け終わり)