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安倍外交のテンヤワンヤ。トランプ氏、朴大統領、ドゥテルテ大統領、プーチン大統領。

2016年11月27日 14時11分08秒 | 日記
 安倍政権が、やたらと外交問題で華々しく動き回っていたが、海外の目まぐるしい変化が、どれ一つ安倍政健にプラスに作用していない。

 まずはトランプ氏。当選して海外の首脳では、いち早く「駆けつけ警護」ではなかった、祝辞を述べに駆けつけた。TPPの推進などの重要性も話したのであろう、トランプ氏は話の分かる信頼のおける人物だと、持ち上げていたが、その5日後にトランプ氏のビデオメッセージで、大統領就任の最初の仕事は、TPPの離脱だと述べたのだから、安倍氏のメンツは丸潰れだ。

 次の韓国の慰安婦問題は、これは安倍首相には気の毒であったが、朴大統領の大スキャンダルで先行きは不透明。

 東シナ海のサンゴ礁埋め立て問題で、仲裁裁判所の国際法違反の判決もあり、安倍首相はしてやったりと思っていたかもしれない。

 だが、フィリピン前アキノ政権から、ドゥテルテ大統領に代わったとたん、親米から親中に代わってしまった。比の実利を求め、中国から多額の援助資金を手に入れて、裁判問題を取り上げなくなった。

 プーチン大統領は、領土問題は簡単に済ませる問題ではないと、いつ決着するのやら、全く見透しがつかないのが現状だ。

 外交関係は、所詮相手国に政権変化が生じることがあり、こちらの思惑通りにいかないのが通例だ。

 まずは、国内に重点を置き、国民生活の向上を第一にして欲しいものだと筆者は思ってしまう。


(東洋経済オンラインより貼り付け)

安倍外交の「成果」が次々と崩壊し始めている
会談5日後にトランプ氏は「TPP離脱」を宣言
薬師寺 克行 :東洋大学教授
2016年11月25日

 安倍首相が華々しい外交を展開している。 ニューヨークで次期米国大統領のドナルド・トランプ氏と会談し、トランプ氏が最初に会った海外首脳となった。 その足でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に出席するためペルーを訪問し、ロシアのプーチン大統領をはじめ各国首脳との会談も次々とこなした。 さらにアルゼンチンも訪問した。 12月にはプーチン大統領が来日する。 日中韓三カ国首脳会議も予定されている。

 しかし、その一方で第二次安倍内閣の発足以後、時間と労力をかけて作り上げてきた重要な外交的成果が次々と崩壊し始めていることは、あまり語られていない。

 具体的にはTPP(環太平洋経済連携協定)合意、従軍慰安婦問題に関する日韓合意、そして、南シナ海への中国の進出に関する仲裁裁判所の判決の三つだ。これらの政策はいずれも台頭著しい中国への対抗策という側面を持っているだけに、安倍首相は対中戦略の立て直しを迫られることになるだろう。

◉駆け付けたのに、トランプ氏は「TPP離脱」

 最も衝撃的だったのは米国のTPP離脱である。
 安倍首相がトランプ氏と会談したわずか5日後の11月22日、トランプ氏は公開した動画で、大統領就任初日に実施する政策として真っ先にTPPを取り上げ、「脱退を通告する」と一方的に発言したのだ。 大統領就任前でもあり、TPPに参加している他の11カ国との事前の調整など何もない一方的な発表である。

 特にトランプ氏との会談後に「会談は非常にうまくいった。これは大丈夫だなと感じた。彼は人の話をよく聴くタイプで、うまくやっていけると思った」と語っていた安倍首相にとってはショックだったろう。

 日本にとってTPPは二つの意味がある。
 一つは日本経済の再活性化の起爆剤になるという期待である。 アベノミクスが思うような成果を上げていないだけに、TPP合意の実施によって米国や東南アジアに自由度の高い市場を作れば、貿易を拡大し日本経済を復活させることができると考えられていた。 またTPP合意を契機に労働規制や農業などの改革と規制緩和に弾みをつけ、産業構造を転換していくという狙いもあった。 こうした目論見はトランプ氏の発言で潰れてしまった。

 もう一つの意味は経済面での対中包囲網の形成だった。 アジア重視に傾斜していたオバマ政権と歩調を合わせ、東南アジア諸国も加わった強固なグループを形成することで、中国の経済的な影響力拡大に対抗する意図があった。 その枠組みの中核を担う米国が離脱すれば、逆に中国にとって有利な状況が生まれることになる。 安倍首相にとっては景気対策に加え、対中政策の観点からもかなり深刻な問題である。

 2015年12月に実現した日韓両国政府間の従軍慰安婦問題の合意にも、暗雲が垂れ込めている。
 合意の内容は次のようなものだ。 韓国政府が元慰安婦支援のため設立する財団に日本政府が10億円拠出する。 そして、日韓両国政府が慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」したというもの。 さらにソウルの日本大使館前にある従軍慰安婦像について、韓国の尹炳世外交部長が「日本政府が、大使館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても可能な対応方向について関連団体との協議を行うなどして、適切に解決されるよう努力する」と発言して、慰安婦像の撤去について努力することを表明した。

 両国政府関係者は公式には認めていないが、形の上では日本政府が10億円支払うことと、大使館前の慰安婦像の撤去がバーターされる関係になっている。 そのうえで最終的、不可逆的解決を確認したのであるから、高く評価できる内容だった。
 ただ、この「合意」は岸田文雄外務大臣と尹炳世外交部長が共同記者会見で発表したもので、文書化されておらず外交上は強制力を持たない。 その点が当初から懸念されていた。しかし、日本政府は合意内容に従って今年8月に10億円を拠出し、韓国政府も財団を作り11月から元慰安婦にお見舞い金の支給を始めた。 ここまでは予定通りに進んでいた。

◉朴政権は機能不全に陥り、慰安婦像撤去は絶望的

 ところが事態は11月に入ってから急転した。 韓国の朴大統領が40年来の知人である崔順実(チェ・スンシル)氏に国家の機密情報書類などを渡していたとするスキャンダルが浮上し、国内で大統領の辞任を求める声が一気に噴出したのだ。
 「チェ・スンシル・ゲート」と呼ばれているこの事件の展開はとどまるところを知らず、捜査を進める検察はチェ氏や元秘書官らを職権乱用などの容疑で起訴した際に、大統領についても「共謀関係がある」と指摘した。 憲法上、大統領は在職中に刑事訴追を受けないとされているが、検察が大統領を犯罪者扱いしたことで韓国政府は完全に機能不全に陥っている。

 そうなると日韓合意で残っている慰安婦像の撤去問題はどうなるのか。 朴大統領が2018年2月までの任期中に日本との約束を守って慰安婦像撤去を強行する可能性がないわけではないが、今のような状況の中で撤去に踏み切れば逆に韓国国民の反日感情に火をつけるだけだろう。 すでに日本外務省幹部は「朴大統領が慰安婦像の撤去に踏み切る可能性は完全に消えた」と見ている。

 では、次の大統領に期待ができるのか。 韓国では来年12月に大統領選が行われる予定だ。 国民の激しい批判を浴びた朴大統領の後継者が、朴氏の政策をそのまま継承するとは考えにくく、新政権下での撤去は期待できそうにない。
 そればかりか、朴大統領の失脚で慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」という合意も、果たして守られるのかどうか不透明になってきた。 そうなると日本国内から「韓国は合意を破った」という批判が出てくるだろう。

 問題は日韓関係だけではない。 実はこの合意にも、日本の対中戦略が秘められていた。 日本と韓国はそれぞれが米国と同盟関係にある。 日米韓三カ国の安全保障政策上の連携は対中国、対北朝鮮政策を考えるうえで重要だ。 安倍首相はもともと従軍慰安婦問題について韓国の主張を認めることに批判的だった。 10億円の拠出に最後まで抵抗したのも安倍首相だった。 しかし、日米韓の連携が中国に対抗するうえで不可欠と判断して譲歩したという経緯がある。
 それだけに韓国側の内政の事情とはいえ、日韓合意が反故になりかかっている現実に当惑しているだろう。

◉フィリピン・ドゥテルテ大統領のしたたかな戦略

 南シナ海に関する仲裁裁判所の判決が空文化してしまったのも大きな誤算だ。
 7月に出された判決は、中国が主張する南シナ海の広い海域での歴史的権利について、「国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」と全面的に否定しており、フィリピンの完全な勝利だった。 尖閣諸島近海での中国公船の領海侵犯などに悩まされている日本政府は積極的にフィリピンを応援し、サンゴ礁の埋め立てなど中国の行為が国際法に違反すると、国際世論に活発に訴え続けてきた。 従って判決は安倍首相の思惑通りで、中国が強引に進める海洋進出をけん制できると考えていた。

 ところが判決が出る直前の5月に行われたフィリピンの大統領選挙で当選したドゥテルテ氏の登場で思惑は完全に外れてしまった。
 仲裁を求めた前大統領のアキノ氏は中国嫌いで知られ、米国との同盟関係を重視して中国に向き合う姿勢を取っていた。 これに対しドゥテルテ大統領は大の米国嫌いだ。 9月にはオバマ大統領に対し「私は独立国家フィリピンの大統領だ。 植民地としての歴史はとっくに終わっている。 このプータン・イナ・モ(くそったれ)が。 もし奴がフィリピンは人権を無視しているなどという話を持ち出したら会議でののしってやる」と発言し、予定されていたオバマ大統領との会談が中止になった。 その後も、行く先々で米国批判を繰り返している。

 その一方で、ドゥテルテ大統領は就任後いち早く中国を訪問し、習近平国家主席らと会談し、フィリピンに対する2兆円を上回る経済援助の約束を取りつけた。 当然、首脳会談で仲裁裁判所の判決に触れることはなかった。
 ドゥテルテ大統領にしてみれば、いくら裁判で完勝しても判決に強制力はないだけに、中国に強い態度で臨んでも何のメリットもない。 国際社会が強力にバックアップしてくれるのであればいいが、判決を積極的に支持して、中国を非難しているのは日米両国とオーストラリアの三カ国だけだ。 他の多くの国は判決を評価しているものの、だからといって中国に注文を付けているわけでもない。
 従ってドゥテルテ大統領が中国との関係を改善して実利を取るという戦略に転じたのも無理はない。 判決を利用して中国から経済援助を得るという実利優先の外交を展開したのだ。 そればかりかドゥテルテ大統領の訪中後間もなく、首都マニラに最も近いサンゴ礁のスカボローから中国船の姿が消えた。 ドゥテルテ大統領のしたたかさが光っている。
 仲裁裁判の判決は明らかに日本の外交的成果だった。 しかし、判決後は肝心のフィリピンが中国に接近したため、判決は何ら影響力のない文書となってしまうという予想外の展開となった。 ここでも安倍首相の対中戦略は失敗したのだ。

◉周辺事情が次々とひっくり返るおそれ

 中国の著しい政治的、軍事的、経済的台頭にどう対応するかは、当面、日本にとって最大の外交課題であり、安倍首相が対中戦略を日本外交の中核に据えるのは当然だろう。 そして、ここ数年、着実に成果を上げてきたことも事実だ。
 しかし、それが日本側のミスが原因ではなく、他国の国内事情や政権交代が原因で崩壊しつつある。 それが外交の難しさである。
 これからも、トランプ大統領がいかなる対中政策を打ち出すのか、一方の中国が新大統領にどういう方針で臨むのか、ロシアのプーチン大統領はどう出てくるのか、不確定要素が後を絶たない。 いずれにせよ三つの外交成果の相次ぐ崩壊で、安倍外交の立て直しが必要になっていることは間違いない。

(貼り付け終わり)

年金カット法案に対しての国民の反応が見えてこない。 この国の暗い未来を予想させる。

2016年11月26日 15時23分06秒 | 日記
 昨日25日に、安倍政権が衆院厚生労働委員会で公的年金改革法案、いわゆる“年金カット法案”を強行採決している。

 果たして年金受給者で、この法案の中身を詳しく知っている人たちは、どのくらいいるのだろうか?

 筆者も正直言って、詳細は不明だ。

 読売、日経、産経などは公的年金改革法案との表示通りに伝えるだけ。朝日、東京新聞は年金カット法案と報じていたようだ。

 まだどのメディアにも、詳しくこの法案の問題点を伝える記事が見当たらない。(電子版の中では)

 TVのモーニングショウなどでは、おそらく取り上げるようになるのだろうが、どちらにしても本会議に回され与党が多数である結果、自動的に可決されるのであろう。

 それにしても、年金に関しては、100年安心プランとか説明した大臣もおったが、公明党は多数の低所得者の信者を抱えている創価学会員から、この法案に対して非難も出ないのであろうか?

 今回も与党に居座る公明党から、この法案への意見が聞こえてこない。

 隣の韓国が、朴大統領の退陣要求で、多数の国民のデモが発生しているが、振り返って日本の現状はどうであろう。

 現状の政治に満足しているのか、もう諦めきっているのか、余りにも声を上げない国民の姿に、筆者は空恐ろしい日本の未来を感じる。

 まるで、ソーと熱が加えられても感じないカエルそのものではないか?

 筆者などは韓国国民の現状打破を訴える熱意に、韓国の未来の明るさを感じるのだが。

(リテラより貼り付け)

安倍政権がTPPに引き継ぎ年金カット法案を強行採決
水井多賀子
2016.11.25

 まさにどさくさ強行採決というしかない。 本日、安倍政権が衆院厚生労働委員会で公的年金改革法案、いわゆる“年金カット法案”を強行採決した。
 この法案は、物価と賃金で下落幅がより大きいほうに合わせて年金も減額するというもので、年金支給額は現在より5.2%も減少。国民年金は年間約4万円減、厚生年金ではなんと年間約14.2万円も減るという。

 安倍政権は、年金運用の方式を変えた結果、わずか15カ月で10.5兆円の年金をパーにしてしまったが、その責任をとることなく国民にツケを回そうとしているのだ。

 しかも、そのやり口も卑劣きわまりないものだった。 衆院厚労委でこの法案が審議入りしたのは11月4日、ちょうどTPP承認案および関連法案を衆院TPP特別委員会でだまし討ち強行採決した日だ。 TPP法案は13時から衆院本会議で「パリ協定」の承認案を採決する予定だったが、衆院TPP特別委委員長である塩谷立元・自民委員長職権で本会議後に予定されていた特別委をいきなり開催。 自公の賛成多数で可決してしまったのだが、実は同じ日に衆院厚労委でも、野党の反発のなか、委員長職権で審議入りしてしまった。

 その後、TPP法案の余波で審議がストップして、年金カット法案についてはろくな審議も行われていない。 そのため野党は徹底審議を求めていたが、またも与党は委員長職権で本日の大臣質疑を決定。一気に強行採決にもっていったのだ。

 さらに、である。本日の同委に出席した安倍首相は、野党が法案の不安を煽っているとし、こうがなり立てた。
「みなさんの信用が上がることはありませんよ。はっきりと申し上げとくけど! それで民進党の支持率が上がるわけではないんですよ!」
 法案の問題点が追及されているのに、なぜか「支持率」をもちだす。……逆に言えば、この総理は支持率のために政治をやっているのか?という話だ。

 だが、どうやらこれは安倍首相の偽らざる本音だったらしい。今回の強行採決について、自民党関係者はこう語る。
「マスコミが朴槿恵大統領のスキャンダルや、トランプの話題でもちきりですからね。支持率も上がっていますし、いま、強行採決をしても国民から反発を受けないから、一気にやってしまえ、ということだったんでしょう」

 支持率さえ高ければいい。議会運営のルールなんてはなから無視、数の力があれば何でも押し切れるという横暴──。

 しかし、テレビのワイドショーは、この自民党関係者の言うように朴大統領問題一色。年金カット法案についてはまったく触れようとせず、ストレートニュースで少し伝える程度。NHKも安倍政権に都合の悪い法案のときのパターンで、国会審議中継はなしだ。

 隣の国の大統領のスキャンダルにはしゃいでいるうちに、国民の社会保障、将来の年金がどんどん削減されていいのか。本サイトは安倍首相がこの年金カット法案成立に意欲を見せた10月15日、この法案の問題点やこれまでの安倍政権お年金政策のデタラメを批判する記事を掲載した。以下に再録するので、本会議で強行採決される前にぜひ読んでほしい。
(編集部)

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 またも安倍政権が公的年金をズタズタにしようとしている。安倍首相は公的年金改革法案について、一昨日13日の参院予算員会で「今国会で審議し成立させてほしい」と明言した。
 
 この法案は「年金カット法案」と呼ばれている通り、年金支給額を抑え込むものだ。2015年より安倍政権は年金カットのために「マクロ経済スライド」を適用したが、それでも物価が上昇しても賃金が下落した場合、年金は据え置きとなっている。だが、現在国会に提出している年金法案では、物価と賃金で下落幅がより大きいほうに合わせて年金も減額するというもので、民進党の試算では、年金支給額は現在よりも5.2%も減少。2014年のデータにこの新たなルールを当てはめると、国民年金は年間約4万円減、厚生年金ではなんと年間約14.2万円も減るのだという。

 それでなくても、安倍政権はこの4年のあいだに公的年金を3.4%も減らし、医療面でも70~74歳の窓口負担を2割に引き上げるなど高齢者の生活に追い打ちをかけてきた。今年3月には高齢者の25%が貧困状態にあるというデータも出ており、年金カット法案によってさらに貧困高齢者を増加させることは必至だ。
 安倍政権は年金の第二次政権行こう、損失15カ月のあいだに10.5兆円もの公的年金積立金の運用損失を出した。

 だが、老後の心配などない安倍首相には、苦しい生活を迫られている高齢者の現状など知ったことではないのだろう。現に、安倍首相は年金を削減する一方で、年金積立金10.5兆円を「消して」しまったのだから。

 既報の通り、安倍政権は2014年12月、「株式市場を活性化する」などというまったくインチキな口実で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用計画を見直して株式比率(国内株、外国株)を50%まで高めたが、その結果、たったの15カ月のあいだに10.5兆円もの公的年金積立金の運用損失を出してしまったのだ。

 しかも、今年4月には2015年度の運用損失が5兆円超に上ることが囁かれていたが、安倍政権は例年7月上旬に実施されていたGPIFの前年度の運用成績の公表を参院選後の7月29日まで遅らせるという姑息な手段で事実を隠蔽。それでも選挙前に不安になったのか、6月27日に安倍首相は公式Facebookで、こんな“デマ”を流している。

〈「株価下落により、年金積立金に5兆円の損失が発生しており、年金額が減る」といった、選挙目当てのデマが流されています。しかし、年金額が減るなどということは、ありえません。このことを明確に申し上げたいと思います〉

 もちろん、5兆円の損失はデマではなく事実であり、実際、7月29日にGPIF は損失額を5.3兆円と公表した。そして、運用損による年金削減についても、当の本人が今年2月15日の衆院予算委で「想定の利益が出ないなら当然支払いに影響する。給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない」と言及。損失損によっては年金額を減らすと安倍首相自らが答弁していたのだ。安倍首相の投稿こそれっきとしたデマゴギーだろう。

 だが、さらに呆れかえったのは、今月6日の参院予算委でこの巨額損失問題を追及されたときの安倍首相の態度だ。なんと安倍首相は「平成16年度から25年度までの10年間について、現行のポートフォリオで運用したと仮定すれば、従前よりも1.1%高い収益率が得られる」と強弁。つまり“10年前からやっていたらうまくいっていた”などと言い出し、10.5兆円をパーにした責任を知らんぷり。挙げ句の果てに「不安を煽るような議論は慎むべき」とまで付け足したのだ。煽るも何も、年金積立金を10兆円も消しておいて、不安を覚えない国民はいないだろうという話である。

 だいたい、安倍首相は「消えた年金」問題が発覚した第一次政権時、「最後のひとりにいたるまでチェックし、年金はすべてお支払いすると約束する」と言ったが、何の約束も果たさないまま退陣。さらに昨年には、安保法制のどさくさに紛れて「消えた年金」の発覚後に設置した国民からの申し立てを審査する総務省の第三者委員会を15年6月末に廃止してしまった。結局、持ち主がわからない年金記録は約2000万件も残っている(15年5月時点)。「最後のひとりまで」と言いながら、2000万件も未解決なのだ。

 安倍首相はこの「消えた年金」問題について、2008年1月に開かれたマスコミとの懇談会で「年金ってある程度、自分で責任を持って自分で状況を把握しないといけない。何でも政府、政府でもないだろ」と語ったという。年金記録は政府の管理の問題であり国民は何も悪くないのに、ここでもやはり“自己責任”。──こんな人間に「年金は100年安心」などと言われて安心できるはずがないどころか、現状は改悪の道をただひたすらに走っているだけだ。

(貼り付け終わり)

トランプが大統領になると、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加の可能性もあるとみる田中宇氏

2016年11月24日 15時59分34秒 | 日記
 このブログも連日トランプ氏関連になってしまった。

 ぼつぼつトランプ氏に関連したブログも終わろうと思っている。

 しかし、時に掲載させてもらっている田中 宇氏の世界のインターネット上の情報を読んで書かかれたコラムには、参考にしたい内容が多い。

 トランプ氏が米国内のインフラ投資を活発にして、国内景気の浮揚を図るという、政策実施に必要な資金をどこから引っ張ってくるのかを考えたとき、米国がAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加し、AIIBの資金を利用する可能性を推測している。

 すでに隣国のカナダはAIIBに参加している。中国も米国のAIIBへの参加に秋波を送っている。

 トランプ氏の態度には、表面上は中国と対決するように見えているが、日韓など米国従属国を中国がそのまま認めるのであれば、米国は中国の台頭を事実上容認するという政策に転換するだろうと、田中氏は見ている。 すなわち安倍首相の好む中国包囲網などの対決姿勢を米国は改めるだろうというのだ。

 TPP脱退はその布石であり、中国が最近進めようとしている、中国主導の自由貿易圏RCEP(東アジア地域包括的経済提携、ASEAN+中日韓+豪NZ印)に参加する可能性もないとは言えないという。

 そうなれば日本はいよいよアジアで孤立することになり、日本が自ら外交戦略を考えないといけない時代になるとみている。


(田中宇の国際ニュース解説より貼り付け)

中国の台頭容認に転向する米国
2016年11月22日   田中 宇

 日本の安倍首相が、米大統領に当選したドナルド・トランプに、外国首脳として「一番乗り」で会った。 日本政府はトランプの当選を全く予想できず、今年9月の安倍訪米の際にクリントンにしか会わず、政府提灯持ちのマスコミもトランプの誹謗中傷や「勝てるわけない」との喧伝に終始した。 だがトランプが当選すると、安倍は一転してトランプに尻尾を振り、トランプと電話で話したらほめられたと嬉しそうに語り、その後は一番乗り会談で二人の気が合うことを確認し、日米同盟は何とか安泰だと喜んでいる。 日本政府は、米国の情勢を読み違えた挙句、媚売り姿勢で穴埋めを狙っている。

 トランプは選挙戦で、日本の安保タダ乗りを批判し、在日米軍の撤退や日本核武装の容認に言及するなど、日米同盟を軽視する姿勢を見せていた。 しかも日本政府はクリントン当選だけに賭けてしまっており、当選したトランプが安倍との面会を拒否したり、初対面の安倍に日本批判を浴びせても不思議はなかった。 それが、トランプは一番乗りで会わせてくれて日本批判もせず、安倍を評価称賛する発言すら放った。 良かった良かった。 これで米国の政権が替わっても対米従属を続けられると、日本政府は安堵している。

 投票日直前の11月7日には、トランプの顧問であるグレイとナバロという2人(Alexander Gray、Peter Navarro)が、フォーリンポリシー誌に、中国やアジア太平洋地域に対するトランプ政権の戦略の原形といえそうな論文を発表した。 論文は、トランプ政権がレーガン政権がソ連を倒す(と言って最終的に対ソ和解する)ために掲げた「(軍事)力による和平」の戦略を踏襲することを標榜し、軍艦の大幅増強によって中国軍に対抗すると書いている。 論文はまた、オバマやクリントンがやってきた軍事の中国包囲網(アジアピボット)や、中国はずしの貿易圏構想であるTPPを、弱くて失敗した政策と批判している。

 この論文を書いた2人は、防衛と経済に関するトランプの主要な政策顧問で、論文からは、トランプがオバマよりも強く中国を敵視する戦略をとることがうかがえる。 この論文と、トランプの安倍に対する称賛的な態度からは、トランプ政権が、対米従属の日本と組んで、軍事面で中国敵視策を強化しそうだという結論を導き出せる(TPPはもうダメだろうが)。 何のことはない、アジア政策に関してトランプは、クリントンと大して変わらない「軍産複合体」系の大統領だということになる。

・・・本当にそうなのだろうか。 私の大きな疑問は、もしトランプが軍産複合体の利益に沿った政策をやるつもりなら、なぜ選挙戦であれほど軍産に反逆する日米同盟やNATOに対する軽視・反感を示し、軍産やその傘下のマスコミに敵視中傷されつつ当選するという困難な道をわざわざ選んだのか、ということだ。 トランプは政治の素人だったので戦略の選択が下手だった、という解釈は多分間違いだ。 戦略が下手なら、政治のプロであるクリントン陣営に勝てない。

 軍産の意向を無視して当選した大統領は、軍産が創生された第二次大戦以来、トランプが初めてだ(ケネディは選挙戦でバリバリ軍産で、当選後に翻身したので殺された)。 軍産独裁体制に、草の根民主主義の力で立ち向かって勝ったのがトランプの特長であり、今の米国政治のダイナミズムだ。 トランプの本当の戦略は、選挙戦で見せた日米同盟やNATOを解体してやるという反軍産的な方向であり、当選後に見せている安倍への称賛や軍事面の中国敵視論の方が「目くらまし」だろうと私は感じている。

 しかし、田中君の妄想には証拠がないね、という人がいるだろう。 そう思ってつらつらネットを見ていると、驚くべき「証拠」が見つかった。 それは、トランプの国際政治顧問であるジェームズ・ウールジー元CIA長官が、米大統領選の結果が出た翌日の11月10日に香港のサウスチャイナ・モーニングポストに出した「中国がアジアの現秩序に挑戦しない限り、トランプの米国は中国の台頭を容認する」と題する論文だ。

 この論文の題名が意味するところは「中国は、日韓の対米従属を容認せよ。東南アジア諸国や豪州を無理に中国側に引き入れず、米国と中国の両方と仲良くしようとするのを受け入れよ。 中国がそれらのアジアの現在の国際政治秩序を守るなら、トランプの米国は、中国の一党独裁や非民主制を批判しないし、中国が世界の中で台頭していくことを容認する。 この交換条件は明文化されず、不文律として具現化される」というものだ。 中国は以前から、日韓や東南アジアの対米従属的な側面を容認している。 中国にとって、この不文律を守ることは難しくない。 米国が中国に内政干渉せず、台頭を容認することの方が新しい部分だ。

 ウールジーは、中国がアジアの現秩序を守るなら、トランプの米国は、中国に内政干渉しないだけでなく、中国が作った国際銀行であるAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加したり、中国のユーラシア広域の国際インフラ投資計画である「一帯一路」計画に協力するだろうと示唆している。 また、国連の平和維持軍の主導役を、米欧でなく中国が担当することにも言及している(これが実現すると、これまで米欧が中東などで実践してきた、インチキな人権や大量破壊兵器を口実とした軍事介入ができなくなる)。

 この論文の筆者のウールジーは、911テロ事件の直後に「テロ戦争は(米ソ冷戦と同じ長さの)40年続く」と発言した人だ。 彼の当時の発言は私に、911が軍産による「第2冷戦」開始のクーデター的な権力剥奪策であると気づかせてくれた。 「エシュロン」の存在を米諜報界で初めて認めたのもウールジーだった。 彼は、私にとって、米国内で行われている世界戦略の本質を暴露してくれる人だ。 だから私から見ると、今回の論文も、トランプの対中戦略の本質が語られている可能性が十分あると感じられる。 (同種の暴露屋として、世界的な草の根の政治覚醒による覇権転換をずっと前から指摘してきたオバマ顧問のズビグネフ・ブレジンスキーがいる)

 ウールジーはタカ派で、好戦的な共和党のマケイン上院議員の顧問でもあり、軍産傀儡あるいはネオコンの一味とみられてきた。 反軍産であるトランプが9月にウールジーを外交顧問の一人として迎え入れたのは意外だったが、ネオコンが軍産の好戦策を過激にやりすぎて失敗させ、軍産を破綻に導いて中露などの台頭を引き出す「隠れ多極主義者」と疑われることを考えると、それもありうる感じだ。 今回のウールジーによるトランプの対中戦略の暴露は、ウールジーのような好戦派・ネオコンが、隠れ多極主義者であることをあらためて思わせる。 トランプ当選後、ネオコンの頭目であるロバート・ケーガンが、トランプによる多極化を肯定する感じの論文をFTに書いている。
 
 トランプが中国のAIIBや一帯一路戦略と協調しようとする理由は多分、トランプが米国の大々的なインフラ整備をやろうとしていることと関係している。 トランプの大規模インフラ投資策が、米国の資金と技術だけで行われるなら、中国は関係ない。 だが現実を見ると、米政府はすでにかなり高水準(GDPと同規模程度)な財政赤字を抱えており、財政赤字を増やすことを禁じる法律もある。 財政赤字増大に最も強く反対しているのは共和党(小さな政府主義)で、トランプ政権の与党であるが、説得はかなり難しい。 米企業は長いこと国内インフラの大規模整備を手がけておらず、経験が錆びついており、すぐに高水準の技術を出せない。 米国内の資金と技術だけで大規模なインフラ整備をやるのは困難が多い。

 ここでビジネスマンのトランプは「どこかの外国勢に資金と技術を頼むのはどうか」と考えうる。日本の新幹線などがまず浮かぶが、日本に頼むとコストが高すぎる。 コストが安く、巨額な投資金も得られるのは、中国だ。 中国勢はユーラシア大陸で新幹線や高速道路を何千キロも建設し、米州でも、かつて米国が作ったパナマ運河の改修工事などを手がけている。 AIIBは「アジア」インフラ開発銀行だが、米国の隣のカナダはすでに加盟している。 米国が簡単な交換条件を設けて中国を譲歩させたことにして中国敵視をやめれば、AIIBに加盟して、中国の資金や技術で、米国の鉄道網や高速道路を整備してもらうことができる。

 トランプ政権の国内インフラ整備計画は、カナダと同じモデルをやる可能性がある。 カナダの中道左派・自由党のトルドー政権は最近、新たな政府系金融機関として「インフラ開発銀行」を設立し、そこに民間からの投融資を集めてインフラ整備事業を進めることを決めた。 カナダ政府のインフラ銀行は、中国が作ったAIIBのシステムをモデルとしている。 この流れの中で、カナダは今夏、北米3カ国の中で初めてAIIBに加盟した。 カナダは、中国がAIIBで作ったインフラ投融資システムを導入した。

 しばらく前まで、欧米先進国の投融資システムを導入していた中国が、今や逆に、欧米先進国の一つであるカナダが、中国の投融資システムを導入している。 これは画期的だ。 中国が、インフラ開発の投融資システムにおいて世界を主導する時代が来ていることを示している。 アジアのインフラ開発に投融資する国際金融機関としては、日本が(対米従属の形をとって)主導するアジア開発銀行(ADB)が先行して存在する。 だが、中国がAIIBを創設した後、ADBの影が薄くなっている。

 トランプが米国のインフラ開発でカナダのモデルを使うと、この傾向がさらに強まる。 トランプは、カナダと似たようなインフラ開発銀行の創設を検討している。 インフラ銀行に関して米国では、カナダの与党と思想信条が近い民主党のクリントン陣営が、先に選挙戦の中で「当選したらインフラ銀行を作ってインフラ整備する」と表明していた。 当時トランプは「そんなもの作っても政治家に食い物にされるだけだぜ」と酷評・拒絶していた。 だがトランプは当選後、態度を大転換し、カナダ式(というより中国式)のインフラ銀行の創設を検討している。 この方式を実際にやるなら、トランプはカナダ同様、AIIBに加盟する可能性が高くなる。

 米国は、トランプ政権になる前、オバマ政権の間に、AIIBに加盟するかもしれない。 8月にカナダがAIIBへの加盟を決めた後、オバマの複数の側近たちが、米国がAIIBに加盟しなかったのは間違っていたと表明するようになっている。 AIIBの中国人総裁が、そのように指摘している。 中国政府は、米国のAIIB加盟を歓迎するコメントを出している。 米国が加盟すると、AIIBに入っていない主要国は日本だけになって孤立する。 米国が加盟を内定したら、日本も手のひらを返して加盟申請するだろう。 クリントンが勝ちそうならクリントンに尻尾を振る。 トランプが勝ったら豹変してトランプを礼賛する。 米国がAIIBに入るなら日本も入る。 何の主体性もない。 アジアの主導権を中国に持って行かれるのは当然だ。

▼トランプのTPP離脱は中国の台頭を誘発し、日本をへこます策

 上記のように、トランプ当選後に側近が書いた中国戦略の論文として、中国敵視・台頭阻止策を掲げるグレイ&ナバロ論文と、中国台頭容認・米中対立回避を掲げるウールジー論文が、正反対の姿勢を示している。 ここでまた、どちらが正しいのか、どちらかは目くらましなのか、どっちもやるつもりなのか、といった話になる。 しかし、これらの論文以外の動きとして、トランプが大統領就任の初日のうちに確実にやると言っていることの筆頭に「TPPからの離脱」が入っているのを見ると、中国の台頭を阻止でなく容認するのがトランプの真の政策だろうと感じられる。

 トランプ当選直後の先日に行われたペルーでのAPECサミットで、中国の習近平主席は、日米主導のTPPに対抗する中国主導の自由貿易圏RCEP(東アジア地域包括的経済提携、ASEAN+中日韓+豪NZ印)を各国に売り込んだ。 習近平は、中国市場を外国企業に開放するので多くの国がRCEPに入ってほしい、そうすればアジア太平洋地域が世界経済の牽引役になれる、と演説した。 オーストラリアの首相は、トランプ当選でTPPが破棄される中でRCEPに期待すると表明した。

 中国が外されているTPPが稼働するなら、それは日本を筆頭とするアジア太平洋の対米従属諸国が、米国の言いなりになる貿易体制を維持していくことを意味していた。 対照的に、トランプがTPPを破棄するとともに、米国が入っていない中国主導のRCEPが稼働すると、それは中国がアジア太平洋の貿易体制の主導役になり、米国は切り離されて孤立主義に入り、日本も孤立する(中国主導のアジアの外側で対米従属を続ける)ことを意味する。 トランプがTPPを破棄することは、アジア太平洋の貿易体制の主導役が中国に取って代わられることを意味し、中国の台頭と日米の孤立を意味する。 TPP破棄はトランプの「中国支援策」「対日妨害策」である。

 そう考えると、トランプが当選後、安倍に会ってあげ、側近に中国敵視論文を出させたことは、中国支援策を隠すための目くらましと考えられる。 しかもグレイ&ナバロ論文は、中国の台頭を抑止する策として、トランプが選挙戦で掲げた「軍艦の大量新建造策」を挙げているが、軍艦の新建造は米海軍が強く求めたことでなく、中国の台頭を抑止できない。 グレイ&ナバロ論文の中国敵視は口だけだ。

 トランプは選挙中に、中国からの輸入品に対して懲罰的な高関税をかけると繰り返し表明したが、トランプが槍玉に挙げるのは中国だけでなく、日本も同罪にされることが多かった。 米国の貿易戦争による中国敵視は、往々にして日本敵視に拡大されるので、日本にとって都合の良い策でない。

 このように、どうもトランプ政権の対中政策の本質は、台頭阻止でなく台頭容認ないし台頭誘発になりそうだ。 表向き敵視を掲げつつ、実質として台頭の誘発・容認をやるかもしれない(それはオバマ政権の踏襲になる)。 もっと進んで、ウールジー論文が示すような、中国がアジアの現状(日韓の対米従属など)を容認するなら、米国は中国敵視をやめる場合、それは日韓(韓国は対中宥和なので、実質的に日本)にとって中国が「敵」でなくなることをも意味する。 日本は中国を、対米従属のための仮想敵と見なすことができなくなる。 中国が敵でないなら、対中防衛のために米軍が沖縄に駐留している必要もなくなる。 在日米軍の撤退に道が開ける。

 すでにトランプ当選と前後して、在日・在韓米軍の撤退傾向を見越したかのような、日韓の軍事協調(北朝鮮情報の共有)を始める動きが加速している。 トランプ政権下で日本が対米従属を続けられず、自立を迫られるころには、アジアの主導役は中国になり、日本は中国よりかなり格の低い国になっている。

(貼り付け終わり)

TPPもダメ、北方領土返還もダメ。米、中、露の新三角関係を見守るしかない日本。

2016年11月23日 13時03分46秒 | 日記
 次期米国大統領になるであろうトランプ氏に、早々と面談の機会を持った安倍晋三首相だが、トランプ氏が就任前であるという理由で、会談内容はオープンにされていなかった。

 TVメディアの解説者には、いかにも講談師のように、まるで会談に立ち会ってTPPの推進やアジア地域安定のために、日米同盟の重要性を、安倍首相がトランプ氏に要請したと、まことしやかに話すのを聞いて、筆者は思わず笑ったよ。

 あの顔ぶれの会談写真を見ると、せいぜい土産に持って行ったホンマのゴルフドライバーの話題と、次回顔を合わせた時には、ぜひゴルフをやろうとか、大統領に就任した後で再度の会談を行おうというのが、精いっぱいだったと筆者は思うヨ。

 安倍首相のトランプ氏の印象を記者団から聞かれ、「同盟というのは信頼がなければ機能しない。トランプ氏は信頼することができる指導者であると確信した」と述べていたが、トランプ氏が大統領に就任して最初に取り組む仕事は、直近のビデオメッセージでは、「TPPからの離脱である」と明言しているではないか。

 安倍首相は完全に足元をすくわれた感じだ。 いくらTPPを推進したくても、もはや米国抜きでは効力を発揮しそうもない。

 安倍首相とプーチン大統領との会談も、ペルーのリマで行われたが、北方領土の返還も期待できない。しかも国後、択捉にロシアの最新鋭のミサイル基地整備を行うというから、根から返還する気はないのだろう。

 ロシアのプーチン大統領に秋波を送るトランプ氏に、中国 習近平最高主席は、トランプ氏を歓迎しながらも、ロシアと米国が親密になることに、外交戦略の対応を練り直しているという。 米、中、露の大きな新三角関係に注意を払うべきだと、日経の編集委員 中沢克二氏が指摘しているが、まあ新聞メディアとしてはまっとうな見方だと筆者も思った。
 

(日本経済新聞 電子版より貼り付け)

習主席が警戒するプーチン氏の「トランプ傾斜」
編集委員 中沢克二
2016/11/23

 米大統領、オバマの任期中最後となるお別れの米中首脳会談が、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を開いたペル-のリマであった。 中国国家主席の習近平は、米国の次期大統領に決まったトランプとの電話会談を話題にした。

 「私はトランプ氏と共に努力し、グローバルな問題まで含めて建設的に意見の違いをコントロールし、衝突せず、対抗しないという方針の下、両国関係を新しい起点から進展させたい」
 国営メディアが伝えた習近平のオバマへの言葉は、きわめて立派な抱負だった。

■中ロの「準同盟」に変化も

 だが、リマで習近平が一番、気にしていたのは、直前に会談したロシア大統領、プーチンの今後の動向だろう。 なにせトランプは、オバマとは打って変わって、プーチンを「強力な指導者」と高く評価してきた。ロシアとの関係改善も視野に入れる発言だった。

 中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙である環球時報は11月半ばの社説で、トランプ体制始動後の国際関係の変化を論じた。
 「ロシアと米国の関係改善で、ここ数年間に築いた中ロの親密な関係に影響が出るのではないか」と懸念を表明したうえで、「中国、米国、ロシアの大きなトライアングルの中で、中ロ関係は未来に向けて最も安定した2国間関係であるべきだ」と主張している。

 中国紙としては珍しい率直な物言いだ。まるで恋人の変心を予感し、つなぎ留めるためのラブコールを早々に送ったかのようである。それは、習近平の心の内の代弁でもあった。
 
 ウクライナ問題の衝突で米ロ関係は悪化した、中国の方は、同じ時期に南シナ海問題で米国と厳しく対峙した。中ロは対米けん制という同じ目的で一段と関係を深めていった。

 中国は「非同盟」の立場を取るが、最近は中国の学者でさえ「中ロは事実上の『準同盟関係』だ」と表現するほどの蜜月ぶりだった。 習近平とプーチンは、きわめて頻繁に顔を合わせている。 だが、プーチンがトランプに接近すれば、習近平はロシアカードを使えなくなる。 それは大きな痛手だ。

■日ロ接近にも警戒、安倍首相と突然会談

 習近平は日ロの接近も気にしている。 リマでプーチンは日本の首相、安倍晋三とも会談した。しかも、通訳だけ残した2人だけの長い“密談”もあった。 安倍は会談後、世界の視線も意識して「2人きりで話をすることができた」と、あえて強調した。

 日ロの領土交渉は、きわめて難しい。 一方、ロシアにとって極東での日本との経済協力は重要だ。 対日関係が改善すれば石油・天然ガスなどエネルギーの売り先が多様化し、中国に価格面で一方的に買いたたかれるリスクも減る。

 日本にとって注意を要するのは、ロシアが対米関係を修復すると、日本を使って米国をけん制する意味合いが薄れてしまう点だ。 プーチンが対日関係で譲歩を決断する動機が消えかねない。

 安倍はペルー入り前、ニューヨークに立ち寄って、外国首脳として初めて当選後のトランプと会談した。 APEC首脳会議の合間の雑談で、安倍は今のトランプの意向を知る男として「引っ張りだこ」だった。
 安倍・トランプ会談の内容は伏せられている。当然、日ロ関係、そして米ロ関係の今後も話題になったに違いない。

 しかもプーチンは12月中旬、安倍の地元、山口県を訪れ、膝詰めで会談する。 温泉宿でともに湯につかる。 安倍はプーチンを「ウラジーミル」とファーストネームで呼ぶなど、個人的な関係も演出している。

 習近平としては「蜜月関係」の相手の今後への関心は高い。 そこで習近平は意外な行動をとった。 APEC会場で安倍との短時間会談に踏み切ったのだ。 10分間の着席会談だった。

 9月に中国・杭州で開いた20カ国・地域(G20)首脳会議で習はホストだった。 安倍と会談するのは礼儀でもあった。 今回は違う。 中国は南シナ海問題で正論を吐き続ける安倍を攻撃してきた。 その立場からすれば、会談に応じる必要はない。 習の動きは方向転換と言ってよい。

 トランプの今後の対中スタンス、日ロ接近など、不透明な要素は多い。 そこでひとまず様子見のため安倍と接触し、フリーハンドを確保することが重要だった。 首相の李克強が日中韓首脳会談で訪日するという課題も残っている。

 ただ、中国当局は習近平と安倍の接触について、きちんとした「会談」と認めていない。 報道も中国の一部メディアが「日本側の要請に応じた短時間の会話」に触れただけだ。 あくまで半身の構えを崩していない。 一筋縄でいかないのは、毎度のことだ。

■ロシアがG8に復帰も

 ロシアは、ウクライナ問題を巡る対立で、2年前に当時の主要8カ国(G8)首脳会議の枠組みから外された。 いまはG7だけの首脳会議が続いている。 しかし、米ロ関係が修復軌道に入り、日ロ関係も変化するなら、問題は欧州だけだ。 数年以内にロシアがG8に復帰する可能性も出てくる。

 中国は、新興国を含む20カ国・地域(G20)の枠組みに重きを置くだけに、ロシアが元のさやに収まってしまっては困る。 せっかく中国を外す環太平洋経済連携協定(TPP)の命脈が断たれそうなのに、また別の中国外しの枠組みが復活するのでは意味がない。

 習近平も負けてはいない。 リマのプーチンとの会談では、なんとか一つ、2017年に向けた布石を打った。 同年5月に中国で開く「新シルクロード経済圏」構想に関連するイベントに出席するため、プーチンが訪中する約束を取り付けたのだ。

 米国、ロシア、中国の「大三角形」は常に不安定だ。 世界の大国間のパワーバランスを変えかねないトランプとプーチンの今後は、日本の将来に大いに関わるだけに注目したい。(敬称略)
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中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞

(貼り付け終わり)


意外と報道されていないトランプ氏の出生の歴史。

2016年11月21日 10時38分41秒 | 日記
 安倍首相と初めて外国の政治家と会談を行ったということ等で、相変わらずトランプ氏の話題が国内のメディアでにぎわっている。

 しかし、意外とトランプ氏の出生の歴史を伝える報道は少ない。

 佐藤伸行教授が『ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢』という本を出版しており、トランプ氏が当選してから、最近はこの本がよく売れるようになったという。

 トランプ氏の移民排斥などの過激な言動が目立つが、彼は当然であるが移民三世で、祖父はドイツからゴールドラッシュのさなかのアメリカに移民で入国している。

 祖母もスコットランドからの移民だという。

 今のトランプ氏は不動産王として全米でも知られており、さぞかしビジネスの才能があるのかと思っていたが、意外と不動産以外の事業ではことごとく失敗を重ねているようだ。

 不動産以外で失敗を重ねていることが、米国民は全てが思いのままになっている男とは見ていないのかもしれない。 ご存知のように奥さんも二回の離婚を重ね今は3人目だが、最初の妻の娘イワンカが美人で秀才で、トランプ政権の政治舞台にも顔を出す可能性がありそうだ。

 また、元俳優で米国大統領になったドナルド・レーガンの過去の発言を、ちゃっかりパクっていることも知っておくべきだろう。 ある意味ではトランプはレーガンを師匠にしているのかもしれない。

 詳細はビデオを視聴されることをお勧めします。

 
(ビデオ ニュースCom マル激トーク・オン・ディマンドより貼り付け)

ドナルド・トランプという男
佐藤伸行氏(追手門学院大学経済学部教授)
2016年11月19日

 世界の目がたった一人の男に注がれている。

 ドナルド・J・トランプ。この男は果たして希代の戦略家なのか、はたまた単なるナルシストの山師なのか。

 大方の予想に反してドナルド・トランプの勝利に終わった大統領選挙から一週間が過ぎ、目下、世界は選挙戦中にトランプが語った数々の暴論に満ちた政策を本気が実行するかどうかを見極めようと、彼の一挙手一投足を固唾をのんで見守っているようだ。

 トランプ政権下でメキシコ国境の壁の建設をはじめ、イスラム教徒の入国禁止などの移民政策の変更、同盟国に対する防衛負担の増額要求、保護主義の復活などの政策が実際に実行されれば、世界に大きな影響を与えることは必至だからだ。

 目下、世界はトランプ政権の閣僚人事に注目しているようだ。 それがトランプ政権の政策を占う上で重大なヒントを与えてくれると思われるからだ。

 しかし、もう一つトランプ政権の行く末を占う上で重要な示唆を与える視点がある。 それがドナルド・トランプという人間、そしてその一族の出自や彼自身の生い立ちなどを知ることだ。

 そこで今週のマル激では近著『ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢』でトランプの出自を詳しく紹介した追手門学院大学経済学部の佐藤伸行教授に、トランプの人物像について聞いた。

 大統領候補としては移民に対する厳しいスタンスを見せたトランプだが、実は彼自身が父方では移民3世、母方では移民2世にあたる。 父方は祖父がドイツの貧農の出で、ゴールドラッシュに沸く19世紀後半のアメリカにその他大勢のドイツ移民の一人としてニューヨークに移民してきた理髪師のフリードリッヒが、アメリカに於けるトランプ家の1代目に当たる。 母方はスコットランドから移民してきたメアリーがトランプの実母だ。

 アメリカ到着後、ドイツ名のフリードリッヒをアメリカ風のフレデリックに変え、床屋で生計を立てていたトランプの祖父は、ゴールドラッシュの最中、ご多分に漏れず、一攫千金を夢見て西海岸に渡り、ホテル業で一代にして財を成す。 そして、ゴールドラッシュが終わると、ニューヨークに引き上げてきたが、当時流行りのスペイン風邪のために49歳の若さで他界している。

 後を継いだトランプの父親のフレッドは、ニューヨークをベースに当時人口が急増していたクイーンズ地区に庶民のための低価格の住宅を供給する手堅い建設業を営み、一定の財を成した。 しかし、トランプ自身は父親のような地道な事業を嫌い、大規模な開発プロジェクトや著名なホテルやビルの建設に邁進し成功を収める。 とはいえ、その成功の陰には物心両面で父親からの強い援助があったという。

 地道な商売で財を成したトランプの父は、ドイツ系の伝統を踏襲し、トランプを厳しくしつけた。 当初ニューヨーク市内の地元の中学に通っていたトランプが学校で問題を起こすと、父はニューヨークの郊外にある規律の厳しいことで知られる全寮制のミリタリー・アカデミーにトランプを送り込んでいる。 今もトランプの言動やノリに時折顔を見せるやや暴力的な側面は、生徒を力や暴力で抑え込むミリタリー・アカデミー時代に培われたものではないかと、佐藤氏は指摘する。

 ミリタリー・アカデミーを卒業後、当初ニューヨークの地元のフォーダム大学に通ったトランプは、大学3年時にアイビーリーグの名門ペンシルベニア大学のウォートン校に編入する。 ところが、トランプの大学時代のエピソードというものが、ほとんど出てこない。 アメリカでも多くのジャーナリストが取材を試みたが、大学時代のトランプを知る人がほとんど見つからないというのだ。 トランプ自身は大学時代は父親の仕事を手伝っていたので忙しかったと説明しているそうだ。

 不動産事業者としては、1973年のマンハッタンの鉄道操作場跡地の再開発プロジェクトの成功を皮切りに、1980年のグランドハイヤット・ホテルの改築、そして1983年に5番街に立てたトランプタワーなどでニューヨークの大型プロジェクトで次々と成功を収め、時の人に登りつめていく。 しかし、不動産業以外で手を出した数多くのビジネスではことごとく失敗しているのも、ビジネスマンとしてのトランプの大きな特徴の一つだ。 手を出しながら破産したり、数年のうちに撤退を余儀なくされたビジネスは、カジノやリゾート開発からトランプ・エアライン(航空)、トランプ大学、トランプ・ウオッカ(酒)、トランプ・ステーキ(食品)、トランプ・アイス(氷)、NJゼネラルズ(プロフットボール)と実に多岐に渡る。 不動産で大儲けした分の相当部分を他のビジネスの失敗で擂っているという感じだ。 それでも不動産事業成功の儲けは莫大なようで、フォーブス誌などによると、現在の保有資産は日本円にして数千億はくだらないだろうという。

 トランプの政治スタイルについて佐藤氏は、意識的に劇画の主人公を演じているのではないかと言う。 常に鏡を見ながら仕事をするナルシストの顔を持つトランプが、意識的にレーガン元大統領を模倣していることはよく知られている。 選挙スローガンのMake America Great Againもほぼ丸ごとレーガンのパクリだ。

 元俳優のレーガンも大統領選挙への出馬当初はメディアからことごとく馬鹿にされていた。 しかし、いざ大統領になると強いリーダーシップを発揮し、歴史に残る名大統領になっている。

 果たしてトランプがレーガンのように大化けする可能性はあるのか。 それとも、大統領就任後も誇大妄想のナルシストぶりを発揮し、アメリカのみならず世界を大混乱に陥れることになるのか。 トランプの家系や生い立ちに詳しい佐藤氏と、トランプの人物像とトランプ政権の行方について、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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佐藤伸行さとう のぶゆき
追手門学院大学経済学部教授
 1960年山形県生れ。85年早稲田大学政治経済学部卒業。同年時事通信社に入社。ベルリン支局、ウィーン支局、ワシントン支局特派員、編集委員などを経て2015年退社。同年より現職。著書に『世界最強の女帝 メルケルの謎』、『ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢』など。

(貼り付け終わり)