TPPへ参加するか、しないかで騒々しい。尻に火がついてやっと本気になって議論するようになってきた。
長期ビジョンがなかった農業政策。
農家や農協はもちろん、農水省や族議員などが当然だとしてきたこれまでの農政が、一気に突き崩されようとしている。
“自由化なんてずっと先のこと”ぐらいの感覚でいたのだろう。
「農業の自由化」について農業関係者は、何十年間にもわたって、一度も本気になって考えてこなかったわけだが、そのつけがここにきて一気に噴き出した感がある。
我が国の食料自給率の低下の不安を叫びながら、減反政策を当然とする矛盾。補助金や規制で保護されるのが当たり前という感覚が蔓延していた。
専業農家の割合は今や農家の4分の1しかいない。副業的農家が農家の大部分を占めている。
とりわけ米農家には競争が働かなかった。非効率な経営でも廃業に追い込まれることがなかった。
農業人口は全就業者数の4%弱である。国内総生産(GDP)に占める農業の割合はわずか1.5%に過ぎないという現実である。
さて、TPPの交渉に加わって、海外市場経済へ関税撤廃の方向へ足を踏みだすのか、間もなく決着がつく。
それにしても、交渉参加に反対、賛成と叫んでいるのは利害関係者の声ばかり。
農業を将来的にこのようにしたら好い、という提言が聞こえてこないのが残念だ。
無いのかもしれない。誰も示せないというのがおそらく本音なのだろう。
TPPで心すべきは一つ、アメリカにごり押しされて妥協しないことだ。
国の将来を考えれば大勢は見えている。
古い農業では立ちいかなくなる。もちろん何が何でも今のままを堅持すべき、参加交渉も絶対ダメではいよいよ日本はジリ貧になる。
ただし今回のTPPでは、参加しない選択肢をちらつかせて活用するという戦略はある。参加しないという道があるのは言うまでもない。
いずれにしても、これだけは譲れないという条件を持っていなくては、参加するにしろ参加しないにしろ、有利な立場には立てない。
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