ジジババのたわごと

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死語になりそうな「春闘」

2009年04月16日 | Weblog
ある調査によると、4月以降、収入が「増える」という人より、「減る」という人のほうがずっと多い。

今年の春闘は、労働側の惨敗だった。
組合がない人やアルバイトからは、「春闘ができるだけ、まだまだマシ」、「みんな首切られてるのに、自分たちだけいい目をみようとベア要求したって」と辛らつな意見さえ聞かれた。
金融不安から世界同時不況に及んで、予想を上回るスピードで業績が悪化した中での賃上げは、客観的に見て難しいことだったといえる。急激な業績悪化の荒波にのまれてしまった。

主要企業の賃上げ回答は軒並み、「ベースアップゼロ」であった。ボーナスもゼロ回答。
そればかりか、一部では「定期昇給の一時凍結」を受け入れざるを得なかった。
相次ぐ人員削減に対し、労働側は雇用維持と引き換えに、定昇実施の一時凍結を容認した。
「定期昇給を凍結」することは「事実上の賃下げ」になったといわれる。
いわゆる「賃金体系の維持」さえできなかったというわけだ。

大きな企業では「賃金体系」を労使で取り決めている。おおむね年令や勤続年数が上がるにともなって賃金も上昇する年功序列の賃金カーブを標準としている。
「定期昇給」というのは、この賃金カーブに乗るようにすることだ。個体で見ると、前年よりも年令が上がるので賃金は上がっていく。
一方、企業全体で見ると、定年退職者が新入社員に置き換わるので、賃金総額はさほど変わらない。
労働側の言い分としては、全体で前と同じ仕事をしているのだから、賃金総額は確保してくれ、というところ。
この定期昇給分とは別に、企業収益や物価上昇などを理由に、賃金引上げを要求するのが「ベースアップ」といわれる部分である。

定期昇給を凍結するということは、年令が上がっても賃金を増やさないのだから、賃金総額は前年より減る。つまり実質的には賃下げという理屈になる。(ただし、個々人の賃金は前年のまま)
定期昇給制度を決めていない企業も中小には多い。
ましてや、収入が減る人のほうが多いというデータは、定昇凍結どころか元々の賃金にも切り込んできているということだ。

相次ぐ雇い止め・解雇で、非正規労働者の雇用不安が深刻になっている。さらに正社員へと広がってきている。
正規労働者と非正規労働者の格差は構造的な問題をはらんでいるうえ、正社員で組織する労働組合では、非正規の雇用に十分な対応ができない。
同一労働同一賃金にしても、あるいは仕事を分け合うワークシェアリングにしても、なかなかの難題だ。おいそれとはいかない。
労働組合の組織率は年々減り続け、いまや18%にまで落ちている。つまり、労働者の8割以上が、労働組合に入っていないという現実である。
春闘はもはや機能しなくなったといってもよいのではないか。


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