ジジババのたわごと

孫たちさらにその孫たち世代の将来が、明るく希望が持てる時代になってほしい。

ワイロ感染が関電に蔓延

2020年03月23日 | Weblog
関西電力の金品授受について第三者委員会が最報告書を出した。

安倍政権のデタラメばかり見せられていると、関電の不祥事が大したことでないように見えてくる。慣れが恐ろしい。

高浜原発に絡む金品授受は明らかにワイロである。
今回の関電のやり取りを眺めて見れば、金品を受け取って仕事を回すという典型的な贈収賄である。
モリトモやカケ学園の複雑な展開とは違い、片方が金品を差し出しもう一方が見返りに便宜をはかるというシンプルな構図である。


例えば加計学園では、かなり巧妙な細工した。
国家戦略特区を指定して競争相手が参入できない下地を整えたうえで、ほかが応募できないような条件を設定する。
排除と特別待遇を周到に使い分けて、意中の加計学園にのみ獣医学部を認可するように手はずを整え、そこに補助金が充当されるように導く。
当事者同士の直接的な金品の授受は表には出さない。
証拠となるものは隠ぺいし廃棄して、官僚に嘘を言わせる。


さて、これまでも原発にまつわる不明朗なカネが取りざたされてきたが、たいがいは電力会社から地元にカネが流れるという図式である。
漁協、町村役場、地元の有力者などにさまざまな名目で10億円単位のカネが投入されてきた。

一方、電力会社が受け取るワイロが過去に問題視されたことはない。
基本的に、民間企業に贈収賄が適用されないからである。
公務員ならば罰せられる不適切な行為が電力会社でも少なからずあったと想像できる。
地元に投じられた金額に慣れきって、それに比べたらハシタガネという感覚もあっただろう。


今回の関電が特異なのは、歴代経営トップが軒並み金品を受け取っていたということ、それが30年間も続いていたという点である。
これは事業部ぐるみでどっぷりワイロ汚染に浸かっていたことを意味する。
原子力事業部の全員がそのような風土に感染して、社内に蔓延していったということである。
そこに輪をかけて、社長、会長ら経営トップがそれを容認してきた。



第三者委員会の報告では、森山栄治・元助役から金品を受け取ったのは75人で、総額は3億6000万円にのぼる。
豊松秀己・元副社長と鈴木聡・元常務の2名は1億円分以上を受け取っていた。



森山氏の要求に応じる形で、関電の役員・社員が工事内容や発注予定金額を伝えたうえで、約束に沿って発注して特別便宜を図っていたと認定した。
一方、元助役が金品を提供したのは、経済的利益を得るために関電と関係を繋げておくためだったと分析している。

報告書では、森山氏は建設会社などから役員報酬など数億円単位の金銭を受け取っていた。関電の子会社「関電プラント」からも顧問の報酬を受け取っていた。

森山氏が提供した金品はこの報酬から拠出されていて、実質的な原資はこれらの会社だったと評価できるので、資金の一部が還流していたと報告書は指摘している。

たぶんワイロのために提供する金額をはじめから見込んで、ワイロ込みの役員報酬にしていたと考えてよかろう。
契約金額に応じた報酬にしていたことも考えられる。

報告書は、地元対策に透明性がなかったことが今回の原因だとしている。ユーザー目線のコンプライアンスが機能していなかったと指摘している。
どうも形式的という印象がぬぐえない。
これでは、泥棒をしたのは道徳心が欠けていたからだ、と言っているようなもので踏み込みが足りない。
「なぜ透明性がなかったのか」、「なぜコンプライアンスが機能しなかったの」かという点が核心であろう。

2018年の税務調査をきっかけに社内調査を行ったにもかかわらず、当時の経営陣は、社内調査の内容を取締役会に報告しなかった。監査役も取締役会に報告しなかった。
さらに会長、社長、相談役が協議して早々と対外公表しないと決めたのは極めて不適切だと指摘している。

経営陣にはまったく罪悪感がなかったと断罪してよかろう。
巨額のワイロ受け取りが明るみに出たあと、役員が国税局に修正申告しているが、納税で減額された分を会社が補填したという。呆れ返る。

関電は、透明性などというものを鼻から無視してきた。むしろ透明性は邪魔なものという観念が定着している。
透明性を高めることに反発する力学が働いている。

だから、本当に透明性を高めることが肝要と考えるなら、風土を変えるようにルールを見直して、透明性を保つシステムにしなければならない。
コンプライアンスが機能していないというのならば、企業として社会的責任を果たすために、何をどのように行うか、だれが行うべきかを提言する必要がある。

第三者委員会では、ガバナンスを強化するため会長職を社外から招くことを提言した。数少ない具体的提言である。
会長に就く人物が清廉な人物ならとても有効に働く。
しかしながら現実は、これまでと同じように都合悪いことは隠すだろうから、会長による効果はさほど期待できない。

「さまざまな事柄に対し開示のルールを作ること」が一番効果を発揮する方法である。
社員が金品を受け取る際の問題など難なく解決できる。
問題は、地元対策に投じられる不明朗なカネをどこまで開示できるかである。領収書のないカネによってトラブルの解決が図られてきたと言われている。


関電から見ると森山氏は頼れるよくできるパートナーであった。
森山氏から見れば関電は無尽蔵の打ち出の小づちであった。
知られたくない暗部を知り合う共犯者でもあった。
森山氏からの執拗で異様な働きかけに抗しきれず言うがままになったと分析されているが、総じて、カネで結ばれる持ちつ持たれつの関係であったと言える。



森山氏に発注したことが会社に損失を与えたと言えるかは不明、という第三者委の見立てには首をかしげてしまった。
正常な競争入札を妨げたのだから損失を与えたと判定するのが常識である。
これが通るならば、公共工事で情報を漏らして競争入札を阻害しても問題ないことになる。

さらに報告書では、森山氏の金品の授受が特定の工事を指定して依頼したものでない。どのカネがどの工事のものか結びつかず判然としないので贈収賄の成立は困難、と述べている。
実態を見ていないし、関電幹部の擁護に傾きすぎている。
日常的に頻繁にカネの受け渡しを行っていたのならば、より強固な結びつきがあったとみるのが常識である。


ところで、市民団体が関電役員らを刑事告発した。
「特別背任罪」、「背任罪」、「贈収賄罪」、「所得税法違反」で大阪地検に告訴したという。

刑法の贈収賄は原則的に民間企業には適用されないが、経営幹部という立場になると会社法の贈収賄罪が適用されるのだという。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿