看護師もみんな優しい

病棟には男性看護師も勤務する。
むかしは、男性看護師は珍しく、せいぜい精神科にいるくらいだった。
名称も看護婦だった。
先日も、「シチョウから・・・」と言われ、“市長？　支庁？”と思ったが、「看護師長」のことだった。

ババの足元のおばあちゃんに、男性の看護師が２日ほど担当になった。
おばあちゃんは小柄で高齢。目まいがおさまらないらしい。歩行器がないとふらつく。
転倒防止で、ナースコールを押すように言われているが無視。

病院の入浴は男女隔日だ。
おばあちゃんは、浴槽には入らないが、介助椅子で身体を洗ってもらう。
男性看護師が担当の日、入浴しないと言い出した。
年はとっても嫌だからと言う。
考えたら、このおばあちゃん、独身だったのだ。・・・わかる気がする。

男性看護師は一生懸命入浴を勧めるがうんと言わない。
明日洗ってもらうからいいと断ると、明日も僕が担当だし、前をタオルで隠せば背中を洗わしてもらうんですよ…と謙虚だ。

とうとう根負けして、女性の看護師が洗うことになった。
入浴の準備のとき、おばあちゃんが看護師に「前も洗ってね」…と言った。
すかさず、看護師とババが同時に、「自分でやりなさい！」と言った。爆笑。

患者はとかくわがままなものだ。
看護師もみんな優しい。