すったもんだの末に、民主党が行った「最低保障年金」の試算結果を公表することになった。
昨春、菅内閣のときに税と社会保障改革案をまとめる際に試算したといわれたもの。
民主党が目指すとされる新年金制度案で、「年金を一元化し、すべての人が月額7万円以上の年金を受け取れるようにする」というものである。
さてその試算によると、新年金制度だけでも消費税7.1%に相当する財源が必要になるとの結果が出た。
報道されていたとおりの内容である。
今国会で論争になっている消費税10%引き上げとは別に、年金だけに7.1%の消費税アップが必要になる。
不人気な増税につながる試算結果を公表したら、支持率が下がり選挙にも影響するとして、政府・民主党は公表を延期することを決めた。
見え透いたご都合主義と隠ぺい体質が集中砲火を浴びて、しぶしぶ公表することになった。
そもそも、「社会保障と税の一体改革」と銘打って、消費税引き上げを打ち出しているのだから、将来の見通しを含めて議論すべきだ。
60年後のことだからという屁理屈で公表しないのは、民主党も姑息で都合が悪いことは隠すと非難されるのは当然だ。
年金に関してはブラックボックスがたくさんあって実態がよくわからないと言われている。
まずは基本的データを公表して、だれでも検証できるようにしなければならない。
年金制度のデータや計算過程を含めて公表したうえで、長期的な年金制度を維持するには、抜本改革がよいのか、それとも現行制度を修正していくのがよいのかを論戦したらよい。
年金制度は破綻に向かっていると言われるので、どちらにしても小手先の修正ぐらいでは、長期的には行き詰まるのは明らか。
年金財政もそうだが、日本全体の財政収支がどうなっているのか、長期的な実質借金がどれほどなのか、を知らされていない。
さて、そこで消費税をどう扱うか。
野田政権が、長期的な年金制度改革と切り離して、足元の消費税の議論をするのがよいと考えるなら、その理由をはっきり説明して論戦してもらいたいものだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます