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続・持続可能的計画経済論(連載第19回)

2020-08-01 | 〆続・持続可能的計画経済論

第1部 持続可能的計画経済の諸原理

第3章 計画組織論

(5)地方経済計画の関連組織
 ここで言う地方とは、統合型領域圏と連合型領域圏とでは、意味するところが異なる。前者の場合は広域の地方圏を指すが、後者では連合を構成する準領域圏を指すことになる。
 このうち、準領域圏はその名称のごとく、領域圏に準じた自己完結性を持つ公共団体であるから、まさに領域圏に準じて独自の経済計画(生産計画)を策定する権限を持つことが許されるのではないかという議論があり得る。
 これについて、現時点で定見を提出することはできないが、連合領域圏の場合は、領域圏全体の経済計画の策定に関わる経済計画会議に各準領域圏の経済代表者の参加を認めることは、最低限必要とされるであろう。
 一方、統合型にせよ、連合型にせよ、地方における経済計画の中心は消費計画である。消費計画は、地産地消を目標として策定される消費に限定された経済計画であり、その策定組織は地方ごとに設立される消費事業組合である。
 消費事業組合は、それ自身が日常必需品の供給組織であると同時に、消費計画策定機関でもある。また、地方における末端消費も領域圏全体の経済計画と無関係ではあり得ない以上、消費事業組合は領域圏経済計画会議に代表部を置き、領域圏経済計画の策定にもオブザーバー関与することが認められる。
 消費事業組合は多数の物品生産企業体を提携組織として擁するが、これらの企業体の多くは基本的に計画経済の適用外となる自主管理企業(生産協同組合)である。これらの企業体は消費計画の策定に直接関与することはないが、消費計画の範囲内で独自の企業内生産計画を立てて生産する。
 ちなみに、消費事業組合が供給する物品の相当部分を食品が占めるので、食品の素材となる農産品や水産品の生産に関わる農業生産機構や水産機構も、消費計画に関しては、重要な当事者となる。具体的には、それら機構の地方事業所が消費事業組合の法人組合員を兼ねることにより、消費計画に関与する。
 つまり、農業生産機構や水産機構は、その機構全体として領域圏経済計画に関わると同時に、地方事業所のレベルでは地方の消費計画に関わるという形で、二重に経済計画に関わることになる。
 さらに、消費計画は地方の民衆会議(統合型では地方圏民衆会議、連合型では準領域圏民衆会議)に提出され、審議・議決を経て発効する点では、領域圏経済計画の場合と同様の構制となる。
 その点、消費事業組合は管轄地方の住民全員を自動的組合員としつつ、代議制によって運営される会議体であり(拙稿)、それ自体が地方における下院的な意義を持つと言える。

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