ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

持続可能的計画経済論(連載第31回)

2018-07-30 | 〆持続可能的計画経済論

第7章 計画経済と消費生活

(3)消費事業組合
 消費計画の主体となるのは、地方圏ごとに設立される消費事業組合である。その内部構造については第4章でも簡単に見たが、ここで改めてその組織構造や活動内容について整理しておきたい。
 消費事業組合は、現存する制度で言えば生活協同組合(生協)に近いが、生協のように配達サービス中心ではなく、配達の他に固定型の物品供給所も運営する点で、機能的にはスーパーマーケットのような流通資本に近い。
 持続可能的計画経済下の消費事業組合は非営利的に運営されるが、生協との違いは、当該地方圏の住民が自動的に組合員に登録されることである。例えば近畿地方圏の住民は近畿消費事業組合の組合員に自動登録され、そのサービスを利用する権利を得る。
 ここで組合員であることの意味は、単にサービスを利用する受益主体であるにとどまらず、組合の運営主体であるということにある。従って、消費事業組合は組合員総会を最高機関として運営されるが、地方圏住民による全員総会の開催は物理的に難しいため、組合員総会は抽選で選ばれた代議員で構成されることになる。
 消費計画は、生産に関わる3か年経済計画を参照しつつ、運営責任機関である運営役会が策定した計画案を組合員総会で審議採択し、さらに地方圏の民衆代表機関である地方圏民衆会議で承認を受けて正式に発効する。
 消費事業組合はこの消費計画に従い、組合と提携する消費財生産企業に生産を委託する。提携企業の公募・選定は運営役会の重要な任務であるが、選定に当たっては、環境的持続性と人体安全性が主要な基準となる。
 組合はこうした基準が充足されているかどうかについて、常時検査する。その検査の基礎資料として、組合員総会代議員及び市町村単位で抽選されたモニター員が供給された物品の品質について毎月定期的に、必要があれば随時組合に報告する。検査の結果、問題が認められれば、組合は当該生産企業に対し、改善要請や提携停止・解除などの措置を講ずる。


コメント    この記事についてブログを書く
« 持続可能的計画経済論(連載... | トップ | 持続可能的計画経済論(連載... »

コメントを投稿