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続・持続可能的計画経済論(連載第16回)

2020-03-28 | 〆続・持続可能的計画経済論

第1部 持続可能的計画経済の諸原理

第3章 計画組織論

(2)計画過程の全体像
 計画組織による経済計画過程は、計画組織体系が簡素であるほどに簡潔的なものとなる。経済計画過程が簡潔であれば、計画の策定と発効・実施もより円滑・迅速に行われるというメリットを得られる。
 ここで、個別の計画組織について見ていく前に、世界共同体を前提とする経済計画過程の全体像を示しておくと、次の三段階に整理される。

①世界経済計画機関による世界経済計画の策定

⇒世界経済計画は、まさしく世界共同体における経済計画の全体的な設計図となるたたき台的な指針である。そこでは、エネルギー計画を前提に組み入れた全体的な生産計画と汎域圏ごとの環境状況及び人口を参酌した需要と供給の見通しを考慮した生産計画が軸となる。策定に当たっては、環境規準の定立に当たり、世界環境計画のような環境政策機関も関与する。計画案は、世界共同体諸機関での討議を経て、最終的に世界共同体総会で承認されて発効する。

②各構成領域圏における経済計画の策定

⇒領域圏経済計画は、世界経済計画の枠内で、世界共同体構成領域圏ごとの計画機関(経済計画会議)が策定する領域圏独自の計画である。この計画は、実際に民衆の日々の生活に直接関わる最前線の計画となる。これは、一般計画Aと農林水産に係る計画B、特殊な生産分野として製薬に係る計画Cの三分野に分けられる。また、災害や感染症パンデミック等に備えた余剰計画を伴う。計画案は、最終的に領域圏民衆会議で審議・承認されて発効する。

③地方における経済計画の策定

⇒地方における経済計画とは、各領域圏内部の地方における消費計画である。持続可能的計画経済では地産地消が原則であるので、領域圏経済計画を大枠としつつ、食糧を中心とする日常生活財の分配消費に関しては地方ごとに計画を策定する。計画案は、地方消費事業組合が策定する。

 なお、上掲①乃至③いずれのレベルにおいても、計画経済の最前線を担う企業体は各計画機関を直接に運営する主体でもあるので、計画機関とは別個に企業体として計画過程に関与するのではなく、世界経済計画機関、領域圏経済計画会議、地方消費事業組合の各計画機関が同時に、関係企業体による合議の場となる。

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